わずか863gのホイール。
ついに900g切りの時代だ。Particle RCX27 Hyperlightはディスクブレーキ用ホイールながらこの重量を達成している。
クリンチャー用のディスクブレーキホイールとしては、市販品でトップクラスの軽さであり、むしろ超軽量域に位置している。そして、900gを下回るホイールにおいて、競合製品のおよそ半値という価格を実現している。
ニップル込みでわずか2.1gの第4世代カーボンスポーク、航空宇宙グレードのアルミニウム合金を用いた専用設計のSR1ラチェットハブ、そしてカーボンレイアップによる27mmリムを軸に構成されたのがRCX27だ。
価格は1,999ドル。重量でこれを下回る唯一の選択肢であるドイツのSchmolke TLOおよびONE-K RD Ultimateはいずれも3,000ユーロを超えるため、RCX27はそれらに対して約40%のコスト優位を持つ。
本レビューでは、盛り込まれた技術を検証し、競合製品との位置関係を明らかにした上で、この軽量ホイールを評価していく。軽さは本当に、正義なのだろうか。
863gの意味
900g未満のディスクブレーキ対応ホイールセットは、2024~2025年まで主要ブランドからはほぼ存在しなかった。2026年現在でも、この壁を突破しているメーカーはごく少数であり、いずれも大きなトレードオフを要求する。
Schmolke TLO 37は、チタン端部を持つカーボンスポークと超ニッチなExtraliteハブを使用し895gを達成するが、価格は3,050ユーロ以上、システム最大重量は100kgに制限されている。
ドイツのONE-K RD Ultimateは、ライプニッツ研究所発のスピンオフ技術であるループ状繊維複合スポークを採用し約935gを達成するが、やはり3,049ユーロ、システム最大重量95kgという条件が付く。
HuntのHill Climb SLは963gだが、チューブラータイヤ専用であるため、大多数のライダーにとって実用的な選択肢にはなり得ない。
863gのParticle RCX27 Hyperlightは、同じく中国のD2Cブランドである9VeloのExtreme C42(992g)やC52(999g)と近い重量帯に位置する。
ただし決定的な違いはリムハイトにある。RCX27の27mmプロファイルはクライミング専用設計であるのに対し、9Veloは42mmおよび52mmのリムハイトをほぼ同等の重量で提供しており、同等重量であればエアロダイナミクスの面で9Veloに注目すべき優位性がある。
このセグメントがどれほど進化したかを実感するために、主要ブランドの最新フラッグシップと比較してみよう。
Specializedのクライミング用フラッグシップであるRoval Alpinist CLX IIIは、2025年後半にArris Compositesと共同開発した熱可塑性複合スポークを搭載してアップデートされたが、重量は1,131gであり、RCX27より268g重い。
ENVE SES 2.3は約1,274g、CADEX 36は1,302gである。LightweightのMeilenstein ARTは5,999~6,499ユーロという価格で1,109gを謳う。Particle RCX27は、主要ブランドのあらゆる代替品より150~370g軽く、その大半の3分の1から2分の1の価格で提供されている。
競合ホイールセット重量・価格比較表
| ホイールセット | 重量 | リムハイト | 価格 | タイヤタイプ | 最大システム重量 |
| Particle RCX27 Hyperlight | 863g | 27mm | $1,999 | CL/TL | 90kg |
| Schmolke TLO 37 | 895g | 37mm | 3,050€ | CL/TL | 100kg |
| ONE-K RD Ultimate | 935g | 36mm | 3,049€ | CL/TL | 95kg |
| Hunt Hill Climb SL | 963g | 30mm | 約$1,300 | TU | ― |
| 9Velo Extreme C42 | 992g | 42mm | 約$1,400 | CL/TL | 100kg |
| Roval Alpinist CLX III | 1,131g | 33mm | 約$3,200 | CL/TL | 125kg |
| Lightweight Meilenstein ART | 1,109g | 約48mm | 5,999€ | CL/TL | 120kg |
| ENVE SES 2.3 | 1,274g | 28/32mm | $2,850 | TL専用 | ― |
| CADEX 36 | 1,302g | 36mm | $3,450 | TL専用 | ― |
