Raveのインソールが大幅にアップデートした。新型のReve WATT INSOLESはその名の通り、「1ワットも無駄にしないインソール」として改良が行われている。Reve WATT INSOLESでアップデートした内容は以下だ。
- パッドを1mm単位で調整可能
- 前作比25%の軽量化
- 作りやすく、仕上がりが綺麗に
前作のインソールは、足形とシューズ型に合った成型を行うだけだった。新型のReve WATT INSOLESはパッドを用いて1mm単位でフィット感を調整できるようになった。
ドイツ製の医療用のパッドは、フィンガーロック、アクションパッド、アーチパッドに分かれており、細かくパッドの位置をカスタマイズできる。その結果、よりダイレクトなペダリングを引き出せるようになったという。
例えば、扁平気味であれば内側を持ち上げたり、指の引っ掛かり感が浅ければフィンガーロックを取り付けたりと、シューズ内の足の動きや、一人ひとりの好みに沿ったインソールチューニングが可能になった。
Reve WATT INSOLESはシューズのセンチ表記に合わせて、XS, S, M, L, XL, XXLから選ぶ方式に改良された。例えば、EU39-41(24.5〜25.5)であればMサイズを選ぶ。前作はインソールの長さを計測してサイズを選んでいたが新型はわかりやすくなった。
これまでの成型インソールといえば、専門のショップで大掛かりな装置を用いらなければ作ることができなかった。しかし、Reveインソールはお湯、トレイ、ハサミがあればご自宅で簡単に作ることができる。
インソールの作り方
- インソールを2分間湯煎する
- インソールをシューズに入れる
- シューズ内のインソールを伸ばして整える
- シューズを履いて8分待つ
- インソールを取り出す
- フィルムとアーチパッドを外す
- クッション材を貼る
インソールの作成は、大きく分けて7つの工程で完了する。
注意点としては、トレイにお湯を入れ終わってから、次にインソールを入れて湯煎する。直接お湯をインソールにかけてしまうと、温度差にムラができてしまう。また、シートは白い裏面が見えるようにトレイに入れるようにする。
インソールを取り出してから、シューズまでいれるには90秒以内に行う必要がある。この際、インソールをV字に折り曲げると入れやすい。その後、シューズを履いて8分待って完成だ。
パッドの施工方法
パッドの施工方法は大きく分けて2つある。足首が内側に倒れる『回内』、足首が外側に倒れる『回外』でアクションシートの位置を変える。
回内に対するアクションパッドの取り付け方は、アーチ部分にパッドを取り付け内側に足が倒れることを補助する。
回外に対するアクションシートの取り付け方は、外側にパッドを取り付けることで足首が外側に倒れることを補助する。
その他にも、足指を引っ掛けるフィンガーロックを取り付けられるなどカスタマイズ方法は無限だ。
インプレッション
これまでSIDASの成型インソールを複数使用してきたが、Reveの『足型』と『シューズ型』両方に完全フィットするインソールは初めてだった。
従来の成型インソールは、まず専用の機械で足型を取る。そのあと、足型にインソールを添わせるように当て込んで成形する方法が主流だった。このとき、足型通りのインソールを作ることはできるのだが、シューズ側の形状は考慮されていなかった。
一方でReveインソールは、『シューズ内部の型』と『足型』の間隙を埋めるように変形することで無駄なデッドスペースを無くす画期的なインソールといえる。隙間が一切ないため、無駄なたわみや、空間がなくなるためダイレクト感が増すのだ。
実際に使ってみると、シューズとの一体感が確実に増す。シューズと足が近くなったような感覚が確かにある。『ダイレクト感が増す』というのは、このシューズとの距離の近さが縮まったことが理由なのかもしれない。
今までのインソールは、シューズ内部の形状を考慮することはできなかった。そのため、シューズ内部とインソールの間には空間が生まれていた。踏み込むと、余分な空間の分だけインソールが変形したわむことになる。それはロスに繋がる。
Reveの場合は、踏み込んだときにインソールを踏んでいるというよりも直接カーボンソールを面で踏み込める感覚があった。これまでのインソールでは、体感できない新しい感覚だった。余分なデッドスペースが無いことで、踏み込んだときのロスが無くなったことが理由だろう。
