「シクロクロスの大会に出たいのですが、何から始めればよいですか?」
シクロクロスはなにか面白そうだと思っていはいるものの、どうやって始めたら良いのかわからず悩んでいる人がいらっしゃるようだ。今回はそんな方向けの記事だ。ポイントだけまとめ、最短でシクロクロッサーとして大会に参加することを目的としている。
私なんぞがシクロクロスうんぬん書くことについて、否定的なご意見があることは承知している。私より速くて上手なシクロクロッサーは山ほどいるが、シクロクロス会場に行ったこともない入門者の方たちがシクロクロスを始める前に、「上手な方達」から情報を得ることなど無理な話だ。
だから、始める前にだれでも見れるブログに書いてまとめることにした。読者の対象は近場の未舗装路をただ単に走りたい方ではなく、「シクロクロスの大会に参加したいけど何をやったらいいのかわからずに困っている方」を対象としている。
エントリーする
まず、これから出られそうなシクロクロスの大会を見つけてエントリーしよう。AJOCC(アジョック)のページに日本国内のシクロクロスレースが掲載されている。大会2週間前には締め切られることが多いから余裕を持ってエントリーしてほしい。
エントリー方法は運営によって異なっている。まずは今後開催される大会の日時を確認してエントリーだ。
どのカテゴリから?
始めは一番下のカテゴリからスタートする。
- 男性:ME4
- 女性:WE3
その他にもマスター、ジュニア、ユースといったカテゴリがある。自分にあったカテゴリにエントリーする。出走人数にもよるが1位か2位になると上位カテゴリで走れる。
レース
- スタート:ピストルの合図で全員が一斉にスタートする。
- 周回数:先頭選手の周回タイムを参考に、カテゴリの競技時間に近くなる周回数が競技中に決定する。→ロード選手は驚くかもしれない。
- 勝敗:規定周回数でゴールの着順で順位が決まる。
ピットについて。ホイール交換やバイク修理が可能だ。ただしピットに入ったら必ずバイクに対して何か調整や交換などを施さなくてはならない(レンチでステムを増し締めでも良い)。何もせずピットに入って出てしまうのは失格。
大会当日
大会当日はおおむね以下の順で物事が進んでいく。
- 駐車場に停める:指定の駐車場が設けられている。運営側が決めた場所に停める。運営側が指定した以外の駐車場所に停めることや、開場時間よりも早く会場に入ることはマナー違反だ。
- ゼッケンを受け取る:受付でゼッケンを受け取る。前もって自分の番号とカテゴリを把握しておくこと。余談だが、関西シクロクロスの熟練のスタッフは、積み上がったゼッケンの厚みと、配ったゼッケン番号から、あなたが伝えたゼッケン番号が今どの位置にあるのかを把握している。あなたのゼッケンが取り出される瞬間の、スタッフ職人芸も見落とさないようにしよう。
- コース試走:レース前にかならず試走を行う。朝、昼の2回に分けて試走が行われることが多い。速くコースを走ることよりも、危険な箇所や乗れない箇所、シケインの位置、コースに分岐がある場合は自分のカテゴリがどちらの方向に行くのか確認を必ず行う。試走でできないことはレースでもできない。無理はしない。
- 招集:シクロクロスのレースはカテゴリのランク順で1列8名で整列する。スタート10分前ほどからゼッケン番号が呼ばれるので遅れないこと。遅れると最後尾に並ぶことになる。
- レーススタート:号砲と同時に出走する。
- チップ返却:チップを使用しているレースではチップを返却する。関西シクロクロスのようにゼッケン用紙の場合は返却不要な場合が多い。
- 片付け:洗車が可能なエリアならば洗車をして帰宅する。洗車が禁止のエリアは洗車をしてはならない。汚れてしまうと、会場が借りれなくなり次回の開催が危ぶまれる。ゴミはもちかえる。
- リザルト確認:会場内の掲示板、SNSで公開されるので確認する。
