新型ペダリングモニターとパワータップの測定値比較 高出力は測定誤差が低くなる傾向に

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新型ペダリングモニターとパワータップの測定比較

旧型パイオニアペダリングモニターとパワータップの測定誤差比較は、以前私が実際に行った。しかし、新型とパワータップの比較は実際に検証していなかった。今回は当チームのエースかつ最高のウェイトレシオを誇る、ゴーゴー練の生みの親マツケンさんのデータを元に、新型ペダリングモニターの測定精度を追う。

出力が高くなると値が拮抗する

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上記画像のデーターはマツケンさん(体重57.2kg)がおよそパワーウェイトレシオ5.2W/kgで5分間300W付近で実際に練習したデーターである。

まずは左の青い棒グラフを参照されたい。そのなかでも赤の網掛け(1~7)の場所は200W以上の出力だ。対して右側の赤い折れ線グラフは、パワータップを基準としたペダリングモニターの出力差を(%)で表したものである。

見ての通り、7まで(200W)は測定の差が2%以下に収まっている。対して、200W以下の場合は測定差が3.0~5.0%の幅で推移している。データーのサンプル数が少ないので一概には言えないが、取得したデータから見える傾向は以下のとおりだ。

  • 高出力は測定誤差が小さい
  • 低出力は測定誤差が大きい

以上の傾向が見られた。そもそも構造が異なり、測定精度の指針もそれぞれ異なる装置を比較することは非常に難しい。それぞれの装置は、何らかの測定精度の指針を元にして、”測定誤差±2.0%”という表記をしている。

以前記事化した各社詳細な測定精度の指針については、FaceBookページにて別途掲載している。

パワータップの精度の指針とは

パワータップの精度は何から決められているのだろうか。パワータップは工業用のダイナモメーター(高精度な)の出力と比較している。その結果が測定精度として”誤差1.5%”として示されている。

出力(ワット)を正確に測定する工業用ダイナモメーターを使用し、パワータップの精度と値の信憑性が検証されている。ではどのようにして検証しているのだろうか。

パワータップの出力精度の指針はどのようにして立証されるのか。検証方法として上記の画像を参照されたい。基準としてのダイナモメーターを左側クランクアーム部(正確にはSRMの左側のシャフト)に取り付ける。

さらに反対側にはクランクベースのパワーメータであるSRMを取り付ける。ダイナモメーターとSRMのデーター、最終的にパワータップのデータを比較する。それらの結果から同等のパワーデータになるようにチューニングがなされている。

また、パワータップの個体性能差は非常に小さいことも知られている。製品の精度が低いと、パワー測定値のばらつきもあるが、パワータップは個体差が少ない事が検証されている。

どのようにして個体差を調べているのかというと、製品化され出荷時にランダムにピックアップして選ばれたパワータップ(A)とパワータップ(B)のデータをそれぞれ比較し検査している。パワータップ単体での個体差の違いは殆ど無いそうだ。

以上の説明の通り、パワータップの測定精度は非常に高いと言える。精度の指針はダイナモメーターということだ。アナログな高精度の装置を用いパワータップの測定精度をは決定されている。

ご存知のことと思うが、測定方法はリアハブ内部トルクチューブでハブ内部とフリー部のひずみを測定しているサンプリングレートは60Hz、レコーディングレートは1.26secだ。ディスプレイレートは他のパワーメータと同様サイコンに依存する。トルクスチューブの数は4つである。

誤差の仮説1:機材の構造上の問題

測定誤差はなぜ発生しているのだろうか。まずは構造上の違いを見ていく。先ずはペダリングモニターだ。クランクにかかった力で、クランクが曲げられる結果を歪みゲージで捉える。対してパワータップは、クランク、チェーンリング、チェーン、スプロケ、ハブ、トルクチューブと伝達した結果を出力として示している。

パワータップは、これらドライブトレインの”フリクションロス”を加味し算出して出力を示している。いわば踏んだ力がフリクションロスによる伝達損失を考慮していると言える。

かりに”誤差の仮説1:機材の構造上の問題”がそれぞれのパワーメータの構造上の問題だとするならば、出力が変わったとしても大幅に値のブレは、出力が低くなっても発生しないだろう。傾向は出力が上がるとそれぞれの測定誤差が小さくなる事だ。

