ベルメゾン が「天然素材95%」であったかインナー”ホットコット”を作った理由

最近めっきり寒くなってきた。あっという間に季節がうつり変わり、気温も下がっていく。季節が変われば、かならず衣替えをするわけだが、いつも身に付けるものや着るものに悩まされる。タンスをゴソゴソと漁っていくうちに、「そういや去年使った発熱インナーがあったな」と思い出し、引っ張り出してくる。

やはり最近のインナーウェアはとても暖かい。普段の冬の寒さ対策は、大多数の人たちと同じようにここ数年はユニクロのヒートテックだった。

先般掲載した「ヒートテックを山岳ガイドが使わない理由」でもご紹介したとおり、インナーウェアはシチュエーションや使い方を間違うと、本来の性能を発揮しないばかりか、むしろ汗冷えといった逆効果を生み出してしまうと述べた。要約すると、自分が使うシチュエーションに応じてインナーウェアを使い分けようという趣旨の内容だった。

ヒートテックを山岳ガイドが使わない理由
ヒートテックは条件次第では使わないほうが良い場合がある。冬でも汗をかくスポーツのランやロードバイクに乗る人は、冬でもヒートテックを使わな...

スポーツのように活動量の多い場合に限れば、私はヒートテックを絶対に使わない。ただし、普段着のように低い活動量の場合はヒートテックを着るといったような「使い分け」をしている。おそらく、日本で一番売れている発熱インナーはヒートテックである。「発熱インナー=ヒートテック」と連想されるように日本国内で、誰しもが知っているインナーウェアだ。

ただ、ここで少しの疑問も残る。発熱インナーに求める根本的な要求は「暖かさ」である。純粋にあたたかさを求めるなら、同じ価格であればより暖かいインナーウェアを選択したい。だれだって寒さは嫌だし、とくに女性は冷え性の方も多い。

そこで私は知りたくなった。世の中にあふれる発熱インナーで、本当に1番暖かいインナーウェアとは―――。

根本的な疑問に対して、今回様々なデーターを元に調査した。一番暖かい発熱インナーや、人体に優しい素材など多角的にまとめている。これらの結果は我々の予想に反している内容かもしれないし、人によってはすでに体感していることかもしれない。

今回は発熱インナーに焦点を合わし、この冬着るべき発熱インナーを多角的に考察する。その結果から導き出された「一番暖かい発熱インナー」とは一体どのようなインナーウエアなのだろうか。

なお、今回文字数が1.2万文字を超えているため適宜ブックマークなどをしていただきたい。

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保温率を測定する

「暖かい」という感覚は、「感覚」なのだから、人によって感じていることは千差万別である。肉付きの良い人には蒸し暑く感じられるインナーウェアも、痩せ気味の人なら少し物足りなさを感じて、寒いと思ってしまうことだろう。巷には、あらゆるインナーウェアが存在しているが、もしも「暖かい」というあいまいな表現を統一するためには、まず人間が感じている暖かさを「定量化」しなくてはならない。

まず「定量化」とは何だろうか。定量化とは、一般に質的(あたたかい、良い香り)としか表せないような物事を数値で表すことだ。たとえば、象印の魔法びんと、サーモスの魔法瓶に同じ温度のコーヒーを入れたとする。

1時間経過後、コーヒー飲んだときにどれほど温かさを保てているかを判断する。その際に人は「象印よりもサーモスのほうが暖かさを保てている。」という相対評価として温かさを判断できる。しかし、「象印の保温率は何%」といったように絶対評価をする事は出来ない。

そうなってくると人間が曖昧な感覚で判断した場合、優秀な魔法びんの良し悪しもバラバラになってくる。このような曖昧な事象を「定量化」するとしたら私たちは測定器に頼るしか無いのだ。そんな難しい課題に対し、過去に実際に発熱インナーを測定した資料(2014年)が手元にある。

精密迅速熱物性測定装置

その資料は『モノダス2014』(晋遊舎)だ。モノダスは広告を一切挟まずニュートラルな視点で辛口の批評をする雑誌である。本誌では「精密迅速熱物性測定装置」という物性の熱を精密に測定できる装置を用いて、発熱インナーの保温率を比較検証したのだ。

