ツアー・オブ・ジャパン(以下TOJ)は、1982年から開催されていた『国際サイクルロードレース』を継承する国内最大規模の自転車ロードレースだ。1996年、UCIにステージレースとして公認された。その後名称を『ツアー・オブ・ジャパン』に変更し現在に至っている。大きな特徴としては、世界トップレベルで活躍する海外プロチームや強豪選手たちが参戦していることだ。そして、TOJのレースは無料で観戦することが可能だ。
国内のステージレースといえば『ツール・ド・北海道』や『ツール・ド・熊野』が有名だが、TOJは都府県をまたぐ唯一のステージレースである。公道で開催される自転車ロードレースとして、日本国内でも珍しい貴重なレースに位置付けられている。
筆者もTOJ併催のJBCF堺クリテリウム(第1ステージ5/19(日)開催)を何度も走っているが、沿道の観客の数は国内のレースの中でも群を抜いて多い。今回の記事は、参加チームや注目選手、見どころについてご紹介していく。
出場チーム
まずは、TOJに参戦するプロチームを確認していこう。国内トッププロチームを含む16チームが参戦する。
- NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ(イタリア)
- トレンガヌ・INC.・TSG・サイクリング・チーム(マレーシア)
- チーム・ブリッジレーン(オーストラリア)
- HKSIプロ・サイクリング・チーム(香港)
- リュブリャナ・グスト・サンティック(スロべニア)
- インタープロサイクリングアカデミー
- ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー(ルーマニア)
- チーム・ザワーランド・NRW・P/B・SKS・ジャーマニー(ドイツ)
- チーム右京
- マトリックスパワータグ
- チーム ブリヂストン サイクリング
- 宇都宮ブリッツェン
- シマノレーシングチーム
- 愛三工業レーシングチーム
- キナンサイクリングチーム
- 日本ナショナルチーム
注目すべきチームは、UCIアジアツアーチームランキング1位を獲得したキナンサイクリングチームだ。TOJディフェングチャンピオンのマルコス・ガルシア選手(スペイン)も在籍するチームであり二連覇が期待される。また、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ(イタリア)には昨年のTOJで総合9位に入った中根英登選手が在籍している。今年はさらに総合上位に絡む走りが期待される。
トレンガヌ・INC.・TSG・サイクリング・チーム(マレーシア)にはロシア現個人TTチャンピオンのアルチョム・オヴェチキン選手が在籍しており、堺ステージ(個人タイムトライアル)の走りは要チェックだ。チーム・ブリッジレーン(オーストラリア)には、今年のツアー・ダウンアンダーで山岳賞を獲得したジェイソン・リー選手(オーストラリア)が在籍している。富士山ステージのコースレコード更新も期待されている。
リュブリャナ・グスト・サンティック(スロべニア)には宇都宮ブリッツェンから移籍した雨澤穀明選手が在籍している。雨澤選手は、昨年のTOJ京都ステージを制した実績もあるため、京都ステージでの活躍も期待される。ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー(ルーマニア)には今季から小林海選手が在籍している。今年の全日本選手権にも出場すると思うが、どのような成長を遂げているのか楽しみだ。
そして宇都宮ブリッツェン(日本)には、東京五輪代表選考ランキングで上位の増田成幸選手が在籍している。度重なる大けがから復帰する様から「不死鳥」と呼ばれる選手だ。富士山ステージでは日本人優勝に最も近い選手の一人。
国内トップチームから、海外のナショナルチャンピオンまで、幅広い選手がTOJに参戦する。日本国内で観戦できるレースの中でも特にハイレベルな戦いになるはずだ。
第2ステージ京都
TOJ第2ステージ京都の開催日は、2019年5月20日(月)だ。レースの舞台は京都、大阪、奈良の3府県にまたがる京阪奈丘陵地帯だ。その土地柄から「けいはんな」という愛称で親しまれている。一方で『けいはんな学研都市』と呼ばれ、文字どおり研究施設、大学施設、文化施設など多くの研究施設が立地している。
また、関西文化学術研究都市建設促進法に基づいて建設や整備が進められたサイエンスシティでもあり、道幅も広く、アスファルトの質も高いのが印象的だ。なぜこのようなことを筆者が知っているのかというと、実はこの地域となじみが深く、2年間ほどけいはんなの通信系の研究施設に在籍していた。レース会場は学研奈良登美が丘駅からおよそ2kmほど離れているが、バスでのアクセスも可能でおよそ15分ほどで会場につくことが可能だ。
実際のレースに話をもどそう。レースはセレモニーランから始まる。「普賢寺ふれあいの駅」をスタートし、「同志社大学京田辺キャンパス」、そして「普賢寺小学校」までの5.5kmを走る。そして、普賢寺小学校前からけいはんなプラザ周回コースを走る105kmのレースだ。都市のど真ん中を使っているのだが、獲得標高は1,836mでアップダウンに富んだレースが繰り広げられる。
105kmもの距離を選手たちが駆け抜けていくが、1周16.8kmの周回コースなので何度も選手たちの走りを見ることが可能だ。京都ステージのオススメの観戦ポイントを2つ紹介しよう。1つ目はもちろんゴールの「けいはんなプラザ」だ。ブースも多数出展されており、選手が周回してくる待ち時間を使ってブースめぐりをするという効率的な楽しみ方も可能である。
2つ目の観戦ポイントは鳥谷池だ。1つ目の観戦おオススメポイント「けいはんなプラザ」から徒歩で観戦に行ける上り坂区間である。「鳥谷池」手前にある右ヘアピンコーナーは絶好の観戦ポイントになっており、レースの熱戦を間近で見たい方はぜひ足を伸ばしてほしい
レース序盤は鳥谷池エリアでの観戦、レース終盤はけいはんなプラザでゴールスプリントを観戦するという楽しみ方もいいだろう。もしも逃げが発生したら途中で観戦ポイントを行き来しても面白い。
プロ選手とセレモニーランが可能
京都ステージのプロが行うセレモニーランには、一般のサイクリストも参加可能だ。しかし、人数には限りがある。企画協力のqbeiオンラインショップで募集が開始されている。
あこがれのプロ選手たちとセレモニーランを走れるという機会はそうめったにあるものではない。気になるサイクリストはぜひともセレモニーランに参加して、プロ選手たちと一緒に走ってみてほしい。もしかしたらその日の作戦や、トレーニング、ロードバイクの乗り方などを教えてもらえるかもしれない。
まとめ:京都ステージは5月20日(月)開催
いよいよTOJ開催まで1か月を切った。第2ステージ京都からレースが本格化していく。数多くのプロ選手が集結し、普段見ることができない光景が目の前で見ることができるチャンスだ。一般のサイクリストはレースに出ることは叶わないかもしれないが、セレモニーランという形で参加できる。プロと一緒に走れる貴重な機会、そして沿道の観客に声援を浴びながらパレード走行ができる。
今年のTOJは一体どのようなレースが繰り広げられるのだろうか。TOJ第1戦堺ステージを皮切りに、日本を舞台にした熱き戦いの幕が開けようとしている。