新型 ROTOR INPOWERはクランクシャフト型パワーメーターに

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ROTORが新たな構造を採用したROTOR INPOWERを発売する。本パワーメーターはクランクシャフト部にセンサーを備えている。今までのROTOR POWERはクランクアーム部の中空部分にひずみゲージを設置しパワー計測を行っていた。

ROTOR POWERの発売当初の機構といえば両方のクランクアームで測定していた。そして廉価版として片側計測(Stages Powerの様なタイプ)を展開した。そして今回の新しいROTOR INPOWERはシャフト部での測定方法を採用している。そのROTORの新しいパワーメーターをみていこう。

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ROTOR INPOWERの仕様

ROTOR INPOWERはクランクシャフト内にひずみゲージを仕込ませたパワーメーターだ。ROTORは主に30mmのシャフトを使用している。初期は24mmのシャフトタイプも存在していたが現在のROTORの主流は30mmシャフトだ。この30mmシャフト内にひずみゲージを仕込ませ測定を行う。

シャフト部で計測が行われているが実際は「左側のみ」測定する方式だ。要するに非ドライブトレイン側(左側クランクアーム)のみで計測が行われる。それらを倍にして(何らかのロジックは有るだろうが)測定結果をサイクルコンピューターに送信している。

片側でしか測定できない点はStagesPowerと変わらない方式だ。従って両足で測定した結果ではないのはひとつ抑えておきたい点といえる。仕様は次の通りだ。

  • サンプリング:200Hz
  • デュアルひずみゲージスピンドルベースのパワーメーター
  • 30mm径のアルミスピンドル
  • 駆動時間:300時間
  • バッテリー:単三電池
  • 重量:約50グラム
  • 通信方式:ANT+
  • 既存のROTORクランクの左側変更も可

サンプリング数の減少

ROTOR POWERが発表された際、話題になったのは測定のサンプリング数だ。1秒間により細かくデーターを取得する事を謳い優位性を掲げていた。1秒間に500回データーを取得(サンプリング)する性能はSRMよりも秀でていた。しかしここにきてサンプリング数は200Hzに減少している。

理由はいくつか考えられるが「バッテリー問題」「測定精度」「サイコン側の問題」といくつか考えられる。サンプリング数が多ければ測定の確からしさは向上するかもしれないが、それだけ消費電力が大きくなる。何よりバランスが大事と言えるが、単三電池を採用したことにより動作時間との兼ね合いもあったのだろう。

またセンサー自体の測定精度が向上し一つ一つの測定自体の精度が向上したのかもしれない。それにより多くのサンプルが無くとも高い測定精度が保てるのではないか。サンプリング数の減少の要因として様々な事が考えられるが、技術が進んだ現在のパワーメーターにとって「測定精度」の話は古いのかもしれない。

シャフト内蔵型のメリット

今回シャフト部にひずみゲージを仕込ませているわけだが、パワーメーターは様々な方法でパワーを計測する。例えばQuarq、SRM、Power2Maxに代表されるスパイダー方式はクランクのスパイダー部分とチェーンリング間の歪を測定している。

次にクランクアーム自体にひずみゲージを取り付けたパイオニアペダリングモニター、StagesPower等のようなタイプが存在している。いまや古くなってしまったがパワータップはハブ内蔵式だ。そしてここに来てROTORはシャフト部にひずみゲージを埋め込んだ。

シャフト部にセンサーを埋め込む利点はなんだろうか。おそらく外的な影響を非常に受けにくいと想像できる。パワーメーターが出始めた時は「精度」だとか「サンプリング数」だとか「チェーンリング交換後の校正不要」等、いわば機能の過渡期であった。

ただ、センサー部などが外に露出している場合、例えばチェーン落ちの影響でセンサーが破損してしまう事例も多かった。また雨天などでセンサーに水が入り正しく測定できないなど電子デバイス特有の問題も散見されていた。Quarqの発売当初は水没問題が多かったことも今や昔話だが。