使って、改めて実感するのは『足形』と『シューズ型』の両方にフィットすることだとおもう。従来のインソールは『足形』にはフィットするが、『シューズ内部の型』にフィットするものが無かった。これは、足形をとる際の施工方法に理由がある。
シダスなどの成型インソールは、足形をコピーするために専用のバキューム装置の上に足を置いて足形を取る。その後、足形に変形した装置の起伏に対して、インソールを押し付けることで成型を行う。もちろん、シューズの内部形状は考慮されていない(できない)。
従来の成型インソールのどれもが、シューズ側の形状まで考慮していなかった。単純に足形だけをコピーするものばかりだった。
しかし、Raveインソールは上側は足形に、下側はシューズ形状に沿うようにフィットする。柔らかくなったインソールをシューズ内部に敷くことによって、シューズと足の両方に合うように形状が変化する。シューズの起伏、足形の起伏、それぞれの間を埋める橋渡のような役目をするのだ。
- 従来の成型インソール:靴をはかずに、足形に合わせて成型
- Raveメルトインソール:靴をはいて、足形とシューズ形に合わせて成型
シューズをはきながら、シューズ型と足型にインソールが成型されるメリットは大きい。
足とシューズの形状を正確にトレースしたインソールは、つま先からかかとまで、足裏の圧力を分散する効果がある。シューズを履いた際に起こる足先の痺れのほとんどは、血流が悪くなることで生じるが、Raveインソールを使うと不自然な圧迫が低減するため、血流を阻害しにくくなるという。
シューズがジャストサイズだと思っていても、シューズ内部で前後5mm以上の遊びは必ずあるものだ。そして、わずか5mm前後の遊びであっても、ダイレクト感が減り、無駄な動きが生じ、摩擦による痛み等が発生する場合がある。
これらはパフォーマンスを落とすばかりでなく、疲労の原因にもなっている。レーブ ワットインソールを用いれば、足形とシューズ形の両方に合うため、シューズ内で足の位置を安定させることができる。
Reveはシューズとの隙間が無いということはメリットでもあるのだが、デメリットもある。足でかいた汗が逃げる余裕がないのだ。Reveインソールには空気穴が無いため、他のインソールよりも蒸れやすい可能性がある。夏は汗対策のために、インソールに穴をあけるなどの対策が必要かもしれない。
Reveは、中央の高さ調整、内反、外反などを自分で調整する必要がある。この自由度の高さを良しとするかはサイクリスト次第だ。Reveにはソールスターのような解剖学的な根拠が見つけられなかった。そして、ユーザーにフィット感の調整を委ねるため、何をもって正しいとするかの判断が難しい。
それゆえ、施工はプロショップにお願いしたほうが無難だと思う。今回、私のインソール作成もBeckonに依頼したが、作業に慣れており、足を客観的に見てくれるので別途施工料金を払う価値はあると思う。
インソールを買って、メーカーの指定どおりに上手に施工したからといって、それが素晴らしい解決策になっている保証はない。
インソールで『完璧』を作り上げるには、お金も時間もかかるのが宿命だ。それでも、9千円台、施工の単純さ、今までにないフィット感が得られるReveは非常に有用と言える。
まとめ:フィット感とカスタマイズ性の高さ
シューズ型と足型に合わせて、インソールが成型するタイプの製品はReve以外に見当たらない。Reveはシューズと足のフィット感を最大限に高め、隙間を限りなく無くす現状唯一のインソールだ。
Reve WATTインソールは3種類の特徴の異なるパッドを配置することで、フィット感をカスタマイズできる自由度の高さがある。ただし、どこに配置するのかはユーザーの好みによって分かれる。それゆえ、パッドの配置が良いのか、悪いのかの明確な判断がユーザ側で判断が難しいのがデメリットだ。
可能であれば、解剖学的な知見を持ったフィッターに施工を依頼するほうが、Reveインソールのポテンシャルをさらに引き出せると思う。
価格を考えても、インソールとしては比較的安価だ。自分でセルフ施工するのもよいが、何度も言うように施工とインソール作成に知見のあるショップなどに依頼する方が良いだろう。
私は、大阪のベックオンで依頼した。確かに自分でも施工できるのだが、失敗する事を考えると、保険の意味で経験のあるプロにお願いしたほうが無難だと思う。
シューズに付属のインソールを使い続けている方や、シューズとインソールの間に遊びが有る方はReve WATT INSOLESを一度試してみてほしい。