第29回全日本自転車競技選手権大会シクロクロスMM40 4位

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Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

4位だった。

自分が弱いから負けた。

弱さにも色々ある。ラスト2周、あのときの自分の心理状態を俯瞰してみると、後半にゴムのラバーでスリップダウンしてから、フロントタイヤが信頼ができなくなって、突然滑るのことが怖くなった。クリアできていた場所も恐る恐る曲がった。

後ろも離れていて見えないし、このまま保守的に走って、3位でもいいか。自分には十分すぎる。こういう思考になると、終わったも同然だ。レースは終わるまで終わっていない。まだ3番手なだけであって、3位ではない。

 Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

弱かったのは、いつものメンタルだ。いや、どちらかといえば、ネガティブというよりも調子の良さからくる思い上がり、走れているという勘違い、レースが終わる前に色々と考えてしまった自分の甘さ、ほんまお前はバカだな、と思った。

いつもは、絶対に前に追いついてやるとか、最後まで追い込むとかそういう気持ちが最後まで続く。最終ラップが一番早い。追い込んで走れる。今日はそういう気持ちが無かった。全日本選手権なのに。ちょっとフィジカルが高まって来ているのがわかりすぎていて、余裕が出すぎていたように思う。

シクロクロスはリズムが大事で、後半にかけてラップタイムを上げていくような走りが望ましい。今回は17番スタートの右側で場所は良くないし、ファーストラップのトレイルも数えたら14番ぐらいだったようだ。

 Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

序盤は村田さん、斉藤さん、私の3人のパックだった。ペースもそこまで早くはなく、どちらかというと、村田さんが周りを観察しているような抑えめの緩いペースだった。村田さん、斉藤さん、私のそれぞれ3人は、それぞれの調子をよく知っている。

手の内も知っている。この展開は斉藤さんの後ろについていくと、村田さんに何周かしたら追いつくだろうと思った。そして実際にそうなった。3人のパックになったらあとは最終周回まで消化するだけで良かった。

吹雪の宇都宮で開催されたシクロクロス全日本選手権、マスターズ40歳台は村田が連覇 | Bicycle Club
1月13日から14日にかけて、栃木県宇都宮市にある道の駅うつのみやろまんちっく村にて第29回全日本自転車競技選手権大会シクロクロスが開催。

漫然と走っていると、気が抜けたのかスリップダウンした。ここで気を取り直して走り出せばいいが、なぜかフロントタイヤが信用できない。クリアできていたセクションも木の根っこが気になって速度が落ちる。

スタート前にM30のチャンプダイチャンから教えてもらったライン↓のBikinTVの画像の早いラインを何故か通らず、失敗ラインを走ってしまうミスをした。

リズムが悪くなると、途端に飲まれる。落ち着いて、全力を出すだけだと言い聞かせても体に力が入らない。低体温症にならないように、全身にイナーメのバターオイル、水中用のドライインナーと万全だ。心拍も上がっている。

 Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

最終ラップ、周りから「ゴローさんが後ろにきてるよ!」と10秒おきに立っているひと、あらゆる人に言われる。こうなると、「ああ、あかん」と思ってしまった。案の定、最後のキャンバー区間で追いつかれていた。

 Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

ゴローさんには余裕があった。

この時点で「ああ、勝てない。3位もだめだな。」と思ってしまった。どこまでメンタル弱いんだろうと思ったが、どこか自信が持てなかった。案の定そのあとは自分でも分からないが、追えないペースではないが、追えなかった。よくわからない。

この時点で、もう終わっていたんだろう。

 Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

無意味な4位だった。しっかり準備もして、ピーキングも体感できるほどできていて、疲れもない。低体温でも、メカトラもない。良いラインも見つけた。雪国で育った自分には寒い状況は好都合だった。

 Photo: Y.Kato@kaytoyoshitaka

ただ、メンタルが弱かった。

Just a moment...

レースが終わったあとに、ピットに居てくださった36隊の松井さん、応援してくださった野口さんにお礼を言って帰宅した。自分が思っているだけかもしれないが、なんだか、申し訳ない気持ちだった。あわす顔がない。

レースが終わったバイクをそのまま突っ込んで、ジャージのまますぐ帰った。クルマの中で何度も叫んでしまった。くやしい。まぁ、おっさんになってこんな悔しいと思えることは幸せなことだ。

 

目標に向かって、朝晩仕事と子育てをしながら練習を毎日積み重ねて、クソみたいな走りをする。マジでアホだ。

あー、まじであかん、おまえはクズだ。◯んでしまえ。

と思いながら、須走付近を通ったときに雪が降ってきて完全にホワイトアウトした。時速は30km/h、さらにノーマルタイヤ。しかも下りかよ。まじで死ぬかと思った。いや、あかん、無事に帰って会場で買った宇都宮の餃子や、地ビール、子供のお土産の富士ちゃん靴下を渡す必要がある。

もうちょっと生きねばならぬ。

なんとか帰宅できた。

翌朝、娘から「パパ、3位おめでとう!」と言われた。「え?」と思ったが、どうやらインスタライブで序盤の切り取り動画で勘違いしたらしい。「あー、実はあのあとな・・」と、とても気まずい感じだったが、やはり表彰台は子供でもなにか特別な場所だと思っているようだ。

パパも乗りたかった。もう少しだったが、自分が弱いから負けた。村田さん、斉藤さん、筧さんは強かった。だから、表彰台にたどり着けた。それ以上でも、それ以下でもない。レースはリザルト、結果が全てだ。

4位なんてものにはなんの価値も意味もない。

翌日も娘と妻を遊びに見送ってから、トレーニングを再開した。まだ走る必要がある。何年もロードでやってきたピーキングで、調子がいいことはわかっていた。だからFTPテストでアルプを1本登ろうと思った。

アルプ 37分30秒 318W(5.57W/kg)、 FTP更新して304W(5.33W/kg)だった。なぜそれを昨日だせなかったんだろう。

ただ、後半20分は「ゴローさんが追いかけてきてるぞ!ぜったい勝つ!」とまじで思いながら追い込んだ。いや、それ昨日レースの走りでやれよおまえ。そういう意味では、このパワーを出せる悔しさの源を生み出すきっかけになったゴローさんには感謝しなければならない。

この年になっても「くやしい、くやしいのう」と心底思える。そう思えるうちは、まだ走れる。そうおもう。そう思えなくなったときが、走るのを、選手をやめるときだ。

来年はもっと強くなって、宇都宮に戻るぞ。絶対やる。

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