ROVAL CLX50と64と32も全部インプレ! 究極の回転体に迫るカーボンクリンチャー

昨今のレースシーンにおいて、ディープリムホイールを使用することはマストだ。レースが高速になればなるほど発揮されるエアロダイナミクスの性能や、速さに直結する機材として、優位性が確実に認められている。プロアマ問わずレースを嗜む選手にとって、楽に、速く進むディープリムは、もはや必須の存在である。

ただ、サイクリストはとても欲張りなもので、ディープリムがもたらすエアロダイナミクスの性能と引き換えに、ホイールの重量増を受け入れたいとは思っていない。確かにリムハイトが高くなれば、エアロダイナミクスの効果を得られるが、一方でリムが太く高く(ディープに)なる分、重量増の問題は切っても切りはなせない。

最近のホイールのトレンドは、エアロダイナミクスの向上を狙って、リムハイトとリム幅を広げる事が主流になってきている。ただし、リムを高く、幅広く変えることは重量増の問題に直結する。そんなリムのワイド化と、重量増の合い反する問題に対して、真っ向から挑戦してきたホイールが登場した。

スペシャライズドのROVAL CLX50である。

ホイールメーカーとして特段メジャーとは言えないROVALだが、世界王者のサガンが使用したりと話題に事欠かない。他社がいっこうに採用しない新たな規格や、設計をいち早く取り入れ、プロダクトに反映し良い製品を生み出している。。同社は、見せかけだけの軽さだけではなく風洞実験や解析を繰り返し、ホイール界の最速を目指している。

そのたゆまぬ開発の結果、ROVAL CLX50をリリースした。CLX50の登場は、他社のカーボンクリンチャーを過去に追いやってしまうかもしれない。事実、ROVALは自らの手でCLX40時代の構造を過去へ葬むり去った。そして、リムをイチから生まれ変わらせた。

エアロダイナミクスと重量減という、合い反する問題を解消すべく、ROVALはホイールの開発を進めた。「ありきたりな50mm」という、どこにでもあるようなリムには、どのようなテクノロジーと性能が詰まっているのだろうか。

今回は、世の中に出回る数多くのカーボンクリンチャーの中で、「第3世代」に突入したと位置づけられるROVAL CLX50とCLX32とCLX64をすべて実際に購入しテストした。第3世代として位置づけられる理由と、その性能に迫っていく。

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ROVAL CLXシリーズ

CLX50の特徴といえば、ディープワイドリムとそれに似つかない軽量性だ。ただ、CLX50の登場の影には、CLX64とCLX32という2つのホイールの存在があった。

当初、ROVALのあたらしいリム設計(新リムシェイプ、ワイドリム29.7mm、TL対応)を有したラインナップはCLX64と、CLX32の2種類だけだった。CLX64の特徴は圧倒的なエアロダイナミクスの性能であり、CLX32の特徴はカーボンクリンチャーらしからぬ圧倒的な軽量性だった。

特徴が明確にわかれた2種の魅力的なホイールの登場は、新たなカーボンクリンチャー時代の幕開けを感じさせてくれた。しかし、ワイドリム化が進んでいけば、その分リム重量増の問題も関わってくる。そのような問題のさなかCLXのラインナップの中で、重量的な問題をクリアしたのがROVAL CLX32だった。

CLX32のリム重量はわずか390gである。カーボンクリンチャーリムとして特に重量が軽く仕上げられており、重量面で太刀打ちできるのはReynoldsのATTACKリム(380g)や、Lightweightのカーボンクリンチャーぐらいだろう。

一般人が購入できる完組カーボンクリンチャーにおいて、ROVAL CLX32は特にリム重量が軽い。重量増の原因となる、リム内径幅やリム幅を広く設計しているにもかかわらず、重量を抑えたカーボン成形技術と作りは見逃せない。

CLX32ではリムハイトを低く設計し、軽量なリムを目指した。しかし、エアロダイナミクスの性能は、CLX64とくらべると良いとは言えない。CLX64とCLX32を空力面で比較するのもお門違いな話ではあるが、CLX32とCLX64はそれぞれ用途を極端に限定しすぎているきらいがある。

何かを得ることは、何かを失うということである。エアロダイナミクスを追求するならばCLX64一択で、クライミング用途にはCLX32のような軽量なリムを選択するしかなかった。初期のCLXの2種類のラインナップにおいて、ユーザーは「極端な選択」をしなくてはならなかった。

しかし、そこで隙間をまさに縫うような絶妙なリムハイトを有したROVAL CLX50の登場である。

ROVAL CLX50

私はCLX64とCLX32の中間に位置するリムハイトを待ち望んでいた。新型ROVAL CLXシリーズが登場してからずっと思っていた。ただし、そこらへんに転がっているような、重たくて、退屈な「50mmカーボンクリンチャー」ではなくて、リム重量も納得できる代物を求めていた。CLX64とCLX32の間なのだから、リムハイトの間を取って48mmになるだろう!と私は予想していた(オイ)。

しかし、実際に出てきたリム高は50mmだった。どこにでもあるような、何の変哲もない、ド定番の50mmリムである。しかし、ROVALは開発段階で「リムハイトは定番の50mmにするわww!」などという単純な思いつきで開発を進めたわけではなかった。その背景には、「エアロダイナミクス」や「重量」といった双方のバランスを考慮した結果が「50mmリム」という結論に到達したのである。

実際にスペシャライズドは45mmから55mmの異なるリムハイトを1mmずつ用意し、テストを繰り返していった。そして、重量とエアロダイナミクスの兼ね合いから、最もバランスが取れていたのが50mmだったのである。開発には、CLX64で培った優れたエアロダイナミクスの技術と、特徴的なリムシェイプ、そしてCLX32で培ったリム重量を軽減する技術が盛り込まれた。

