155mmのショートクランクを使ってわかった最適解とは

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ELILEEの155mmを試した。

155mmのショートクランクを使った。

10年以上使っている165mmから155mmに変更したのだが、違いは大きかった。そして、155mmを使うことで見えてきたのは、クランクという機材がライダーに対して何をもたらすのか、ということだった。

結論は、

「どのクランク長なら、身体性能を最大限に引き出せるか」

だけだ。

ショートクランクの結論というよりも、クランク長についての結論とも言える。これまで165mm, 167.5mm, 170mm, 172.5mm, 175mmと使ってきたが、155mmを使って「こういうことなのか」実感できた。その気付きを得ただけでも収穫があったと思う。

図で表すと、(私の場合は)以下のような傾向にある。

  • 175:回らない、ギクシャクする。一瞬のトルクはとてもかかる。
  • 172.5:回しにくい、詰まり過ぎる。トルクはかかる。
  • 170:回しにくい、詰まる。トルクはかけやすい。
  • 167.5:やや回しにくい。トルクもかけやすい。
  • ★165:回しやすい。トルクもかけやすい。
  • 155:明らかに回しやすい。回転数を上げられる。トルクをかなりかけにくい。

しかし、注意しなければならないことがある。私という人間の骨格、ポジション、バイク歴、ペダリングスキルなど、複数の要素から165mmが適切に感じるというだけであって、万人に当てはまるものではない。

ようは、個体差があるのだ。

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性能曲線

155mmで「回転は上がるが、トルクは落ちすぎる」という関係性で思い出したのが、エンジンの性能曲線だ。

車好きの方は、エンジンやモーターの性能曲線を思い出してほしい。例として、例えばガソリンエンジンとディーゼルエンジンは特徴が異なる。ガソリンエンジンは、全体的にディーゼルエンジンよりもトルクが小さめだ。

最大トルクが出る回転数も高めだが、高い回転数まで回せるため最高出力を上げやすい。最高速度も速くなるという特徴がある。一方、ディーゼルエンジンは全体的にトルクが大きい。特に低回転で最大トルクが出るという特徴がある。

image: JAF トルクと出力の性能曲線

クランク長の話に戻すと、短くすることでトルクをかけやすく、回転数も上げやすくなればよい。しかし、どこかのポイントで回転が上がるものの、トルクがかかりにくくなるポイントが出現する。

たまたま、私の場合は回転とトルクの関係性から、最も旨味のある(出力が出る)スイートスポットが165mmだった。155mmや167.5mmにすると、そのスイートスポットからはずれ、回転数が落ちるもののトルクが上がったり(167.5mm)、回転数が上がるもののトルクが下がる(155mm)ような現象が起きる。

冒頭で記した結論に戻るが、

「どのクランク長なら、身体性能を最大限に引き出せるか」

でしかないのだ。

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短ければ良い?

「ショート(短い)」という部分だけ切り取られ、フォーカスされているが「短ければ良い」という単純な話ではない。クランク長を、長く、短く変更したことによって自分という世界でただ一人の人間にとって、最適であるか、そうでないかだけだ。

ポガチャルが、ヴィンゲゴーが短くしたからといっても、自分にその短さが合うのかは試さねばわからないのだ。実際、わたし自身も「155mm」になにか神秘的な、言い表せない期待感のようなものがあった。

しかし、使ってみてどうだろう。

155mmは、「私という人間」にとって明らかにパフォーマンスを落とすクランクだった。これでは、確実にアタックに対応できないし、トルクをかけづらいため山の急勾配では本当に使い物にならない。(私にとって)155mmはヒルクライムではデメリットにしかならない。

さらに、アタックに毎回対応する場合や、登りの入口でトルクをかけて一気にスピードが上がるようなシチュエーションでも155mmは使い物にならない(私の場合は)。

ここまでの話は、「165mmと比べて」という前提条件が必要だ。165mmは決してショートクランクではなく、私にとって見ればただの「適正クランク」だ。短いわけではない。適正、スイートスポットのクランク長なのだ。

ただし、155mm、167.5mm、170mmが適正の人もいる。だから、あなた自身が試して確かめるしか無いのだ。

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結局は、人による

155mmは、走り出しがとても良かった。脚の上下運動が明らかに小さくなったことが体感できる。ケイデンスもかなり上がる。平坦やタイムトライアルなど一定の回転と、ムラのないトルクならば、短めのクランクはアリだ。先程の図の関係性ならば、155mmでも良いだろう。

ただし、問題は「登り」「スプリント」「ダッシュ」「アタック」など、瞬間的にパワーを要する場合だ。155mmは、トルクのかかり方が非常に浅いため、「かからない」と感じた。踏力がいつも以上に必要になるのだ。これは、ロードレースでは致命的だと思う。

では、ヒルクライムはどうか。165mmで出せていたパワーが出なくなった。具体的には、いつものイメージで踏んでもクランクへの踏力が小さいのだ。トルクが減少したような感じだ。これはパワー(出力)がトルクと回転の積であるため当然のことである。

出力 = トルク x 回転

155mmは、12時から4時までの通過スピードが明らかに短く、クランクに対してパワーを与えられる時間が短く感じた。

ショートクランクにしたからといって、パワーが上がるとか、なにか特別なことが起こる訳では無い。長年使い続けている165mmは、私にとってみればショートクランクでも何でもなく、ただの「適正クランク長」だ。

クランク長を変えることで、「回転のしやすさ」と「トルクのかけやすさ」が変わる。あなたという人間の特徴において、それぞれの関係性が最も良い状態に引き出せるのが、155mmなのか、それとも175mmなのか。クランク長の最適値の閾値はかならずある。

最後は、あなた自身が試して、確かめるしかないのだ。

今回試したELILEEのクランクは、155mm、160mm、165mm、167.5mm、170mm、172.5mm、175mmと様々なクランクをラインナップしている。あなたに最適なクランクを試してみてほしい。

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