リムフックを排除したENVE M50はカーボンCLで重量330g!

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カーボンクリンチャーという機材を今シーズン通して使い続けてきた。初めのうちはゲテモノ機材の扱いを受けていたことは否定しない。ただ、強豪選手が使ううちに市民権を得られてきているのではないか。機材が好きで色々調べていくうちに、数値上ころがり抵抗少ないカーボンクリンチャーは、メリットが大きい機材だということがわかってきた。

しかし、サイクルシーンにおいて古くからある軽量カーボンチューブラーホイールへの「妄信的」な信仰(決戦用位置づけ)は根強い。データー上はチューブラーよりもころがり抵抗が少なく優れているのに「リム重量」や「チューブラーの方がよくわからないけど良い」という意識は払拭されていないのではないだろうか。

しかしここに来て、興味深いENVEのクリンチャーリムがある。最近オフロードばかり走っているせいか、調べ物はMTBの29er用機材やシクロクロス機材ばかりだ。その中で特に異彩を放つリムが有る。ENVEのM-Seriesだ。その中でも特に軽量なENVE M50についてみていく。

このリムは「ビードフック」を排除したカーボンクリンチャービードフックレスなのだ。そして重量は330gなのである。

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ENVE M50はフックレス

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ご覧の通り、フックはない。

これまでのクリンチャーホイールには必ず「ビードフック」が存在していた。このフックはタイヤの端にあるビードを引っ掛けるために使われている事はご存知のとおりだ。しかし、このフックがある為に本来あるべきタイヤの形状が損なわれ、密着度も低下するというデメリットも存在していた。

ENVE M-Seriesはこれらビードフックを取り払うことに成功した。これによりリムとタイヤの縁の密着度が高まる。GOKISOのワイドクリンチャーリムもビードフックの山を極力減らし密着度を高めている。ENVEのリムもGOKISOのリムも、リムとタイヤとの密着度を高めタイヤ内の空気の逃げを無くす。結果、タイヤ変形によるロスを減らす事ができる。

この構造はサイクリストにとって不安だろうか?しかし、車や自動二輪車のホイールの構造を改めて確認したい。下は自動二輪車のタイヤとホイールの断面図である。

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出典:ブリジストン 個人のお客様向けタイヤ規格について

自動車や自動二輪の場合、タイヤ内部の空気圧でリムが左右に広がる。その圧で固定される仕組みだ。フックはそもそも存在していない。自転車機材よりも遥かに技術が進んでいる自動車や自動二輪の世界では当たり前の仕組みのようだ。

ただ、圧で固定されるのでリム表面の精度は相当な高さを要求される。密着することで固定するということは、密着が低ければ外れやすくなる。リムがたわめばその分固着力も低下するだろうし、タイヤが外れる危険すら有る。

ENVE M50 リム重量330g

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ENVE M50の「カーボンクリンチャーリム」の重量は330gだ。いままで市場に出ているカーボンクリンチャーリムで一番軽い。チューブラーと比較しても異常に軽い。以下メジャーなチューブラーリム重量一覧である。

  • Zipp 202 Firecrest Carbon Tubular Rim (Zipp 255) 295g
  • Zipp 404 Firecrest Carbon Tubular Rim (Zipp 360FC) 426g
  • ZIPP 303 FireCrest Carbon Tubular Rim (Zipp 285v4) 352g
  • ENVE 3.4 Tubular Front 372g
  • ENVE Tubular 1.25 250g
  • ENVE Tubular 1.45 295g
  • ENVE Tubular 1.65 360g

このようにカーボンクリンチャーリム重量が330gと異常なまでの軽さには、なにか理由があるのだろうか。

ENVE M-SeriesはDISC専用

ENVE M50を含めたM-Seriesは元々オフロード用に開発されている。その為ディスクブレーキ仕様のシクロクロスバイクやMTBでの使用が元々の想定だ。カーボンクリンチャーは当ブログの「他社より6倍失敗例ある」レイノルズのカーボンクリンチャー開発者の話でも書いている通り、ブレーキ面の摩擦による破損がネックだった。

DISCブレーキならばそのような心配もなくリムのビードフックの排除や、ある程度の剛性確保のみで軽量化出来たのだろう。そう考えると、いづれ自動車や自動二輪車のようにロードバイクのDISC化は当たり前のようにやってくるのかもしれない。

まとめ:ENVE M-Seriesの軽量リムから見えること

ENVEの軽量リムは、カーボンクリンチャーでも技術的に330gという重量を実現できる事を証明した。しかも、ロードよりも過酷な条件下で使い空気圧も低いオフロード用リムである。

ただ、難点はリムブレーキ式ではないこととだがロードバイクのディスク仕様が今後増えてくることからもあながち間違えた技術路線ではないことがわかる。むしろ、他の自動車や自動二輪の機材に追いついたビードフックレス構造とも言える。

古くからリムフックがあるのが当たり前だと思っていたサイクリストからすると不安でしかないリムだろう。しかし、それは閉鎖的な自転車機材に一石を投じる革新的だが、外から見れば当たり前仕組みなのかもしれない。

カーボンクリンチャーもまだサイクリストからの支持が低い中、「カーボンクリンチャービードフックレス」という新たな領域に達した新型機材を使ってみたいところである。