SUOMY イタリアのモーターサイクルメーカーが生み出すサイクルヘルメットとは

私たちは自分たちの手の届く範囲の中でしか物事の善し悪しや、ブランドの価値を成果に判断できていない。身近にあるもの、プロ選手が使用しているもの、知り合いが使っているものと、身近なものであればあるほど「良い悪い」を判断しやすい。その中で今回ご紹介するヘルメットメーカーのSUOMY(スオーミー)は「身近」ではなかった。

ただ、すこし目を違うところに向けてみる。畑が違えばどうだろう。SUOMYはモータースポーツ界で20個以上の世界タイトルを勝ち取ったヘルメットブランドだ。競技が違えばその知名度もまた異なってくる。モータースポーツ界でその名を轟かせたSUOMYはモータースポーツの分野だけに留まることなくサイクルヘルメット界に進出してきた。

サイクルヘルメットよりもはるかに強度が求められるモータースポーツ用ヘルメット。その技術をふんだんに使って安全面に配慮したサイクルヘルメットを2015年に初めてリリースした。今回はそのSUOMYのサイクルヘルメットを見ていく。

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SUOMY SFERA

SUOMYの創設者であるウンベルト・モンティは元々は長年ヤマハで働いていたエンジニアだった。ブランドの創業は今から20年ほど前の1997年。ブランドとしての歴史は他のメーカーから比べたら短いが、SUOMYプロダクトの安全性と快適さ、そして同社にしか開発出来ない技術力の高さにモータースポーツ界のライダーも信頼をおいている。

サイクルスポーツとは桁違いの速度域で走るモータースポーツだから、ヘルメットの重要性は更に増してくる。ただそれとは対象的にモータースポーツのヘルメットはとても鮮やかなグラフィックがあしらわれていたりと周りの目を引く。その流れは今回のSUOMY
のサイクルスポーツ用のヘルメットにも受け継がれている。

今回は新城幸也選手がかぶっていたエアロロードレーシングヘルメットGUNWINDではなく、通常のROADモデルSFERAを試すことにした。同社のプロダクトの位置づけ的にはセカンドグレードなのだが、その安全性は上位モデルと同様にCE規格(EN1078) に準拠している。

CE規格(EN1078) は自動車先進国ヨーロッパにおける非常に厳しい安全規格である。1997年EU加盟の18カ国で自転車用ヘルメットの統一安全規格として規定された。このCE規格(EN1078) は「EU加盟国で決定された法律に適合する商品」ということをメーカーが宣言できる。

ヘルメットに使用する材料から、構造、そして衝撃吸収性、あごに取り付けるひもの引張強度などの厳しい基準をクリアした製品のみに交付される。まずはその安全性はを軸にさらにSUOMYはデザインにもこだわっている。

SUOMY SFERAを比較する

実際に手持ちのヘルメット(白が好きなので・・・)を並べてみる。左側からSPECIALIZEDのエアロヘルメットであるイヴェード、続いてBONTRAGERのバリスタ、そしてSUOMYのSFERA、KASKのPROTONE、OGKのレジモスである。見てすぐに分かることはSUOMYは非常に中性的なデザインだということだ。

エアロ効果ももちろん備えているが、エイリアン系のヘルメットではない。かといって後頭部がツノ形状になっているわけではなく丸みを帯びている。この後頭部を守る部分の面積が非常に大きい。SUOMYのヘルメットのデザインは最近巷にあふれているデザインとは少し異なるように思う。

作られている国はITALYだが、サイクルヘルメットっぽくない独自のデザインだ。他のサイクルヘルメットとは異なり、尖った部分がない。全体的に丸みを帯びた形状は、空気抵抗がより小さくなるように設計されている。ロードのように辛くなって下を向いた時の状態でも、エアロ効果が得られる設計だ。

私はヘルメットにはある程度のエアロ効果と、エアフローがほしいのだがどうしても「エイリアン系」のヘルメットが多かった。SUOMYは他のヘルメットと比べても全体的に丸くコンパクトに仕上がっている。

SUOMYのヘルメット形状

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ヘルメットの内部形状はほとんどOGKと同じだった。私はLサイズを使っているが、OGKのルメットでLサイズを使っている方なら同サイズで問題ないだろう。頭の形状も「OGK頭」を想定してもらえば間違いない。よく有りがちなヨーロッパ系のヘルメットの「縦長・横狭」のヘルメットではない。

ヘルメット内の風通しを良くするためにフロントには6つの横長エアホールを備えている。またリア側には12個のホールを配置した。これらは、効率良く取り込んだ空気を、素早く排出し、ヘルメット内の温度をすみやかに低下させる。実際に使った時期はシクロクロスの冬だが、どうしても暑くなる。そんな時でも快適に被り続けることが可能だった。

また、SUOMYのもう一つ良いところを上げるとするならばパッドにある(←ココ重要)。具体的にはおでこ部分のパッドだ。私はめちゃくちゃ汗をかくのだが、某社のヘルメットは額の汗が目に入るほどパッドの意味をなしていなかった。しかしSUOMYのパッドはやや厚みがあり、そして「隙間」がある。

この微妙な厚みがあるパッドがうまく汗を吸収し発散する。わりと多くの汗をかいても目にたれてくる事は少なかった。

SUOMYとシクロクロス?