90kgという最大システム重量は、この比較表の中で最も厳しい制限であり、Particle自身のラインナップ全体でも最も制約の大きい数値である。
これは体重75kgのライダーが7kgのバイクに乗った場合、ウェア、ボトル、工具、アクセサリー類のための余裕がわずか8kgしかないことを意味する。実質的にRCX27 Hyperlightは体重70kg以下のライダー、すなわち生粋のクライマーに限定される製品と言えるだろう。
第4世代カーボンスポーク
RCX27における最も重要な技術要素は、ニップル込みで1本わずか2.1gという第4世代カーボンスポークだ。
Particleはカーボンスポークの進化を四つの世代に分類しているが、これは業界統一規格ではないものの、この技術における歴史と進化を示した分類である。
第1世代スポークは、ハブとリムに直接積層された接着型モノコック構造であった。トライアスロン用トライスポークを想像するとわかりやすい。スポーク1本の破損がホイール全体の廃棄を意味した。
第2世代ではスポークの交換が可能になり、スチールスポークと同等の保守性を実現したが、丸型ヘッドがねじれやすく、使用に伴って空力性能が劣化するという問題を抱えていた。
第3世代スポーク(現在のカーボンスポークホイールで最も一般的なタイプ)は、回転防止のための機械的固定機構を追加し、Particleの仕様ではスポーク幅5.2mmで最良の空力プロファイルと、第4世代比で14%高い横剛性を実現している。
第4世代が劇的な軽量化を達成した鍵は二つの変更にある。一つは、従来のアルミニウム製ハードウェアに代えてチタン製スポークヘッドとネジ部品を採用したこと。
もう一つは、第3世代の5.2mmから3.2mmへと幅を狭めたプロファイルにより、カーボン素材の使用量を削減したことである。いずれの世代もスポーク厚は1mm未満である。
重量の推移を見れば技術の進歩は明白である。プレミアムスチールスポークの代表格であるSapim CX-Rayはニップル込みで4.7g、第2・第3世代カーボンスポークは約3.5g、そして第4世代は2.1gである。
最高級スチール比で55%減、従来世代カーボン比で40%減という驚異的な数値である。
より広い市場に目を向けると、これより軽いスポークはSchmolkeのカーボンスポーク(1.8g)とBriskCycleの未検証ながら1.6gという主張のみである。
Reserveが開発しVisma-Lease a Bikeが使用するVonoaスポークは2.5g、HuntのTaperLock UDカーボンスポークは2.4~2.7g、CADEXの鍛造カーボンスポークはさらに重い。
前後合計40本(フロント20本、リア20本)で換算すると、RCX27のスポーク総重量は84gとなる。第3世代カーボンなら約140g、Sapim CX-Rayスチールなら188gであるから、プレミアムスチール基準で100g以上、スポークだけで節約できる計算になる。
とりわけ重要なのは、第4世代の設計がカーボンスポーク最大の問題点であった「乗り心地の硬さ」を改善している点であろう。
Particleは、これらのスポークがすべての従来世代カーボンスポークより13%高いコンプライアンス(しなやかさ)を持ち、スチールスポークにより近い乗り心地を実現すると主張している。
VONOA Gen.4を初めて体験した時は感動したが、これは意味のある改良だと思う。黎明期のカーボンスポークは本質的にスチールよりも剛性が高く、パワー伝達には有利だが、路面振動をより多く伝達し乗り心地がとても悪かった。
幅を3.2mmに狭めたプロファイルとレイアップの再設計により、横剛性の一部(第3世代比14%減)を犠牲にして垂直方向のコンプライアンスを獲得した。純粋な剛性よりも快適性と持続力を優先する意図的な設計選択である。
引張強度は依然として圧倒的で、Particleはこれらのスポークが4,000ニュートン超に耐えると述べている。スチールスポークの破断荷重が2,600~3,200ニュートンであることを考えると、25~54%の強度優位がある。
SR1ハブ
ParticleはSR1を、最新世代カーボンスポーク用としてこれまでに製造された中で最も軽いハブの一つと位置づけている。ハブ単体の正確な重量は公開されていないが、エンジニアリング仕様は自転車コンポーネントとしては異例の精密さを持つ。
ハブシェルの加工公差は0.005mm、アクスルの加工公差は0.003mmである。これらの数値は自転車ハブよりも航空機用ベアリングハウジングに典型的な精度であり、自転車コンポーネントとしてはきわめて高い水準にある。
材料は航空宇宙グレードのアルミニウム合金であり、強度対重量比から7075-T6である可能性が高い。
