- 最高峰AEROAD CFR(東レM40X)
- プロ供給ハンドル搭載
- ステム長選択可(80mm~140mm)
- クランク長選択可(162.5mm~175mm)
- CRW5055カーボンスポークホイール
- ミッションカーボンクランク
- Dura-Aceディスクローター
- この完成車で59.9万円!
ツール・ド・フランスや世界選手権で頂点を極めたAEROAD CFR Gen3が限定復刻。しかも、ありえない価格で。
キャニオンの最高峰CFRグレード(東レM40Xカーボン)のAEROAD CFR Gen3が価格をおさえて復刻する。現行最新型のGen.4と同様の最先端カーボンM40Xを使用し、いまだ世界最速クラスの空力性能を備えている。
今回の完成車について、キャニオンジャパンから機材アッセンブルの相談を受けた。機材性能と価格のバランスを見極めながら、完成車の性能を限界まで引き出すことを目標にした。
「速さx軽さ」そして「価格」のバランスである。
検討を進めた結果、以下の構成とユーザーの利便性を高めた完成車を販売するに至った。
- フレーム:キャニオン AEROAD CFR(最高峰M40Xカーボン仕様)Gen.3
- ハンドルステム:CP0015 プロ支給品 -17°or -6°(80mm~140mm 選択可)
- クランク:MISSION カーボンクランク(162.5~175mm 選択可)
- ホイール:Craftworks CS5055 カーボンファイバースポーク仕様
- ディスクローター:シマノ Dura-Ace RT-CL900
- コンポーネント:シマノ 105 Di2 12速
- タイヤ:パナレーサー AGILEST FAST 28㎜
- チューブ:パナレーサー TPUチューブ PURPLE LITE
この構成で、価格は59.9万円(税込)だ。
間違えないようにあえて書いておくが、59.9万円はフレームセット単体の価格ではない。確かにこれと近い価格で当時はフレームセットが売られていたが、上記全てのコンポーネントが付属する完成車の価格が59.9万円だ。
これまで、キャニオンの完成車で最大の弱点だったのはステム長やクランク長が選べなかったことだ。今回の完成車では、幅広いステム長やクランク長から自由に選択できるようになっている。多くのライダーに間口が広がった形だ。
一体型ハンドルに至っては、プロ供給品のCP0015でステム角度-17°、80mm~140mmまで10mm刻みで選べる。
- プロ仕様CP0015(-17度)ステム長: 80 / 90 / 100 / 110 / 120 / 130 / 140 mm
- クランク長:162.5mm / 165mm / 167.5mm / 170mm / 172.5mm / 175mm
- ハンドル幅(ステム長80,90mm):370-390-410mm
- ハンドル幅(ステム長100,110,120mm):390-410-430mm
- SIGEYI パワーメーターオプション 60,500円
- サドル無しオプション:-10,000円割引
- ロゴステッカーチューンキット付属
AEROADのGen2、Gen3、Gen3.1、Gen4と所有し乗り継いできた経験から、「ユーザー観点でこれがダメ」という部分を全て洗い出し、潰しつくした。
ステム長とクランク長を「無料で選択できる」ことは最も重視した部分だ。ステム角度 -6°のCP0018のほかに、プロ仕様のCP0015(ステム角度 -17°) に変更できる。長さは80mm~140mmまで対応するので、ポジションが出せないユーザーはこれで居なくなるだろう。
私を含めたAEROADユーザーにしてみれば、「なんで最初からやってくれなかったんだよ!ハンドルだけ売ってくれ!」とクレームが多少は来るだろう(私がしたい)。既存のAEROADユーザーは、ステム長を自由に選べること、プロ仕様の-17°ステムを望んでいた人も多い。
AEROADユーザーが実際にステム長で困っていた事実や、マチューやフィリプセンが使っていたプロ供給品の-17°ハンドルはプロだけでなく、一般ライダーにとっても必要性が高いと判断したため完成車で選べるようにしている。
クランク長も選べる。超ショートクランクの162.5mmから、175mmまで選択可能だ。
162.5mm / 165mm / 167.5mm / 170mm / 172.5mm / 175mmとあらゆる長さを選択する事が可能になっている。ミッションカーボンクランクは、シャフトの精度が改善されており、国内でのアフターも受けられるため採用している。
パワーメーターも追加で選べる。私も現在使用中のSIGEYIだ。
