ブレーキピストンを片側だけ出すツールですが、有益なフィードバックや要望を頂いたので改良いたしました。本質的な「片側のピストンだけ押しだす」ことは前作から変更ありません。アップデートの要点は以下5つです。
- SRAMブレーキ用を追加
- ブレーキパッドピンとスナップリングホルダーを追加(シマノv2で対応済、スラム)
- 押出し量+0.8mm追加(シマノv2で対応済)
- 接触面が見やすいレッドに(シマノv2で対応済、スラム)
シマノ用もv2にアップデートしました(現在予約受付中)。SRAM用に盛り込んだ機能を搭載しています。
SRAMブレーキに対応
お待たせいたしました。SRAMブレーキ用を追加しました。現行最新のモデルに搭載されている「SMALL」ブレーキパッドを使用しているブレーキキャリパーに対応します。このスモールブレーキパッドは、MTBおよびロードの2ピストンブレーキキャリパーに使用されます。
本ツールが対応しているブレーキシステムは以下の通りです:
- RED AXS (D1) 2020+
- Force AXS (D1/D2) 2020+
- Rival AXS (D1) 2020+
- Apex D1 (2023+)Level (2 piece calipers) B1 (2020+)
- Level Stealth 2P Ultimate (A1) 2023+
- Level Stealth 2P Silver (A1) 2023+
- Level Stealth 2P Bronze (2023+)
ご使用中のSRAMブレーキパッドでもツールの対応可否を確認できます。
- 00.5318.024.001 (OEM Road Pad Compound)
- 00.5315.035.020
- 00.5315.035.031 (OEM MTB Pad Compound)
- 00.5315.035.010
上記モデル以外には対応していません。具体的には「SMALL ASYMMETRIC」を使っているSRAMブレーキには対応していません。2017-2019に発売されたRed, Force, Rival22のA1シリーズには対応していません。今後の製作予定もありません。
現行のSRAMブレーキシステムのみ対応しますが、お使いいただける方ぜひお試しいただけますと幸いです。
ブレーキパッドピンとスナップリングホルダーを追加
「外したブレーキパッドピンとスナップリングを保管したい」
という要望に対応しました。ブレーキパッドを固定しているブレーキパッドピンとスナップリングを外したあとに、「どこに置いたのか作業をしていると忘れてしまう」という問題を解決するために改良を加えました
アイデアをお寄せいただいた、購入者の乾様ありがとうございます。
ツールの上部にもう一つ穴を設けてあります。外したブレーキパッドピンを差し込んだ後、スナップリングを止めてください。ホルダー代わりになります。
押出し量を+0.8mm追加
ピストンをどこまで出すのか、押し出し作業をチキンレースにしたくなかったのでこのツールを作りました。そのため、ピストンが出過ぎないようにブレーキキャリパーのディスクロータースリットのキワ付近で止まる設計にしています。
ピストンの出ている量と、ブレーキパッドの厚みを考えると、これでも十分過ぎるほどの押し出し量なのです。しかし、「もう少し出てほしい」という要望・願望・欲望があり+0.8mm出るようにしました。
シマノブレーキピストンの設計上、実はあと+1.7mm攻められるのですが、現状の設計で出てくる量も整備作業するには十分すぎるほどの押し出し量です。安全マージンを十分にとること、どんな方が作業してもオイル漏れしないこと、これらを大前提として考えています。
また、ピストンが汚れていると真っすぐに出てくるとは限らず、斜めに押し出されてしまう事象を観測しています。この場合、ある部分だけ出過ぎて、ある部分だけ出てこないというピストンに傾斜がついた状態になります。このまま押し出すとオイル漏れが発生します。
そういう事象を加味してもっと押し出せるんですが、+0.8mmに落ち着きました。使用している3Dプリンタとソフトウェアの精度がかなり良く、0.1mm単位で調整できるため複数試してこの値におちついています。ご理解いただけますと幸いです。
接触面を見やすいレッドに
カラーはブラックとレッドのツートンカラーに変更しました。境目がちょうどピストンが当たる位置とディスクローター用のスリットとツライチになっています。
当初、無難なブラックカラーだけラインナップしていました。しかし、現行のシマノピストンはセラミック(白)からレジン(ブラック)に変更されました。SRAMのピストンもブラックです。そのため、ツールが同色のため見づらいというご意見を頂戴しました。
ツールの役割を考えると「ピストンが壁に当たるまで押し出す」ことができればいいので、ピストンが出てくる量は目視確認せず気にしなくてもよいというのが結論です。とはいえ、ツールが黒いと目立たないため紛失もしやすく、見つけにくいという欠点もありました。
ただ一方でブラックは汚れが目立たちません。ツールの使用用途を考えるとブラックが良いです。という水と油のカラー設定で悩んでいたのですが、土台部分はブラックでピストン側はレッドのツートンカラーにしました。
レッドカラーはピストンが白でも紅白で見やすいです。改良に伴い、シマノとスラム各モデルでこの1色(ツートンカラー)に統合しています。
まとめ:ピストン片側だけ出すことは変わらない
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「こんなツール、誰も使わんやろ」と、今でも思いながら作っています。しかし、思いのほか多くの方が必要とされていたようで、私自身が驚いています。ショップさんではブリードブロッカーをカットした物を使用されているようですが、一般ユーザーがわざわざカットするのも手間です。
ツール開発の発端は、私自身の失敗にあります。レース前日にやらなきゃ良いのに片効きのブレーキピストンの掃除をしたところ、ピストンを押し出し過ぎてオイルどばー、となって終わった経験があります。
ツールなしでは、片側だけ出すことはほぼ不可能です。たとえ、レンチで片側だけ抑えたとしても、出てくる量の調整はチキンレースでしかありません。ピストン片側だけ出す作業のチキンレースから、誰もができる作業にこのツールが皆様のお役に立てれば幸いです。
価格も据え置きで値上げの予定も(値下げの予定も)ありません。いつでも必要な時にお求めください。