もはや家庭用扇風機に限界を感じているーーー
この夏は、雄叫びにも似た叫び声が各地から聞こえてきそうだ。これから梅雨が本格化し、夏を迎えるとムシ暑くなる一方である。そして、家の中でローラーを使ったトレーニングをする事がいっそう厳しくなっていく。ただえさえジッとしていても暑いのに、室内で自転車を全力で漕ぐ・・・。一般人には理解し難い世界である。
その理解し難い世界に、生息しているのはそう、熱心なサイクリスト達だ。彼らのように室内で進まないローラーを回す変態の領域レベルになると、通常の家庭用扇風機では自身が発する熱処理が間に合わないという。そんな彼らは常に考えている。「快適に室内トレーニングをする為にはどうしたらよいのか?」と。
多くのサイクリストは家庭用扇風機に見切りをつけ、工業用扇風機(または工場扇)を家庭に持ち込んだのだ。
あらゆるスポーツの中でも、トレーニングするための自宅設備に人一倍こだわっているのがサイクリストである。私の友人は家を建てたのだが、その際に「自転車部屋」なるものをやはり作ったのである。もうお一方は数年前に家を建てたが、玄関から直で自転車部屋が併設されていた。
そこにはやはり工業用扇風機が常備されていた。今回は、扇風機の性能を読み解く知識と、家庭で使える工業用扇風機TOP3をまとめる。本記事は過去に執筆した記事をベースに「2017年〜夏〜」版として新たに再編集しお届けする。
おすすめ扇風機TOP3
ここまでで、すでに別ページに移動しているか、読み飛ばしている人が大多数と予想している(何と言っても扇風機を紹介するという意味不明な記事だ!)。ここからは風速、風量ともに「サイクリストが練習するのにオススメな工業用扇風機」を見ていく。
第3位「台湾製」45cm 三輪キャスター付工業扇風機 YL-168CF
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我が家で購入したのがこのキャスター付き工業用扇風機だ。単純に風速と風量が1位と2位の製品よりも秀でていたため選んだ。スペック一点買いである。
しかし、なぜか台湾製をプッシュしている工業用扇風機である。「台湾製=高品質」という事に異論はない。実はこの商品は、私も使っている三輪キャスター付で床置き型タイプである。ちなみに弱でも風速330mというモンスターパワーを発揮する。
- 羽:45cm(4枚羽)
- 風速:330m/375m毎分
- 風量:173/211
- 消費電力:119W/131W
もう一つオススメな点をあげてみよう(もしかしら、デメリットかもしれないが)。工業用扇風機の中でもキャスター付きということもあり、キャスターを「OFF」にするとなんと部屋の中を「走りだす」のだ。まるでルンバのように自由自在に(予測不可能かつ挙動不審に)動き出す。
もちろんコードも工業用ということもあり、無駄に長いので自由に走り回ってくれる。ところが、キャスターONにすればじっとしているので、非常に可愛い工業用扇風機と言えるだろう。まるでペットのように工業用扇風機と戯れたいサイクリストには特別オススメの逸品だ。
第2位 アイリスオーヤマ 工業扇風機 スタンド式 三脚 KF-431SE
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こちらは、2017年新作モデルのアイリスオーヤマ工業用扇。ポイントは、「キャスター型」「スタンド型」「壁掛け型」「据え置き型」が選べるという家庭事情に応えられる唯一の代物。室内でトレーニング勤しむ様々な境遇に置かれたサイクリストにぴったりな工業用扇風機だ。
新型の安全カバーが地味な工業用扇風機を忘れさせてくれるはずだ。
第1位 ナカトミ(NAKATOMI) 45cmスタンド式 工業扇風機 OPF-45S
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アマゾン工業用扇風機第1位はナカトミの工業用扇風機だ。見るからに工業用扇風機という佇まいもなかなかのものである。45cmのスタンダードな羽根にと普通の工業用扇風機だが人気の秘密は騒音に有る。
その騒音値は63/66dBである。60dbという定義を身近なもので例えると「静かな乗用車」「普通の会話」「チャイム」「時速40キロで走る自動車の内部」と工業用扇風機としては非常に優秀な騒音レベルと言わざる負えない。
