思ったより良かったアールエルソックスの評価 一体何がRxLなの?

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最近蛍光色のソックスを履くサイクリストが目立つようになってきた。頭から爪先まで、猫も杓子も流行りの「ネオンカラー」だ。もちろんグランツールではティンコフサクソがネオンカラーのソックスを使っているし、国内トッププロもネオンカラーだ。もちろん目を引く色は鮮やかで美しい。

アパレル用品が美しさにシフトするのは当然の事であるが、対岸に機能美に特化したソックスがある。アールエルソックス(R x L)だ。国内ではコラッジョ川西やVAXレーシング、レディーゴージャパンが使用している。誤解を恐れずに言うと、スポンサーだから当然履かなくてはならない(気に入らなくても)。

ただ、私は見逃さなかった。練習仲間の某サポート選手(ミッチー)がオフでもアールエルソックスを履いているのだ。レースに出る以外は、市販されているお気に入りのジャージともっとイケてるソックスをはきたいはずだ(まだ20代前半だし)。しかし、なぜ練習でも使用しているのだろうか。

早速ミッチーと同じ色、同じモデル、同じソックスを自費購入して試すことにした。いちユーザーとして率直な感想を好きな様に書こうと思う。はたして、本当にアールエルソックスはオフでも使う程よいものなのだろうか。

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何が「R x L」ソックスなのか

R x LソックスはR(Right)とL(Left)の頭文字からなっている。ただ、何がRとLなのかは購入するまで定かではなかった。買ってから気づいたのだがアールエルソックスは明確に右左に分けて設計されている。当然のことだが、左右の足の形は違う。何が言いたいのかというと普通のソックスは左右どちらでもはける(中にはアシンメトリックなソックスも有るが)。

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参照:武田レッグウェアー:RxL製法の仕組みより

履いた状態でアールエルソックスを正面から見てみるとまずは「指の形状」を考慮した設計になっていることが分かる。これは「左右別立体製法(特許登録)」と言われる小指側と親指側でソックスの高さが異なっている。当然親指の高さと、小指の高さは違う。

小さなことかもしれないが普通のソックスならば、親指の高さと小指の高さが全く同じである場合が多い。この場合親指から小指にかけていくらかの隙間が開くかもしれないし、窮屈になる場合すらありうる。その点本ソックスは指の形状に合わせて親指から小指にかけて製法を変えているのだ。芸が細かい。

R x Lソックスのカカト

本ソックスには「カカト」が存在している。通常のソックスだと一枚物で出来ていて、まるで平坦道のような構造である。しかし本ソックスを見てみるとカカトは独立した作りになっている。これは「内外リアル立体サポートヒール」(特許登録)と呼ばれる機構だ。

驚くべきことに、ただのカカトのスペースではなく、左右の踵の「形状に合わせた」特殊な編み方で作られている。カカトに左右差なんて無いだろうと思っていたが、自分のカカトを見るとやはり左右で異なっているようだ。この機構により、しっかり踵をサポートすることができる。

独立したカカト部分は、他のソックスにありがちな「無駄な伸び」を防いでくれる。普通のソックスを履いた時にちょうど繋ぎ目部分が引っ張られて編み目が伸び、薄くなった経験はないだろうか。あの手のデメリットは本ソックスにおいて皆無といえる。

土踏まずは薄い

アールエルソックスは足全体を本当によく観察して作られている。耐久性が求められる箇所はより強固に、そうでない部分はより薄く軽量化と通気性を確保している。足裏で一番圧がかからない部分は土踏まずだ。もちろん、インソールの高機能化により土踏まずのアーチをサポートする物も多く存在している。

ただ、アールエルソックスは土踏まず部分の裁縫が非常に薄い。これは「フィットエアー製法」と呼ばれる製法を用いて吸い付くような着圧感を実現している。たしかに履いてみると向こう側がやや透けて見えるほどに薄い。土踏まずの位置を考慮して素材と縫い方を変える非常に手の込んだ作りになっている。

