パイオニアが提供しているクラウド型解析サービスである「シクロスフィア」でアップデートが行われた。このアップデートでは、ユーザーから送られてくる膨大なパワーデーターを集計し、ランキング付けするという新たな試みである。
国内では圧倒的にパイオニアペダリングモニターのシェアが高い。データーも膨大な量が集まってくる。その中で自分はどれくらいのポジションなのか見て取れる。では早速その概要を見ていこう。
シクロスフィア ランキング
まずこのランキングはスマートフォンからのみ閲覧可能だ。パソコンからは見られない。まず、およそ三ヶ月間のデーターから自身のパワーデーターを集計している。だから「昔は速かったんだ!」なんて、過去に置き去りにされたサイクリストには少し辛いかもしれない。
面白いのは、データーを突合したときの相関関係である。たしかにパワーが出た、出ないを確認することも面白い。しかしそれは、ある一片を見ただけのデーターだ。私はこれらのデーターを見て「距離神話」と「パワー信仰」を垣間見れる良いビックデーターであると感じた。
強くなるために闇雲に距離を乗るのは昨今のトレーニングトレンドを見ると得策ではないとされている。ただ、距離を乗る中でどれほどTSSや仕事量のジュールを稼げているのか、それらのバランスがこのビッグデーターからわかるのだ。データーとは事実を伝えてくれるものの、どう料理するのかは扱う本人次第なのである。
私は距離や獲得標高は全体のトップ一割に位置して稼げているものの、TSSはなんと、真ん中だ。これらの相関関係は様々な事実をおしえてくれる。
まとめ:システムを包括する脅威
昨今のパワーメーターはどれもこれも同じ似たりよったりな製品が多い。パワーメーターというコモディティ化した市場で生き残るには尖った技術で差別化を図る必要がある。その中でも測定した膨大なビッグデーターをどう扱うのかという点に目をつけたのはさすがエンジニア集団だと言えるだろう。
ハードとソフト両面からデバイスを見ると、昔パソコンがこんな揶揄をされていたことを思い出す。「パソコンは、ソフトがなければただの箱」と。
そう考えるとパイオニアが虎視眈々と作り上げてきた、計測(ペダモニ)、トレーニング(トレーニングアシスト)、データー解析(シクロスフィア)、フィードバック(ランキング)という一連の「トレーニング回路」を自社で包括的に構築したことはある種の脅威ではないか。
一つの企業が一つの仕組みを包括的に提供することはとても意味がある。過去にNTTドコモがアップルのiPhoneを取り扱いをしなかった。一つの理由にアップルのアプリケーションサービスであるAppstore の存在があると言われている。要するにドコモが所有するアプリサービスと競合するのを恐れたのだろう。
やはり、一社で一つの「集金の回路」を持つ意味は大きい。ここからは、私の一つの提案だ。いっそのこと、シクロスフィア上でオンラインのパワートレーニングのコンサルティングをやればいい。そう、トレーニングピークスと組んだりして。もしくは個人的な有識者がやってもいい。国内のオンラインのユーザー数は圧倒的にシクロスフィアだろう。
ハードウェアはコモディティ化がより顕著になっていく中で、パイオニアが目をつけたソフトの領域はいまだブルーオーシャンだ。そのなかでさらに揺るがない土台を築けはパイオニアペダリングモニターはさらに良い意味で「ガラパゴス化」する。
パワーメーター市場で生き残っていくにはそのほうが良いかもしれない。独自の進化と、自社内に一元的なパワーメーターを使ったトレーニングシステムを持つパイオニアはパワーメーターと、パワートレーニング業界でメーカーとしてのあり方を確立しつつある。
洋泉社
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