シクロクロスバイク始めの一台
ロードバイクと違ってシクロクロスバイクは数が限られている。元々入荷台数が少ない上に種類も少ない。さらにシーズン前にたいてい売れてしまうため入手性が悪い。始めは不慣れで壊してしまうかもしれないのでアルミフレームでいいとおもう。
もしも金銭的に余裕があるならカーボンフレームでもいい。ブレーキはディスクブレーキがいい。シクロクロスを走るなら、グラベルロードやロードバイクは避けておこう。求められている設計が全く違う。
べダル
ペダルはオフロード用のペダルを使用する。ドロなどがシューズの裏についてもクリートがはまりやすい工夫がされている。無難なのはシマノのSPDだ。他にもTIMEやクランクブラザーズがある。
¥4,800
¥6,400
¥9,413
シューズ
オフロード用のシューズを使用する。ソールにスパイクがついており頑丈だ。乗車できない箇所や、シケインがある場合はランニングする必要がある。はじめは柔らかいシューズの方が走りやすくていいだろう。
タイヤ
タイヤは大きく分けて3種類ある。始めはチューブレスレディタイヤを選ぶのが無難だ。タイヤのビード上げが苦手な場合はチューブドでもよい。
- チューブレスタイヤ:シーラントが不要でチューブが不要なタイヤ。
- チューブレスレディタイヤ(おすすめ):シーラントが必要でチューブが不要なタイヤ。
- チューブラータイヤ:チューブとタイヤが一体化しておりノリでタイヤを貼り付ける
- クリンチャー(チューブド):クリンチャータイヤにチューブを入れたタイヤ。
始めはパナレーサーかIRCのチューブレスレディタイヤが良いと思う。
空気圧
シクロクロスの空気圧調整は非常に難しい。タイヤの銘柄、タイヤ幅、体重、路面状況で空気圧は無限に変わる。さらに同じタイヤであってもリム内幅が違うとセッティングが異なる。これらの点を考慮し、SRAMの空気圧計算機が非常に近しい値を出してくれるようになった。
実際の条件とほぼ同一の値を入れると、自分がこれまで適正だと思っていた空気圧との誤差は0.02BARだった。
- 経験による調整F 1.68 bar、SRAM計算機 F 1.66 bar
- 経験による調整R 1.75bar、SRAM計算機 R 1.76Bar
コツとしては、タイヤ幅をモデル名そのまま入れるのではなくノギスで実寸サイズのタイヤ幅を計測して実測値を計算機に代入すると良い。
バイク重量は7.68kgと0.01単位で、ライダーの体重はシューズやヘルメットなど走れる状態のフル装備での総重量、例えば60.5(0.5刻み)kgと入れる。
ケーシングは「標準」を選んでおけば良い。
一つの目安として使うと良いが、自分で色々とチューニングして走りやすい空気圧を見つけよう。空気圧を調整するときはポンプのゲージは大雑把すぎて使用できない。必ずデジタルゲージを使用すること。
¥2,734
服装
服装は自由だがロードバイクに乗るときと変わらない。レーシングパンツとジャージの組み合わせが主流だ。E1になるとバックポケットが無いワンピースが好まれている。
シクロクロスでお祭り的に仮想して走ってもいい大会がある。ただし、男女問わず水着など肌の露出が多いセクシーな衣装は自粛が促されている場合が多い。
まとめ:まずは参加してみよう
シクロクロスをやりたいと思ったときが一番のチャンスだ。
始めはうまく行かないかもしれないし、楽しく走れるかもしれない。私も気づいたら10年近くシクロクロスをやっているのだが、いまだに下手くそだ。うまく走れない。だからこそ、面白い。
わたしが主戦場としている舗装路を走るロードレース競技と比べると、シクロクロスは事故や怪我が比較的少ないということも気に入っている。妻はシクロクロス一本だ。子供も走っている。
まずは、シクロクロスを始めてみて、未舗装路を走る楽しさ、会場の楽しい雰囲気を肌で感じてみてほしい。
¥6,790