2025年6月に発表されたUCI技術規則の改定には、ロードレース、シクロクロス、そしてトラックレースにおけるハンドルバーの最小幅に関する新たな規定が含まれている。これらの規定は、特にエアロダイナミクスを追求する近年のトレンドに大きな影響を与える可能性がある。
ロードレースおよびシクロクロスおいては、以下の規定が2026年1月1日から適用される。
- 最小ハンドルバー幅: ハンドルバーのドロップ部分の幅は、外外(outside-to-outside)の測定で最低400mmと規定される。
- ブレーキレバー/フード間の最小幅: ブレーキレバー取り付け位置(フード部分)の幅は、フードからフードまで(hood-to-hood)の測定で最低320mmと規定される。
当初、「レバー間」か「フード間」かの混乱があったようだが、AeroCoach UKなどは「フード間」であると確認しており、実質的にフード部分の幅を指すものと解釈がされている。
測定方法と適用開始日
測定方法は、ハンドルバーのドロップ部分の最も広い箇所を外外で測るものと、ブレーキフード取り付け部分の幅をフード間で測るものの2種類が規定されている。
この二重の測定基準は、特にフレア形状のハンドルバーデザインに影響を与える。UCIの公式プレスリリースでは、「ブレーキレバー間の内幅320mm」と言及されているが、業界の解釈ではフード部分の幅を指すとされている。。
表1: UCI新ハンドルバー幅規定一覧(2026-2027年)
競技分野 |
発効日 |
最小ハンドル幅(外-外) |
最小フード間隔/レバー間隔 |
ロードレース |
2026年1月1日 |
400mm |
320mm |
シクロクロス |
2026年1月1日 |
400mm |
320mm |
トラックレース |
2027年1月1日 |
350mm |
適用なし |
このドロップ部分とフード部分の二重の幅規定、特にフード間で320mmという具体的な数値は、単一の全体幅規定よりもはるかに制限的だ。
この規定は、ドロップ部分の幅をある程度維持しつつ、フード部分を極端に内側に絞り込むことで前面投影面積を削減する、近年のフレア型ハンドルバーや内向きに取り付けられたフードのトレンドを直接的に規制するものと考えられている。
400mmの外外幅を持つハンドルバーでも、大きなフレア角を持たせればフード間隔を320mmよりはるかに狭くすることが可能だった。しかし、この新しい320mmという下限値は、そのようなデザインの自由度を大幅に制限している。
これは、UCIが単にハンドルバーの全体的な寸法だけでなく、ライダーの具体的なハンドルポジション、特にエアロダイナミクス最適化の主要な領域であったフード上の手の位置を管理しようとしていることを示している。
規定は2026年1月から施行される。現在、規定外のハンドルバーを使用している場合は変更しなければならない。
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