パワーメータの”精度”を決めている装置とは 各社パワーメーターの仕様まとめ

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■パワーメーターの”精度”について
パワーメーターの測定精度について議論が盛んに行われている。しかし持論を言わせていただくと非常にナンセンスだと思っている。
理由は、パワーメーター自体の測定精度は、そのパワーメーターよりもより『確からしい』値を得ることができる基準となる装置を用いて測定される。基準装置からおよそ誤差何%であったかが測定精度として我々が見るカタログに表記される。とすると測定精度の大元である目安となる装置が異なるのだから、パワーメーターをそれぞれ比較した場合、測定誤差がある量発生する事は容易に理解できる。

■SRMとPowerTap
常々ブログや、各社のベンチマークで”パワータップとくらべて精度どうだったか?”という話が出てくる。そこ結論としては
「SRMはPowerTapと遜色ない測定精度」
という決まり文句。
これは当たり前といえば当たり前だ。その理由を次のPowerTapの仕様をまとめた内容から見て行きたい。

■POWERTAPの詳細データー

  Power Tap
ひずみゲージ開発元 SARIS
機材タイプ ハブ型
測定方法 リアハブ内部トルクチューブ
ハブ内部とフリー部のひずみを測定する。
測定精度の基準 工業用ダイナモ
測定精度(%) 1.5
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
■測定精度の指針
パワータップの精度は、工業用のダイナモメーターの出力と比較した結果が測定精度として示されている。出力(W)を正確に測定できるとされる工業用ダイナモメーターを使用し、パワータップの精度と信頼性は成り立っているとされている。■検証方法
基準としてのダイナモメーターを左側クランクアーム部(正確にはSRMの左側のシャフト)に取り付け、さらに反対側にはSRMを取り付ける。ダイナモメーターとSRMのデーター、最終的にパワータップのデータを比較した結果からそれぞれ同等のパワー数値を得ることを確認している。さらにパワータップ自体の個体性能差による、測定値のばらつきも少ない事が検証されている。ランダムに選ばれたあるパワータップAと、パワータップXのデータをそれぞれ比較したとしても、パワータップ単体での個体差の違いは殆ど無いといえる測定精度を持っている。
以上の結果からパワータップの測定精度は非常に高いと言える。精度の指針はダイナモメーターということになり、アナログな装置を用いパワータップの測定精度を決定している。
ひずみゲージ数 トルクスチューブ 4
温度変化 受けない
サンプリングレート(Hz) 60
レコーディングレート(sec) 1.26
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 ユーザー
バッテリー規格 SR44/CR2032
防水

 

SARISのPPTより
上記のようにジェットエンジンのような工業用ダイナモメーターとアナログの測定器を用いて、BB部にぶち込む。
その反対側にはSRMを用い、リアにはPowerTap、そしてインドアトレーナーは恐らく出力を測定できる外部給電が施された装置で測定精度の調整をしている。これらの情報から行くと必然的にSRMとPowerTAPは親戚みたいなもので、測定精度も当然近くなることは想像するに容易い。
さくっと終わってしまったが、SRMとPowerTapが値が近くて仲良しな理由。

次、iBike

非常に難解な理系が好きそうな計算式が並ぶ。
理論上コレぐらいの値が出るという、実際に踏んだ事によりFを測定しているわけではないので、測定指針としての値は無い。
なので理論値になるが、正直測定精度は、ダイレクトに力を表示しているパワーメーターよりは信ぴょう性がないと思う。
その理由はStagePowerのサイトにもあるが、計算が膨大になれば膨大になるほど測定値の確からしさは無くなる。
StagePowerのところでも紹介するが、PowerTapはフリクションロスを計算式に入れているのでその分ダイレクトに取得した値ではないという話をStagePowerの開発者は遠回しに述べている。(それでもStagePowerは反対側の測定値の自乗してゴニョゴニョとか測定精度の話なら結構危ういが)