- 羽:45cm(4枚羽)
- 風速:285m/356m毎分
- 風量:強160/187立方m/min
- 消費電力:110/131W
ある種、「家庭用工業用扇風機」といえるベストバイと言えるのではないだろうか。というより、アマゾンのレビューが本来の使い方とは全く異なり、結構イッちゃってるのでぜひご一読いただきたい。
Tacx Neo Smart(スマートトレーナー)用に購入しました。組立は簡単で15分以下かな? 以前は扇風機なしでトレーニングしてましたが、汗が凄くて滝のようでした。ロードバイクは野外で頻繁に乗っていますが、こんな汗は出ません。室内トレーナーは、1)風がない2)信号がない、つまり常時スピードUP、なので扇風機は必須品だと思います。この扇風機なら出る汗の量が、扇風機無しと比較して7割ぐらい減りました。
とかww
エアコンのない室内でのローラー練習用に購入しました。
「弱」でも家庭用扇風機の「強」を大幅に上回る豪快な風を発します。
日中30℃に達する室内環境ではコレでも当然暑くて大量の汗が出るものの、
1時間程度の練習なら今のところは「弱」で大丈夫ですので、
買い求めやすい価格ですし、購入して良かったと思います。送風音は相応にあり、フローリングの床面に直接置くと「ゴー・・・」と
いう運転音が階下に響きますので、戸建ての我が家ではポリウレタン製の
クッションを敷いて騒音軽減を図っています。防音性の高いコンクリ造りのマンションなら問題ないと思いますが、
木造等の音が響きやすい集合住宅で2階以上にお住まいの場合は、
きちんと防音対策を行う必要があるかも知れません。
普通の人は、「ローラって何?」ってなるはず・・・。
【番外編】スイデン ハネ600mm三相200V SJFT604A
番外編では「工業用扇風機界の究極の回転体」の異名を持つ「スイデン 送風機(どでかファン)ハネ600mm三相200V SJFT604A」をご紹介したい。サイクリストは「究極の回転体」という言葉が大のお気に入りだ。事あるごとに用いる。
工業用扇風機の最強モデルのお値段は¥338,800である。まさに扇風機界の”ライトウェイトマイルシュタインオーバーマイヤー”相当の値付け(海外)がされている。ただし重量が85kgとこちらはライトウェイトではない。しかし、最大風速20m/sと家庭内で台風並みの”暴風域”を楽しむ事が可能だ。
ペダリングモニターが、競輪学校や実験室でしか体験できなかったのと同じように、風洞実験室でしか再現できなかった”暴風域”をご家庭でも身近に楽しむ事ができるようになった。
- 羽:710mm(6枚羽)
- 風速:1200m 毎分
- 風量:460/550立方m/min
- 消費電力:2200W ←!
- 重量:85kg ←!!
- 参考価格:¥338,800 ←!!!
なおこれだけのデカさなのだが、関東への配送料無料!というところも見逃せない。以上が私がスペックから使い勝手まで総合的に判断したTOP3である。ここから次の話題は、興味の有る方だけ読み進めて頂きたい、扇風機のスペックの話だ。知らなくても何ら生きていける話題である。
扇風機のスペックを読む
扇風機はどのように空気を押し出しているのだろうか。単純で素朴な疑問である。その答えは単純明快、空気中で羽を回転させることで空気をある方向へ押し出している。もう少し厳密に言うならば、電気の力で羽を回転させ、風の移動を作り出す装置が扇風機と言える。
よって一言に「扇風機」と言ってもそれぞれ性能や役割が異なる。その性能を読み解き、理解せずには良し悪しを比較することはできない。まずは「扇風機」がどのような性能を持っているのかを知るところからはじめよう。手始めに「風速」と「風量」について理解を深めていきたい。
「風速」「風量」という2つの定義で、扇風機の能力は残酷にも表される。
風速とは
扇風機の諸元表には必ず「風速」という表記がある。文字通り「風の速さ」だ。扇風機の用語で風速と出てくるとイメージしにくいが、天気予報で使われる「瞬間最大風速」と言えばイメージしやすい。単純に風として空気が移動する速さのことである。