測定器とはいつも無機質な数値を表示する一方で、人間には到底表現しきれない情報を与えてくれる。当時各社あったか系インナーウェアの発熱インナーの保温率の結果は以下のとおりである。

  1. ベルメゾン「ホットコット」:保温率24.6%
  2. GU「あったかスタイル」:保温率21.20%
  3. ユニクロ「ヒートテック」:保温率20.3%

精密迅速熱物性測定装置(せいみつじんそくねつぶっせいそくていそうち)で計測した測定結果はベルメゾンホットコットが有名ドコロを引き離しダントツの保温率を備えていた。情報が2014年ということもあり情報の鮮度はやや低いが、ここ数年大きな素材の変更(後述するホットコットを除き)は無いためそう狂いはないだろう。

話を戻そう。保温率が何パーセントと言葉で言われても、私はいまいちピンとこなかった。そもそも保温とは一体どのような状態を指すのだろうか。まず、保温性を高めるためには熱を伝えにくいという根本的な条件がある。熱は空気を介しながら伝搬し、広く伝わっていく。

魔法びんの構造が真空で作られているのはこのためだ。熱い鍋を冷やすために、水が入ったボウルに入れることを想像してほしい。鍋の外皮が冷たい氷に触れると温度が下がる。熱が伝わりやすいということは、それだけ熱を奪われやすいということだ。これらの外的要因により保温性も変わってくる。インナーウェアであれば材質や編み方と様々な条件がある。

たとえばウールのように繊維単体でも十分な暖かさが得られる場合もある。繊維をどのように構成したかで暖かさも変わってくるし、繊維自体の特殊加工や、繊維の太さ、織り方、編み方と言い出したらキリがない。そして生地の厚さや薄さ、密度、起毛の有り無しで随分変わってくる。

これらの話は「暖かいインナーの見分け方」でも述べているので参考にしてほしい。

暖かいインナーの見分け方
どうやら暖かいインナーには素材以外の別の特徴があるようだ。先日投稿した「ヒートテックを山岳ガイドが使わない理由」では、素材のレーヨンが及...

保温性を別の角度から見れば、インナーウェアの繊維や隙間内部にあたたかい空気をとどめておけるかで、インナーウェアの優劣が分かれる。そのためには放熱を抑える工夫が必要になる。これらの特性をうまく利用し数値として算出するのが先程紹介した精密迅速熱物性測定装置である。

おそらくこの精密迅速熱物性測定装置は、「カトーテック㈱製のKES-F7サーモラボⅡ」だと推測している。

測定方法の例として、精密迅速熱物性測定装置に一定温度に設定した熱板と試験片(インナーウェアのきれはし)をセットする。 次に試験片を介して放散された熱量(a)を求める。 一方で、試験片をセットしない状態で放散された熱量(b)を求め、保温率(%)を算出する。

このように、精密な測定器を用いた方法で、ホットコットはあったかインナーのスタンダードタイプにおいて最も保温性をが高いと判明している。

この結果から見て取れることは、売れていることと、皆が着ていることは、「暖かさ」とは全く関連性が無いということだ。プロモーションが巧みだったり、有名人を起用している等(Perfumeとは言っていない!)、露出の為に広告費を投じればそれだけ人の目に触れる。そして、全く関係のない「あたたかさ」が刷り込まれてしまう。

各社スタンダードタイプのインナーウェアを対象にした実験結果上は、ホットコットが一番暖かい。しかし、ヒートテックしか知らない人も多いと思う。ここからはヒートテックに比べたら非常に知名度が低いホットコットについてすこし調べていくことにした。

なお、ここまでのインナーウェアの数値データーまとめは以下のとおりである。

  • ベルメゾン「ホットコット」:素材 綿, 保温率24.6%, 価格990円~, 乾燥時間3時間, 148g
  • GUの「あったかスタイル」:素材 ポリエステル, 保温率21.20%, 価格790円~, 乾燥時間2時間40分, 180g
  • ユニクロ「ヒートテック」:素材 化学繊維, 保温率20.3%, 価格1290円~, 乾燥時間2時間50分, 178g

今回測定対象になっていないヒートテック極暖や更に厚手のインナーウェア等も各社で確かに存在しているが、今回比較検討されたインナーウェアは最も「スタンダードなタイプ」であるという事をあらためて付け加えておきたい。

