本当にペダリング効率にこだわる必要はあるのか?

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効率とはなにか

“パワーウエイトレシオ5.0W/kg”という一つの指針がある。しかし、パワーは要素である。本質はなにか。”スピードを出すため”である。ワットはスピードの為の一つの要素に過ぎない。そして、効率もその一つだ。

出力を効率的に推進力に変えてこそ初めて意味を成す。自転車はウェイトリフティングではない。重い物を持ち上げる、力強くペダルを踏むはイコールだ。しかし自転車の場合、決定的に運動が違う。

回転するクランクに対して”どちらの向きに働かせた力なのか”。そしてどれだけ物体を動かす力に変換できたのかである。

ワットとは以下の式で求められる。
ワット=トルクx回転数x定数
自転車のトルクは、ペダルを踏む力xクランク長さで算出する。

5.0W/kg出せたとする。しかし、どれだけ推進力に変わっているのか。そこに着目し、今回考察してみたい。

ペダリング効率で必ず出てくる名前がある。中野浩一選手だ。特に効率が高い。ペダリングで発生させたパワーを推進力に変える力が特にあるとされる。以前当チームのペダリング講習会で、山崎店長が紹介したデーターを紹介する。

ペダリングスキル=効率

元トップ競輪選手の松本整さんが日本体育学会発表した論文が興味深い。詳しくは動画を見ていただきたい。自身と比較すべきペダリングスキルの違いを考察する。

松本整さんが日本体育学会発表した論文のURL
http://tetsujin.tv/presen/

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この図をご覧頂きたい。中野浩一さんと、松本整さんのペダリングスキル違いだ。双方のペダリングスキルの明確な違いがある。クランク踏力(とうりょく)だ。円に対して赤が推進力に変わる力(接線)。円に対して青が無駄な踏力(法線)である。

そして着目すべきはスピード(速度)だ。松本さんの速度は62.1km/hであるのに対し、中野さんは62.3kmである。極限の世界ではこの差が非常に大きい事は言わずとしてわかることだ。

  • 62.3km/時は秒速17.306m/秒
  • 62.1km/時は秒速17.250m/秒

である。1000mでは

  • 62.3km/時は秒速57.783秒
  • 62.1km/時は秒速57.971/秒

となる。肝心なのは下死点で発生している力の大きさだ。松本さんの方が中野さんよりも64kgf大きい、ということが、着目すべき重要な点である。しかしスピードには寄与していない。出力が高い事が必ずしも推進力になっていない好例である。これが残酷なペダリングスキルの結果なのだ。

では自分の場合のデーター

先ほどのお二人のデーターと自身のデーターを比べてる。パイオニアペダリングモニターはこのような解析も当然可能である。理由は法線と接線を別々にひずみゲージで取得しているからだ。

1 kgf = 9.80665 N であるので、
松本整さんの場合(62.1km/h)

  • 推進力に寄与する力(接線):24kgf(235N)
  • 推進力にならない力(法線):108kgf(1,059N)

中野浩一さんの場合(62.3km/h)

  • 推進力に寄与する力(接線):25kgf(245N)
  • 推進力にならない力(法線):44kgf(431N)

FJTさんの場合(全開フルもがき1,060W)

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  • 推進力に寄与する力(接線L):22kgf(214.3N)
  • 推進力に寄与する力(接線R):24kgf(236.1N)
  • 推進力にならない力(法線L):66kgf(642.8N)
  • 推進力にならない力(法線R):72kgf(708.3N)

なんと、無駄な法線が大きいことか。誤解してはならない事がある。私は瞬間的なパワーであるのに対して、競輪選手はこの爆発的なパワーを短い時間かけ続けられる。その点が明らかに違う。瞬間的に切り出した値なのか、ある持続的な運動上得られた値なのか。明確に違う事を補足しておく。

高出力=高速ではない

パワーを出すことは重要だ。それに加えいかに推進力に変えられたのかが更に重要である。パワーを出すこと、そして効率的に回すこと。さらには空気抵抗を減らしてドラグを減らす。結果スピードにつながる。

効率の可視化を実現したパイオニアペダリングモニターの登場はタイムの短縮に寄与する事を意味する。ただ使いこなして、努力すればの話である。これにより乗鞍ヒルクライムやタイムトライアル系種目に大いに有効であると言える。

ライトウェイトを買っても効果がわからない。理由は数値化できないからだ。しかしペダリングスキルは数値化できる。そう考えると何十万も出して買うべき「金で買える速さ」はどちらであるのか明確である。

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