昨今のパワートレーニングにおける最大の課題は「情報過多」にある。パワートレーニングでは当たり前のように難解な専門用語が飛びかう。パワーを測定するだけでは強くなれないし、ましてやペダリングモニターに代表される「ペダリング効率」をきちんと理解しているサイクリストはどれほど居るのだろう。日本にこんなことわざがある。
「猫に小判」「豚に真珠」と。
とても耳が痛い話だ。もう少し突っ込んで言いたい。パワーメーターなんて取り付けただけでは速くならない。見て楽しんで「今日もパワー出てたわ〜」なんて自己満足の世界に浸って終わりだ。そんな事は本末転倒だということを皆理解している。しかしどうトレーニングしたら良いのか、多くの購入したユーザーが路頭に迷っている。
その問題に真っ向から解決に乗り出したパワーメーターが有る。そう、今やツール・ド・フランスを走るプロチームも使い、日本で圧倒的なシェアを誇る「ペダリングモニター」通称ペダモニ(余談だが「ペダもニダ」とやや韓国的な変換をしてしまった!)だ。
このペダモニに新機能「トレーニングアシスト機能」が4/19に搭載される。これはパワー(出力)という自然界の絶対的指標をいかに「活用」するのかをアシスト(補助)してくれる。そう、そこに本来あるべきパワートレーニングの真髄がある。いよいよ本来の目的を果たすべく追加された新機能「トレーニングアシスト機能」に迫っていこう。
トレーニングアシスト機能とは
単刀直入に言おう。パワーメーターは単なる測定器にしか過ぎない。極端に言うならば「体重計」や「体温計」となんら変わりない。どちらかというと体重計はひずみゲージが備わっているからパワーメーターと親戚みたいなものだ。人間が体重計に乗ることで、ひずみゲージが変化して体重を測定する。
もちろん地球上の物理法則にのっとった値を算出する。そう、皆が皆一様に使える指標として。ただ、今までのパワーメーターはどれも非常に無機質であった。「300W」それ以上は示さない。「だからなにが300Wなんだよ」と突っ込むだけならまだましだ。
パワーメーターはどれも結果を表示してくれるものの、その値をどうやって使えば良いかまでは教えてくれない。そんな中、パイオニアペダリングモニターの新機能はこの問題を解決する。そもそもパワートレーニングの本質はトレーニングの時間と量を「解析」する事にある。
言い換えるならば、データから得られた情報を「解析」してフィードバック(次回のトレーニングに活かす)することで初めて強くなる、という仕組みだ。この点はしばしば忘れがちになる大事なことである。ただ、どんなメニューをこなせばよいのか、初めての人にはなかなか理解できないし、わからない。
しかし、今回新たに追加されたトレーニングアシスト機能があれば安心だ。この機能は大きく3つのサイクルを繰り返す事でパワートレーニングをより効率よく行うことが出来る。1つ目は「自分のスキルや目標に合ったメニューと目標値を選択」する。2つ目は「トレーニングを実行」する。
3つ目の最後は、パワートレーニングをまるで説明書のように解説するページで反省と次回への改善点を確認する。そしてまた1つ目のトレーニングを繰り返す「永遠に終わらないトレーニング」でサイクリストを骨抜きにするまで楽しませてくれる。
トレーニングメニュー
トレーニングメニューは予め備わっているメニューを試すのも良いし、普段の自分のメニューをカスタマイズして登録することも可能だ。使用するのはiPhoneを用いてCyclo-Sphereからトレーニングアシスト画面を選択しよう。そして、先ほどのトレーニング目的と方法をiPhoneの画面で確認する。
トレーニングメニューは科学的理論に基づいて作られている。過去に私は、コーガン先生の本を翻訳していて一つ一つ紐解いていた(懐かしい黎明期である)。しかし時代は進みシクロスフィア上では「トレーニング入門編」「パワートレーニング入門編」「ペダリングトレーニング入門編」でパワトレとは何たるかが紹介されている。
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内容も論文のような難解な文章だけではなく、イラストが用いられ紹介されている。目標となる数値は、Cyclo-Sphereで設定された体重をもとに算出され、もちろんカスタマイズも可能だ。メニューを作成した後は、SGX-CA500に取り込んで選択すれば地獄のトレーニングのスタートである。
まとめ:パワーメーターは使ってなんぼやで
詳細の内容はオフィシャルサイトの「トレーニングアシスト機能」を参照されたい。また、公開されている動画を見れば、今回のアップデードがいかに優れているかが見て取れる。
パワーメーターのトレーニングの黎明期にコーガン本を読み漁った頃を思い出す。ただし本書は、運動生理学的な観点で基本的な内容ですら難解に回りくどく書いてあるのだ。パワートレーニングの取っ掛かりに必要なのは、根本となる基本的な知識である。
それらを簡潔にまとめた「トレーニングアシスト機能」は多くのパワートレーニング初心者の指南機器になるだろう。ただパワーを測れれば良かった1世代目の時代から、本格的にトレーニングをアシストする第二世代へ。ペダリングモニターはどのメーカーも踏み入れていない、本当にユーザーが必要としている新たな領域へ向かおうとしている。
もはや、パワー測定だけではパワーメーターも選手も生き残れない時代になってきた。