ただし、計測結果から2年が経ち状況は少し変わってきた事は確かである。ヒートテックは極暖や椿オイル配合のヒートテックを開発した一方で、今シーズンホットコットは「スタンダードタイプ」に改良を加えた。素材をイチから見直し、改良を重ねた結果+0.8℃あたたかいインナーウェアを開発したのである。

ここから後半はホットコットについて詳しく見ていこう。ヒートテックしか着たことがない人や、化学繊維以外の天然素材のインナーウェアに興味がある人にはぜひ見てほしい。

ホットコット最新型は産後用インナーから

2016年に、ホットコットは素材から全面リニューアルを行った。そのプロダクト第一弾として先行販売されたのは意外なプロダクトだった。「産後用インナー」である。私はこう思った。もしも私が販売戦略担当で、「リニューアルしたプロダクト第一弾」を大々的にプッシュしていくとするとしたら、間違いなく一番売れるはずの「スタンダードタイプのインナーウェア」を第一弾として販売する。

しかし、ベルメゾンは世間一般的に取られる考えとは全く逆の「産後用インナー」を第一弾として発表してきたのだ。それほど枚数が見込まれない「産後用インナー」はとりあえず後回し―――、そんな事を普通は想像してしまう。売ることを考え、利益を追求するならば当然のことだ。そう容易に判断してしまいかねない。

ただ、ベルメゾンはなぜ産後用インナーを新生ホットコット第1弾のプロダクトとして選んだのだろうか。そこにはこんな一節が書かれていた。

女性の毎日に笑顔をお届けできるよう、今後も女性のライフスタイルに寄り添った商品とサービスを開発していきます。
参照:綿混発熱インナー『Hotcott? (ホットコット)』が全面リニューアル

私はハッとさせられた。

誰のために、何を開発するのか?という根本的な問は、プロダクトを開発する側をいつも悩ませる。2016年にまったく新しいホットコットを生み出す上で、ベルメゾンは明確に製品の方針を決定し、第一弾のプロダクトとして「産後用インナー」をリリースした。この方針は、同社の「ライフスタイルに寄り添った開発」を象徴していると言っても良い。

ベルメゾンの主力は女性をターゲットにしているが、もちろんメンズも同じくらいラインナップされている。話は戻り、「産後用インナー」と銘打たれているプロダクトは何が産後用なのだろうか。

本商品は産後に着る事を想定した「授乳がしやすいインナーウェア」である。私は男性だが、最近身の回りに妊婦さんやお子さんが生まれた人が多くいるので、この手のプロダクトに私自身が敏感になってきている。まさに必要としている人に知ってほしいアイデア商品といえる。

また、肌が敏感な方が使うことも想定し、素材自体もオーガニックコットン(天然綿)へと全面的に改良した。

私を含めた男性には一生わからないことなのだが、お産前後は体質が変わりやすく、化学繊維に肌が敏感に反応する場合があるらしい。その為、人によっては化学繊維の衣類を避け、より肌に近い綿が含まれている衣類を選択する場合がある。

今回のホットコットのリニューアルはオーガニックの綿混紡率を2014年の45%から95%へ引き上げ素材を見直した。では、化学繊維と違った天然素材の綿の利点とはどのような点があるのだろうか。

綿のメリットとデメリット

まず綿のメリットを上げるならば、肌触りが良いということだ。理由は繊維そのもの自体にある。綿は繊維の先が丸いため、肌に触れたとしても刺さるようなチクチク感はない。無数の綿の繊維で構成された一枚の衣類は、無数の丸い繊維の先に支えられ肌触りが良い衣類として体感できる。

これら綿という繊維の根本的な特徴は、人体への不快感が低く、とても優しい繊維として感じられるのだ。そのため身を守る術を知らない赤ちゃんの衣類や、乾燥肌や敏感肌の方、アレルギー体質からなるデリケートな肌にとって、綿の下着が使われる場合が多い。

肌触りの他にも綿の繊維のメリットは有る。素材自体が人体を構成する要素に近いということだ。実は「素材自体が人体に近い」と静電気が起きにくくなる。これはどういうことだろうか。

綿は静電気が起きにくい

冬場に我々を悩ませる厄介な問題は寒さだけではない。衣類の組み合わせによる「静電気」である。ドアノブに手を伸ばしたときに「バチッ」と音を立ててるあれだ。多くの原因は御存知の通り、衣類の組み合わせにある。