サイクリストにとって、リム重量が軽くなることは最も魅力的である。軽量化を実現するだけなら、単純にローハイトにしてリム幅をせばめていけばいい。しかし、それだけではエアロダイナミクスに優れたリムシェイプを生み出すことなどできない。そこで重量とエアロダイナミクスの最もバランスの良い到達点が、50mmというリムハイトだったのだ。

リムハイトとエアロダイナミクスのバランスといえば、スペシャライズドは興味深い実験結果も残している。様々なリム形状や構造、重量分析を組み合わせて、CFDシミュレーションを実施したところ、最もディープなリムであってもエアロダイナミクスに優れているわけではなかった(ココ重要)。

かといって、ローハイトにしてもリム重量が軽く仕上がるわけではなかった。スペシャライズドは、実験から興味深い事実を突き止めた。単純に考えてみれば、ローハイトのリムなら重量を減らせそうな気がする。ただ、実際にものを作ってみると想像と事実は異なっていたようだ。

様々なデーターを元にたどり着いた最適なリムハイトとシェイプが、リム高50mm、外幅29.4mm、内幅20.7mmという他に類を見ないリム形状だった。CLX50の存在は、CLX64とCLX32の存在無くして、生まれることはなかったのだ。

計算された最高のリムプロファイルを備えるCLX50であるが、もちろんスポーク、ハブ、ベアリング、組み方にもこだわりが詰め込まれている。次章ではホイールを構成するパーツについて見ていく。

DT SWISSハブ

前作のモデルを含めて、ROVALのホイールには共通している点がある。ハブは一貫してDT SWISSを採用した。ROVALはロードモデルに限らず、マウンテンバイクモデルのROVAL CONTROLシリーズにもDT SWISS製のハブを採用している。おそらく、ハブの数がそろえば、独自形状のハブもオーダーできるのだろう。

事実、マウンテンバイク用のROVAL CONTROLシリーズのリアハブは、142mmのスルーアクスルの改良型142+(プラス)という独自のハブ規格を採用している。ただ、2018年のスペシャライズドのMTBモデルは、マウンテンバイク機材の動向に合わせて、BOOST規格を採用した。いずれ、142+の規格も淘汰されていくだろう。

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話は逸れてしまったが、LightweightもDT SWISS製のハブを採用している。LightweightのハブはDT SWISSのハブベースにカーボンシェルとセラミックベアリングを採用している。ROVALのDT SWISSハブシェルにもセラミックベアリングが使われているのだが、実はセラミックスピード社の超高級ベアリングなのだ。

セラミックスピード社のベアリングといえば、高価な代物で、普段は手の届かない高級機材の1つである。その回転性能は「プロもお墨付き」という、使い古されたことばで表されるが、とにかくよく回る。神経質なサイクリストは、ボトムブラケットや、プーリー、ハブ、ヘッドパーツまでセラミックベアリングを使用する。

一番回ってほしいハブ部分に、高価なセラミックスピード社のベアリングを採用した点は評価したい。細かな部品1つにも、ROVALの妥協しない開発姿勢が見え隠れしている。他社製品でありがちなのは、ベアリングや、ハブがおろそか(というかゴ○クズ)のパターンも多い。

完組メーカーのホイールとしては、妥協なき回転性能と、空力性能をROVAL CLXは備えている。ハブと言えば、回転性能ばかり目がいってしまいがちだが、ROVAL CLXに採用されたハブはもう少し手が込んでいる。新型CLXシリーズのハブには新たに設計された「Roval AF(Aero Flange)ハブ」が搭載された。

新型AFハブは、エアロダイナミクスに優れたエアロフランジ形状を備えている。ハブ中心に向かって絞り込まれた形状は、風洞実験を繰り返して得られた結果だ。リムのエアロダイナミクスも重要なのだが、ホイールとは一つ一つの部品が組み合わさった1つの構造体である。組み上がった状態がどうであるのかが、最も重要だ。

リムだけ、ハブだけ、スポークだけ良くてもダメだ。全ての部品のバランスが整った上で、ホイールシステムとしてどうであるかが、重要になってくる。外周で回転するリムと比べると、中心部で回転するハブへの空気抵抗は微々たるものかもしれないが、一つ一つの部品に妥協しないROVALは、空気抵抗をより受けにくいハブ形状を突き詰めた。

ROVALのハブは、ありきたりな筒状のハブ形状とは一線を画しており、エアロダイナミクスに優れている。どこまでも速さを追求するROVALの姿勢は、ハブ、ベアリング、一つ一つに現れている。

DT SWISSエアロスポーク

リム形状はホイールの空力性能に大きな影響を与える。リムとハブをつなげるDT SWISSのエアロスポークの組み合わせは、さらに空力性能を高めている。採用されているDT Swiss Aeroliteスポークは、丸スポークに比べて、空力性能が高い事が証明されている。

リムの外にスポークのニップルが出ているのだが、もしも空力性能を極限まで追求するという設計思想が正しければ、リムの中にニップルをしまい込んだほうが空気抵抗が減りそうだ。しかし、ROVALは外出ニップルを採用した。

他社メーカーのホイールを確認してみると、エアロダイナミクスに定評のあるENVEは、インターナルニップルを採用している。リムにニップルをしまいこんだほうが、空力性能が高いと思いがちだ。しかし、スペシャライズドはROVAL CLXの開発段階で面白い実験結果を明らかにしている。

「ニップルをリム外部に配置することで、空力性能に悪影響を及ぼすことは証明できない。」

というデーターが得られている。例えばニップルをリム内部にしまい込むことで、10Wもの空気抵抗削減が見込まれるのなら、間違いなくニップル内蔵式にするだろう。ただし、ニップルをリム内蔵にすると、ホイールのフレ取りなど、メンテナンス面の利便性は落ちる。タイヤを外して、リムテープを外してから、初めてニップルを調整しなくてはならない。

