CANNONDALE SuperX インプレ 江嶋綾選手(INTHEWOODS×MAAP)

今シーズンより、シクロクロスに出場している選手達のバイクを現場で取材し、紹介していくこの企画。というのも、ロードバイクに比べてシクロクロスバイクは個性的なバイクがとても多い。ハンドメイドバイクに始まり、素材はチタン、スチール、カーボンと様々なバイクが揃う。

シクロクロスバイクやマウンテンバイクは毎年進化しており、規格も乱立している。ディスクブレーキ、カンチブレーキ、スルーアクスル、リアエンドは142mm、135mm、130mm、フロントフォークは15mmや12mm、9mmクイックと・・・、、、規格が乱立していおり・・・本当に飽きない世界だ。

その星の数ほど存在しているシクロクロスバイクにおいて、第1回目を誰にしようか悩んでいた・・・。その記念すべき第1回はCL1を走る江嶋 綾選手(INTHEWOODS×MAAP)の2018最新モデルのCANNONDALE SuperXである。このバイクはデファクト・スタンダードになりつつある規格を採用し、今最も注目されるシクロクロスマシンだ。

そもそも女性が使えるシクロクロスバイク自体が数少ないのだがCANNONDALE SuperXという同社トップグレードのバイクを彼女はどのようにアッセンブルし、どのようなパーツを用いてシクロクロス女子トップカテゴリCL1を戦っているのだろうか。その全容を見ていこう。

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CANNONDALE SuperX インプレ

CANNONDALEといえば、軽量バイクの代名詞であるSUPER SIX EVOが有名で、カーボンの魔術師ピーター・デンクがプロデューサーしていることで知られる。元々SCOTTの軽量バイクADDICTを設計していたことでも有名で、いまだ愛用者は多い。同社のカーボンフレームの特徴といえば、とんでもなく強靭で軽いバリスティックカーボンを用いたフレームを数多くリリースしている。

2018年モデルのCANNONDALE SuperXはその高いカーボン成形技術の流れを汲み、さらに規格を大幅に変更してきた。前後共にスルーアクスルを搭載し、ブレーキ台座はフラットマウントを採用している。シクロクロスバイクは現在過渡期を迎えており、フォークのハブ軸受の規格だけでも15mm,12mm,9mmクイックと規格が乱立している。

また、ブレーキの台座部分もシマノが積極的に規格を推進している「フラットマウント」と、従来のMTBからの流用の2タイプが存在している。ただ、2018年モデルのメジャーブランド(TREK、CANNONDALE、SPECIALIZED、GIANT)の動向を見ているとどうやら規格は落ち着きそうな雰囲気である。

  • フロントフォーク:100mm幅、12mmスルーアクスル
  • リアエンド:142mm幅、12mmスルーアクスル
  • ブレーキマウント:フラットマウント

シクロクロスやロードディスクブレーキにおいて、現在使用されるディスクローター経は140mm~160mmが採用される場合が多い。シクロクロスですら160mm以上のディスクローターの制動力を必要とする機会は少ない。フラットマウントはこれら小径の140mm~160mmに特化した規格だ。もちろん今回紹介しているCANNONDALE SuperXも上記の規格を取り入れている。

シクロクロスやロードディスクブレーキの場合、問題となってくるのはホイール選択である。軸受の規格が異なると、ホイールを流用できない。ロードリムブレーキでは、9mmクイックがデファクト・スタンダードなのでなりすぎていて気にすることはないのだが、ことディスクブレーキにおいては何の規格を採用しているのかがとても重要になってくる。

たとえば、12mmのスルーアクスルを使用していたとしてもメインホイールのディスクローター経が140mmで、スペアホイールのディスクローター経が160mmであれば使用することができない。ディスクブレーキ仕様のバイクは規格をあらかじめ統一しておく必要がある。

今回、江嶋 綾選手とC2の岡本選手(写真左側座っている方)のバイクはそれぞれ同一の規格を使用している事からも、その規格シバリの背景が伺える。ただ、二人が使用しているCANNONDALE SuperXに搭載された規格は、これからデファクト・スタンダードになりつつある仕様だ。

ややこしい規格の話はこれくらいにして、江嶋選手のバイクアッセンブルを確認していこう。なおバイクのメンテナンスは私がシクロクロスで所属しているプロショップRINGOROADだ。

