楕円チェーンリングは本当に効率が良いのか

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楕円は本当に効率が上がるのか

昨日の投稿”スプリンターはなぜ楕円を使わないのか“の単体記事の閲覧数に驚いた。一日で3000ユニークユーザー以上である。これは楕円への興味と、同じように疑問を持たれている方が大勢いる、ということを推測する。

私がなぜ、このような事を考えるに至ったのか。結論から先に述べよう。楕円チェーンリングを使っても、効率が上がるとは”言い切れない”。具体的にいう。楕円チェーンリングの特性に”合わせた”ペダリングならば効率があがる。

真円から楕円に交換した場合を考えてみる。楕円に変えたことにより、効率(パイオニアペダリングモニターなどを用いて)が上がったならば、「楕円」に適したペダリングであり、「真円」に適さないペダリングである。ただそれだけだ。

しかし、その言葉の意味を注意深く探る。楕円チェーンリングの特性に合わないペダリングなら効率は下がる。すなわち楕円チェーンリングに向いているペダリングと、向いていないペダリングがある。と言った方が整理しやすい。

楕円チェーンリング=効率が良い

という安直な思考をしていた自分の考えを改め、そして改めて今、考察しよう。

効率は”何の”効率か

私は「楕円=効率が上がる」という言葉に疑問を持ち始めた。まことしやかに定着した効率の定義を再考したい。楕円チェーンリングにおいて”何の効率”が上がるのか。一体何の。”何・の”効率なのかが明確に定義されていない。

主語は何を指しているのか。

一つ世間で明確に定義している”効率”がある。それはパイオニアペダリングモニターの”ペダリング効率”だ。ここで私の言いたいことをしつこいが言わせてもらう。”ペダリング”の、効率である。

計算式は当ブログのパイオニアペダリングモニターのまとめ記事を参照して欲しい。

条件はペダリング1周において。法線方向と接線方向に発生した力を合成する。その合成した値に対して、どれだけ接線方向に力が働いていたかを考慮する。そして各角度の12個のデーターの総和からペダリング効率を算出する。

結果、パイオニアペダリングモニターのサイクルコンピューターに表示される。

法線方向に力が全く働いていなければ、「合成ベクトル=接線」となるので効率は100%となる。以上が”ペダリングの効率”である。ここまで具体的な効率の例を示した。ここでやっと不明確な定義である、”楕円は効率が良い”の話に戻そう。

一体何の効率が良いのか。

何の効率を言っているのか

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楕円チェーンリングを使うと、”ペダリングの”効率が上がる、とした場合について。念のためもう一度定義する。ペダリング効率とは、合成ベクトル(法線、接線)に対してどれほど接線の割合を占めるか、その12分割分を考慮したものである。

ここで、一つイメージして欲しい。ただ、単純にチェーンリングが着いていないクランクを回すイメージだ。まず、チェーンリングがない状態を想像する。そして回してみよう。ギクシャクしながらも、円を描こうと回すはずだ。

しかし、人の脚の動きはレシプロエンジンのそれと似ている。縦運動を回転に変えている。決してローターリーエンジンではない。話はそれた。そこにノーマルの真円チェーンリングをつけよう。

ノーマルクランクで回す場合

この時ペダリング効率は上がったのだろうか。下がっただろうか。答えはチェーンリングをつけた結果、ギアの重みで自身のペダリングが変わるか否かにある。

重みがまし、踏み込んでしまうことで下死点で無駄な法線方向の力を”発生させてしまうペダリングの場合”。その場合は、チェーンリングの影響を受けて、『ペダリングの効率が下がった』と言わざるおえない。

しかし、チェーンリングがついていない状態と何ら変わらずペダリングをした場合は、効率は変わらない、が正解だ。(現実には考えられないパターンだが)

もしくは効率が改善した場合。ギクシャクして無駄に法線に働いていた力とする。ギアを取り付けることにより、ダウンストロークは接線方向へ、アップストロークでは反対側のダウンストロークを妨げないようなペダリングをした。(とする)

