Favero Assioma PRO RS-2 インプレッション: 最軽量パワーメーターペダルの真価

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Favero Assioma PRO RS-2は、Shimano SPD-SL互換のデュアルサイドパワーメーターペダルだ。この製品は、同社のオフロード向けモデルAssioma PRO MXで培われた技術をロード向けに最適化し、外部ポッドを廃したデザインと片側123.5gというクラス最軽量の重量を実現している。

本インプレッションでは、その革新的な技術、実測データ、そして実際の使用感を通じて、Assioma PRO RS-2がどのようにサイクリングトレーニングの新たな基準を打ち立てるのかを詳細に解説し、その真価と今後の展望を提示する。

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Favero Assioma PRO RS-2の技術的概要

革新的な設計思想と構造

Favero Assioma PRO RS-2は、その設計においていくつかの画期的なアプローチを採用している。最も顕著な特徴は、従来のAssioma DUOやDUO-Shiに存在した外部ポッドを完全に廃止した「ポッドレスデザイン」だ。

シャフト部分のポッド(円柱の部品)がなくなった。

この設計により、全ての電子部品、ひずみゲージ、充電式バッテリーがペダル軸内部に収納された。

このポッドレスデザインは、単にペダルの外観を洗練させるだけでなく、製品の耐久性と信頼性を飛躍的に向上させている。電子部品が軸内部に完全に密封されることで、外部からの衝撃、水、泥などに対する保護性能が強化される。

さらに、従来の交換式バッテリーを使用する製品で発生しがちであった、接触不良に起因する電力途絶(ドロップアウト)のリスクも排除され、データの安定性が高まることが期待できる。

この構造は、Garmin Rallyなどの競合製品がコイン型電池を採用し、過去に接触不良の問題を経験したことを踏まえると、Faveroがその問題を根本的に回避する解決策を提示したことを意味する。これにより、サイクリストはより信頼性の高いトレーニングデータを継続的に得ることが可能となる。

ポッドレスデザインは、ペダル全体の軽量化にも大きく貢献している。また、Assioma PRO RSの軸は、同社のオフロード用パワーメーターペダルであるAssioma PRO MXのペダルボディと互換性を持つ「モジュラー設計」を採用している。

このモジュラー設計は、ロードとMTB、グラベルなど複数のジャンルでサイクリングを楽しむライダーにとって、パワーメーターを複数購入する必要がなくなり、大幅なコスト削減と利便性をもたらす。

軸(パワー計測部)を共有し、ペダルボディのみを交換することで、新たなパワーメーターを都度購入するよりもはるかに安価に、異なるバイク種別に対応できるため、多用途性を求めるユーザーには非常に魅力的な特徴である。

競合製品との比較

DURA-ACE PD-R9100との差はわずか12gだ。

Assioma PRO RS-2の主要諸元は、その市場における優位性を明確に示している。特に注目すべきは、デュアルサイドパワーメーターペダルとして市場最軽量の片側123.5g、両側で247gという驚異的な軽さだ。

DURA-ACE PD-R9100は235g

これは、Shimano Ultegra PD-R8000の片側124gと比較しても同等か、わずかに軽量であり、パワーメーター機能を内蔵しながらも一般的な高性能ペダルと遜色ない重量を実現している。

この圧倒的な軽さは、特にヒルクライムや軽量化を重視するサイクリストにとって極めて大きなメリットとなる。ペダルは自転車の回転質量の一部であり、その軽量化はペダリング効率や加速性能に直接的に寄与する可能性がある。

ロードバイクでは軽量化を追求し、重量が重視されることを踏まえると、この特性は特定の層に強く響く要素である。

Qファクターは標準的な53mm、スタックハイトは10.5mmと低く設計されている。これはShimanoのDura-AceやUltegraペダルとほぼ同等の数値であり、多くのサイクリストが慣れ親しんだペダリングフィーリングを提供する。

従来のAssioma Duo-Shiが65mmと広めのQファクターであったのに対し、PRO RS-2が標準的な53mmを採用したことは、ユーザーの生体力学的な違和感を解消し、既存のShimanoユーザーがスムーズに移行できる大きな要因となる。

Qファクターの変更は、膝や股関節への影響が大きいため、この標準化は多くのライダーにとって安心材料であり、製品の受け入れやすさに大きく寄与する。Faveroがユーザーからのフィードバックを製品設計に反映させた結果と言える。