まず気になるのはフレームサイズだ。年々シクロクロスは盛り上がっているものの、女性が使えるシクロクロスバイクは少ない(というか殆ど無い)。私がリサーチしたところ小柄な女性が乗れるバイクは、CANNONDALE、TREK、アーサー、ANCHOR、JFT、オーダーならばTOYO、Panasonic、TONIC、KUALISといったバイクから選択していく必要がある。

シクロクロスバイクは、ロードバイクのサイズよりもさらにワンサイズ小さいものを使用する場合があるため、小柄な女性にとってサイズ選択が悩みのタネだ。しかしCANNONDALE SuperXは46サイズという小さなサイズが有るため、このサイズを選択する女性ライダーは多い。※46サイズ(TOP507mm,リーチ365mm)

江嶋選手も46サイズを選択している。ステムはEASTONの60mm(8°)を使用し、サドルはロード用のSPECIALIZEDのロード用だ。メインコンポーネントはSRAM APEX1で油圧ブレーキシステムを使用している。コンポーネントの中でも特に目を引くのがドライブトレイン周りだ。

江嶋選手はフロントシングルギアを使用している。ギアは40Tというシングルギア(CANNONDALE ホログラム SL)にしては大きめのギアを選択している。なお、CL1の某選手も同じくフロントシングルを使用しているが、4T少ない36T(アブソリュートブラック)であった。

江嶋選手がフロントシングルの40T(筆者も40Tです)という比較的大きめのギアを選択しているのだが、リアのスプロケットは36Tを使用してワイドレシオ化を施していた。フロント側を大きくしてしまうと、どうしても急勾配ではギアが足りなくなってしまう。その弱点をスプロケット側で吸収していた。

なお江嶋選手が使用している一番軽いギア比は「1.11」だ。対して36Tでスプロケット28Tを付けている場合のギア比は「1.28」だから、フロントが40Tといえど、スプロケットの選択で軽いギアを踏めるメリットがある。たとえば、マキノ高原のような急勾配のゲレンデを走る場合にはより軽いギアが求められるだろう。シクロクロスという競技の特性上、様々なコースを走る必要があるため、これからワイドレシオ化がスタンダードになっていくのかもしれない。

次は、シクロクロッサーたちの大好物タイヤについて見ていこう。江嶋選手が使用しているのはSPECIALIZEDのTRACER PRO TLだ。トラディショナルなタイプのノブパターンで、オールランドに使用できる。チューブレスタイヤを採用しており、現場で問題があってもすぐさま別のスペアタイヤに交換できるのも魅力だ。チューブラータイヤの場合はパンクしてしまうと、シーラントを使って直さなくてはならない。

さて、もう一つ注目したいのはペダルだ。シクロクロスは泥の上を自転車でも二足歩行でも走る必要があるため、泥つまりに常に気を使う。ペダルの形状によっては泥が詰まってクリートがはまらないなんて事は日常茶飯事である。元々オフロードの下り系種目のダウンヒルを得意としている江嶋選手が使うのは、クランクブラザーズのエッグビーターだ。

シンプルで無駄のない形状は、泥はけが良く、4面でクリートを受け入れるためペダルキャッチもしやすい。実は今シーズンから私もクランクブラザーズのキャンディを使用している。クリートキャッチも、踏込時の安定性も満足している。

最後に江嶋選手のトレードマークといえばその着用しているジャージだろう。MAAPアンバサダーでもある彼女が身につけるモノには常に注目が集まっている。今年もMAAPの新作ジャージを身にまとい、初戦の広島で優勝したことも記憶に新しい。

彼女があやつるCANNONDALE SuperXとMAAPの鮮やかなジャージはマスターカテゴリとの混走中でもとても見つけやすい。実際に今回走っている姿を数多く撮影できた。シクロクロスは使う機材、使うジャージと魅せる側も楽しめる。それらは、華麗なテクニックと同じくらい重要なのだ。

江嶋選手のシクロクロスシーズンはまだ始まったばかりだが、優勝1回、4位と成績面でも話題に事欠かない。最新鋭のCANNONDALE SuperXをあやつり、これからさらに調子を上げて上位争いに絡んでくることは間違いないだろう。

バイク:CANNONDALE SuperX

ウェア:MAAP

アパレル:INTHEWOOD

メンテナンス:RINGOROAD

次回はUCIマキノ高原を予定しています。