キャニオンには申し訳ないのだが、セライタリアのサドルは合う合わないがある。私は使わずに売ってしまうことが多い。そのため、不要なら完成車価格から10,000円値引きできるようにした。ユーザーが購入後に売却する手間が無く、値引きという形はユーザー目線に立った配慮だ。
ロゴの色を変更できるステッカーチューンキットが付属する。キャニオンはステルスカラーが多いため、ロゴとフレームカラーがかぶって、地味な印象があった。そのため、ダウンチューブのキャニオンロゴと同サイズのステッカーが付属する。
以上のアッセンブルで、完成車重量は7.2kg(ペダル無)だ。
- STIレバー:ST-R7170
- ローター:Dura-ACE RT-CL900
- キャリパー:BR-R7170
- チェーンリング:CN-M7100
- クランク:MISSIONカーボンクランク (162.5mm / 165mm / 167.5mm / 170mm / 172.5mm / 175mm)
- タイヤ:AGILEST FAST 28㎜
- チューブ:PURPLE LITE TW723-32F65-PL
- ホイール:CRW Works CS5055
- サドル:Selle Italia SLR BOOST TM スーパーフロー
- アーム:MISSIONスパイダーアームshimano用
- チェーンリング:R7100 52/36
- ボトムブラケット:SM-BB72-41B
- フロントディレイラー:FD-R7150
- リアディレイラー:RD-R7150
- スプロケ:CS-R7101-12
- バッテリー:BT-DN300
- Eケーブル:EW-SD300 300mm 600mm
- 充電ケーブル:EW-EC300
次はこのアッセンブルで組んだ完成車をインプレッションする。
インプレッション
AEROAD CFR Gen3について、これ以上何を説明すれば良いのか。
ツール・ド・フランスでマチューとフィリプセンが連日勝利し、世界選手権まで制した伝説のバイクだ。わたし自身も、2022年のニセコクラシック150km年代別優勝や、JBCFの入賞などAEROAD CFRと共に走り、成果を上げてきた。
AEROAD CFRは”Canyon Factory Racing”仕様だ。使用しているカーボンが東レのM40Xである。このカーボンは、大手メーカーのトップグレードのみに採用されている。TREKのOCLV800や、ピナレロのDOGMA F、BOLIDE-TT、YONEX CARBONEX SLDなど、150万円オーバーの超ハイエンドモデルに使われている。
通常、廉価版のモデルにはT800やT700カーボンが使われている。このカーボンを使った完成車は50~100万円のレンジだ。今回のAEROAD CFR Gen3完成車がどれだけ価値のある製品なのか、この完成車価格を見ればすぐにわかるだろう。
M40Xを使用した最上位のCFRと、T800相当を使用したミドルグレードCFの比較レビューは以下の記事を参照してほしい。

いやらしい話だが、コンポーネントだけの価格を計算してみた。
- コンポーネント一式:27万円
- ホイール:22万円
- タイヤ、チューブ:2.5万円
フレームセットを除いたコンポーネント価格は大体51.5万円である。ここに、最高峰M40Xを使ったAEROAD CFRフレームセットが付属して、完成車価格が59.9万円の価格設定だ。通常であれば100万円を超える構成でもおかしくない。
当初、この構成を提案したときは、「頑張っても100万円切るかどうか」という想像をしていた。キャニオンジャパンが提示してきたのは59.9万円だった。価格に目を疑ったが、ほんとうに59.9万円で販売するようである。
当初の案では、105グレードのディスクローターを設定していたが。実際の販売ではもう一歩踏み込んで、現行最新のDura-Ace RT-CL900ディスクローターにアップグレードしている。正直、訳が分からない。
タイヤやチューブに関してもコストダウンできる部分だが、パナレーサーのアジリスト FASTとTPUチューブを採用した。見えない機材も一切手を抜いていない。キャニオンならシュワルベだが、そこは国産で良い機材のアッセンブルにしたかったという理由もある。
なお、パナレーサーとは何の利害関係もなく私が勝手に選定した。
ホイールは50万円の完成車では絶対にありえない(付属しない)選択をした。50/55mmリムハイトながら、重量が1,250gのカーボンスポークを採用したCRW5055だ。
