photo:Kei Tsujiさん
シクロクロッサーは、1秒でも早くゴールするためにペダルを回し続ける。私が走っている3600秒の時間はあっと言う間だ。実際は皆が同じ時間を生きているけど、時間の進み方が違う。例えセシウム原子時計が3600秒を刻みつけても、私はその時間を正確に把握できていない。
1秒を刻む
photo:Kei Tsujiさん
ファインダーの先に写し出されるシクロクロッサも、カメラを持つフォトグラファーも「秒」の世界で生きている。シャッタースピードは1秒を軸にして「1/125」だったり「1/1250」だったりする。私達が感じている1秒のさらに刻まれた世界をフォトグラファー達はあざやかに映し出す。
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タイムマシンなんてものはどうやら開発されないんだろうけど、写真という素晴らしい道具は、過去の、あの日を切り取る。なんだか、よく考えるとすごい。未来には行けないが、過去には連れて行ってくれる、魔法の機械。
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同じ写真なんて1枚もない。同じ時刻、同じ場所、同じ人を撮ったとしても、全く同じ写真には仕上がらない。だからこそ、奥深さがある。
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1秒を削る走りはペダルを回すことで生み出される。1秒を切り出す写真は、シャッターを切るたびに生み出される。
photo:Kei Tsujiさん
ときには偶然の産物で面白いものが撮影されたりする。写真は自分が知らない自分を映し出してくれる。
photo:Kei Tsujiさん
1秒の世界で1秒を稼ぐシクロクロッサー。1秒を操るフォトグラファー。彼らが生きる時間や形は違えど、1秒の中でそれぞれの技術とうつくしさが見え隠れする。
日経ナショナルジオグラフィック社
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