ただし、通常の天気予報で用いられる「風速」の単位はm/秒(いわゆる秒速)であり、扇風機のスペック表で使われるのはm/分(いわゆる分速)である点に注意したい。秒間で進む風を表しているのか、分あたりで進む風を示しているのか、しっかりと単位の意味を抑えておきたい。
風量とは
扇風機のスペック表には「風量」というもう一つの表記がある。扇風機を選ぶ際に気にすらしたことがあまりない量である。良い機会なので少し理解を深めたい。「風量」とは単位時間あたりに移動する「空気の量」だ。・・・いやさっぱりわからない。
別の角度から風量を理解するために、水をまく「ホース」を思い浮かべてほしい。一度に多くの「量」の水をホースから流すなら、太いホース、細いホースどちらを使うだろうか。答えは太いホースである。これはイメージしやすい。
バケツの水をひっくり返すより、子供用プールの水をひっくり返す方がスピードは同じかもしれないが水量は多い。確かに厳密に考えれば、水量のようにホースの限定された空間内を想定する場合と、風量のように自由空間を流れている場合かで考え方は異なるが、今回はソレ以上は言及しない。
扇風機の定義とは
「扇風機」の定義は何だろうか。具体的に扇風機について改めて定義するならば、回転する羽で「空気をある方向に押し出す道具」である。いきなり難しそうな表現だ。見方を変えればダイソンの羽根のないアレは「扇風機」ではなく「送風機」である。
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ただ、販売店やネットでは「扇風機」という親しみ深い言葉が広く使われているためか、ダイソンの羽のない「送風機」も「扇風機」と呼ばれることが多い。という余計な前置きはともかく、これから話をする対象は羽のある「扇風機」だ。ソレが言いたかった。
家庭用扇風機の定義
まずは、家庭用扇風機の定義についてだ。家庭用扇風機の定義は「日本工業規格(JIS)C 9601 扇風機」として明確に規格化がされている。その中でも羽根の大きさは、直径20・25・30・35・40センチメートルの5種類が定義されている。
更に詳しく見ていこう。日本工業規格で定義されている「家庭用扇風機」の羽根直径、風速、風量、消費電力は以下の通りだ。
- 羽根直径/風速/風量/消費電力
- 20cm/115m/min以上/12.5m^3/min以上/35W以下
- 25cm/145m/min以上/18m^3/min以上/50W以下
- 30cm/170m/min以上/28m^3/min以上/65W以下
- 35cm/190m/min以上/38m^3/min以上/80W以下
- 40cm/205m/min以上/54m^3/min以上/100W以下
工業用扇風機の定義
工業用扇風機とは、家庭用の扇風機よりも「大きくて風が強い扇風機」である。およそその羽は40cm以上あり、家庭用扇風機とはかけ離れた風速と風量を備えている。ただし実際に使ってみるとわかるが、風きり音の騒音問題は考慮されておらず、家庭用扇風機と比較にならないほどうるさい場合もある。
まとめ: 工業用扇風機は必須(確信)
ここまで、重要な事を言い忘れていた。なぜサイクリストが工業用扇風機を使うのか?というとても重要な事に、深く触れていなかった。熱心なサイクリストは、室内でローラーというただタイヤを転がすだけの機械でトレーニングをするのだ。その最中に扇風機を用いる。その上で機材が好きなサイクリストも多いから、今回のようにスペックをより深く知りたくなってしまう。
それらを気づかぬまま、もしもあなたが読み進めていたなら、相当なトレーニングを積んでいると察する。また、前提知識の説明も無く、ここまで何のことかわからずに工業用扇風機の話に着いてきた方(多くの場合が工業用扇風機を使わない人だろう)は一度その価値を試して欲しい。
この記事を読み終えた後、あなたの家には、ローラーライフを快適に過ごすための「工業用扇風機」が鎮座しているはずだ。そして、もはやその刺激的な体験からは逃れられなくなる。これからの厳しい暑い季節、一度工業用扇風機を使ってみれば必ず、ファンになるだろう。そう、扇風機だけに・・・。
( ゚д゚)・・・。
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