100から1を生み出す世界

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Photo: FABtroni+cameraことKensaku Sakai氏。いつも素晴らしい写真を撮って下さっている。実は私も「機材」としてのカメラが好きでNikon D200,D300と使って最近は小型フルサイズのα7を使っている。当然マウントの互換性はないので悩ましいところだが、Eマウントを1から揃えたので問題はない。

フルサイズのデジイチは安くなってきた。レンズもフルサイズ用が必要になるが、ズームレンズは持っておらず50mmと25mmの単焦点のみだ。単焦点にどこかロマンを感じる。次は80mmマクロが欲しい。写真の現像はlightroomを使っているが、kensaku氏にどんな感じでlightroomで現像しているか教えていただいた。私はてっきりRAWで撮っているのかと思っていたが、連写の関係でjpegらしい。

カメラといえど電子機器だ。保存するデーターがRAW(生データ)であれば保存する際に処理負荷を要する。映像素子で受け取った情報を処理装置で変換する。そして揮発性メモリに一時的に保存した後、記憶装置(SDカードなど)に保存する。この際に各セクションの処理スピードで連写数が決まる。

ハイスピードなSDカードが好まれるのは、せっかくカメラが高速な処理をしても記録する際の書き込みスピードがボトルネックになっていればそこで処理スピードが落ちてしまう。最近ではSDカード2枚挿しで負荷分散をしているカメラも登場しているそうだ。

これはHDDのRAID0のストライピングと似ている。書き込み処理待ちの間に一方の記憶装置に書き込む。そうすることで待ち時間を減らせる。

話は少しそれてしまったが、一枚の写真を生み出す過程が興味深いので、少しそれらを生み出す仕組みについて考えてみたい。

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100から1を作り出す

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カメラの話の続きを少しだけしてみたい。やはり良いカメラは解像度が半端ない。kensaku氏とやり取りをしていて感嘆したことがあった。撮影した写真で1000枚ほどはボツになるそうだ。これは3000枚ほど撮って1/3は使えないことになる。ただし話はここで終わらない。

Flickrに掲載されている素晴らしい写真は一つ一つLightroomで加工し現像している。「撮って出し」はしていないそうだ。とすると何百枚もの写真は一つ一つ丹精込めて生み出された、手のかかった作品と言っていい。私は時間と手間をかけて生み出されることを全く知らなかった。

私もLightroomを使っているので、その途方もない作業を考えると頭が下がる思いだ。ただし、デジタル一眼で撮るなら最後はキチンとした現像をソフトウェア側でしたい。silkypixかLightroomで初め迷ったが書籍の多さはLightroomだった。ところがその使い方や現像までの手間は途方もない。

ただ、現像の作業をやっていると面白いことに気づく。このような膨大なデーターから1枚の写真を撮ることは様々な物事の仕組みに通じている。例えば論文や記事を書くこと。これらに共通している点は「100を1にしていく」事だ。「1から100にしていく」のではない。少しわかりづらいので例を挙げる。

例えばブログで何か書こうとした場合、何もない「無」から記事を生み出すような事はしない。残念ながらそれでは何も生まれてはこない。「書くことがない」と言う人は、無から何かを生み出そうとしてあるからだ。子供を産もうにも、種や材料が無ければ産もうにも生まれない。

その本質に気づかず「何も書けない、生まれない」と嘆いているのはとても愚かなことだ。

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記事を書くこと、論文を書くことは100の膨大なデーター(実験であったり調査)を1つの記事(論文)にしていく事で、決して1から話を広げて100にしていない。この点は、3000枚の写真を精査し、アップロードされる300枚の作品に仕上げることと酷似している。

これらを注意深く観察すると、その行為は競争と言い換えても良い。例えば人間が生まれてくる過程で競争がある。(ナーバスな話題なので具体的には言及しないが)母数は億の世界で一位をあらそう。まれに同着もあるが、基本的には一位のみ勝者だ。

その他は生き絶える。

自転車レースも勝者を決める。見方を変えれば大多数の「何か」から1つを絞っていく。方向性や出来上がる物こそ違えど、どれを取っても多くのものから数を減らし、より良く、強いものを残す仕組みで成り立つ。

それらの原理が様々な所で見え隠れするのは、もしかしたら我々が生まれる前から持っている組み込まれた遺伝子レベルのコードが原因かもしれない。世の中に溢れるあらゆる単純な「1」という事象は、それらよりはるか多くの母数から淘汰された結果なのだ。

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