189g! Maxxis High Road SL インプレッション 軽量レーシングタイヤの実力

4.5
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189gの軽量タイヤに、似あわぬ安心感。

MAXXIS HighRoad SLはワイドタイヤでありながら、軽量性と走りが安定しているタイヤだ。28Cタイヤで189gの軽さは驚きである。一世を風びしたタイヤ、スーパーソニックをほうふつとさせる。

しかし、あの頃の軽量タイヤとは少々異なる。軽量タイヤはトレッドが薄くなるのが宿命で、HighRoad SLもその枠から漏れない。しかし、軽量タイヤにありがちなフワフワとした、地に足がついていないような不安定さがない。

Maxxis HighRoad SLは、スピード、転がり抵抗、軽量性を優先する競技者のために開発されたMaxxisのハイエンドレーシングタイヤに仕上がっている。独自のコンパウンドテクノロジー、軽量化、構造、ライディングにおいて進化を遂げていた。

本レビューでは、第2世代High Road SLの進化のポイント、コンパウンド、軽さ、用途、そして走りの軽快さを多角的に検証し、その実力を探った。

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第2世代、High Road SLの進化のポイント

マキシス(Maxxis)は、1967年に台湾で創業し、自動車や自転車タイヤで世界的な評価を得ているブランドだ。特にMTBタイヤで高いシェアを誇るが、ロードバイク用タイヤも高い技術力をベースに様々な製品をリリースしている。

フラッグシップモデルである「High Road SL」は、軽量性、転がり抵抗、耐パンク性能のバランスを更に高めたタイヤだ。第2世代は前作の成功を元に、大幅に進化している。

第2世代High Road SLは、第1世代の軽快さとグリップ力を継承しつつ、ケーシング構造と耐パンク性能に大きな改良が加えられた。

第1世代では170TPIのケーシングを採用していたが、第2世代では150TPIに変更している。ケーシング量は多い方がしなやかなでよいイメージがあるが、ケーシングのしなやかさを維持しつつ、耐パンク性能を向上させ、バランスをとることが狙いだ。

新たな「ターンアップ構造」を採用することで、タイヤ全体の剛性バランスが最適化され、転がり抵抗も低減されている。この変更により、クリンチャーモデルの重量は25Cで170gから180g、28Cで180gから190gとわずかに増加している。

軽量タイヤながら、耐パンク性能の強化も行われている。マキシス独自のK2(ケブラーコンポジット)プロテクションレイヤーを加えることで、パンク耐性が向上している。従来のケブラーやベクトランよりも軽量かつ強じんだ。

第2世代では、このK2レイヤーの配置とケーシング構造の最適化により、耐パンク性能が更に向上した。実走テストでも、小石やガラス片によるパンクが起こらず(長期テストが更に必要だが)、軽量レースタイヤにしては、わりと信頼性が高いと感じた。

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コンパウンド:HYPR-Sの進化と性能

High Road SLの心臓部ともいえるのが、第2世代でも引き続き採用された「HYPR-Sコンパウンド」だ。このコンパウンドは、マキシスの従来品(HYPRコンパウンド)をベースに、転がり抵抗を12%低減しつつ、グリップ性能を維持したレーススペック仕様に仕上がっている。

転がり抵抗のテストによると、HYPR-Sは、コンチネンタルのGRAND PRIX 5000に匹敵する転がり抵抗値を記録し、テストではほぼ同等の性能を発揮したという。

Bicycle Rolling Resistanceのテストでは、GP5000が10Wに対して、前作のHigh Road SLが13Wだった。12%の改善で11.44Wほどになるため、ほぼGP5000の転がり抵抗に近い。

辛辣な言い方になってしまうが、絶対的な転がり抵抗ではGP5000を上回ることはないだろう。

面白いことに、実走での走りの質、硬質さがGP5000と似ている。軽量タイヤでイメージするようなペラペラ感がなく、どちらかといえばGP5000系の硬い感触そのままだ。28Cとトレッドの薄さ、エアボリュームによる振動減衰の性能も感じられる。

軽量タイヤがゆえ、初動の軽さとスムーズな加速感が際立っている。平たん路での巡航も非常に快適だ。リム内幅23mmと体重58kgという条件で、空気圧は0.2Bar刻みで試したところ、4.0~4.4Barに設定すると転がりの軽さと路面追従性のバランスが最適化された。

グリップ性能に関しては、下りでも攻められる安心感と、タイヤの挙動のつかみやすさがある。HYPR-Sはウェットコンディションでも高いグリップ力を発揮するというが、今回は試せなかった。

軽量タイヤは下りで攻められないが、このタイヤは六甲山の下りで倒し込んでもグリップが途切れず、コンパウンドのおかげなのか、安心してコーナーを攻められる感じがあった。

ただし、荒れた路面ではタイヤの硬さからくる振動が気になった。更に空気圧を落とす必要があると感じた。

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クラス最高峰の軽さ

High Road SLは、マキシスが軽さにこだわった最軽量ロードタイヤだ。第2世代でもその地位を維持している。クリンチャーモデルの重量は25Cで175g、28Cで190gだ。競合他社のコンチネンタルGP5000やヴィットリアCorsaの軽量モデルと比較しても遜色ない。