その場合は”ペダリング効率が、向上した”ということができる。

楕円チェーンリングで回した場合

次に楕円チェーンリングを付けた場合を考える。想定は、チェーンリングがついていない状態で回していたペダリング効率と、楕円チェーンリングをつけたあとのペダリング効率の比較だ。

この場合、真円と同じことが言える。チェーンリングがついていない状態と何ら変わらずペダリングをした場合は、効率は変わらない。または、無駄に法線に働いていた力が、ギアを取り付けることにより、ダウンストロークは接線方向へ、アップストロークでは、反対側のダウンストロークを妨げないようなペダリングをした。

その場合は”ペダリング効率が、向上した”ということができる。もうカンの良い方なら気づかれるかもしれない。効率が上がるか、下がるかはペダリングの前提条件による。そのクランクが回転する方向に対して一番効率のよい力の向きは接線方向である。

それは何があっても、絶対に変わらない。

効率に影響を及ぼす要素

しかしチェーンリングというギアが挟まることにより、その法線方向の力に変化が生じる。それが効率が上がったり、下がったりする正体だ。ギアが挟まっていない状態でも、当然クランクを回転させるわけだから、非常に小さな負荷の世界の”効率”があるのだ。

もう、しつこいかもしれない。しかしあえて書く。真円チェーンリングから、楕円チェーンリングに変えた時のペダリング効率だ。この場合の答えは単純だ。ご自身のペダリング癖において、クランクが回転する接線方向に、ちからをうまく掛けられるチェーンリングのほうが効率は上がる。

ただそれだけだ。ひとによっては、楕円であり、真円なのだ。したがって楕円を使うと効率が上がる、は楕円に適したペダリングならば上がるし、楕円に適さないペダリングならば効率は下がる。

楕円を使うと効率が上がります、という安直は発想は今日で終わりにしたい。

本当にそうなのか実験した

RIDEAの楕円のインナーを平地で使うと、抜ける感覚があり、「踏めてない感」が非常に強い。しかしアウターは「踏めてる感」が強く効率がインナーよりも高い結果が出ている。

何が言いたいか。人間の足の運動に合わせて作ったと言われる楕円は「最大歯数のスポットで踏めなければ、それ以降は真円よりも小さいギアで踏む」のではないか。

ある限られた区間ROTORの場合以下のペダリング特性の場合向いていないといえる2~3時で最大のちからが発生し、4~5時は力を抜く場合だ。

なぜかは下図を見てほしい。
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本来2~3時がご自身に適したベストなペダリングであるとするならば、楕円に合わせてペダリングを劣化させ楕円好みのペダリングにしなくてはならない。しかし、また別な言い方をするならば、既に楕円好みの場所でペダリングできるならそれ以上何も言うまい。

楕円の最終進化は真円であるか

楕円で効率があがるのか、について。結局楕円に適したペダリングもある。そして真円に適したペダリングも同様だ。貴方自身のペダリングはどちらなのか。楕円でスポット的に踏むほうが良い場合。そして真円をまんべんなく回せる能力を持っている場合もある。

ROTORはある狭い領域でピンポイントで最大トルクを発生させる場合に向いている。しかし一番オイシイ所意外で力を発生させてしまうと力を抜きたいところでMaxのギアを迎える場合がある。

RIDEAはどうか。RIDEAはROTORと真円の真ん中だ。オイシイギアは40度分ある。その中で”踏めれば”楕円はこれ以上無い素晴らしいツールだろう。では40度が60度に?そして180度に・・・。楕円が辿り着く究極の形は、真円ではないだろうか。

そして人間が最後に到達する理想のペダリングの為のギアはなんだろうか。私はそれを実現する道具は真円ではないかと現段階で結論付ける。どこを踏んでも、まんべんなく力をかけられる真円。楕円の行き着く先は真円であると現段階で結論づけたい。

そして求めるべき理想の回転体も真円チェーンリングと、真円を回せるペダリングスキルであろう。

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