メカニックの観点でホイールを見れば、ニップル内蔵式の構造はメンテナンス面や修理の際に、めんどくさい以外の何物でもない(チューブラーだったらなおさらだ!)。ニップル内蔵式だと、少しのスポークテンションの調整すら出来ない。これが、1セット、2セット程度のホイールの面倒を見る話であればよいが、プロともあれば数十セットは用意されているので死活問題になる。

エアロダイナミクスの性能がそれほど見込めないのならば、外出しのニップル構造の方が利便性が高い。選手に恩恵のあるエアロダイナミクス性能、そしてメカニックを「泣かせない」構造をROVALは採用した。ROVALはメジャーホイールメーカではないのだが、真面目なモノづくりの姿勢が要所要所に見え隠れしている。

自動車においても、整備しにくいメーカーと、整備しやすいメーカーがあるように、乗り手を感動させる車と、メカニックが修理する際に感動する車とでは、毛色がまったく異なる。つくり手は製品に対して、「だれの目線で使われるのか」を常に理解していなければならない。

重量

実際のフロント重量はリムテープとスポークホールキャップ込みで630gだった。

リアはリムテープとスポークホールキャップ込みで790gだった。カタログ重量と比べると45g重いが、本当に何も付けない状態ならば、おおよそ誤差のない優秀な数字だろう。まずは、CLX50と競合する他社メーカーのホイール完成重量を確認する。

  • Roval CLX 50 1,375g
  • Zipp 303 NSW 1,425g
  • Bontrager Aoelus 5 1,440g
  • Zipp 454 NSW 1,525g
  • Enve SES 4.5 1,526g

重量だけで言えば、競合する50mm近辺のカーボンクリンチャーホイールの中で最も軽量だ。

ホイールという機材にとって、「重量」という要素は切っても切り離せない関係だ。どんなサイクリストだって「軽いホイール」を求める。重いホイールは嫌われるし、好んで使いたいとは思わない。ただ、間違ってはいけないのは「重量」と一言で言っても、ホイールの「どこの重量」を語っているのか?という観点だ。

ホイールの重量を語る時、「完組み重量」と「リム重量」をわけて考えなくてはならない。リムが重くても、スポークやハブが超軽量なら「見せかけの軽いホイール」が出来上がってしまう。または逆にリムが軽量でもハブが重ければ、「重いホイール」になってしまう。

結局、元も子もない事を言ってしまえば、ホイールの重量を示す「完組重量」というのはマヤカシだ(情弱向け情報)。ホイールで肝心なのはリム重量だ。「完組み状態の重量」などというものは、スポーク重量、スポーク本数、ハブ重量でいかようにも操作できる。レイノルズのような良心的なメーカーは、完組ホイールでもリムシェイプやリム重量を記載してくれている(完組メーカーは見習ってほしい)。

リム重量

リム重量はホイールの回転フィーリングに大きな影響を及ぼす。リムが軽いと減衰スピードは速くなるし、リムが重いと惰性でよく回ってくれる。余談だが、私は軽すぎるリムの減衰スピードが、どうも好きになれない。かといってCLX64のように重いリム(おそらく500gオーバー)の場合はまた違う。巡航中の回転は素晴らしいのだが、クリテリウムなどでコーナーから素早く立ち上がるようなシチュエーションを考えると、俊敏さや加速感に欠ける。

では、どのくらいの重さ(ホイール重量ではなく)が最も自分に適しているのかは実際に試さないことには判別できない。人によって、ペダリングの癖も、パワーも、狙うレースも、十人十色だ。例えば「400gが最高です」というように断言しにくい。

選手の中には、Lightweightのような超軽量リムを好む人がいたり、やや重めのリムを好む人もいたりと様々だ。好みが分かれる理由の1つとして、ペダルを踏み込んだ時に感じる「リムの加速感」や「回転の減衰速度」の関係がある。それらの要素が、自分自身の理想とするホイールの回転感覚と、どれくらいマッチしているかどうかで、ホイールの好みがわかれてしまうようだ。

例えば、糸の先にピンポン玉を取り付けて回すよりも、テニスボールを付けて回したほうがよく回る。人それぞれリムにも同じような回転の感覚を持っていて、自分にあう感覚がどこに落ちつくのかは、人それぞれ異なるようだ。私は様々な重さのホイールを使ってきたが、400~450g程のリムが一番自分のペダリングに合っている(参考までに)。

それ以上の重さ、もしくはそれ以下の軽さになると、自分自身のペダリングと「これぐらい踏んだら、これぐらい進む」という感覚に差が生じる。300g付近のリム(Lightweight G3 TU)は踏んだ瞬間は俊敏に回転するが、回転し続けようとする慣性は非常に小さい。

話がやや脱線してしまったが、ここでROVAL CLX50のリム重量を計算してみよう。CLX32のカタログリム重量は390gだ。実際にぴったりカタログ重量に収まることはまず無いから、400g超えているのかもしれない。ここではカタログ重量を元に、CLX50のリム重量を算出してみる。

CLX32のフロントホイールのシステム重量は550gだ。リム重量は公称値390gなので、リム以外のスポークやハブの重量は160gと、単純な引き算で算出できる。CLX50で使われているスポークやハブも基本的にはCLX32と同等品だから(50mmリムの場合スポーク長が短くなり、僅かに軽くなるものの)単純にCLX50のリム重量は607g-160g=447gとなる。

bora 35のリム重量が440g前後という事を考えてみても、CLX50の447gというリム重量は、50mmディープリムのクリンチャーにしては非常に軽い部類だ。カタログ重量はだいたいサバ読むから、約450g前後のリム重量と思っていれば見誤ってはいない。