また、ひずみゲージ特有の外気温に影響を受けて測定のムラが発生してしまうこともあった。パワータップのようにハブの中に内蔵されたタイプであれば外的気温をあまり受けずに測定ができるメリットもあった。今回のROTOR INPOWERは外的影響による破損や気温による影響にも強いといえる。

事実としてROTORのMTB向けクランクアームに対応したINPOWERもラインナップされているのでシャフト内蔵型の構造の有利な点であろう。

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ROTOR POWERの価格は大幅値下げへ

今回の新しいシャフト部での機構が発表される少し前ROTOR POWERの値下げもアナウンスされた。ROTOR POWERの初期型を高いお金を出して買った人はショックな話題だ。ROTOR POWERの「クランクセット」自体が大幅に値下げがされているのだ。

価格は現地のドルで表記だがひと目で値下げされていることがわかる。

  • ROTOR FLOW(クランクセット): $1139
  • ROTOR 3D+(クランクセット): $1079
  • ROTOR 3D30(クランクセット): $959
  • ROTOR FLOW(左クランクのみ): $869
  • ROTOR 3D+(左クランクのみ): $839
  • ROTOR 3D30(左クランクのみ): $779

左クランクのみの発売というのは既存のROTORクランクユーザー向けには嬉しい配慮かもしれない。左クランクアームを購入すれば既存のシステムを流用してパワー計測を行うことが可能になる。これらの展開は既存ユーザにとってメリットが大きい。

初代のROTOR POWERはサンプリング数やひずみゲージの数と非常に製造コストがかかっていたのかもしれない。今回は性能の間引きやひずみゲージの低廉化がなされ、今回の価格減に寄与している可能性がある。いづれにせよSRM並みの価格に近づきつつあったROTOR POWERが身近になったのは事実だ。

ただ、国内の定価はまだわからない。海外から容易に輸入できる時代になり国内購入のメリットは非常に曖昧になった。デバイスの保守拠点が国内になるパイオニアペダリングモニターと異なり、壊れた場合の対応が海外製品は難しい。

ただ、Quarqは私も修理をお願いしたことがあるが非常にスムーズだ。この点国内で購入できるROTOR POWERはどのような対応をするのか興味がある。正直なところ国内で購入するメリットが無ければ今回ROTOR INPOWERに興味を持ったサイクリストは海外に流れてしまうかもしれない。

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まとめ:ROTOR INPOWERが狙う市場

ここまで見てきたROTOR INPOWERは「シャフト内蔵型」「コストダウン」を備えたという特徴が目に留まる。ただ、別の角度から見るとシャフト内蔵型は思った以上に外的要因(チェーン落ちや落車)による破損などに強い構造といえる。

とするとROTOR INPOWERは、オフロードのようなシチュエーションで使うには最適なパワーメーターなのではないか。CXやMTBは泥や水といった悪条件での使用が当然である。またチェーン落ちやメカトラなども頻繁に発生する。その際に優位性が有るのはやはり外部から厳重に密閉されたシャフト内蔵型といえるだろう。

今やロードバイクにパワーメーターを搭載するのは当たり前の時代になりつつ有る。そして1台目需要から2台目需要をどう生み出すのかメーカは模索しているところだろう。従って、今後需要の伸びしろが有るオフロードの世界は魅力的に映る。

これからパワーメーターが順調に供給され飽和時代突入した時、セカンドバイクやロードバイク以外のマシン(CXやMTB)に有利な構造は重宝されそうだ。そのような意味でも非ドライブトレインにパワーメーターを搭載するメーカは今後増えてくる可能性がある。

このROTOR INPOWERを皮切りに、他社からより安く高性能なパワーメーターの出現と技術・価格競争が進めば、よりパワーメーターは身近な存在になっていくのかもしれない。ROTOR INPOWERの構造と低廉化はパワーメーター市場に一石を投じるデバイスといえるだろう。

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