人は逆境の中では強く、順境の中では弱い

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人間は追い込まれれば追い込まれるほど、その力を発揮するのではないか。最近タイムリミットが限られた中で多くの仕事をこなさなくてはならないことが多くなった。その際に思うのは追い込まれれば追い込まれるほど、時間あたりの物事に対応する密度が自然と上がってくる。

稲盛 和夫氏の「生き方」を読み考えさせられた。人間とは弱い生き物で、潤沢に金があればじゃぶじゃぶ使うし、潤沢に時間があればタイムマネジメントをしない。ある学者は『人間は逆境の中では優れた生き物だが、富や栄光を手に入れると、目的を失った生き物になってしまう』と述べた。

逆境の反意語は順境で物事がうまく様を示す。仕事以外でも例えば練習の1時間を考えてみよう。仕事や、やりたくない勉強の合間を縫って行う一時間はなんと密度の濃いことか。時間がなく、条件が悪い時こそ、本当の能力が発揮できていると言える。なんとか限られた時間の中で足掻こうとするほど物事に対する密度が上がるのだ。

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あえて逆境へ踏み込む

自分の能力のはるかに上の人や、自分が追いつけない程の能力を持つ人と対等に向かい合うのは難しく、できたら避けたいことだ。ただ、自分にできる事ばかりの中で生きていると成長が止まってしまう。実現できるかわからない物事に取り組む事こそ、今自分自身が持ち得ない能力を引き出す方法かもしれない。

できるかわからない仕事を引き受け、達成できるかわからない目標を掲げる。掲げたからにはしっかりと達成するための過程を明確にする。明確にする時に、隅々までイメージできるように自分自身の中で意識づけする。ただ漠然とした内容ではなく、例えばレースであれば「何のレースで」「何位」という他に、至るまでの準備、レース中の展開を事細かにイメージする。

ようするに、自分自身が成長するということはあえて逆境を取り込みクリアすることに他ならない。自分のできないことを出来るようにするためには苦労が伴う。初めから出来る人などは居ない。赤ちゃんがはじめハイハイから始め、二足歩行ができるように何事もクリアすべき事態に直面する必要がある。

時間と逆境の関係

人間が生きている中で様々な人と関わり仕事をし、生きているわけだが皆平等に1日は24時間として与えられている。ただ、この24時間をどう使うかは自分自身にしかコントロールできない。24.1時間与えられる人は居ないわけだからみな平等に与えられた時間の中で右往左往する。

基本となる大原則は不変であるが、なぜ人間や能力に差が出るのだろうか。この時間の使い方を考えた時に時間に対する個人個人の使い方が反映されているように思えてならない。ある時間何もせずボーっとして過ごした場合と、何かしら勉強や練習をしたのとでは雲泥の差が出る。

次に勉強や練習したとしても差が出てくるわけだが、ある単位時間(例えば1時間でもいい)あたりにどれだけ密度の濃い時間を過ごせたかで違いが出てくるのではないか。例えば自転車のトレーニングの場合1時間で300W漕いだ場合1080キロジュール(仕事量=ジュール)の練習量をこなしたことになる。

ただ、1時間で200W漕いだ場合720キロジュールの仕事にしかならない。差は360キロジュールだが1時間という時間で「仕事量の差」が生まれてくる。

この時間あたりの仕事量と逆境にはふしぎな関係がある。例えばあまり仕事が忙しくない時の1時間はどこか気が緩んでしまい1時間を濃密な時間にすることが難しくなる。人間は弱い方へ流され、潤沢に時間があるとそれら価値が変わらぬものをないがしろにする。

ところが、仕事、試験勉強、家庭、子育てのなかで練習をする1時間は非常に濃密だ。やはり「時間が確保できない」という逆境に身をおくことにより、人間はより強く過ごそうとし、生きようとする。やはり完全な順境な環境の中では物事への飢餓感はいくらか低下するようだ。

まとめ:逆境と成長は対になっている

人間はどうしても逆境を避け、楽な方へ行こうとする。当然浮き沈みのない人生のほうが楽しいという考え方もある。できるだけ楽をし、手を抜き、ある程度という考えだ。だが、成功した人たちの中でそのような方法を説く人はどうやら居ないようだ。

人は何かしらの逆境に直面するわけだが、多くの成功者達の自伝や記録を見ているとあえて逆境を取り入れ、クリアしていく事で結果的に「成功者」という立ち位置を授けられている。ようするに多くの人が失敗し、諦めて乗り越えられなかった逆境を超えたということだ。

結果的に成功したから話になっている部分もあるわけだが、まずは自分自身に置き換えて考えた場合、目の前の小さな逆境を乗り越えていく事からはじめたい。その日々の積み重ねが次第に大きな事を成し遂げる為の一つの部品になる。

限られた時間の中でいくらかの逆境に直面しながら、少しづつ物事を確実に対応していく事こそが成長していく為には必要なのかもしれない。今日できる事は明日の逆境でできなくなるかもしれない。今この時を一生懸命生きることは必ず明日へつながる糧になる。

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