「自然界の法則」に従うほど機材は美しさを増していく

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タイムトライアルバイクを調整しながらふと思った。なぜ「美しい」と感じるマシンがあるのか?ということだ。人によっては「カッコイイ」とか表現は異なるだろう。ただ、数ある機材の中でもタイムトライアルバイクは別格の美しさがある。

確かにホリゾンタルやクラシックな機材の美しさも魅力的だが、タイムトライアルバイクはなぜここまで魅力的に写るのだろうか。その根本的な意味を考えてみたい。

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自然界の法則に逆らわない

タイムトライアルバイクの至上命題は「エアロダイナミクス」空気抵抗をいかに減らすかということだ。言い換えると「空気とケンカしない」ということになる。物体が空気中を移動する場合、速度に比例して空気抵抗も増していく。

地球上に存在する物体ならば無条件でこの影響を受ける。どんな強靭な人間でも自然界の法則には逆らえない。物理的に決定された揺らぐことのない法則だ。しかし、いざこの法則に対してしなやかに、そしてうまく形状を変えながら付き合えば美しい形を作り出す。

幾何学に「フラクタル」という概念がある。自然界が(意図せず)生み出す複雑な状態や模様には「小さな部分」と「大きな全体」が酷似しながら、幾度となく繰り返すパターンで成り立っている。これをフラクタルと呼ぶわけだが、統制が取れたこの状態を人は本能的に美しいと感じる。

ただ、度が過ぎたり「ブツブツ」やトンボの目のような細かな格子状程までいくと、違和感を感じ気持ち悪くさえ思う。美しさにも超えてはいけない一定の閾値がある。

ある決められたパターンの繰り返しは結果として美しい様を描き出す。自転車という物体もまるでフラクタルのように小さな部品の集合体ではないか。ハブやスポーク、クランクにプーリー、はたまたスプロケットなんてものはある決められたルールに従いその形状を生み出す。

元々美しい自転車の機材の「小さな部分」とそれらで構成され組み上げられた「大きな全体」という完成車は、そのもの自体が美しいというのも理解できよう。一見細部には目が行き届かないかも知れないが、そこに存在して小さな部品が大きな全体を構成する意味は大きい。

さらにこの集合体(完成車)が、自然の空気抵抗に沿いながら形状を変えて行ったのがタイムトライアルバイクだ。前方投影面積を減らし、空気とケンカしないように姿形を変える。決して空気を乱さないよう、荒げないように機材側が柔軟に形を変え対応して行く。

タイムトライアルバイク自体も確かに美しいが、少し視野を広げてみるとエアロヘルメットの形状や、最適化されたポジションにも目が行く。結果的にはバイク、人から成り立つ「大きな全体」で構成された状態に行きつく。

なぜ、タイムトライアルバイクを美しいと思うのだろうか。それらの理由を考えると、小さな構成するパーツ群、自然に逆らわない形状、それらが集まった結果の末に感じられる事のように思えてならない。

このように、より美しさを増すことを考えたら、最後はライダーの体型に行き着く。細身で空気抵抗が少なそうな、しかし筋肉が浮き上がった理想的な体型だ。そして速ければ言うことはもう何もない。「速いことは美しい」と考えた場合、やはり人間自体も細く強靭に最適化されてくる。

このように美しい状態とは自然界の法則に従うほど速さを手に入れ、美しさも増して行くのだろう。そう考えると「乗り方が綺麗」「ペダリングが綺麗」というのも自然の法則に沿った結果となる。「速いことは美しい」それは自然を上手く使い産みだした必然の結果なのだ。

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