私が過去に所有していた、CLX40のリム実重量は420g前後だった。新プロファイルでワイドリム化し、50mmで450gというのもあながち的はずれな数値ではない。このCLX50のリム重量が、ホイールの乗り心地にどのような影響を及ぼすのかは、次章のインプレッションで紹介していく。

インプレッション

私は数年前から、アルミリムのホイールを使っていない。理由はいくつかあるのだが、「速く走りたい」という目的の先に、アルミリムのホイールを選択する必要はなかった。今、メインで使っているホイールは、CampagnoloのBORA35カーボンクリンチャーである。

これからインプレッションを記していくが、先に結論を述べてしまえば、「CLX50とBORA35はよく似ている。」という結論に至る。このあっけない結論で見落としがちなのは、「35mmのホイール」と「50mmのホイール」がほぼ同じ感覚で使うことができる点だ。

感覚的な話をするが、BORA35のリム重量とCLX50のリムの重量はほとんど違いがない。乗り心地やホイールの挙動はとても似ているが、ROVALの実験データーを見ると、エアロダイナミクスという観点において当然CLX50の方が優れている。

言ってしまえば、BORA50のリムハイトが欲しいが、BORA35の軽量性も捨てがたい場合、CLX50はまさに双方のいいとこ取りをしたホイールになる。

当ブログで常々述べているのは、「インプレッションとは相対評価である」という考え方だ。人間が物事の判断に介入する限り、機材を絶対評価することはできない。「~と比べて硬い」といったような表現を用いるのが妥当であり、「このフレームは硬い」と、絶対的な表現で評価を下すことは不可能だ。

そういう意味では、私にとってBORA35はカーボンクリンチャーはホイールの基準のようなものだ。そつがなく、特徴がなく、使いやすいホイールである。よってここから記事を進めていく上で記していく文章は、BORA35との相対評価になる。もう一方の比較対象としては、兄弟ホイールのCLX64とCLX32と比較になる。

私は「決戦用ホイール」だとか「練習用ホイール」といったくくりで機材を扱わない。普段使い慣れた機材でレースに挑む。だからカーボンクリンチャーは決戦から練習まで幅広く使えるから、好んで使っている。練習とレースで唯一違うのはタイヤとチューブぐらいだ。

いつも走っているコースでホイールを試すと様々なことがわかる。コースはもう100回、いやそれ以上通っている定番のコースだ。第1、第2、第3と呼ばれる道が続き、それぞれ7分、4分、12分緩やかな登りで、信号が無いコースである。

コースのタイムで自分の調子がわかるし、途中計測タイムでおおよそのゴールタイムがわかる。機材は相対評価であるが、コースもしかりで、できるだけ環境差分をなくす事が望ましい。だから私は、機材を試す際コースにも配慮している。

いつも、ひと踏み目はとても緊張する。たいてい一発目に受ける印象が、一番インパクトがあるため、注意深く観察している。

第一区間を登る。急な上り坂の区間はいつもダンシングで登る。あえてシッティングで登っても良いのだが、何度も同じ区間を走っているので体がコースに合わせて勝手に動いてくれる。以前、シマノのWH-7900やWH-9000のホイールを使っていたときは、トルクをかけたときに、しばしばリムがブレーキシューにすっていた。

試しに同じことをしてみようと思い、ブレーキクリアランスをタイトにしてみたが、シューがリムに接触してしまう事象は無かった(後から思えばやらなくても良かったかも)。そもそもアルミとカーボンでは剛性が異なるので比較する必要はあまりない。そしてリムハイトが違うので、剛性も異なる。

数値として剛性を表現できるなら一番良いのだが、さすがに人間は測定器ではないから、そのような表現をすることは不可能だ。CLX50は、踏んだ時にヨレる感覚はほとんどない。私が非力という事もあるかもしれないが、一般的な使用範囲内であれば、剛性が不足しているという感覚を感じることはないだろう。

1つ気にしていたのは登坂性能だった。クリンチャーのディープリムは、「登らない」というマイナスイメージが染み付いていた。ディープリムだから登らないのではなくて、クリンチャーのディープリムは構造面(クリンチ)とリムハイトがある分、リム重量がかさむ。

私は純粋なクライマーではないが、趣味でヒルクライムのレースに出ている。以前CLX40を使ってハチ高原ヒルクライムシリーズの年代別で優勝したことがあった。練習の時点で、キシリウムSLR(リム400g)とROVAL CLX40(リム418g)を試して、進む感覚と、峠のタイムを計測した結果からCLX40を選択した。

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リム重量を数値上で見れば、明らかにキシリウムSLRのリム重量が軽いため、登りのアドバンテージがあるように見える。しかし何度もタイムを計測してみても、CLX40の方がタイムが良かったのは今まで謎だった。今から思えば、CLX40は自分のペダリングと、ホイールの進み方のイメージがマッチし、リズムが作れるホイールだったのでは、という結論に至っている。

あの時のCLX40と、今回テストしたCLX50はとても似ている。CLX40のスポークを手で握った時の感触は、CLX40の方が相当柔らかめだ。のむラボのノムさんの言葉を借りるなら、CLX40は「ややヌルい」ホイールだ。しかしCLX50は握った時点でわかるほどスポークテンションが高い。

そのため一度CLX40はテンションを張り直してもらっている。

CLX50で登坂する際の振りの軽さは、CLX40と差異はほぼ無い。BORA35と比べてもほとんど差がわからない。ホイール自体の剛性もBORA35と差異がわからない。率直な感想を正直に書いてしまえば、このように、全くおもしろくない感想になってしまう。そして、目をつぶって登坂するならBORA35とまったく違いがわからない。