人体が”+”極で、着ている衣類が”-“極だとする。たとえば少し歩いているだけでも、+と-の間には摩擦が生まれる。微量な摩擦により次第に帯電し始める。ある閾値に達したとき、ドアノブに触れるといったきっかけで一気に放電されるのだ。よくありがちなのが、人体と異なる繊維の素材(ポリエステル等の化学繊維)を着る場合である。

当然プラスとマイナスの関係なので相互が摩擦されると徐々に帯電していく。昨今のインナーウェアは殆どが化学繊維のため静電気がとても起こりやすい。

ただ、綿はどうだろうか。綿は繊維の中で人間とより近い関係にある。そのため仮に綿と人間が摩擦を生み出したとしても帯電は非常にしにくい。綿は化学繊維とくらべて帯電しにくく、特に静電気が起きにくい繊維といえるだろう。

綿はかゆくなりにくい

化学繊維は確かに暖かいインナーウェアを生み出すことを容易にした。しかしこれら化学繊維は新たな問題を引き起こしている。それは水分を利用し発熱するインナーの弊害、「乾燥肌」への影響である。乾燥肌は肌の保湿が低下することにより生まれる。

肌の状態や、保湿状態は人によって千差万別だ。ただ、発熱系インナーは人体の水分を「燃料」にしながら発熱している。そのため乾燥肌の人が発熱系インナーを着てしまうと、よけいに肌から水分を奪ってしまい、結果的に発熱インナーを使った場合ますます乾燥肌を加速させてしまう場合すらある。

さらにやっかいなのが、化学繊維の先は綿よりも鋭いことだ。先程も紹介したが綿は繊維の先が丸いためチクチク感がそれほど感じられない。ただ、化学繊維の場合はその繊維の先の特性上、乾燥した肌をさらに刺激してしまう場合がある。

事実、ヒートテックでグーグル検索を行うと「ヒートテック かゆい」というキーワードで検索している人が結構居ることがわかる。これはヒートテックにかぎらず多くのインナーウェアに言えることだ。しかし、ヒートテックが日本で一番売れているあったか系インナーであるため、問題を感じる人の母数も多いのだろう。

綿は繊維の先が丸いため、たとえ乾燥肌や敏感肌に触れたとしても刺さるようなチクチク感は少ない。また、化学繊維がダメという人も、オーガニックコットンをふんだんに使っているホットコットなら、チクチク感やかゆみの心配もなく選択の幅も広がるだろう。

綿のデメリットは乾きにくい

ただし、綿はメリットばかりではない。デメリットを上げる際に忘れてはならないのは綿の乾きにくい性質である。先程の精密迅速熱物性測定装置の「乾燥時間」を見てほしい。綿は乾燥時間に非常に時間を要していることがわかる。

  • ベルメゾン「ホットコット」(保温率24.6%),乾燥時間3時間,綿,
  • GUの「あったかスタイル」(保温率21.20%),乾燥時間2時間40分,ポリエステル
  • ユニクロ「ヒートテック」(保温率20.3%),乾燥時間2時間50分, 化学繊維

上記のデーターの通り確かに保温率は高いものの、乾燥時間はポリエステルや化学繊維より10~20分ほど遅いのだ。ただしどのメーカーも共に”2時間半~3時間近い乾燥時間が必要”と置き換えられる。

オーガニックコットンを使用したホットコットにしろ、化学繊維を使ったヒートテックにしろ、汗を大量に書くスポーツなどには適さないのだ。したがって、シチュエーションによってインナーウェアは使い分ける必要がある。もちろん通常の生活には綿は非常に良いが、汗を大量に書くスポーツなどには向かない。

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ヒートテックとホットコットの比較

ここからはヒートテックとホットコットの比較をしていきたい。

単純にヒートテックとホットコットを比べるのならば、アパレル界の巨人であるユニクロが最新の技術を投入した化学繊維で構成されたヒートテックと、天然素材のオーガニックコットンをふんだんに使ったホットコットなのか大きく分類すると、「化学繊維 vs 天然素材」という図式になる。