28Cで200gを切るタイヤは数少ない。軽量性のメリットは、加速性能とヒルクライムでのアドバンテージだ。軽量タイヤでイメージするような不安定さやピーキーさがなく、スピードが乗る感覚は決戦用といえる。

私の体重は58kgであるため、4.0Bar程度の空気圧で運用できたが、60~70kgのライダーは5~6Bar前後の空気圧で軽快さと快適性のバランスが取れるように調整した方がいいだろう。

数値的な軽量化は、明確な進化を印象付ける。耐久性よりもスピードや軽さを優先するライダーにとって選択優位性があるが、軽量構造はレースでの使用を重視するあまり、堅ろう性は多少犠牲になっている。このデメリットの部分は別章で触れる。

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使用用途

このタイヤの使用用途について考えてみたい。

High Road SLは、決戦用でレースを主体として使うタイヤだ。1秒1秒を争う競技に最適と言える。28mmはワイドなプロファイルにもかかわらず、軽さと薄さから生き生きとしたフィーリングを維持している。「ワイドタイヤは動きが鈍い」という概念を覆してくれる。

とはいえ、High Road SLは明確に「レーススペック」として設計されたタイヤであることを忘れてはならない。軽量性と転がり抵抗の低さを生かし、ロードレースやTT、ヒルクライムでの決戦用タイヤとしての用途が適切だろう。

ヒルクライム用途としては、タイヤ重量の軽さが、ホイール全体の回転質量を軽減し、登坂時のレスポンスを高めてくれる。

レースに出ない週末のロングライドやグループライドの愛好家には、耐久性や対パンク性を無視できるのならという条件付きで、軽快な走りとグリップ力を楽しみたいライダーに推奨できる。

ただし、日常の通勤やトレーニングでは、耐久性を考慮して「High Road」ノーマルモデルを推奨する。

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インプレッション:軽さと信頼性

タイヤを走らせる前は、「軽くてシャープ」な特性を際立たせたスーパーソニックのようなタイヤをイメージしていた。実際はそのような走りを一切せず、レーシングタイヤらしからぬ「安定感」と「路面追従性」があった。

登りがメインかと思いきや、平たん路での軽快さが意外と良い感触だった。平たん路での巡航が非常にスムーズでノイズ感が少ない。スーパーソニックのイメージがぬぐい切れていなかったが、内幅23mmのワイドリムと28Cの相性もよく安定感と快適性が向上した可能性がある。

タイヤの特徴を決めるコンパウンドは、非常に重要な要素だ。HYPR-Sコンパウンドは確かにグリップ力が高く感じる。150TPIケーシングのしなやかさがあいまって、軽量タイヤには似つかないハンドリングの安心感がある。

GP5000に似た硬質なタイヤであるものの、乱暴なペダリングでもタイヤが路面をしっかり捉え、スムーズにスピードに変換してくれる。

最も使用用途が高いと思われるヒルクライムは、期待していた通り立ち上がりが鋭い。150TPIケーシングはしなやかさすぎず、タイヤ剛性のバランスが絶妙だと思う。正直に書くと、荒れた路面では振動がかなり伝わってくるが、空気圧を最適化することで幾らか大人しくなるだろう。

まだ試せていない懸念点としては、耐久性の問題がある。レーシングタイヤであるため、耐久性は二の次である。タイヤの特性上、耐久性のトレードオフで性能が成り立っていることも理解しておく必要がある。

薄いケーシングはしなやかではあるが、オールラウンド系タイヤと比べると摩耗が早いのは当然の話である。

また、薄く軽いタイヤはTPU(熱可塑性ポリウレタン)インナーチューブと組み合わせの相性が悪い。軽量化を更に最適化できるが、お勧めはしない。やめておいた方がいい。ラテックスを使った方がいい。

ケーシングが薄いことと硬質なタイヤのため、特に悪路に頻繁に走るライダーにとっては、乗り心地の悪化と耐久性が懸念される。確かに、軽さと弾力性のバランスを保つケブラー複合材のK2レイヤーでこれらの要素を軽減しているが、レース用途を主軸に置いているため、耐えうる機能は限定的だろう。

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まとめ:レースで使える189g

Maxxis High Road SL 第2世代は、軽量性、低転がり抵抗、グリップ力の三拍子を高次元で両立させたレーシングタイヤだ。ケーシングの変更と新たなターンアップ構造により、第1世代のシャープさに安定感と耐パンク性能が加わり、より幅広いライダーに訴求する仕上がりとなっている。

HYPR-Sコンパウンドは、コンチネンタルGP5000と良く似た硬質さと転がり抵抗と優れたグリップ力を提供し、レースやヒルクライムでの「決戦用」として申し分ない性能を発揮する。

ただし、軽さを追求した設計ゆえ、日常使いでの耐久性には注意が必要が必要だ。パンクリスクを最小限に抑えるため、路面状況に応じた空気圧管理と定期的なトレッド点検を推奨したい。

タイヤに明確な軽さを求めるライダーは、200gを切る重量はアドバンテージになるだろう。レースやヒルクライムでマキシスの技術力が結集したこのタイヤを、ぜひ一度試してその実力を体感してほしい。

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