「炎の精霊の力を宿した真紅の鎧。胸元の宝石が放つ熱によって表面は常に高熱を帯びており、冷気をともなうあらゆる攻撃を緩和するという・・・」
これはドラクエで登場する防具「ほのおのよろい」の話であるが、ロードバイクのコーティング施工「ホノオの鎧」も実際に炎でバイクを炙るのだ。”炙り焼き付け”と呼ばれるコーティング手法は究極かつ最も強靭なコーティングに位置づけられている。
炎で炙るコーティングは一体どのようなメリットがあるのか。また、これまでのガラスコーティングとは何が違うのか。実際に、ホノオの鎧を試し”究極”と呼ばれるコーティングの謎を探った。
ナノシリカを形成
ホノオの鎧はコーティングというものの、役目としてはプライマー処理だ。プライマー処理とは、フレームにガラスコーティングを行なう際、下地（フレーム）と上塗（ガラスコーティング）とを密着させ、はがれにくくする下塗り処理のことだ。
ガラスコーティングに限った話ではなく、塗装などを行なう際に塗料の付着度を高めるためにプライマー処理行なう。したがって、基本的な考え方としては、ガラスの鎧などのガラスコーティングを行なう前提でプライマー処理を行なう。
そのため、ホノオの鎧単体で意味がある施工ではなく、ガラスコーティング自体がフレームに付着する力を強めるためにある。
ホノオの鎧は、特殊なガスバーナーを用いてフレーム表面を炙ることによって、ナノシリカ（二酸化ケイ素の微粒子）をフレーム表面に一瞬にして形成させる。フレーム表面の凹凸をナノレベルで無くすことができ、コーティング剤本来の耐久性を発揮できる効果がある。
ナノシリカはフレームとガラスコーティング密着性を高め、コーティング塗膜がフレーム表面に留まろうとする耐久性を最大限に引き出すことができる。
ホノオの鎧という施工サービス名が付いているものの、実際にはイトロ処理と呼ばれる株式会社イトロが国際特許を取っているガスグラスプライマー処理だ。
ホノオの鎧やってみた
ホノオの鎧はクレストヨンドが行っている。ここまでの説明にもある通り、「ホノオの鎧単体」では意味がなく「ガラスの鎧」や「カガミの甲冑」と合わせて施工を行う必要がある。
これまでは、ガラスコーティングを単体で施工するのが主流だったが、ホノオの鎧を下地で施工することによって、ガラスコーティング自体がフレームに付着する力が強まる。ガラスコーティングが剥がれにくくなり耐久性が向上するため、撥水や持続性光沢などコーティングの性能がより長続きするようになる。
所有しているPINARELLO DOGMA Fに対して、「ホノオの鎧」「ガラスの鎧」「カガミの甲冑」を施した。実際にビフォーアフターを比べると「見た目がしっとりとしたかな？」といった違いしかわからない。
下地処理は下地処理であるため、実際には目で見て変化を感じたりできるわけではない。しかし、ガラスコーティングがフレーム表面に留まろうとする力は格段に向上している。目では見えない小さな変化がフレーム表面に生じているのだ。
これらは、ナノシリカによってフレームとガラスコーティングの間で互いを強く結びつけている。高級なフレームであればその美しさを永遠に閉じ込めておきたい。その欲求をホノオの鎧はかなえてくれる。
ホノオの鎧で懸念していたのは、「カーボンフレームに施工できるか」だった。高温の炎を直接当てるためDOGMAのダウンチューブロゴやカーボン自体にダメージが生じないか不安だった。しかし、その心配は不要だ。
ホノオの鎧は、炎を使用しつつもプラスチック等にも施工できる。実際の表面温度は、一瞬80℃程に上昇するが10秒後には40℃まで低下する。したがって、カーボンフレームに使用しても問題はないため、あらゆるロードバイクフレームに適している。
まとめ：1度しかできないガラスコーティングだからこそ
愛車をガラスコーティングすることは一般的になった。そして、ガラスコーティングは何度も行なうものではなく、１度限りの特別な処理だからこそ、ホノオの鎧によるプライマー処理が重要になってくる。
ガラスコーティングを行い、いつまでもフレームの美しさをとどめておきたい方にはプライマー処理のひと手間を加えてみてほしい。目には見えない下地を施すことによって、ガラスコーティングの真の性能が発揮できるはずだ。
ホノオの鎧は専用の装置が必要になるため、クレストヨンド本社で行なう必要がある。実際の施工などの依頼は以下のURLから行なってみてほしい。