少し冷静に考えてみると、CLX50というホイールに対して別の見かたもできる。ミドルハイトの35mmや40mといった、比較的リム重量が軽いホイールと遜色のない登坂性能をCLX50は備えているという事実は、大きなアドバンテージではないだろうか。

35mmに匹敵するリム重量から、ほとんど遜色のない登坂性能、そしてCLX64に匹敵するエアロダイナミクスを備えているのだ。冒頭で記したCLX32とCLX64のいいとこどりをしたCLX50は、まさにCLX32とCLX64双方の技術を結集した万能ホイールと言える。

10分ほどの登りであれば、ロープロファイルの軽量リムと互角に競り合える性能をCLX50は備えている。登りのピークで、しっかりとトルクを掛けてもがいてみたが、私のパワー程度では十分すぎる程にホイールが作り込まれていた。

登り区間を終え、そのまま峠を下ったのだが1つ気づいたことがある。BORA35とCLX50は振りの癖が相当異なる。CLX50のほうが明らかに安定しており、ジャイロ効果がうまく働いているのかはさだかではないのだが、元に戻ろうとする力が非常に強い。ホイールをショップで受け取った時、軽く回して左右に振ってみたが、元に戻ろうとする力が非常に強かったのを走りながら思い出した。

高速になればなるほど、その復元力は顕著に現れる。ROVAL CLX50は緩やかな下りであっても徐々にスピードを上げて加速していく。その感覚は普段使い慣れた35mmと比較しているからなおさらだが、50mmという、「たった15mmの差」はここまで回転に影響を及ぼすのだと、とても関心した。

リム重量が重いほうが、減衰するスピードは緩やかになる。CLX50とBORA35はほとんど重量差が無いにも関わらず、リムハイトの違いだけで下る時の印象は大きく異る。以前、GOKISOホイールを使用したときも同じような感覚だった。リム重量が550g程あったため登りの印象は良くなかったが、広島森林公園での高速レースで使うと、とても楽だった。

長距離を速く進むという条件ならば、やみくもに軽いリムを選択するよりも、ある程度慣性が働いて、回り続けようとしてくれるリムの方がよい。結果的に脚へのダメージも少なく抑えられるから、脚を休めることができる。ROVAL CLX50は登りも無難にこなし、平地も得意で、下りでも安定する。全方位をカバーした万能ホイールだ。

レース決戦用として

決戦用なんて最近では死語に近いが、レースで使用するとどうだろう。

実は3月の広島森林公園の西日本チャレンジロードの2日前にホイールを受け取って、ろくにホイールの挙動を確認しないまま、ぶっつけ本番で使用した。本コースは、登り、下り、そして風がもろに当たる長い直線と、まさにロードレースのコースである。

普段の西チャレは最上位カテゴリにエントリーをしていた。プロ選手たちにボコボコにされる為に出場していたが、今年はエントリー時の調子の悪さから、ひとつ下のカテゴリでエントリーした。とはいえ、出ている人達は私より確実に強い人も大勢出ているので気が抜けない。

私が見たかったホイールの性能は、「脚をどれだけ止めていられるか」だった。他の選手がペダリングしている間、自分は足を休めておけることができれば、それだけ省エネで走ることができる。もちろん、ホイールの性能だけではなく、自分自身のフォームもエアロダイナミクスに影響してくるから、厳密に省エネ走行をテストできているわけではない。

登り区間も3箇所あるから、実際に登坂する際に他の選手との差異もわかる。とりあえず、試走はしていなかったからスタート直後から流し先行する。雰囲気的に前に出てくる人が居ないため、ずっと先頭付近で走る。

途中散発的に発生するアタックには、インターバルがもちろんかかる。この時、重いリムだとどうしても加速が鈍くなり体力を消耗していく。気分的にも悪く、できるだけ体力を温存しておきたいという気持ちが誰しも心の中に持っている。

ROVAL CLX50はこれらのダッシュを繰り返すような走り方でも何ら違和感のないホイールだった。さらに最終周回は三段坂から、ホームストレートまで逃げた。結局捕まってしまったが、単独でエスケープするような走りの場合にもCLX50は大きなアドバンテージを得ることができる。

そして7月の実業団西日本ロードクラシックでも、同じ広島森林公園で使用した。スピード域は3月のそれと異なっていたが、やはり周りと比べると脚を止めていられる時間は長い。。。というか、あんまり書きたくないのだけど、下り区間で明らかにそのアドバンテージがわかる。

ほんとにあんまり書きたくないのだけど、タイヤの転がり抵抗の小ささと相まって、相当足を休められた。

ヒルクライム

50mmのリムハイトをヒルクライムで使うなんて、今まで選択肢になかった。ヒルクライムのレースの醍醐味といえば機材の軽量化なのだが、それよりも空気抵抗を減らしたほうが速く走れると私は考えている。私はこの思いを元に、4月の伊吹山ドライブウェイで開催されたヒルクライムに参加した。もちろんホイールはROVAL CLX50だった。

伊吹山ドライブウェイは緩やかな登りが続く。そして下りもあるからハイスピードなレース展開になる。このような場合は、スピードに乗り続けて空気抵抗が小さいホイールを選択したほうがタイムが良い傾向にある。ヒルクライムで最も求められることはパワーウェイトレシオを上げることだ。ただ、現在のトレンドは空気抵抗を減らしたり、転がり抵抗を減らしたりと、タイムを削っていくためにありとあらゆる要素を突き詰めていっている。