  iBike
ひずみゲージ開発元
機材タイプ 風力型
測定方法 PTOT = (0.5ρVa2Vg(CdA + Fw) + 0.5(mt + I/r2)(Vgf2 – Vgi2)/(tf – ti) + VgCrrmtgCOS(TAN-1(Gr)) + Vg(0.091+0.0087Vg) + VgmtgSIN(TAN-1(Gr)))/Ec
測定精度の基準 理論値
測定精度(%) ?
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
■測定精度の指針
PTOT = total power required (W)
mt= total mass of bike+rider system (kg)
PAT = power required to overcome total aerodynamic drag (W)
I = moment of inertia of wheels (kgm2)
PKE = power required to change kinetic energy (W)
r = outside radius of tire (m)
PRR = power required to overcome rolling resistance (W)
Vgf = final ground velocity (m/s)
PWB = power required to overcome drag of wheel bearings (W)
Vgi = initial ground velocity (m/s)
PPE = power required to change potential energy (W)
tf = final time (s)
ρ = air density (kg/m3)
ti = initial (s)
Va = air velocity (relative to direction of travel) (m/s)
Crr = coefficient of rolling resistance (unitless)
Vg = ground velocity (m/s)
g = acceleration due to gravity (9.81 m/s2)
Cd = coefficient of drag (dependent on wind direction) (unitless)
Gr = road gradient (unitless)
A = frontal area of bike+rider system (m2)
Ec = efficiency of chain drive system (unitless)
FW = wheel rotation factor (expressed as incremental frontal area) (m2)
ひずみゲージ数
温度変化 受けない
サンプリングレート(Hz)
レコーディングレート(sec) 調査中
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 ユーザー
バッテリー規格  
防水 ?

 次。みんな欲しがるRotorPower


A.I.PのMEPシステムを用いている私的には次世代のパワーメーター。
あるブログに「PowerTapとくらべて測定精度に差がありすぎる」
ナンセンス。
PTは先程記載したとおり、ダイナモメーターを基準に測定精度を算出している。

ここで言いたいのはRotorPowerの測定精度は本当に悪いのだろうかという事。PowerTapがダイナモメーターのアナログなら
RotorPowerの測定精度の大元は下記に記載している16bitの分解粒度を持つSTRという装置に行われている。
私が思うにPowerTapの測定方法よりもRotorPowerの測定精度の算出の仕方が「パワーメーターの中で一番進んでいる」と思う。
SRMよりもPowerTapよりもだ。
測定粒度、精度共にRotorPowerは頭ひとつ出ている。

  Rotor Power
ひずみゲージ開発元 A.I.P
機材タイプ クランク型
測定方法 シャフト部とクランクアーム間のひずみ
測定精度の基準 Servocontrolled Test Rig (STR)
測定精度(%) 2 (0.5)
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
■測定精度の指針
A.I.PのMEPシステムを踏襲しているとすれば測定精度は、Servocontrolled Test Rig (STR)と呼ばれる装置でテストを行なっている。このSTRは16bitの出力測定分解能力を持っており、16bitの分解ということは16bit = 2^16なので1/65535という非常に細かい粒度で1秒間あたりの測定を行う事ができる。
(およそ0.00001526 秒に1回測定)
■検証方法
テストの内容は、静的荷重下、動的荷重下においてSTRと該当のPM比較し測定が行われる。
ひずみゲージ数 8
温度変化 うけない(メーカ言い分)
20℃以下のデーター出してほしいなぁ。
サンプリングレート(Hz) 500
レコーディングレート(sec) 調査中
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 ユーザー
バッテリー規格  
防水

 SRM。
SRMの指針がPTを用いているのは結構有名な話。
ここではPowerTapの話と同じだから割愛。

  SRM
ひずみゲージ開発元 SRM (Schoberer Rad Messtechnik)
機材タイプ クランク型
測定方法 スパイダーアーム
チェーンリングとクランク間のひずみ
測定精度の基準 工業用ダイナモ/Powertap
測定精度(%) 1.5
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
PowerTap とダイナモメーターを基準とする。
ひずみゲージ数 4
温度変化 受けにくい(らしい)
サンプリングレート(Hz) 200
レコーディングレート(sec) 5
ディスプレイレート(sec) 0.5
バッテリー駆動時間(hour) 1600
バッテリー交換 メーカー
バッテリー規格  
防水