この土踏まず部分を薄くすることにより、通気性やフィット感は他のソックスとは一線を画している。

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グリップ感

本ソックスはその構造や製法に目が行きがちだが、履いて特に良かったことがある。この滑り止めである。この土踏まずから母子球にかけて配置された無数の滑り止めが非常に良い仕事をしてくれる。小さなギミックなのだが履いてみると本当にズレないのだ。

サイズが完璧に合うシューズを履いているが、その日によって足のむくみや、ソックスの厚みによって締める量を調整している。薄いソックスを履くと非常に足が動いてしまうことがあった。その結果、足薬指が痛くなることが多々あった。おそらく前後のズレをいく度となく繰り返した結果だろう。

この点は私にとって嬉しい誤算だった。シューズ内のズレにより結果としてつま先が痛かったのだ。よく考えてみるとスキーブーツのように、完全にホールドされたシューズを探すのは難しい。ボントやシマノのように熱成形をしても、日によってむくみは異なる。

少しでもシューズ内のズレやロスを無くす為にも本グリップ機構はより効果を発揮してくれる。少なくとも、人間が感じられるほどの「スベらないソックス」のメリットは大きい。

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日本製、作り込みすぎな件

アールエルソックスは日本製だ。余計にも感じてしまうのはその作り込みである。正直なところ「作り込みすぎ」ている感はある。まさに愚直なまでの作り込みと、足の形状をとことん考え抜いて作られている。上記の写真をご覧いただきたい。

普段は内側に隠れて見えない縫い目が外側に出ているではないか。実際のところ、肌に触れる部分が重要なのであって、外見を重視すると、この縫い目は内側に入る。ただ、それでは足に触れる部分にはいびつな段差が生まれ不快感を覚える。

ただ、アールエルソックスはどうだろうか。そのような不快感を生み出す縫い目は外に追いやられている。見た目よりも機能性や快適性にシフトした結果と言えるだろう。本当に必要なのは見た目の良さなのか、はき心地や機能性なのか明確な意図が感じられる造り込みだ。

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改良して欲しい点

改良して欲しい点といえば、デザイン。そこに尽きる。いつも走るオシャレに敏感なサイクリストは私が履いていたアールエルソックスを見てこう嘆いた。「アールエル使いたいんやけど、デザインがなぁ」と。要するに愚直なまでの日本製にありがちなデザインの乏しさだ。

正直なところ、デザインはイケてるとは言い難い。

ハイカフを採用するのはいいとして、RLのロゴ付近は短く見えるような分離したデザインになっている。この部分のつなぎ目の小さなラインが微妙だ。むしろ潔く、くるぶしから上全部単色で統一して欲しい。

この辺はやはりデザインがよろしい海外のアソスなどがうまい。見える部分とそうでない部分の配色をうまく使い分けている。くるぶしより上はデザインに特化し、それより下は愚直なまでの日本製の機能美を有して欲しい。

日本製のプロダクトは機能は世界トップレベルだ。ただ、デザインには失望させられる。シマノのホイールの性能はトップクラスだろう。ただ、デザインといえば刷新される度に微妙になっていく。そして、サイクリストはマビックやカンパへ移って行く。

それほど、性能をど返ししてもなかなか譲れないのが見た目の問題なのだ。その点アールエルソックスは損をしているかもしれない。

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まとめ:レースと速さのために

アールエルソックスは、今まで使用したどのソックスよりも作り込まれたソックスであった。その機能美たるや競合商品が見つからない。足を完全に理解し、その形にそった造り込みに日本製のこだわりや、質の良さが見て取れる。

ただ、残念なのは先にも述べたデザインだ。この点を改良していけば必ず今よりもユーザーは増えるはずだ。機能で売るのか、デザインで売るのかは企業の方針もあるだろう。ただ、多くの人にこの性能を知るためには、購入の入り口として、デザインも検討して欲しい。

ただ、コンペティションを考えた時にデザインは不要だ。限界まで性能を追求した無駄のない機能はレースで有効なアイテムとなるだろう。少なくとも私はレースでアールエルソックスを使いたい。この相反する悩みをクリアした時、アールエルソックスは万人に受け入れられ、手放せないソックスになりうるだろう。

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