結局、この考え方は正解で上りにおいても全く違和感なくCLX50を使用することができた。実業団のE1の中で順位はふるわなかったが、一般の年代別だったらシングルだったから、高速なヒルクライムには活用できそうだ。ヒルクライムでもCLX50を使うことは間違っていない。むしろ高速化するヒルクライムにおいて50mmというホイールはアドバンテージになる。

パックになって走るような展開を、あなたがヒルクライムのレースで経験したことがあるのなら、私は35mmハイトよりも50mmハイトで空力性能を優先した戦略も1つの案としてご提案したい。

ブレーキ性能

雨の日に下りを思いっきり走ってみた。結果、ブレーキ性能はBORA35に及ばない。まだまだROVALのブレーキトラック面は改良の余地がある。しかし、BORA35のブレーキ性能が優秀なのであって、ROVAL CLX50のブレーキ性能が悪いというわけではない。そして雨天でブレーキが効かないということもない。

カーボンクリンチャーで一番気になるのは、雨天時のブレーキ性能だ。伊吹山のヒルクライムの小雨と霧の中でも、十分ブレーキは効いた。ただ、ブレーキをかけ続けていくと途端にザラッとした感覚とともに、音鳴をしてしまう場合もある。カーボンクリンチャーにありがちなこの傾向は、BORA35には起きにくい。

BORA35はゴム感のあるブレーキフィーリングだ。このようなアルミに近い感覚を望むのなら、CLX50はその領域にまだ達していない。ただ、十分なブレーキ性能を備えており、雨のヒルクライムの下り、レース中の制動力に関していうと、全く気にならないだろう。

ブレーキシューに関しては、カンパニョーロの赤色を使っているが(本来はスイスストップのブラック・プリンス)非常によく効く。雨天でカーボンクリンチャーを使った人ならわかるはずだが、雨対策としてできるだけ柔らかいブレーキシューを使うことをおすすめする。硬いシューは、ある力以上のブレーキをかけるとズルズルとカーボンリムを滑るようなブレーキングの挙動をしてしまい、まったくおすすめしない。

ROVAL CLX32 インプレ

私はCLX64→CLX50→CLX32という順番でホイールを購入した。CLX50に関する本記事を執筆している時、CLX32の優位性についても調べていた。高速なロードレースなら間違いなくCLX50を選択するのだが、CLX32のスペックを見れば見るほど、その存在と性能を認めずにはいられなかった。

本記事を書き始めたのは3月の西日本チャレンジのレース後だった。あれからこまめに追記を重ねてきたわけだが、ROVAL CLX50に関するまとめ記事の公開が遅れたのには1つ理由がある。CLX32を試そうと入荷を待っていたためだ。そして実際に使わずして、機材のことなど1行たりとも書けないから、公開が今日までずれ込んだ。

購入先は、CLX50を購入したショップと同じく、RINGOROADで購入した。ホイールのトラブルは多いから、破損時の保証が効く国内の正規代理店で購入することにしている。また、チューブレス化に相当なノウハウが有るから、アフターも安心だ。

CLX32について調べていくと、とても魅力的なホイールであることがわかる。CLX32の大きな特徴としては、冒頭でもお伝えしたとおりリム重量にある。リム内幅が20.7mm、外幅29.4mmという超ワイドリムのカーボンクリンチャー(執筆時点で最も幅広)であるにもかかわらず、そのリム重量はなんと390gである。レイノルズのATTACKリムが380gほどであるから(ただし内径17mm)相当軽い部類に入るだろう。

メーカーがリム重量を公開することは珍しい。それほど自信を持ってROVALは、CLX32をリリースしているのかもしれない。CLX32の完成重量も合わせて確認してみたい。フロント重量は550g、リア重量は730gである(カタログ重量)。最新ライトウェイトのカーボンクリンチャーはgなのだが、CLX32のカタログ重量は1280gである。ROVALがこの重量の「完組ホイール」を普通に売っていること自体が驚きだ。

実際にCLX50とCLX32を使った上で、それぞれのホイールの住み分けを考えてみよう。高速系のロードレースならROVAL CLX50のエアロダイナミクスが間違いなく生かせる。ただ、純粋に長い登りに特化したレースを考えてみると、CLX32を選択する。

私はヒルクライムのレースを年間2~3本走るが、激坂やエアロダイナミクスの効果が薄いレースに対しては、間違いなくCLX32を選択する。なにより振りが軽いし、トータル重量も抑えられる。もしも「決戦用」なんて呼ばれているホイールを考えていたら、CLX32は最有力候補に入るだろう(転がり抵抗を考えるとチューブラーを選択することはCLX32おいてもありえない)。

軽いリム、カーボンクリンチャー、そしてワイドリム、セラミックベアリング、超軽量の完組み重量と、全部入りの性能を兼ね備えたROVAL CLX32は登りから、オールラウンドまで活躍してくれる。ただ、ダメ押しでもう一つCLX32の利点をあげてみよう。エアロダイナミクスは特段注目されていないのだが、他社ホイールと比べると相当良いデーターが得られている。

CLXは最速のホイールとスペシャライズドが言っているわけだが、その恩恵を受けてかCLX32の空力性能も優秀である。ただ、CLX50やCLX64と比べるとそこまでの性能には達していない。しかし、単体で見てもZIPPを凌駕する空力性能を備えている。

CLX32やCLX50はフロントとリアを別々に購入することができる。フロントはCLX32でリアはCLX50という使い方も可能だ。

ROVAL CLX64 インプレ

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昨年末にROVAL CLX64の前後セットを購入してこちらもテストを行った。しかし、今日まで記事として日の目を見ることはなかった。理由はいくつかある。新型CLX64をリリースしたばかりのスペシャライズドには幾分申し訳ないのだが、新型CLX64は優れたエアロダイナミクスを確実に備えているものの、緩急が繰り返されるロードレースや、普段の練習で使用するには重量面のデメリットがとても大きいと感じた。