ユニクロは昨今ヒートテックに改良を重ね「椿オイル」を配合し、潤いを保つ仕組みを取り入れてきた。これらが開発された背景を勘案するとヒートテックが発熱する方式そのものに問題があることがわかる。根本的な仕組みとして、ヒートテックが発熱するためには水分が必要だ。

ヒートテックを着た瞬間暖かいのは、体の僅かな水分を使って暖かくなるためである。しかし燃料を投入し続けないと暖かさが続かない薪ストーブのように、水(薪)という燃料は常に必要になってくる。その為、もともと乾燥肌の人にはヒートテックのような化学繊維でできた発熱の仕組みを持つインナーウェアは扱いにくい場合が出てくる。

対して、ホットコットの場合はどうだろうか。ホットコットは確かに素材として綿を使っているが、ホットコットの綿はその作り自体が少し変わっている。ベルメゾンが生み出したホットコットは綿自体に発熱する素材を巻きつけたものだ。その結果単体の綿だけではなし得ない暖かさを生み出すことに成功している。

もともとベルメゾンでは、一貫して“天然素材である綿”にこだわってきた。2014年当時の前作では「アクリルレーヨン」と綿45%を交編した『ホットコット』だった。しかし、さらに2016年は天然素材の“綿”の割合を増やし、綿そのものに「吸湿発熱機能」をもたせた独自開発による糸を開発した。

その結果、吸湿発熱性試験(ボーケン規格BQE A 035)において従来品と比較すると 0.8℃あたたかいデーターが得られたのである。なお、この試験方法は、20cm×20cmの試験片を4つ折りにして内部に熱電対温度センサーを取り付ける。そして、恒温恒湿機と呼ばれる装置の中で20℃,40%RHの環境下で2時間処理した後、20℃,90%RHの環境に変化させたときの温度変化を1分ごとに15分間測定する。

とてもむずかしい試験のようだが、実験上も0.8度の改善が見込まれたことは大きい。

ホットコットの感想

ここまで記した以上の経緯から、私は冬の普段着にするインナーウェアをユニクロのヒートテックから思い切ってホットコットへ変更することにした。ヒートテックと値段が変わらないのなら、少しでも暖かいほうが良い。そして、データー上優位に暖かいと数値で示されているのなら、なおさらだ。

確かにデーター上ではホットコットが他のスタンダードなインナーウェアとくらべて暖かいと結論付けられている。ただし、実際にホットコットを使ってみないことには何者かすらかわからないし、評価のしようもない。ということでとにかく様々なシチュエーションで四六時中着てみることにした。

今この記事を書いている間ももちろん着ているのだが、一つ先に重要なことを定義しておきたい。それは、インナーウェアを使用する条件だ。今回は運動に使用する事は想定していない。普段の生活を想定してインプレッションを行う。

主に使用するシチュエーションは、もちろん日常生活だ。普段会社へ行く行き帰り、そして土日に外に遊びに行くときも着ることにした。様々な気象条件の元で着用することで、より多くの「感覚サンプル」が得られる。そして、毎日肌着は変えるので合間、合間に「ヒートテック」を着てみることにした。

まずは、ホットコットを初めて着たときの感覚から綴ってみたい。ホットコットは綿が多く含まれている構造のため肌触りはとても良かった。頭からするりと服の中を通り、あっという間にホットコットは上半身の一部になる。そのあとに感じられるのは、コットン特有の肌触りである。ただし、普通のコットンのインナーウェアと異なる。

コットン自体に暖かくなる仕組みを備えているので、どちらかというと外から暖められるような感覚というよりは、まるで自分の体温が上がるような「芯からあたたかい」と表現したほうが伝わりやすいかもしれない。そんなあたたかさに包まれているような感覚に陥った。

朝起きる時、寝る時、ホットコットを使う。私は10月の下旬から、12月が終わりに近づいてきた今日このときも使い続けた。そして、ホットコットを着ることが当たり前になってきたある日、私は洗濯を怠った。そして代替手段で普通の「コットンシャツ」を着たのだ。

そこで初めてホットコットの性能を知ることになる。

その時代わりに着たのは、もちろん発熱効果も無い、簡素な、どこにでも有るコットンシャツである。そのシャツに袖を通したときのことだ。単純に「冷たい・・・」と感じてしまったのである。ホットコットならば着た時こんなにも冷たいとは感じなかった。そして普通のコットンシャツを着て一日過ごすと、ホットコットの本当の性能が徐々にわかってきたのだ。