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はっきり言ってしまえば、SUOMYほどシクロクロスの「担ぎ」に適したヘルメットは無い。私は「エイリアン系」のヘルメットを使っている時に「担ぎ」の際に苦労していた。何を苦労していたかというと、エアロヘルメットは前後に長いため担いだときにサドルがヘルメットを押してしまい頭が前に下がってしまう。

そのままだと頭が下がっているので呼吸がしづらい。これがランニングをするとさらに辛くなってくる。実際にレース後半になると本当に疲れてくるので少しの動作で本当に体に効いてくる。実際に私はこのSUOMYをランニングが多い関西シクロクロスの砂地獄と呼ばれるマイアミで使った。

こちらをご覧いただきたい。SUOMYのヘルメットはその後頭部の丸い形状と、サドルのノーズ部分が見事にマッチして非常に「姿勢の良い」フォームで走ることができる。実際にエアロヘルメットを使ったたことがある人はわかると思うのだが、「頭が下がる」のだ。

また「肩」「腕」「頭」の三点支持により非常にバイクが安定する。そして、ヘルメットとサドルを押さえつけバイクを安定させたほうが非常に走りやすいことがわかった。今までのエアロヘルメットはむしろ、後頭部を前に押し出される事により息がしづらくなっていた。それらを考えると、ヘルメットを変えたと事でランニングが飛躍的に楽になったことは事実である。

ただ「シクロクロスにSUOMY?」それはあんただけや。と周りから聞こえてきそうなのは確かだ。。。

そう、私がいくら良さを書いたとしても、もしかしたらあまり響かないかもしれない。カーボンクリンチャーやラテックスチューブがいくら良いと言っても誰も信じてくれなかった頃のように、SUOMYも力がある人が使ってくれさえすれば。そんなことを思っていた。

そうだ、シクロクロス世界チャンピオンのワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)がSUOMYを使ってくれたら―――。

ワウト・ファンアールト x SUOMY

2017年1月2日。突然シクロクロス世界チャンピオンのワウト・ファンアールトの機材が刷新された。バイクはコルナゴからFELTへ。そしてヘルメットはLAZERからSUOMYへと変わったのである。これには私も驚いた(だって私のほうが先にCXで使っていたのだから!)。このワウト・ファンアールトが使っているモデルはもう一つ上位の「SUOMY GUNWIND」である。

こちらはランプレ・メリダで新城幸也選手が使っていたタイプのモデルだ。シクロクロスには使えない!なんて私に言っていた人は今どんな気持ちで見ているのだろう。私は「シクロクロス世界チャンピオンが使う前からSUOMY使っていたんだぜ!」なんて自己顕示欲丸出しの事を毛頭だけ思ったのは事実だ(←?)

ただ、それだけSUOMYもモータースポーツ以外のサイクルスポーツに力を入れてきたということだろう。モータースポーツよりは市場は小さいが、それだけ戦いがいがある市場とも言える。またこの年始は国内のプロチームも騒がしかった。そこで国内にも目を向けてみよう。

愛三工業レーシング x SUOMY

愛三工業レーシングも2017年の機材を発表した。日本屈指のプロチームである愛三工業レーシングの2017年の頭を守るヘルメットがSUOMYに決まったようだ。まだサイクルスポーツ向けヘルメットの歴史が浅いSUOMYであるが、そのモータースポーツで培った信頼性と安心は同じく技術踏襲がなされているだろう。

まとめ:SUOMYは虎視眈々と

国内外のトッププロが使うSUOMYであるが、実際に私のようなアマチュアにも次第に認知されじわじわと広がってきている。人とあまり同じモデルで重複することなく、個性的なITALYデザイン(実際にSUOMYのカラー展開は多い)に魅力を感じて使う人も多い。

身近な人で言えば、数々のヒルクライムで優勝経験を持つ矢部選手もSUOMYを使っていた。国内外のプロチームやシクロクロス世界チャンピオンが「じわじわ」と使うようになってきたSUOMYであるが、私が使っているSUOMY SFERA(スオーミー スフェーラ)は¥16,300(税抜)程度と非常にお求めやすい。

いまだそれほど多くのサイクリストが使っているわけではないSUOMYであるが、モータースポーツで培った技術と安全性能、そしてエアロ効果を追求し、これからサイクルスポーツ界のシェアを虎視眈々と広げていくだろう。

なお、近くのショップに売っていない場合などはAmazonから買うことができる。もちろんJCF公認、カラーも11種類各種揃っておりお値段も据え置きだ。