サイスポの表紙が買いづらいと話題に

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どうしてこうなった・・・。と思わずにはいられない雑誌が有る。「サイクルスポーツ10月号」だ。今月号を見て「え?サイスポ?」と思った方も多いのではないだろうか。見て頂ければ一目瞭然である。これでは世の中の健全な青少年や、弱虫ペダル効果で増え続けるいわば「ドル箱」の弱ペ女子は買いづらい、もしくは買いたくない、のではないだろうか。

一体何の雑誌なのかわからない、と言いたいところだが背景にはジャイアントのロードバイクが写っているし、持っているのはなぜかフロントホイールでありとても現実では考えられないパターンである。そして伝統を築いてきたサイクルスポーツのロゴはもちろん表示されている。

と、ここまでは批判的な意見を言ってきたがニュートラルに捕らえて「良い点」「悪い点」から本表紙を考えてみたい。人間は大幅な変化を伴った時は一種の「拒否反応」を起こす。変化というものは進化(販売数を伸ばす)をするためには必要なことであり常に繰り返される。

良い方向に倒れるか、それとも悪い方向に倒れるか、まさに自然界の種の存続にも似た今回の「サイクルスポーツ水着事件」に迫っていく。

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なぜ水着はダメなのか

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根本的な理由から考えてみたい。なぜ「自転車雑誌の表紙に水着のお姉さん」はいけないのか。まずは違う乗り物系雑誌(意味深)のバイク雑誌バイブス。「こらこらのるほうこうまちがえてるよ!」というツッコミは不要だ。一般的にカー雑誌はグラビアが目を引く。理由は購買層にある。

車やバイク好きといえば当然免許を持てる年齢から、お金を持ったおじさまとターゲットが限られる。そして圧倒的に男性が多いだろう。そのため表紙のハーレーダビットソンに合わせてハルクホーガンを起用するよりもセクシーなお姉様を採用する方がウケがいい。

ただし、硬派かつ伝統や規律を重んじるサイクリストにとってはどうだろうか。ネットを見ていると多くの意見が否定的である。やはり人間とは変化を恐る動物であるが、一方で倫理的な思考も併せ持つ事ができる。このような「水着のお姉さんの表紙」は青少年にとって買いにくい、といった主張や悪影響、といった声も聞かれる。

それを言い出すと青少年が持っているスマホで簡単にもっといかがわしい画像を無限に検索できるが、、という意見も有るがそれはお門違いだ。要点は「自転車雑誌の表紙がグラビア化する」事であり話があらぬ方向へ拡散してはならない。

この表紙のデメリットは今まで伝統的に続いてきた老舗の自転車雑誌の大きなイメージダウンになりうる。硬派なイメージで来たところ、いきなり軟派なイメージが着いてしまう可能性がある。低俗なメディアにシフトしてしまったと、世間が受け止めてしまう事は痛手だ。

ただ、発行部数を伸ばすための苦肉の策として、ある一定層に絞る戦略であれば理解できる。弱ぺ女子などを排除する狙い(例えばの話)や金を持ってるオッさん層のハートをがっちり掴み、さらに新規のサイクリスト層を獲得する狙いなら多少は理解できる。

コモディティ化が進む自転車業界で一つ頭抜け出すにはあらゆる手段を試して、市場でどの様に変化していくのか実践投入しかないのだ。本書の表紙の良し悪しは、発売した時点ではわからないが継続的に本施策を続けることでデーターを取り、売り上げの傾向から今後の判断をすべきだろう。

試さずして、失敗せずして良し悪しは誰にもわからない。ただ今回の手法は炎上マーケティングにも似ていて既に「話題」になっていることは間違いない。

一方、情熱の自転車雑誌は、、

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超硬派な自転車雑誌といえば、BICYCLE21である。もちろん表紙に情熱の自転車雑誌と書いてある。青春を自転車に捧げ、自転車で飯を食っている人は本雑誌を愛読している事だろう。表紙も硬派極まりない。もしかしたら本雑誌を知らない人も多いかもしれない。

まさに軟派を排除した競技思考の雑誌の代名詞である。私は提灯記事が一切ないこちらの雑誌の方が好きだ。書かれている内容は、国内のトラック競技結果や、実業団の展開などかなりニッチな内容である。今月号のサイスポの対岸に位置する、応援したいニッチな雑誌である。

一方、台湾では、、、

ここまでは、良い悪いを考えながら見てきたがおとなり台湾の雑誌「鐵馬拜客TMBK」を見てみよう。かなり挑戦的かつ、悩殺的な表紙が(平常運転で)並ぶ。

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表紙右下に「童顔巨乳」と記載されている事を私は見逃さなかった。もしかしたら「童顔巨乳」はエンデュランス能力が高い、という記事が中に記されているかもしれない(という最後の望みにかける)。

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続いてこちらの表紙で目を引くのは「3P」である。特に具体的には明言しないが、おそらくグループライドを示しているはずだ。

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こちらも悩殺的なポーズを決める。もし店頭でこのポーズを決めながら「この乗り物いかがですか?」と言われたら「オプションでお姉(略」と言いかねない関西人を思わず想像しまう。

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こちらは通せんぼする図であるがなかなか前に進みづらい。タイムトライアルのスタート前にこんな感で持ってもらえたら迷惑だが、心拍を上げるのにはちょうど良い。

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こちらは涼しさをアピールするための模範とすべき例だ。ただし、このMTBのスタンドオーバーハイトが適切でないところは残念なポイントだ。いや、むしろわざとギリギリにしている事と考えたらあざといだろうか。様々な連想を台湾の機関紙は魅せてくれる。

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こちらはもはやフレームメーカーすら判別できない。やはり自転車王国台湾の雑誌はあたりまえのようにグラビアを重視している。これらを見ると日本のサイクル雑誌はまだまだマシに見えてしまうのではないだろうか。

まとめ:長期的に統計を取るべき

自転車雑誌に求められることはなんだろうか。今回のネットの反応を見ていると国柄もあるがやはり日本人は真面目だなと思わずにはいられない。ある程度の緩さと、変化を絶え間無く繰り返す事は重要だ。私は以前に台湾の雑誌を見ていたから、サイスポよくやったな、という印象を持った。実際に試すと試さないのでは雲泥の差である。

まずは、市場に投入し変化と販売数のデーターから表紙がどの程度影響するのか試すことだ。せめてグラビアは一年くらい続けたらどうか。長期的に見なければ効果が有るのか、無いのかを見定めることは困難である。瞬間的なインパクトよりも、長く雑誌を販売し続けるために長期的な目線で今回のグラビア表紙を私は捉えたい。

良い悪いは全て販売数であり、購入者の手に任されるわけであるが、来月も是非、世論の風に負けず統計を取って販売拡大につなげて欲しい。次号の表紙も今から楽しみである。

サイクルスポーツ 2015年 10月号
八重洲出版 (2015-08-20)