項目 Favero Assioma PRO RS-2 Garmin Rally RS200 Look Keo Blade Power Shimano PD-R9100
重量(両側) 247 g 320 g 260 g 235 g
精度 ±1% ±1% ±1%
Qファクター 53 mm 53 mm 53 mm 52 mm (PD-R8000は53mm)
スタックハイト 10.5 mm 12.2 mm 10.8 mm 10.5 mm
バッテリー寿命 60時間以上 100-120時間 60時間以上
対応クリート Shimano SPD-SL Shimano SPD-SL Look KEO Shimano SPD-SL
防水性能 IP67 IPX7 IPX7
日本での価格(税込) 142,890円 約110,000円~140,000円程度(Rally RS200) 約100,000円~120,000円程度 約32,000円程度

この比較表は、Favero Assioma PRO RS-2の技術的優位性を一目で把握できるようにしたものだ。

特に、競合製品と比較して最軽量である点、Qファクターやスタックハイトが標準的なペダルと遜色ない点、そして高機能でありながら価格競争力がある点を明確に示すことで、読者の購入検討に直接役立つ情報を提供している。

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パワー計測技術と精度

海外のメディアGPLamaで新型assioma pro rsの測定精度が明らかになっている。SRM PM9比で-0.08Wしか違わぬ脅威の測定精度だった。

assioma pro rs最大の関心は、その測定精度と、既存のAssiomaペダルや他社製品と比較してどのようなデータ傾向を示すかという点だ。ここでは、提供されたソース情報に基づいて、Assioma Pro RSのデータ品質に焦点を当てて詳しく見ていく。

実地テストに基づくデータ品質評価

3ヶ月にわたる実地テストでは、Assioma Pro RSのデータ品質が詳細に評価されている。

このテストには、長期間にわたる精度、応答性、ドリフト、オフセット、振動に関する検証が含まれており、Assioma Pro RSはこれらのテストの全てに合格したと報告されている。

データ品質は「優秀 (excellent)」と評価されており、ペダルベースのパワーメーターとして「新しい基準を打ち立てる (sets a new standard)」製品であると結論付けられた。

具体的には、以下の点が高く評価されている。

  • 精度: 他の信頼できるパワーメーターと比較して、通常±1%の範囲内であった。
  • 応答性: スプリント中や異なるパワーゾーンへの移行中など、応答性が高い。
  • ドリフト、オフセット、振動: ほとんど無視できるレベルであった。特に定常状態インターバル中(特にERGモードでの屋内)でのパワー振動テストにも合格している。
  • コースティング応答: 非常に良好で、ホールドオーバーやスティッキーワットは見られなかった(ただし、これは使用するヘッドユニットにも依存する可能性がある)。

他社製品とのデータ比較

Assioma Pro RSのデータを、信頼できる他のパワーメーター(SRM PM9Garmin Tax Neo 3M)と比較分析している。

SRM PM9は、他のメーターとの整合性を保つために時々ゼロオフセットが必要となる「残余トルク」に若干の問題があると指摘されているが、Assioma Pro RSとGarmin Tax Neo 3Mは比較的安定している。

DCR Analyzerツールを用いた具体的な比較データは以下の通り:

  • ピークパワー(スプリント):

    • Assioma Pro RS: 1231W
    • SRM PM9: 1227W
    • Garmin Tax Neo 3M: 1220W

      これらの数値は非常に接近しており、ピークパワーの測定においても高い一致度を示している。

  • 定常状態(ステップテスト):

    • Assioma Pro RS: 192W
    • SRM PM9: 192W
    • Garmin Tax Neo 3M: 190.2W

      生のデータで比較しても、Assioma Pro RSとSRM PM9は完全に一致し、Garmin Tax Neo 3Mも非常に近い値を示している。このデータについて「そこに掘り下げるべきものは何もない」「データはただ動作する (the data just works)」「これまで見た中で最高のデータの一部」と述べており、Assioma Pro RSの定常パワー測定の信頼性の高さを強調している。

  • 左右バランス:

    • Assioma Pro RS: 95.92% (左), 96.44% (右)
    • SRM PM9: (異なる報告)
    • Garmin Tax Neo 3M: (良好)

      Assioma Pro RSは「真のデュアルセンシングパワーメーター」として、正確な左右バランスデータを提供している。SRM PM9は左右バランスを推定で報告しているため、Assioma Pro RSとは異なる数値を示す傾向がある。デュアルセンシングによる正確な左右バランスデータは、ペダリング効率の改善やリハビリテーションなどに役立つ。