CRWは元々大手フレームメーカーのホイール部門の開発者が独立して立ち上げたメーカーだ。このホイールはかなり使い込んだが、耐久性や走りも申し分ない。
ROVALのクライミングホイールALPINIST CLXの1,248gより「+2g」重いがリムハイトを考えれば驚異的な軽さと言える。
50/55mmのディープリムで平地を、1,250gの軽さでクライミングの全てに対応できる。それでいて、AEROAD CFR Gen3の空力性能はいまだ世界トップレベルだ。日本で購入できるバイクにおいて、AEROAD CFR Gen3より速いバイクはAEROAD CFR Gen4だけである。
シマノ105Di2仕様の変速性能は、目をつぶれば最上位のDura-Aceとの違いを見分けるのはほぼ不可能だろう。105 Di2仕様で完成車重量が7.2kgであるため、Dura-Ace Di2に変更した場合は、6kg台を達成することも十分可能だ。
シートポストやハンドル回りも全てカーボン製だ。コクピットを標準仕様からプロ仕様の CP0015 コックピット(ステム角度 -17°)で80~120mmのサイズへアップチャージ無しで選択できる。AEROADが欲しかったが、ポジションが出せずにあきらめていた方の悩みも解消されるだろう。
実際にこの構成で乗ってみると、AEROADらしい硬質さとかかりの良さがある。カーボンスポークも相まって反応も良い。ホイールが軽いため、登りもローハイトホイールを使っているかのような軽快さがる。乗り込んで乗りなれているバイクであるという理由もあるが、AEROADはとにかく速い。
「空気の壁を抜ける」あの感覚はAEROADならではだ。
今回のGen3とGen4を比べると細かな部分は確かにGen4の作り込みが良い。しかし、腐っても鯛ならぬ、1世代前で既に完成の域に達していたGen3はいまだ現役である。それは、現在でも世界最速レベルの空力性能を備えている事が証明している。
このバイクを使ってほしいのは、
- 真のパフォーマンスとコストを追求した機材を求めている方
- 最高峰のカーボンを使ったハイエンドバイクに乗ってみたいが、コスト的にミドルグレードで断念していた方
- 世界最速クラスのハイエンドバイクを使ってみたい方
”全て”の機材アッセンブルも一級品だ。価格が安いだけを「コスパが良い」と考えてしまう風潮へのアンチテーゼでもある。
今回の完成車は、コストに対して世界トップレベルのパフォーマンスを備えている。真の意味でコスパが高いというのは、この完成車の事をいう。
まとめ:世界最高峰のロードバイクを
最後に、残念なお知らせをしなければならない。
限定復活のAEROAD CFR Gen3は、優れたアッセンブルと自由度の高いコンポーネントで転売屋が目を付けそうな価格設定だ。それゆえ台数は限られている。完成車は数量限定のため抽選販売になってしまうことをお詫びしたい。
抽選購入応募は、2025年2月26日19:00~2025年3月2日(日)23:59までの期間だ。
今回、キャニオンジャパンと協力して完成車の構成を考え実現に至った。キャニオンのバイクの弱点であった、ステム長、ステム角度、クランク長を選べるようにした。長らくキャニオンのバイクを使ってきた経験から、潰せる弱点は、全て潰しつくした。
購入した人が喜んで乗ってくれるような、機材アッセンブルやこれまでのキャニオンにはなかったステムやクランクの自由度を持たせた。
逆に業界から文句を言われるかもしれないのは価格設定だ。正直なところ、私でも理解ができないほどの価格設定だ。他社製品を買うつもりだったユーザーが一気に流れてきてしまう可能性がある。しかし、この価格で買えるようなことは後にも先にも無いだろう。
本音を言うと、採算がとれる価格設定とは到底思えない。だからこそ、裏を返せばユーザーには多大なメリットがあるのだ。今回のAEROAD CFR Gen3は購入者にメリットしかないのだ。
最後に懸念点がある。この完成車を買ってバラして売れば利益が出てしまう。抽選ではあるものの、転売ヤーが大量に注文を入れ、本当に買いたいユーザーに届かないのだけは避けてほしい。そこは、キャニオン側が上手くコントロールするべきだ。
今まではこの価格帯はミドルグレードしか買えなかった。10年前であってもこの構成でこの価格は無理だ。争奪戦になるかもしれないが、宝くじと一緒で抽選に申し込むことで、初めてスタートラインに立てる。
その先には、現代のハイエンドバイクに採用されている東レM40Xを使用した世界最速クラスのハイエンドバイクを、ありえない価格で入手できるという素晴らしい体験が待っている。ぜひとも入手して、世界最高峰のハイエンドバイクの走りを楽しんでほしい。
購入先は以下のサイトから。