冒頭でも述べたとおり「サイクリストはディープリムがもたらす空力的な恩恵と引き換えに、重量増を犠牲にしたいとは到底思っていない。」のである。

お金を払ってCLX64を購入して、私がたどり着いた1つの結論を述べる。もしも、ロードレースに使うのなら、もう少しリムハイトが低く、軽量なホイールを私は選択する。プロはホイールやフレームを支給されているからCLX64を使うかもしれないが、我々は稼いだお金の中で、何日も考え抜いて、「妻という超級山岳」を超え、納得の行く買い物をしなくてはならない。

何十本もホイールを買って、タンスの肥やしにすることなど、一般人にはとうてい無理な話だ。

しかし、CLX64を使うシチュエーションを変えてみるとどうだろう。タイムトライアルというジャンルに関していえば、魅力的なホイールにばけてくれる。もともとホイールとは、シチュエーションや、コースプロファイルを見定めて使用する戦略的な機材だ。

しかし、エアロダイナミクスと重量をトレードオフにしても、CLX64をロードバイクに取り付けて使用することは、私には許容できなかった。願うなら、もう少しリムハイトが低く、リム重量が軽いホイールを使いたいと思うのが一般的なサイクリストが望むところなのだろう。

CLX32,CLX50,CLX64のうち一本だけ、単身赴任先に持っていけるとしたら、やはり全方位的に使用できるCLX50一択で間違いない。

チューブレスレディ化

チューブレスに関するあれこれは、ここ2~3年MTBやCXのレースで試行錯誤しながら、RINGOROADのメカニックさんと情報交換しつつ、あらゆるノウハウを蓄積してきた。実戦投入しないと本当にチューブレスの特徴は掴みづらい。私の家のホイールはチューブレスレディ対応のホイールのほうが実は多い。いろんなリムを試して、いろんなリムテープや、各社のシーラントを試した。

チューブレス対応リムで信頼のおけるのはENVEだった。

  • ENVE M60(29er)
  • ENVE M60(650b)
  • ,

  • ENVE XC(29er cxで使用)
  • ,

  • ROVAL CONTROL SL(29er)
  • NOTUBE GRAIL
  • NOTUBE ZTR
  • と6セットのリムを試したが、テープはNOTUBE、もしくはENVEのテープが最も信頼できた。これらオフロード機材のフィードバックから、今度はロード用のROVAL CLXのチューブレス化である。

    ROVAL CLXの純正チューブレスキットは、まったくイケてない。まったく使えません。リムフラップのバルブホールをキャップみたいなもので止めて、その上から普通のリムテープを取り付けるタイプで本当に、チューブレス化のテストしたのかよ・・・というレベル。いくらメーカーが指定している方法とはいえ、あのチューブレス化の方法はダメすぎなので今後使うことはない・・・。

    あんな方法では、空気はダダ漏れだから絶対にやめた方が良い。

    今からでも遅くないのでスペシャライズドは、CLXのチューブレス化の方法に関して代替案を示すべきだ。なぜ、MTB用のROVAL CONTROL SLのチューブレス技術を流用しなかったのか理解に苦しむ。ROVAL CONTROL SLの秀逸なリムテープを使わなかったのか、本当に理解に苦しむ。

    で、わたしがうまく行ったチューブレス化の方法だ。付属のバルブホール用のキャップは全部外して、NOTUBEのリムテープを1重巻きで私は問題なかった。タイヤ経は各社まちまちだから、2重巻きならより安心だろう。是非試してほしい。

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    価格

    ROVAL CLXシリーズの価格はやや高めだ。しかし、CLX32,50,64と購入しその価格に私は納得している。現時点で最高のリムシェイプや、チューブレス対応、セラミックスピード社のベアリング、超軽量カーボンクリンチャーという全部入りを考えてみれば、このぐらいの値段に落ち着くのだろう。

    • CLX32 CL フロント/11万3400円(税込み)重量/550g
    • CLX32 CL リヤ/16万2000円(税込み)重量/730g
    • CLX50 CL フロント/ 11万8800円(税込み)重量/607g
    • CLX50 CL リヤ/ 17万8200円(税込み)重量/768g
    • CLX64 CL フロント/ 12万9600円(税込み)重量/695g
    • CLX64 CL リヤ/ 18万9000円(税込み)重量/850g

    全部買うと、89万円ほどだが、フロント、リアを別々に購入できるのでリアをCLX50にしてフロントをCLX32にすることも可能だ。なお、私のCLX32は新品の物が余剰であるので、ご希望の方はご連絡頂けたらと思います。

    付属品

    完組ホイールの嬉しいところは付属品がいっぱいついてくる事だ(笑)。カタログには書いていない様々なパーツがこれでもかと付属してくる。ROVAL CLX50に付属してくる物は以下のとおりだ。

    • Rovalスチール製QR
    • スイスストップ・ブラックプリンス
    • Rovalホイールバッグ
    • Rovalチューブレスプラグ
    • チューブレスバルブ

    なお、初期のCLX32のロットにはチューブレスバルブが付属していないらしい。

    コラム:カーボンクリンチャー

    数年前、私は「カーボンクリンチャー」について1つの記事を書いた。その性能と、データー上の優位性に1つの時代が訪れる夜明けを見た。しかし記事を書いて後悔したのを覚えている。「そんな機材は誰も使うわけない。」だとか、「プロが最も使っているチューブラーホイールのほうが良いに決まっている。」と、ひどく叩かれたものだ。

    今こそカーボンクリンチャーの闇の部分について語ろう
    公開日時:2014年6月10日 カーボンクリンチャーはいまだ、メジャーなホイールとしての地位を確立していない。カーボンチューブラーより...