ホットコットは本当にあたたかいのだ。人間の感覚は冒頭で紹介したような測定器のように絶対的な感覚など持っていない。物事を評価するときには「相対評価」になる。ホットコットをずっと着ていていると、そのあたたかさが「基準」として定義される。そして、普通のコットンシャツに着替えてみて、やはりホットコットのほうが暖かいのだと判断したのだ。

このようにして、ホットコットは私の中で「あたたかい」という確信に変わっていったのだ。

このような経験もあってか、普段使いに適した最高のインナーとして私はホットコットを着続けることにした。インナーとしての実力は相当ある。そしてたしかに暖かいという事実を身をもって体験できたのだ。ただ、相対評価といえばヒートテックである。普通のコットンとくらべたように、ヒートテックとも着心地を比べてみなくてはならない。

ヒートテックとホットコットの比較

ヒートテックとホットコットを着比べた結論を先に述べておこう。両方暖かく、差がわからなかったと正直に申し上げておきたい。ヒートテックは水分を使って発熱する仕組みであるため、着た瞬間はヒートテックのほうが「あたたかいかな?」という程度の違いだった。暖かさには明確な違いはないものの、問題は着心地である。

ヒートテックは化学繊維をふんだんに使用している。対してホットコットの素材は天然のオーガニックコットンで構成されている。着た瞬間の「はだざわりの良さ」や「風合いの良さ」は圧倒的にホットコットが優れている。肌との親和性を考えた場合、明らかにホットコットのほうが気持ちがよい。

肌が敏感な人にとっては化学繊維が肌に合わない場合もある。ヒートテックのように水分を吸収して発熱するタイプの場合、乾燥肌の人にはとてもつらいだろう。このような人たちにもホットコットの天然素材で作られた暖かいインナーはおすすめできるといえる。

レーヨンやポリエステルの化学繊維で構成されたヒートテックを取るか、天然のオーガニックコットンで構成されたホットコットを選ぶのか、選択する際の材料にすると良いだろう。

ホットコットのサイズ感

なお、サイズについても触れておきたい。私は身長170cmで体重は59kgほどだ。サイズはMを選択している。普通のシャツの感覚で着用を考えていればサイズはMサイズが適正だ。ただし、やや痩せ型の男性ならワンサイズ落としても問題なさそうだ。

私は様々なインナーウェアを着てきたが、どうやら海外のインナーウェアは腕が長めに作られている。日本人の胴長短足に拍車をかけたような私の体型だが、しっかりと腕の長さはジャストフィットした。

全体的に緩めのフィット感覚なのだが、暖かい空気をなるべく逃さずに内側に備えておくためは必要なことなのかもしれない。もう一つ気になるのは「厚み」であるが、仕事用のワイシャツの下に長袖のインナーウェアを着ても袖口が窮屈で閉まらないという事は皆無であった。

厚さと暖かさは比例するかもしれないが、程よい厚みで暖かさを維持できている点は大きい。ヒートテックの極暖はやや厚めであったためワイシャツの下に着用するとゴワゴワ感が否めなかった。その点は改良すべき点であろう。

タグがないという意味

せっかく上質な繊維と、良い肌触りを備えていたとしても、たった1つのマイナスポイントが有れば一気に印象が悪くなってしまう。アラ捜しをしてしまうかのように、本来見向きもしないどうでも良いことに目が行ってしまうのだ。そう、特にプロダクトの完成度が高ければ高いほど、それらの傾向はより顕著になる。

このホットコットにはタグが無い。この小さな配慮は小さいように見えて、とても重要な作り込みである。肌に当たる部分は非常に敏感である。例えば「チクチクする」という事が気になりだすと、もはや為す術はない。私はずっと気になってしまう。このホットコットにはタグが無く、製品の情報を示す情報は、全てプリントされている。

一見気にならないような点にも妥協をしない同社の開発には舌を巻く。やはりプロダクトとは、トータルとしての完成度が問われる。ある一つの機能が優れていても、ある一つの弱点があれば全体としての印象は下がってしまからだ。

