なぜスプリンターは楕円チェーンリングを使わないのか

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スプリンターは楕円を使わない

なぜスプリンターは楕円を使わないのだろうか。様々なプロ選手を見て疑問に思う。なぜ、”効率が良い”とされる楕円チェーンリングをあえて使わないのか。効率が良く、乳酸もたまりにくいはずではなかったのか。

発端は漠然とした疑問であったが、ツアーダウンアンダーでROTORのスポンサーにもかかわらず全員がNoQ(同社の真円)を使っているのだ。一番売りたいはずの楕円をなぜ使ってくれない。

ファビアンカンチェラーラが電動を嫌ったように何かあるのか。

疑問が加速する。

私はそこで、楕円の仮想ギアが生み出す”ムラ”が影響しているのではないかと仮説を立てた。

楕円の利点とはなにか

そもそも、楕円の利点は何か。それはデッドスポットと呼ばれる下死点を早く通過することができる点だ。一番力がかかる1-4時よりも下死点は小さい歯数になる。52Tであれば最大54T,最小50Tという”仮想歯数”が作り出されるのだ。

下死点で楕円は真円よりも小さな歯数になる。その事がスプリンターが使わない理由ではないかと考えている。スプリンターは重いギアを高回転で回す。楕円を使うと逆にパワーロスになる領域が発生する。それは”下死点”だ。

下死点におけるギア数

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楕円と真円を比較すると推進力に差が生じる。なぜか。前回の記事内で紹介した事をもう一度思い出してほしい。中野さんと、松本さんは下死点において回転に寄与する力(接線方向)は24~25kgfであった。

ここで私は”非常に重要な観点”を見落としている事に気づいた。それは下死点におけるチェーンリング歯数である。例えば両氏がフロントクランクについたチェーンリングが55Tとする。私の場合は楕円の52Tである。しかし楕円なので下死点では-2Tの仮想歯数50Tだ。

以下のようにまとめる

下死点にフォーカスした場合

  • 50Tで接線方向へ25kgfのちからが発生
  • 55Tで接線方向へ25kgfのちからが発生

では全く推進力が違う。

回転数を上げ、最高速度を出す場合について楕円と真円どちらを選択するか考える。下死点における接線方向の力は25kgfと統一する。ゴールする最終局面で最高速度を求めるスプリンターが選ぶギアは、楕円、真円どちらだろうか。

答えは真円だ。

なぜか。同条件(同一ケイデンス、接線25kgfなど)のクランクアーム下死点において、楕円チェーンリングは真円チェーンリングよりギアが小さい。従って、同条件(同一ケイデンス、接線25kgfなど)において楕円は真円より、リアホイールを回転に寄与する力が劣ってしまう。

楕円の利点は欠点になる

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楕円の下死点が小さくなるメリットばかりスポットが当てられている。しかし、実際に深く熟考するとどうだろう。下死点でギアが小さくなるのは、下死点で接線方向へ的確なパワーを掛けられる選手にとってはデメリットである。

下死点で力を与えられる選手にとって、
下死点でわざわざ小さなギアを回す必要はないのだ。

プロの選手がスプリントをするとき判定写真は、タイヤの厚み程しか差がないことが多々ある。ほんの数センチ、ほんの数ミリ、ライバルより先にゴールを切る為に多大な労力を有する。そんなスプリンターが下死点で本来踏めるギアよりも、小さいギアを踏む必要はあるのか。

答えはノーだ。

考察はまだ続きます

今回下死点における、楕円チェーンリングの特異性について考察した。しかし重要な部分をまだ説明していない。それは一番自転車を進めるために影響を及ぼしている1~4時における時だ。

また、下死点のみにフォーカスした結果である。下死点を切り出して、見た場合に言える話だ。当然クランクは回転する。次はトータルとしてメリットデメリットを考えてみたい。

スポット的に見た場合に言えるのであって、総論ではない。次の記事では、上死点から3時までの最大ギアに着目して考察する。

本内容について、一週間前ほどにFacebookページでコメントくださった方ありがとうございました。

私は現段階で、あるスポット(下死点)に限ると上記のとおり考えています。考え方は多岐に渡るので、何か別の角度で考えられていましたら、お願いします。

異論をFBページでお待ちしてます^_^

当記事は三部構成です。