photo credit: JD Hancock via photopincc
パイオニアペダリングモニターのサイクルコンピュータ(GX-CA900)が採用しているOSはアンドロイド EM2(Embedded Master)だ。アンドロイドOSについて調査した記録を記載する。
パイオニアペダリングモニターの発表
パイオニアぺダリングモニターの日本初公開はサイクルモードの前、CEATEC2010で行われた。私は仕事の関係と半ば趣味でCEATECへ毎年行く。CEATECは商談が行われるが、一般枠は最終日のみ参加可能である。
アンドロイドベースのサイクルコンピューター
CEATEC開催から時間が経ちパワーメーター市場も変化した。今回はGX-CA900に搭載しているアンドロイドOSと、コンピューターの仕様を確認する。
現在の市場を確認すると、サイコンはガーミンエッジシリーズの使用率は依然として高い。高機能なGPSと、ラップ機能、パワーメーターとの親和性を早くから取り組んできた同社の使用率は高い。Edgeユーザーから見たGX-CA900の比較と性能を確認する。
GX-CA900 アンドロイド EM
パイオニアペダリングモニターはペダリングを12分割し、「出力」、「効率」、「ベクトル」を表示する。12分割なので、30度毎に分解しデータストリームを送信する。これらはGarminEdgeの機能で実現できないので、独自のコンピューターが必要になる。
GX-CA900に搭載されているアンドロイドOSについてみていく。
携帯電話のアンドロイドと異なるOS
アンドロイドといえば、今は携帯電話に搭載されているメジャーなOSである。しかし、携帯に搭載されているアンドロイドとは異なる。GX-CA900に搭載されているOSはアンドロイドベースの「組み込みシステム向けOS」だ。
何が違うのか。正式名称はアンドロイドEmbedded Master(EM)IIを搭載している。
Embedded Master2はどのようなOSか
Embedded Master2(EM2)はアンドロイド2.0がベース(2011年当時 Linuxカーネル2.4)だ。アンドロイドはもともと携帯電話向けに開発されたOSである。しかし、アンドロイドは携帯電話を作る為に特化した結果、機能を盛り込み”すぎた”。
携帯電話用のアンドロイドのソースコードは公開している。コードは数千万行に達している。サイコン(組み込みデバイス)に移植するために、不要モジュールの削除、各社自作のモジュールの追加作業が発生する。
機能を作りすぎソフトウェア容量が肥大すると、小さな(GX-CA900のような)装置に導入することが難しいOSになる。デバイスが小さければ記憶容量が小さいという問題がある。携帯電話に制限された仕組みを、組み込み型装置に流用するには厳しい条件だ。
EM2はこれら、プラットフォームの依存問題を解決している。
Embedded Masterのダウンロード先
Open Enbedded Software Foundation Android Distribution for Embedded systems
https://github.com/OESF/Embedded-Master-ARM
GarminEdgeとの相違点
パイオニアのペダリングモニターが魅力的な点をあげる。パワーメーターの歪や精度よりも、アンドロイド Embedded Master 2を用いることで拡張性が増すことだ。
ペダリングは1周30度毎に分解し測定している。30度毎を擬似的に15度に変えたり(妄想です)、ペダリング解析を補助する機能を追加できる。機能を追加できることは、ユーザビリティを高めることができる。
開発サイドは、将来アドオンとして追加機能売る旨味がある。
パワー測定から脱却する
現在のパワーメーター市場はすでに飽和している。どれも似たり寄ったりだ。人がクランクを踏み、そのひずみから得られたパワーを表示する”だけ”だ。議論は、パワータップと比べて精度がよい、だとか温度変化の影響がないと似たり寄ったりの話が繰り返される。
ハードウェア性能の興味と比較は確かに面白い。ただ、時間が経過しデバイス側が賢くなると問題ではない。では次は何を求められるのか。パワーメーターのシステムの基本は”出力計測”だ。
その計測”だけ”の機能から脱却しなくてはならない。QuarqやRotorPowerが左右バランスの比率の機能を追加したことはその一歩だ。今後、出力を示していた過去の時代から、ペダリングを解析する機能を強化する方向へシフトしていく。
追加機能の将来性
現代は、付加価値を付けないと売れない時代だ。同様にパワーメーターもユーザーがハッとする機能が求められる。パイオニアペダリングモニターは組み込み型OSとして拡張性がある。追加機能を考慮したアンドロイド Embedded Master2を搭載している拡張性はGarminEdgeの比にならない。
国産はガラパゴス化の道を歩むのか
今後、機能追加で独自路線が進むと必ず話に出てくる事がある。NTTDocomoがタイゼンOSを使ってスマホ出す計画(2013年頓挫したが)を打ち出しさらにガラパゴス化(独自の進化を歩む)を”目指した”。
パワーメーター市場ではどうだろうか。私は本市場(パワーメーター)においてガラパゴス化こそ市場で生き残れる方法であると考える。パワーメーター市場ではガラパゴス化と呼べるほどスタンダードなものがないのが現状だ。だから、国産メーカーが独自路線のガラパゴス化を期待する。
ガラパゴス化こそ、特異性の強みになる。
まとめ:ぺダリングの最適解を導き出せるか
いつか、国産のパワーメーターがSRMのようにぺダリング解析のデファクトスタンダードになる日がくる。私が期待してる事がある。ペダリングのムラと、出力の関係から出力が低くとも速度がでるといった最適解を計算し、導き出す仕組みだ。
出力を出さず、進ませる方法ある。効率の良いぺダリングだ。以前パワートレーニングの講習会の際、西薗選手(チャンピオンシステム)と山崎店長(クラブシルベスト代表)と飲みに行った際、『同じ出力でも推進力になってるかは別』という議論をした。
いづれ、パイオニアぺダリングモニターはフィッティングと同様に、”自転車を進めるための最適解を導き出すツール”としてスタンダードになることを期待している。
パイオニアぺダリングモニター:SGY PM900
動作時間:約200時間(CR2032電池は含まれています)
耐水性評価:IPX6
重量:70g(L&Rセンサーを含む)
精度:+ / – 2%SGX-CA900 cyclocomputer
GPS
気圧計と温度計
2.2 “カラーLCDタッチスクリーン
リチウム·イオン·バッテリー(12時間動作時間)内蔵の充電式
ANT +センサーとペアリングするためのANT +モジュール
ケイデンス/速度センサー(オプション)
充電&データ転送用のミニUSBケーブル
パイオニアペダリングモニターインプレ一覧
本記事は2013/12/21に加筆、修正しました。
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