Mageneがカーボンスポークを用いた軽量カーボンチューブレスホイールのEXAR Ultra 2023を2種類リリースした。日本ではTPUチューブやパワーメーター、レーダテールライトでおなじみのブランドだ。
カーボンスポークやセラミックベアリングを用い、40/45mmモデルが1290g、50/58mmモデルが1375gと非常に軽量なホイールに仕上がっている。リムプロファイルは外幅30mm、内幅は23mmのフック式で最新設計だ。
これまで内幅23mm幅フック式のモデルはBONTRAGERのAEOLUS RSL51だけが採用した最新設計だった。ROVAL RAPIDE CLXや他社のフック式モデルの内幅は21mmと旧世代のタイヤ用の設計が現在でも主流になっている。
フックレス式リムの場合は25mm以上が主流になっているが、クリンチャータイヤを使用することを考慮したフック式の場合、最適解のリム内幅の設計は23mmだ。
カーボンスポークやセラミックベアリング、スターラチェットハブをもちいた軽量カーボンホールながらも、Mageneらしくコストがおさえられており価格は1,199ドルだ。
より軽く、より速く
EXAR Ultraの開発で最も重点がおかれたのが「より軽く」「より速く」だ。最近の機材でトレンドになっている重量とエアロダイナミクスのバランスをホイールでも実現している。
Mageneによれば、EXAR Ultraは究極のパフォーマンスを追求することが目的であり、カーボンスポーク、セラミックベアリング、精巧なハブ、最新設計のリムに至るまで、トップレベルの素材を採用している。
EXARの開発者は、あらゆるレースの条件において速く走れるようにUltraホイールセットを開発した。カーボン素材はHI-MOD T800を採用している。この素材は、優れた剛性を保ちながら大幅な軽量化を可能にしている。
前後異型リム
最新のENVE SESやROVAL RAPIDEのようにEXAR Ultraも前後異型リムを採用している。エアロダイナミクスと重量のバランスをつきつめていくと、フロントとリアのリムハイトを異なるリムプロファイルにすることが合理的だ。理由として、フロントとリアでは風のあたるタイミング、フロントはステアリング、リアは駆動など役割と風の抜けかたが異なっているからだ。
この前後異型の思想はSWISS SIDEのハドロンホイールでも採用している。DTSWISSのARCシリーズ(SWISS SIDEが開発)も用途に応じて前後異型リムの構成がとられる場合がある。
EXAR Ultraは40/45mmと50/58mmの組み合わせで、定番のフロントホイールが低く、リアホイールが高いデザインだ。リアホイールは高い慣性モーメントを確保し、スポークを短くすることで駆動剛性を向上させている。
フロントホイールはRAPIDE CLXのように横風に対応すべくコントロール性能が高められており、より効率的で安定したライディングが可能になる。
リムプロファイルは外幅が30mmで、昨今のワイドタイヤと相性がよい。タイヤの幅とリム幅が近いためエアロダイナミクスにも優れている。ディスクブレーキ専用のリム設計であるため、複雑な風の状況でも最適な空力性能を確保し、横風での安定性も向上させている。
内幅23mmは、タイヤ内のエアボリュームが増すため、より低圧での運用が可能になる。内幅の設計は28-32cタイヤに最適化されており、タイヤを装着すると、タイヤとリムの接触面がフラットになる。その結果、よりフラットな空力面が生まれ、エアロダイナミクスと快適性が向上する。
フルカーボンファイバースポーク2.8g
CADEX、LUN、VORTEX、HUNTなどで採用が増えているのが調整式のフルカーボンファイバースポークだ。
EXAR Ultraにも超高剛性かつ超軽量のフルカーボンファイバースポークが採用されている。素材はリムと同じくHI-MOD T800カーボンファイバーでスポーク1本あたりの重量はわずか2.8gだ。
トップレベルのCX-RAYの4.3gと比べても34%軽量だ。カーボンスポークは引張強度が高く、1000N/m近い引張力に耐える。これ以上になない素材で、駆動によるロスがほとんどなく、高い走行効率をもたらす。
また、スポークパターンも考えられている。
昨今のディスクブレーキホイールのどれもが左右対称の24H、さらにディスクローター分のスペース確保や12速に対応すべく、全てのしわ寄せはハブのフランジ幅が狭くなることで補っている。そのため、左右対称のスポーク構成であるとスポークテンションがかたよってしまう。
EXARのスポークパターンは伝統的な2:1のレーシング・パターンだ。前後とも21Hでブレーキサイドがx2、ノンブレーキサイドがラジアル組でありスポークテンションを完璧に分散している。後輪駆動側のスポーク張力は130kgf±10%、非駆動側は110kgf±10%だ。
DTSWISS互換ハブ
ハブはスポークとリムを考慮し専用設計されている。フランジ径はカーボンスポークの剛性が計算されており、スポークとハブが接触する応力集中点が低減している。走行剛性の向上と耐久性の向上を実現している。
全てのベアリングは、セラミックベアリングを使用している。鉄に比べ、セラミックは軽量で抵抗が少ないため、より滑らかなベアリングを作ることができる。回転時の抵抗が少ないため、エネルギーを節約し素早い加速が可能だ。
ハブのラチェットはフラット・エンゲージメント・ラチェット・デザイン構造だ。DTSWISSのラチェット構造(おそらく特許切れの)と同様の構造で、36Tのフラットラチェットを採用している。DTSWISSのラチェットと互換性があることが公開されている。
より大きな面で噛み合うため、ラチェット自体の耐久性が高まり、高速かつ正確な噛み合いと安定性を実現している。
重量
- DB405 ULTRA 1290g
- DB508 ULTRA 1375g
仕様
DB405 | DB508 | |
---|---|---|
リム高(前) | 40mm | 50mm |
リム高(後) | 45mm | 58mm |
リム外幅 | 30mm | 30mm |
リム内幅 | 23mm | 23mm |
リム素材 | HI-MOD T800 | HI-MOD T800 |
スポーク素材 | HI-MOD T800 | HI-MOD T800 |
スポーク本数(前) | 21H, 2:1 | 21H, 2:1 |
スポーク本数(後) | 21H, 2:1 | 21H, 2:1 |
重量 | 1290g | 1375g |
ラチェット |