SR1は36枚歯のスターラチェットエンゲージメントシステムを採用しており、エンゲージメント角度は10度である。これはDT Swiss方式のメカニズムであり、数十年にわたるプロレースの実績を持っている。プレミアムハブにおける事実上の標準規格だと言っていい。
Particleは、より多い歯数(DT Swissは54歯オプションを提供)を採用せず、エンゲージメント速度、転がり抵抗、ラチェットの寿命のバランスを考慮して36歯を選択している。
ラチェット本体には低摩擦コーティングが施され、ハブにはラビリンスシールと二重汚染バリアを組み合わせた独自の二段防御構造が採用されている。ベアリング寿命を延ばしつつドラッグを増やさないという難しい両立を目指したアプローチである。
ベアリングの選定も具体的かつ考慮されたものとなっている。フロントハブには、より一般的な6802ではなくオーバーサイズの6803ベアリングを使用し、荷重分布の改善、長寿命化、転がり抵抗の低減を実現している。
リアハブには15267ベアリングを2個、フリーハブボディには6802ベアリングを2個搭載する。すべてのベアリングはTPI製で、混合接触シールを採用している。
セラミックベアリングへのアップグレードは50ドルで提供されており、この控えめな追加費用は標準のスチールベアリングがすでに高品質であることを示唆している。
ハブはShimano HGとSRAM XDRの両方のフリーハブボディに対応しており、工具不要で交換可能である。スペアフリーハブは40ドルで入手できる。
SR1のクローズドフランジ設計は特に注目に値する。昨今話題になっている、スポーク引っかけ式のオープンフランジハブを使ったホイールが壊れるというあの話題だ。
一部のカーボンスポークハブがオープンフランジを使用し、極端な荷重抜け時にスポークが外れる可能性があるのに対し、SR1のクローズドフランジはテンションが完全に失われてもスポークの脱落を物理的に防止する。
レース用途における重要な安全機構である。回転を防止する非円形スポークヘッドと相まって、スポークが使用期間を通じて空力的に正しい向きを維持し、構造的に安定した状態を保つことを保証するシステムとなっている。
極薄カーボンレイアップの耐久性
RCX27のリムは、リムハイト27mm、内幅24mm、外幅28.3mmのフック付きプロファイルを採用し、無塗装のマットUD(ユニディレクショナル)カーボン仕上げにレーザー刻印デカールを施している。
あらゆる表面処理が軽量化を目的として選択されていると言っていい。
Particleは、リムの強度対重量比を、より高度なプリプレグ素材を用いた新世代カーボンレイアップに加え、追加の製造プロセスとより厳格な品質管理の成果であると説明している。
レイアップの詳細は非公開だが、主張している試験は、85ジュールの垂直衝撃に耐えるとされ、これはUCIの認証基準である40ジュールの2倍以上に相当する。
参考までに、Particle自身のGCX Hyperlight(リムハイト45~52mm)は100ジュール、RCX33 Ultralightは120ジュール(UCI基準の3倍)を達成している。
RCX27の85ジュールという数値がやや低いのは、浅いリムハイトゆえに素材量が少ないという本質的なトレードオフを反映しているが、それでも十分な安全マージンを確保している。
すべてのリムは10Barでの膨張テストおよび個別のスポークホール検査を経てから組み立てに回される。
完成ホイールは0.25mmの公差で振れ取りが行われ、各ホイールセットには個別のスポークテンション値と横振れ・縦振れのアライメントを記録した詳細な検査報告書が付属する。高級系ハンドビルドホイール以外では稀な水準の検査報告書である。
フック付きビード設計は、ENVE、Zipp、CADEXが採用するフックレストレンドからの意図的な差別化である。
フック付きリムはクリンチャーとチューブレスの両方のタイヤとの互換性を維持し、タイヤのブランドやモデルの選択を制限しない。フックレス設計が特定のタイヤ互換性チャートを要求するのとは対照的な、実用上の優位点である。
リムは10.5barまでの耐圧テストを受けており、いかなるロードタイヤの使用圧力をも大幅に上回る。
各リムにはライディング中の遠心力で蓄積した水分を排出するドレインホールと、バルブ穴の反対側にバルブ重量を補正するカーボンファイバー製カウンターウェイトが装備されている。
一般的な量産ホイールセットの水準を超えた回転対称性へのこだわりを示すディテールである。
主張と事実のギャップ
Particleは自社の製造モデルについて透明性を保っている。
同社は2025年に設立された香港拠点のスタートアップであり、創業者は厦門(アモイ)の中国OEMリム工場で3年間の経験を持つアメリカ人である。リム、スポーク、ハブ、ベアリングはすべて、Particleが一流と称する外部メーカーに製造を委託している。
