ペダリングモニターのひずみゲージ
パイオニアペダリングモニターの要である、ひずみゲージについてどのような機構であるのかを見て行く。ペダリングモニターは他のパワーメーターと異なる点がある。ペダリング効率を測定し推進力に寄与するかを表示する。
それはペダリングモニターと呼ばれる機能だ。ここで競輪選手のペダリングの効率を確認する。日本競輪学校の若い生徒(年齢19~24歳)では45%程度、中野選手の効率指数は75%だ。
いかにペダリングが難しく、ロスが大きい運動であるかが解る。逆の捉え方をする。より効率よく回すことは、足を使わず、推進力も稼げるということだ。下死点でいくら踏みつけても、残念ながら全く推進力にはならないのだ。
では、パイオニアペダリングモニターはどのような仕組みで、クランクを回した時の出力の方向を測定し、実際にグラフとして表しているのか。その仕組を見て行きたい。
ペダリング効率における法線と接線
ペダリング効率の話の前に用語の確認を行う。
- 法線
- 接線
というベクトルの話だ。この2つの言葉を、単純に「そうなんだ、パイオニアはそんなことも測れるんだ」という漠然とした話ではい。良くここまで考えて差別化した機能を搭載したなと衝撃を受けた。
クランクに及ぼす力を計測も重要だ。しかし円運動において、法線、接線の力の向きを考える。クランクは回転する。その際に推進力接線方向のみだ。回転方向に対して90度の力(例えば三時の位置で垂直に踏む方向)と、法線方向6時の位置真下に踏む方向に分けられる。
いくら踏んでも回転の力にはならない法線と、推進力に寄与する接線を測定できるメリットは何なのか。
ひずみゲージの仕組み
パイオニアのペダリングモニターのひずみゲージについて。クランクアーム自体を曲げる力(接線)と、クランクを伸ばす方向2つの力(法線)を測定できる。他のスパイダーアーム型には無い、パイオニアペダリングモニターの独自技術だ。
SRMや、RotorPower、Quarq、Power2Maxに代表されるクランク型メーターの構造について。スパイダーアーム式はチェーンリングとクランクの間に、ボルトで固定されたひずみゲージをもちいる。そのひずみから出力を計算している。
RotorPowerのようにシャフト部で直に出力を取得するタイプ。これらも同様に回転時のひずみを計測している。しかし法線方向のちからは測ることはできない。このポイントがペダリング解析では重要である。
実際のペダリング時の力となるものは、法線方向と、接線方向を合わせたものが回転させる為の力になる。もし”厳密なペダリングを解析”をする場合、力学的に見て、法線方向、接線方向にどのくらい力がかかっているのかを計測する必要がある。
ROTOR POWERを含め、他のパワーメーターの場合は、実際発生した力の方向のみ測定するので、ペダリング解析においてパイオニアペダリングモニターは頭2つぐらい抜けているのだ。
ベクトル検出を行う8つのひずみゲージ
パイオニアペダリングモニターは接線方向、法線方向に、それぞれひずみゲージ2個を配置している。左右それぞれのクランク”内側”に取り付けられており、合計8個で計測している。
この機構はSRMの研究用のバージョン(SRMサイエンスエディション)と同等のレベルであり、言うなれば研究室でしかできなかったレベルの機材が実践的に、外でパワーメーターとして使えるシロモノといっても言い過ぎではない。
それほどまでにこのパイオニアペダリングモニターに搭載された機能は魅力的である。
BB部には360度を30度分割して12箇所ごとにじみにペダリングを解析する機能が備わっている。他のパワーメーターの場合は、ある決められた時間辺りで算出したり、角速度を計測できたりはするが、パイオニアのBBのように物理的ではなくて、”仮想的に算出”しているのだ。
ひずみゲージは学習する。
地味にまた、とんでもない機能を搭載したと思うの機能がある。それは温度変化への対応だ。パイオニアペダリングモニターはありとあらゆる穴を潰しに来た。というのも、様々な温度下でゼロイングすることで、温度を学習するのだ。
ヒルクライムのような温度変化がある条件下でパワーメーターは不利だ。理由は、刻々と気温は変化する中で、特にクランク型ひずみゲージでは影響を受けやすい。本来表示すべき値とはかけ離れた値を、記録してしまう弱点がある。
今市場に出ているパワーメーターにおいて、温度変化への対応、パワータップとの誤差値の話は、常について回る話題だ。それらを払拭するのが、パイオニアペダリングモニターに搭載された温度変化を学習し自動補正する機能である。
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