  • ケイデンス:

    • Assioma Pro RS: 82 rpm (平均)
    • SRM PM9: 81.5 rpm (平均)
    • Garmin Tax Neo 3M: 82.6 rpm (平均)

      ケイデンスデータも、他のメーターと非常に近い値を示しており、異常は見られない。

これらの比較から、Assioma Pro RSはピークから定常状態まで、SRMやGarminといった他の信頼性の高いパワーメーターと非常に近接したデータを提供しており、その測定精度と安定性が実証されている。

IAV(Instantaneous Angular Velocity)パワーシステム

Favero Assioma PRO RS-2は、Favero独自のIAV(Instantaneous Angular Velocity)パワーシステムを搭載し、3軸ジャイロスコープを内蔵している。

このシステムは、ペダルストローク全体の瞬間的な角速度を測定することで、爆発的なスプリント時や高ケイデンス時、さらには楕円チェーンリング使用時でも±1%という高い精度と一貫したパワーデータを提供する。

多くのパワーメーターが特定の条件下で精度が低下する可能性がある中、IAVシステムはペダリングの変動や楕円チェーンリングといった「実環境」での複雑な要素に対応し、ラボ環境と同等の正確なデータを提供できる。

これは、トレーニングの質を向上させる上で極めて重要である。なぜなら、どのような状況でも信頼できるパワーデータが得られることは、トレーニングの計画性や評価の正確性を高めることに直結するからである。

データに基づいた意思決定を行うプロライダーやシリアスなサイクリスト、コーチにとって、これは不可欠な要素と言える。

さらに、Assioma PRO RS-2はアクティブ温度補償機能を備えており、広範な動作温度範囲(-10℃~+55℃)で安定した精度を保つ。また、自動ゼロ校正機能を搭載しており、手動での校正は取り付け時やバイク間の移動時のみで十分であるため、日常的な使用における手間が少ない。

高度なサイクリングダイナミクス

Photo: Favero Electronics

Assioma PRO RSは、基本的なパワーとケイデンスの計測に加え、

  • L/Rバランス(左右それぞれの出力比率、RS-2モデルのみ)
  • PCO(Platform Center Offset:ペダルプラットフォーム中心からの力点オフセット)
  • Power Phase(PP:パワフェーズ、パワー生成区間)
  • Rider Position(RP:ライディングポジション、シッティング/ダンシング時間)
  • Torque Effectiveness(TE:トルク効率)
  • Pedal Smoothness(PS:ペダルスムーズネス)

といった多岐にわたる高度なサイクリングダイナミクスを提供する。

特にPCOは、ペダルプラットフォーム上のどの部分に集中的に力が加えられているかを示す指標であり、クリート位置の微調整によるペダリング効率の最適化や、潜在的な左右非対称性の発見、さらには傷害予防に役立つ可能性がある。

Power Phaseは、ペダルストローク中に正のトルク、すなわち推進力が生成されている区間を可視化し、効率的なペダリング技術の習得に貢献する。

これらの高度なデータは、ANT+通信を介して対応するサイクルコンピューター(Garmin社の一部のハイエンド機種など )や、Favero Assioma専用アプリ(PROラインのペダル使用時はライブ表示に対応 )で確認できる。

Bluetooth通信経由では、主にパワー、ケイデンス、L/Rバランスといった基本的なデータが送信される。

PCOをはじめとする高度なサイクリングダイナミクスの提供は、Assioma PRO RSがプロフェッショナルレベルのコーチングや、データに基づいたパフォーマンス分析を志向するシリアスなサイクリストを明確なターゲットとしていることを示している。

ただし、これらの高度な指標を最大限に活用するには、対応するヘッドユニットや解析ソフトウェアが必要だ。Favero Assiomaアプリでのライブ表示対応は、この依存を一部緩和する試みと言えるだろう。

接続性と対応デバイス

メタルプレートで摩耗を防ぐ。

Favero Assioma PRO RS-2は、ANT+とBluetoothの両方に対応するデュアルプロトコルを備えており、Garmin、Apple、Polar、Suuntoなどの主要なサイクルコンピューターやスマートウォッチ、さらにはTrainerRoad、Zwift、Rouvyといったトレーニングアプリとの高い互換性を持つ。