    カーボンクリンチャーはリムハイトが高くなっても、アルミリムとくらべて外周部を軽く作ることができる。そして、リムを高くしてエアロ効果も期待できる。そのような観点から見て、既存のアルミリムよりも優位性があるのは明らかだった。さらにチューブラーよりもクリンチャーの方がCrr(転がり抵抗)が低いデーターが得られていたから、あえてチューブラーを使う理由など私にはなかった。

    チューブラーの利点は、バースト時に空気の抜けが緩やかである点と、トラック競技で超高圧が入れられる点だ。それを除けば、普段ロードバイクで使用する利点は見当たらない。ロードバイクにおいて速く走るのであれば、性能の高いクリンチャーの方がチューブラーよりも、Crrが小さいデーターが得られている。いつかカーボンクリンチャーの時代が訪れると期待したが、当時カーボンクリンチャーは「ゲテモノ機材」だった。

    当時のサイクリストから見れば、言い方は悪いが豚に真珠、猫に小判だったのかもしれない。このかわいそうな「ゲテモノ機材」にとって、1つのパラダイムシフトが起こったと感じた出来事がある。ある強豪アマチュア選手たちが、何年か前からカーボンクリンチャーを使い始めたことだった。

    主要な選手といえば森本選手、高岡選手が特に代表とされる選手だろう。元々選手として強いという事もあるが、カーボンクリンチャーを選択して結果を出したというのが大きい。もしかしたらプロモーション戦略もあるにせよ、強豪ひしめくハイアマチュアのレースで結果を残している。

    実際に重量を減らすよりも、転がり抵抗を減らしたほうが場合によっては速く走れる。例えば、リム重量増が100g程度我慢すれば「10Wの削減が得られる」という条件なら、間違いなく100g重量増に目をつぶれる。しかし、こと神経質なサイクリストにおいて1gでも重量増を嫌がる(が、その固定観念をカーボンクリンチャーにおいては剥がす必要がある)。

    おそらく、重量の見えない罠に囚われ「結果的に速さにつながらない選択」をしてしまう人は多い。数値的な事実よりも、心理的なバイアスが時として優先されてしまう。ただ、ロードレースの勝負において、心理的な要素(良くも悪くも)は十分に結果に影響を及ぼす。

    最後は自分でテストして、ベストな機材を選択をするのが望ましい。それが心理面での選択なのか、性能面での選択なのかは人によって采配が分かれる。よく言われるのは、「何を言ったかではなく、誰が言ったのか」と。こと機材においては、いくら当ブログで「良い、素晴らしい、最高」と言ったところで誰も納得をしてくれない。誰が使って勝った、ということのほうが重要なのだ。

    日本国内に限っていえばJPT(国内最高峰のプロロードレースシリーズ)の選手が使う機材よりも、強豪アマチュア選手が使う機材のほうが魅力的に見える。プロモーションとしては強豪アマチュアの個人に使ってもらったほうが費用対効果も高く、プロモーション効果も高い。

    見かたを変えれば、プロチームに機材を供給するよりも、強豪アマチュアを会場で見つけてきて、1セット供給するほうがよっぽど費用対効果は高い。残念ながら、私は(強豪選手ではないので)そうはいかず、今回ROVALのCLX50(前後セット約30万)をサイクルショップRINGOROADで買って試すことにしたのである。

    CLX64と合わせるとおよそ80万円だ。そしてCLX50が良くて、CLX32も買い揃えてしまったから出費としては大きい。供給を受けていないからこそ、良いことも、悪いことも書けるというメリットもあるが、基本的にユーザー観点で正直に書いているから、仮に供給を受けても素直に率直な意見を書いてしまうだろう。

    「他社より6倍失敗例ある」レイノルズのカーボンクリンチャー開発者
    カーボンクリンチャーはいまだ発展途上なのか。それとも、既に完成の域に達しているのだろうか。カーボンクリンチャーについて、いろいろと調査し...

    まとめ:オールラウンドホイールの決定版

    ROVAL CLX50の登場で、カーボンクリンチャーは第3世代へ突入した。ワイドリム化、内径幅20mmオーバー、そしてチューブレスに対応したリム(転がり抵抗の小ささとラテックスチューブが溶けることに対するソリューションとして今後最も期待している)、そして軽量リムと、記事執筆段階で3世代目の条件を満たすリムはROVAL CLX50とENVE SES3.4の2つしかない。

    他のホイールは内径幅17~19mmが主流であり、チューブレスに対応した最新のMAVICですら、内径のワイド化はまだなされてない。軽量かつエアロダイナミクスを備え、クリンチャーの転がり抵抗の低さを併せ持つカーボンクリンチャーという存在は、もしかしたらチューブラータイヤをいずれ駆逐していくのかもしれない。

    チューブラーは、タイヤバースト時に緩やかに空気が抜けていくというメリットもあるが、ENVEやMAVICやROVALがチューブレス化対応を進めている今、同じく空気の抜けが緩やかなチューブレスの時代も次第に訪れていくと予想している。

    軽量リム、エアロダイナミクス、内径幅20mmオーバー、そしてチューブレス。進化するカーボンクリンチャーは、今後ホイールの主流になっていくことは間違いない。今回取り上げたROVAL CLX50に、ホイールの未来が見え隠れする。

    ROVAL CLX50は、私がカーボンクリンチャーに求めている性能と仕様が全て詰め込まれた、現段階で最も理想的なホイールだ。その性能はライトウェイトのクリンチャーに迫り、使い勝手はそれを凌ぐ。ROVAL CLX50はあらゆる50mmディープリムの中で最も使えるホイールとして、カーボンクリンチャーの新たな時代を切り開こうとしている。

    Roval-CLX-50-Whitepaper(.doc)