ELILEE(エライリー)のX310が9月1日に正式に販売開始した。前作のX320からさらに改良を加え重量が10g軽量化している。旧型のX320は320g、新型のX310は310gだ。早速、チタンスピンドル24mmを導入し取り付けて前作との比較を行った。
前作から重量以外で変わったのはクランクアームのデザインだ。XXEのデザインが無くなって、ELILEE X310のモデル名だけになっている。
両側のクランクアームの外側のデザインは大人しくなっており、どんなバイクにも合わせやすいデザインだ。
実測重量
実測重量は、クランク単体で305gだ。プリロード用の金具とボルトカバーを合わせると実測313gになる。以前のXXEデザインはクランクアームの内側に移動した。
他社クランクとの比較は以下の通りだ。シマノパワーメーターと比べると200g弱の軽量化だ。
品名 | 重量 |
THM Clavicula SE 30mmシャフト | 299 |
sram red dub E1 160 | 305 |
sram red dub E1 165 | 307.5 |
sram red dub E1 170 | 309.6 |
ELILEE X310 Ti 24mm | 313 |
sram red dub D1 | 338 |
ELILEE X320 Ti 24mm | 344 |
sram red gxp | 393 |
RED E1 DUB + Sigeyi | 409 |
ELILEE X310 Ti 24mm + Sigeyi | 412 |
RED E1 DUB + Magene | 447.5 |
ELILEE Ti + XCAD | 450 |
ELILEE Ti + P2M | 461 |
R9100 4iiii 165mm | 513 |
XCADY 165mm | 555 |
R9200 4iiii 165mm | 569 |
Margne P505 + R9100 | 583 |
R8100-p 165mm | 610 |
R9200-p 165mm | 610 |
Margne P505 | 611 |
24mmスピンドルでは最軽量クラスになる。
パワーメータ付きで比較してみると、デュラエースのパワーメータクランクと200gの差になる。クランクという回転部品の重量が200gも軽くなってしまうと、はっきりと回転が軽く感じられるほどだ。
ELILEEのカーボンクランクは、ヒルクライムやロード問わず軽量化を追求するライダーは無視できない軽量性を備えている。
参考までに前作X320の重量はワッシャーを含めると346gだった。ワッシャー10gを抜くと単純に20g以上の軽量化を果たしたことになる。
剛性
カーボンクランクということで、剛性を気にする方がいらっしゃるかもしれない。負荷試験において、ELILEEのカーボンクランクは他社製品を凌ぐ高い剛性を備えていることが判明している。人間のパワー程度ではほとんど変形すらしない。
市場に出回っているカーボンクランク4種類の剛性を比較した結果は以下の通りだ。試験では垂直方向に200kgの負荷をクランクに加えた場合の変形量(mm)を表している。棒は低いほど変形量が小さくパフォーマンスが高く、高剛性だ。
左からEASTON EC90、ELILEE XXE X320、ROTOR ALDLU、SRAM AXSと並んでいる。
200kgの負荷を加えた際の変形量は以下のとおり。
- EC90(344g) : 21.63mm
- ELILEE : 21.8mm
- ROTOR ALDLU(351g) : 21.97mm
- SRAM AXS(335.8g) : 24.18mm
最も硬いのはEASTONのEC90だ。次いでELILEEだ。なお、重量はメーカー公称値であり、実測重量とは若干の差があることには注意が必要だ。重量を考慮した「重量剛性比率」は以下のとおりになる。
棒が長いほどパフォーマンスが高い。「軽くて高剛性」という性能が読み取れる。
破壊テストでは420kgまで耐えることが確認されている。トップ競輪選手の背筋力が200kg前後ということを考えてみても、一般的なライダーにとっては十分な剛性といえるだろう。
チタンシャフト
シャフトは24mmと30mm(DUB兼用)から選択することができる。
シマノクランク互換の24mmシャフトはチタン製とスチール製が選べる。差額は70ドルと僅かであるため、重量と価格を考慮してもチタン製を選んでおいたほうが合理的だろう。
チタンは柔らかいイメージがあるが、垂直方向の破断負荷が400kg弱であるため剛性の心配は何度も言うように無用だ。
DUBと30mmに対応するシャフトはスチール製だが、シャフトが太く剛性が十分に確保できているため、実際はチタニウムシャフトよりも軽量になっている。
豊富なクランク長
クランク長は7種類で幅広いクランク長のラインナップがある。
- 155mm
- 160mm
- 165mm
- 167.5mm
- 170mm
- 172.5mm
- 175mm
話題のショートクランク化や160mmや155mmといった女性や、トライアスリート向けの超ショートクランクがある。カーボンクランク、軽量ということを考えると、いままで165mmでも長く感じていた方は、155mmや160mmといった短いクランクを使用できる。
カーボンクランクかつ24mmスピンドルで155mmや160mmをラインナップしているブランドは数少ない。ELILEEはどんなサイクリストにも合うサイズをラインナップしている点が非常に親切だ。Q-FACTORは149mmと現行R9200、R8100と比べて1mm長い。
パワーメータは3種類対応
- Sigeyi AXO(109g)
- Power2Max NG eco(117g)
- Xcadey XPOWER-S(106g)
パワーメーターは3種類から選ぶことができる。重量は実測値だ。パワーメーターが不要な場合は、5アームや、4アームを選ぶことも可能になっている。
クランクアーム側のマウントはEASTONと同型の16山タイプだ。このマウントなら様々なスパイダーを選択することが可能だ。
実用性を考えるとSIGEYIやPower2Maxを選んだほうがいいだろう。Xcadeyは安価で軽量ではあるものの、測定精度が期待できないパワーメータという位置づけだ。
ちょうどセール中に
X310の記事を執筆中にちょうどX310がセールになったので以下の記事で紹介している。