Bluetooth接続では最大3台のデバイスに同時接続が可能である。

特筆すべきは、プラットフォームセンターオフセット(PCO)、パワーフェーズ(PP)、トルクエフェクティブネス(TE)、ペダルスムースネス(PS)、ライダーポジション(RP)、左右バランス(L/R Balance)といった詳細なペダリングダイナミクス指標を提供する点だ。

これらのデータは、ANT+接続を介してGarmin Edgeシリーズなどの対応デバイスで表示できる。豊富なサイクリングダイナミクスは、単なるパワー数値以上の洞察をライダーに提供し、ペダリング技術の改善や身体の最適化に貢献する。

しかし、これらの高度なデータをフルに活用するには、対応するヘッドユニット(特にGarmin Edgeシリーズ)が必要となる点には注意が必要である。WahooやHammerheadなど一部のデバイスはIAV Cycling Dynamicsの表示に対応していないため、ユーザーは自身の既存機材との互換性を確認する必要がある。

指標名 略称 解説 活用方法
プラットフォームセンターオフセット PCO ペダル上で力がどこに加わっているかを示す。ペダル軸の中心からの力のずれをmm単位で示す。 クリート位置の微調整、左右の力の偏りの特定、隠れた非対称性の発見。
パワーフェーズ PP ペダルストロークのどの部分(角度)でパワーが生成されているかを示す。 効率的なペダリングの改善、デッドスポット(力が伝わらない区間)の特定。
トルクエフェクティブネス TE ペダルストロークにおける有効な推進力と無効な力(逆方向の力)の割合。 ペダリング効率の評価と改善。
ペダルスムースネス PS ペダルストロークの滑らかさを示す。力の均一性を評価する。 ペダリング技術の洗練、力の均一性の評価。
ライダーポジション RP 座っているか立っているかを示す。 ライディングポジションがパワー出力に与える影響の分析、トレーニング中の姿勢変化の把握。
左右バランス L/R Balance 左右の脚がそれぞれどれだけのパワーを出しているかを示す。 左右の筋力バランスの評価、怪我からの回復状況の確認、ペダリングの非対称性改善。

この表は、Favero Assioma PRO RS-2が提供する豊富なペダリングダイナミクス指標を体系的に整理し、それぞれの指標がどのような情報を提供し、どのようにトレーニングやフィッティングに活用できるかを明確にすることで、読者の理解を深める。

特に、単なるパワー計測だけでなく、ペダリング効率の改善に役立つ具体的なツールとしての価値を強調している。

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インプレッション

取り付けと初期設定

イタリア製らしからぬしっかりとした作り込み。

Favero Assioma PRO RS-2の取り付けは、一般的なペダルと同様に、ペダルレンチ一本でクランクアームに簡単に取り付けられるため、非常に容易である。これは、複数のバイク間でパワーメーターを共有したいライダーにとって大きな利点だ。

しかし、正確なパワーデータを得るためには、クランクアームにしっかりと締め付けることが重要である。Faveroも適切なトルクでの取り付けを推奨しており、取り付け後に数回のスプリントを行うことで、ペダルが「馴染み」、より安定したデータが得られるとされている。

ペダルのベースはxpedo社が制作。

取り付け自体は容易であるものの、正確なパワーデータを継続的に得るためには、推奨されるトルクでしっかりと締め付けるという、ユーザー側の注意と実践が求められる。なぜなら、不適切なトルクはパワーデータの不正確さにつながる可能性があるからだ。

この点は、製品の「使いやすさ」と「性能の最大化」の間の重要なバランス点と言える。ユーザーは単に「取り付けるだけ」ではなく、推奨される手順(トルク管理、馴染ませるためのスプリント)を実行することで、製品の性能を最大限に引き出すことが可能となる。

また、Favero Assiomaアプリを通じて、アクティベーションやクランク長の正確な設定を行う必要がある。これにより、異なるクランク長を持つバイクに移動しても、常に正確なパワーデータが保証される。

実走におけるデータの一貫性

細部の作り込みも美しい。

Favero Assioma PRO RS-2は、実走において非常に高いデータの一貫性を示す。DC RainmakerやGPLamaといった著名なレビュアー、そして多くのユーザーの報告によると、本製品は様々な条件下で非常に安定したパワーデータを提供する。