構造上の問題も大いに考えられるが、別の仮説を立ててみたい。

誤差の仮説2:値の発散よる測定誤差

私が有力視しているのは、双方の測定誤差はパワーメータ自体にあるのではなく、測定方法自体に有るのではないかと推測している。具体的には値の発散性に目をつけた。この11のデーターをよく見ると、5分の”狙った出力を維持”する動作と、3分のレスト(わりと値は狙っていない)で成り立っている。

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恐らく5分間の間は300Wを目指してトレーニングしているわけだが、レスト中は厳密に”何ワット”という定義はあまり見られない。120-160Wとおおきなバラツキがある。このような特性を持ったデーターを取得した際にばらつきが出る可能性がる。なぜか。

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原因としては上記の図のようにある軸からの値の発散性が大きいか、小さいかによる。例えば300を出そうとして意識して300Wで一定時間踏むと、値として300Wに近い値が5分間の間に出現する。例えば上の画像で横線が300Wで、その付近に300Wや301Wや305Wといった値が5分間に多く出現する。

当然5分間なり、3分間のデーターを最後に”平均値”として算出する。たとえば300Wを狙って一定のパワーで平均値を出したものと、適当に狙った値でこがない発散したデータだと、そもそもプロットする値のばらつきに差が出る。

しかしレスト中のデーターはそれぞれ非常にばらばらでターゲットのワットが示されていない曖昧な値である。ようは、値が散発的であり200Wもあれば110Wもありどこかに収束しようとするデーターではない。この場合様々な値が3分間に出現する。

結果として狙った300Wに近い値を双方のパワーメーターが5分間の間に出現させるデータと、ターゲットの出力が定まっていない大きなブレ幅のある値により測定差が生まれたのではないかという仮説を建てた。

かのうであればマツケン師匠に.fit形式でファイルを貰い、データーを解析して仮説を立証させていただけたら幸いだ。。

ここまで述べた仮説は、次の仮説3につながる。

誤差の仮説3:狙った値ほど誤差が少なくなるデーターのマジック

データーのまとめ方や、特性次第である時間の範囲なら”パワータップに近い高精度なパワーメータ”のデーターを意図的に作れる可能性がある。それは次のような条件だ、長時間、一定出力の2点である。

長時間の間一定出力を出すことにより、ある値の出現頻度が増えある時間あたりの平均出力値は、狙った一定出力に収束してくる。これにより長時間の平均出力を双方のパワーメータで比較した場合は非常に測定精度が拮抗する。

別の言い方をするならば、短い時間で、出力が発散するようなデーターを取れば、双方のパワーメーターの測定差が大きく開くとも言い換えられる。従って、厳密に実験の際の前提条件を定義しないと双方のパワーメータの出力を比較したデータは全く違うことになってしまうのだ。

まとめ:新型ペダリングモニターの精度は

新型ペダリングモニターの精度の指針は公開されていない。恐らくダイナモメーターか、別の何らかの方法で計測しているはずだ。ただ、パワータップとある一定時間の一定負荷で計測した場合の測定誤差は1%前後だ。

ややプラス方向に振れる値の特性は、パワータップの伝達損失を考えても、パワーの源泉(クランク部)が高いという事で整理がつく。むしろフリクションロスを考慮した場合クランク型のパワーメーターで得られる値のほうが高いことは不思議ではない。

パワータップは絶大な信頼のもと、パワーメータ界に君臨してきた。しかしペダリングモニターの測定精度もパワータップと遜色ないデーターが得られている。レースでのパワーデーターや、ホイールの汎用性を考えると、ペダリングモニターは値段を加味しても外れのないパワーメーターと言える。

ただ、私のベアリング回転問題はいまだどうしようもないのだが。マグネットパッチ式はそんな心配もないだろうな(´Д`)・・・。

なお、インプレ予定のこのガーミンのマウントっぽい社外品8?化するペダモニサイコンマウント、お勧めです。なんとキャットアイや私が付かつているMOONのライト、そしてGoProのマウントがはじめから付いている変態マウントなんだぜ。

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