番外編:運動で汗をかいた場合

最近、様々な読者が当ブログを見てくださっている。もしかしたら初めて当ブログを見たことのある人も居るかもしれない。少しだけお話すると、私は汗を大量にかくスポーツを嗜んでいる。そのような状況下でこのホットコットを使ったらどうなるんだろうかと確かめた。

先に結論を述べておくと、やはりびしょびしょに汗が滴る程にトレーニングをする場合はホットコットは適していない。当たり前のような話では有るが、適材適所、用途やシチュエーションを考慮してインナーウェアを変える必要があると感じた。

ホットコットは普段の生活を快適にするインナーウェアである。トレーニングやスポーツのインナーウェアには使用することについて、私はオススメすることは出来ないと申し上げておきたい。ただ、ウェイトトレーニング程度の軽度な運動ならまあ使えなくはないが、そこはしっかりとした装備でトレーニングを行ってほしい。

ホットコットのラインナップ

ホットコットの主力商品はもちろんインナーウェアだ。ただし、ホットコットを使ったバリエーションは非常に多い。柄がついたタイプや、首周りの形状が異なるなど様々な条件を想定し製品が揃えられている。キッズ用には柄があしらわれたものや、女性にはボーダータイプといったタイプもある。

また、先程も紹介したような妊婦さんが「授乳する際に着用するあったかインナー」もラインナップされている。このように用途が極端に限定されている領域にも踏み込んだプロダクト展開は、評価に値する。女性の立場に立ったプロダクト展開のきめ細かさは、このようなプロダクトからも見て取れよう。

多くの女性用プロダクトがラインナップされている中で当然メンズの展開も有る。数や種類が多いためお気に入りのアイテムを選択することは難しいかもしれない。そんなときはまずスタンダートなラウンドネックタイプのシャツを選択するのが良い。スタンダードかつ使用頻度も高いインナーウェアタイプだ。

まずはこのインナー1枚からこの冬の寒さに備えてほしい。

なおホットコットの素材を使用した製品は現在非常に多く存在している。ここでは代表的なホットコットの製品をピックアップしてみたい。

ホットコットレディース

こちらは最もスタンダードなレディース用ホットコット

こちらはディズニーをあしらったホットコットだ。

ホットコットキッズ

ベルメゾンは女性や主婦に人気だということから、子供向けの製品も多く展開している。子供には化学繊維よりもオーガニックコットンの天然素材を使わせたいという希望も、ホットコットなら安心だ。

ホットコットメンズ

ホットコットアイテム

意外と見落としがちなのが寝るときのパジャマだ。寝ている時に寒く感じられるならば、一枚持っておいても損はないだろう。

まとめ:ホットコットは優しいあたたかさ

我々が寒い時期に発熱インナーを求める理由はなぜだろうか。それは「暖かく過ごしたい」という単純な欲求である。そして、寒い冬でも快適に過ごしたいという単純な理由である。毎年、冬の時期が訪れると度々痛感することだ。

現在、ホットコットは数あるスタンダートタイプのインナーウェアで、一番暖かいインナーウェアとして位置づけられている。それらは測定器で計測された「数値上の暖かさ」であることは間違いない。ただ、ホットコットはそれらの結果に甘んじず、2016年に素材を見直し改良を重ねた。

確かにジオラインの最上位グレードEXPやヒートテック極暖の方が暖かい事は間違いないが、一番普及しているだろうスタンダートタイプに限ってはホットコットは非常に秀でた製品であるといえる。今季のホットコットは独自開発した綿で+0.8度もの暖かさを改善した。そして、天然のオーガニックコットンをふんだんに使う工夫で、肌に敏感な妊婦さんや、子供にも使える優しい製品として生まれ変わった。

私は様々なインナーウェアをテストしているが、昨今の「あったかインナーウェア競争」は暖かさに関係のないプロモーションばかりを追求した製品ががあふれている。そのような状況下、ホットコットが目指した「人に優しく、暖かく」というテーマは、優しさの中に暖かさがあり、暖かさの中に優しさが存在していた。

これらは、現代社会に吹く殺伐とした冷たい風に慣れきった我々が、忘れがちな事かもしれない。ホットコットはこの冬あなたを暖かく、そして優しく包み込んでくれる。そして各社が「暖かい」という点ばかり競い合っていた発熱インナーの戦いのさなか、ホットコットは暖かさに加えた「人への優しさ」で差別化を図ろうとしている。