これは、パワーメーターにおいて最も重要な要素の一つである「精度」と「一貫性」が、ラボ環境だけでなく、多様な実走環境下でも維持されることを意味する。

SRM、Quarq、Wahoo Kickrなどの他の信頼性の高いパワーメーターとの比較テストにおいても、Assioma PRO RS-2のデータはほぼ同一か、非常に近い数値を示すことが確認されている。

充電はマグネット式。

これは、Faveroの測定精度と安定性が業界のベンチマークレベルにあることを実証している。スプリントのような急激なパワー変動時や、山岳地帯での大きな温度変化がある環境下でも、その精度は維持されると報告されている。

ドリフトやオフセット、パワーの振動もほとんど無視できるレベルである。このようなデータの一貫性は、トレーニングの進捗管理、ピーキング、レース戦略立案において、ライダーがデータに「信頼」を置けるかどうかに直結する。

この信頼性が、製品の長期的な価値を決定づける重要な要素となる。

ペダリングダイナミクスと活用

Assioma PRO RS-2が提供するペダリングダイナミクスは、単なるパワー計測を超えた深い洞察を可能にする。特にプラットフォームセンターオフセット(PCO)は、ペダル上で力がどのように分散されているかを視覚的に把握できる画期的な指標だ。

これにより、隠れた左右非対称性、クリート位置の不適切さ、筋肉のアンバランスなどを特定するのに役立つ。

テンションのかかり方はシマノペダルと同じ。

PCOデータは、個々のライダーの生体力学的な特性を深く理解し、バイクフィッティングやペダリング技術の改善に直接的に貢献する。例えば、PCOデータを用いてクリート位置を微調整し、膝の違和感を解消したというユーザーの具体的な体験談も存在する。

これは、パワーメーターが単なる測定ツールから、パフォーマンス向上を支援する「診断ツール」へと進化していることを示している。さらに、パワーフェーズ(PP)は、ペダルストロークのどの角度で最もパワーが生成されているかを可視化し、デッドスポットの改善に役立つ。

左右バランスは、左右の脚の出力差を把握し、トレーニングの偏りや怪我のリスクを評価するために重要である。これらの指標は、ライダーが自身のペダリングを最適化し、より効率的かつ安全なライディングを実現するための具体的な指針となる。

耐久性とメンテナンス性

Assioma PRO RS-2は、その堅牢な構造によって高い耐久性が期待できる。

ペダルボディはカーボンファイバー強化テクノポリマー製であり、高い耐久性と耐衝撃性を持つ。内部のステンレススチール製軸には、2つのニードルローラーベアリングが採用されており、高速回転時や高負荷時でも優れた性能と耐久性を発揮する。

Faveroによると、各ローラーは最大400kgの動的負荷に耐えうるとされる。実測テストでは、出荷時で約0.12mmのラジアルフロート(軸の遊び)があり、150時間以上の使用後も変化がないことが示されている。

これはShimano Ultegra PD-R8000が650時間後に約0.13mmのフロートを示すのと比較しても、非常に高い品質管理と耐久性を示唆している。

多くのユーザーがAssiomaシリーズの耐久性を高く評価しており、数年間にわたる使用で問題がないという報告が多数ある。一方で、長期間の使用や頻繁なバイク間移動、悪天候下での使用により、ベアリングの交換が必要になったり、ごく稀にひずみゲージの故障が発生したりする事例も確認している。

充電はマグネット式。

Favero Assioma PRO RS-2は全体として非常に堅牢で信頼性が高いが、ペダルという性質上、ベアリングなどの消耗部品は長期的に交換が必要になる可能性がある。

Faveroが交換用ペダルボディやベアリングなどのスペアパーツを供給していることは、ユーザーが製品を長く使い続けられるための重要なサポート体制である。Garminと比較して交換パーツが安価である点も、製品のライフサイクルコストを考慮する上で重要な要素となる。

充電ケーブルは二股ケーブルが付属する。

充電システムについては、専用の磁気充電クリップを使用するが、アダプターの終端はUSB-Cポートであり、モバイルバッテリーなどからの充電も可能であるため、汎用性は確保されている。

PRO RS-2のペダルボディがShimanoのハイエンドペダルに近いフィーリングを提供する。ペダルの安定感もあり、わずかなぐらつきもなく、ステップイン・ステップアウトの感覚もDURA-ACE PD-R9100と遜色ない感じを受けた。

製品の「フィーリング」は主観的な要素が強く、ユーザーによって評価が分かれることがある。このような意見があったとしても、それが全体的な傾向と異なる場合は、その背景(レビューの時期、対象モデル、個体差など)を考慮し、より多くの客観的な評価を優先すべきである。