 

私が思うに、PowerTapよりも、SRMよりも今現在測定粒度、測定精度においてRotorPowerが頭ひとつ出ている。
むしろ、もし「不毛な行為である、Powerメーター同士で比較したベンチマークをどうしてもするならば」

RotorPowerを軸にして、PowerTapの精度やSrmの精度がどうだったか確認したらどうだろう。
なぜPowerTapが軸となりRotorPowerの測定精度が悪いだなんて言えるのかが今でもよくわからない。
むしろ言うとするならば、RotorPowerよりもPowerTapの精度がX%離れているという事なら理解できるが。

このように、パワーメーターをそれぞれ比較することはナンセンスであるが、
測定精度の大元を探ることにより、それぞれのパワーメーターの特性が見える。

あとは何度も言って申し訳ないが結局はパワーメーターは宗教なので
自分がこの測定精度なら正しい!という信念を持って使えば、
それは300Wなら300Wなんだと思う。

私はPowerTap信仰者です。

 

 

以下は時間があったら追加する予定。
とりあえず今日はここまで。

  Power2Max
ひずみゲージ開発元  
機材タイプ クランク型
測定方法 スパイダーアーム
チェーンリングとクランク間のひずみ
測定精度の基準  
測定精度(%) 2
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
 
ひずみゲージ数 4
温度変化 ファーム改善前は使い物にならない
改善後は非常に良い。
サンプリングレート(Hz) 60
レコーディングレート(sec)  
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 ユーザー
バッテリー規格  
防水

 

  StagesPower
ひずみゲージ開発元 StageCycling
機材タイプ クランク型
測定方法 クランクアームのひずみと
センサーと外気温を測定し温度補正した結果
測定精度の基準  
測定精度(%) 2
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
 
ひずみゲージ数 1
温度変化 うけない(メーカ言い分)
外気温を測定している
サンプリングレート(Hz)  
レコーディングレート(sec)  
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 ユーザー
バッテリー規格  
防水

 

  Quarq
ひずみゲージ開発元 Quarq
機材タイプ クランク型
測定方法 スパイダーアーム
チェーンリングとクランク間のひずみ
測定精度の基準
測定精度(%) 2
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
 
ひずみゲージ数 10
温度変化 受ける
サンプリングレート(Hz) 60
レコーディングレート(sec) サイコンに依存
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 ユーザー
バッテリー規格  
防水
その他 お手軽

 

  KeoPower
ひずみゲージ開発元  
機材タイプ ペダル型
測定方法 ペダルシャフトのひずみ
測定精度の基準  
測定精度(%)  
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
 
ひずみゲージ数 4月4日
温度変化  
サンプリングレート(Hz)  
レコーディングレート(sec)  
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換  
バッテリー規格  
防水
その他 落車心肺

 

  Ergomo
ひずみゲージ開発元 SG Sensortecknik
機材タイプ BB型
測定方法 BB筒でねじれを測定(左脚のみ)
測定精度の基準
測定精度(%)  
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
 
ひずみゲージ数 1
温度変化  
サンプリングレート(Hz) 72-144
レコーディングレート(sec) 1
ディスプレイレート(sec) サイコンに依存
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換 不明
バッテリー規格 不明
防水
その他 左脚で踏んだ時のねじれのみしか測定していない。
なので右脚の測定はしていない。

 

  Polar
ひずみゲージ開発元  
機材タイプ チェーン型
測定方法 チェーンテンションの
違いによる振動を検出
測定精度の基準
測定精度(%)  
精度の指針
(上記の測定精度(%)はどのような方法で検証された値に基いているのか。)
 
ひずみゲージ数  
温度変化  
サンプリングレート(Hz) 40
レコーディングレート(sec) 5
ディスプレイレート(sec) 1
バッテリー駆動時間(hour)  
バッテリー交換  
バッテリー規格  
防水
その他  出力はチェーン速度とチェーンテンションから算出。
ギターの弦とかのイメージ

過去一番の長文を読んでくれてありがとう。

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