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メリットとデメリット

メリット

  • クラス最軽量: 片側123.5g(両側247g)という圧倒的な軽さは、ヒルクライムや軽量化を追求するライダーにとって大きな魅力である。
  • 高精度なパワー計測: Favero独自のIAV Power Systemと3軸ジャイロスコープにより、±1%の精度を誇り、スプリントや楕円チェーンリング使用時でも信頼性の高いパワーデータを提供する。
  • Shimano SPD-SL互換性: 多くのロードサイクリストが使用するShimano SPD-SLクリートに完全対応し、Dura-AceやUltegraペダルとほぼ同等のQファクター(53mm)とスタックハイト(10.5mm)を提供するため、違和感なく移行できる。
  • ポッドレスデザイン: 外部ポッドがないため、見た目がすっきりしており、シューズとの干渉も解消されている。電子部品が軸内部に完全に密封され、耐久性と信頼性が向上している。
  • 豊富なペダリングダイナミクス: PCO、Power Phase、L/Rバランスなど、詳細なデータでペダリング分析を深め、効率改善やバイクフィッティングに役立つ。
  • 高い汎用性: ANT+とBluetoothの両方に対応し、主要なサイクルコンピューターやアプリとシームレスに連携する。
  • 容易な取り付けとバイク間移動: ペダルレンチ一本で簡単に取り付け・取り外しができ、複数のバイクでパワーメーターを共有しやすい。
  • 堅牢な構造と防水性: カーボンファイバー強化テクノポリマー製のペダルボディと高品質なニードルローラーベアリング、IP67の防水性能により、高い耐久性が期待できる。
  • モジュラー設計: ロード用とMTB用のペダルボディを交換できるため、一台で複数の用途に対応でき、長期的なコストパフォーマンスに優れる。
  • 競争力のある価格: 競合製品と比較して、高機能ながらもコストパフォーマンスに優れている。日本での販売価格は142,890円(税込)である。

デメリット

  • バッテリー寿命: 60時間以上と実用上は十分だが、Garmin Rallyの100-120時間と比較すると短い。これは、充電式バッテリーの利点(電力途絶リスクの低減)とのトレードオフである。
  • 専用充電ケーブル: 独自の磁気充電クリップが必要であり、汎用性は低い。ただし、USB-C接続であるため、モバイルバッテリーからの充電は可能である。
  • Look KEOクリート非対応: 現時点ではShimano SPD-SLのみの対応であり、Look KEOユーザーはペダルシステム全体の変更が必要となる。将来的な対応が期待される。
  • バッテリーの交換不可: 内蔵バッテリーはユーザーによる交換が想定されておらず、長期的な劣化が懸念される。ただし、Faveroは500回の充電サイクルまたは約30,000時間の使用で20%の容量低下と説明しており、実用上は問題ない期間である。
  • 一部のヘッドユニットでのサイクリングダイナミクス表示制限: Faveroのサイクリングダイナミクスをフルに活用するには、Garmin Edgeシリーズなど特定の対応デバイスが必要となる。WahooやHammerheadなど一部のブランドは対応していない。
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まとめ:パワメはこれ買っとけば間違いない

Favero Assioma PRO RS-2は、ロードサイクリングにおけるパワーメーターの新たなベンチマークを確立したと言える。

その最大の魅力は、Shimano SPD-SL互換性、クラス最軽量の重量、そしてFaveroが長年培ってきた高精度なパワー計測技術の融合にある。ポッドレスデザインは、見た目の美しさだけでなく、電子部品の保護を強化し、耐久性と信頼性の向上にも寄与している。

特に、PCOをはじめとする詳細なペダリングダイナミクスは、単なるパワー数値の把握を超え、サイクリストが自身のペダリング技術を深く理解し、改善するための強力なツールとなる。

取り付けの容易さやバイク間の移動のしやすさも、複数の自転車を所有する多くのユーザーにとって実用的なメリットだ。

バッテリー寿命やLook KEOクリート非対応といったわずかなデメリットはあるものの、その総合的な性能、信頼性、そして競争力のある価格設定を考慮すると、Assioma PRO RS-2は、真剣にトレーニングに取り組むサイクリストにとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。

今後、Faveroが他のクリートシステムへの対応や、バッテリー技術のさらなる進化をどのように実現していくか、その動向に注目したい。

 

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