私自身、これまで数々のホイールやハブメーカーの製品を見てきた。そこでわかったのはParticleで使用されているハブはH-Worksのリブランド品、スポークはStren製だ。いずれも確立された中国のコンポーネントサプライヤーであり、Particle独自の設計ではない。
これは本質的にネガティブなことではない(多くのプレミアム欧米ブランドを含め、ほとんどのホイールブランドが重複するアジアのサプライチェーンから調達している)が、技術的独自性の主張を文脈に位置づけて理解する必要がある。
Particleが公表しているすべての剛性、コンプライアンス、衝撃テストデータは、自社の社内ラボテストに基づく自己報告値だ。
第3者試験機関の名前は挙げられておらず、独立した風洞データも公開されておらず、2026年2月時点では中国系ブランドにしては珍しく、主要なサイクリングメディアによるHyperlightシリーズのレビューは存在しない(意図的かもしれないが)。
その代わり、日本のYotuber達(友人のskmzは除く)がParticleのホイールを盛んにレビューをしているが、プロモーションとして意味を成しているのかは疑問が残る。確かに彼らの登録者数は多く、露出は増え、認知度をまず日本で手っ取り早く広げるためには役立つと思う。
しかし、Particleホイールの仕様やスペック、製品の方向性などを考慮すると、同社のブランディングの方向性は、別の方法が良いのではないかと思っている。良い例として、二つのUCIコンチネンタルチームもスポンサーしている(この方向性の方が良いと思う)。
ヴィクトワール広島(日本)と、Citymesh-Customm(ベルギー)であり、後者は2026年シーズンに12のワールドツアーレースに出場する予定で、実戦レベルでのプロ現場で実践投入が進行中である。
筆者自身も参加した西日本チャレンジロードレース(2026年3月8日に開催)のエリートにおいて、バーンズ・ルーク選手(ヴィクトワール広島)がParticleのホイールを使用して優勝している。そのほかにも、4位、6位の同チームの選手もParticleホイールだった。
もちろん、Particleはヴィクトワール広島のホイールサプライヤーであるため供給されているわけだが、レースで戦える十分な性能をリザルトで証明したのである。
合わせて、Hyperlightシリーズに関するUCI認証は、2026年2月下旬時点で申請中の段階であった。
Particleが公表する相対的な剛性パーセンテージ(第3世代vs.第4世代スポークで14%差、GCXがRCXより横剛性13%高いなど)は、Particle自社モデル間の比較としてのみ提示されており、N/mmなどの絶対的な剛性値は提供されていない。
そのため、Tour Magazineが欧州のホイールセットに対して公表しているような独立したベンチマークとの直接比較は不可能である。これはD2Cブランドに共通する慣行だが、主張を確立された基準に照らして検証する能力を制限する点は認識しておくべきである。
インプレッション
ひと昔前までローハイトが主流だった。今では使うことが無くなくなったから、ローハイトホイールを使うのが少し楽しみだった。
アルミならシャマル、レーゼロ、ゾンダが素晴らしかったし、当時はMAVICが全盛期でR-SYS、KSYRIUMも良かった。カーボンリムならカンパニョーロハイペロンウルトラやEDGE(現ENVE)25を使ってきたが、正直スカスカ回りすぎてあまり好きじゃなかった。
あの時代のローハイトカーボンは、軽さの代償として路面からのフィードバックが薄く、ペダルを踏み込んでも力が霧散するような頼りなさがあった。
RCX27 Hyperlightを箱から出して最初に持ち上げた瞬間、863gという数字が手のひらの中で現実になる。ただし、軽さの第1印象だけでホイールの本質は語れない。実際に走らせてみて初めて、この863gがどういう性格の863gなのかが見えてくる。
誰のためのホイールなのか
完全にクライミング用のホイールである。
速度域がそこまで速くない場合に使うのがいい。エアロ効果は一切期待できないので、重量をとにかく減らしたいライダーに向いている。
具体的に言えば、アザミラインのような激坂を超えるような登坂を淡々と刻むシチュエーションにおいて、このホイールは水を得た魚のように機能すると思う。ただ、それ以外の用途で何か、このホイールを活かせるかというと良いシチュエーションが思い浮かばない。
ダンシングでバイクを振ったときの左右への追従が異様に速く、ホイールの存在を忘れるほど自然に動いてくれる。体重の軽いクライマーが、斜度のきつい山岳ステージやヒルクライムレースで1gでも削りたいという明確な目的を持って選ぶべきホイールである。
あとは、トラディショナルなフレームに合わせたいときにも重宝するだろう。
近年のエアロロードに50mm以上のディープリムを合わせるのが当たり前の時代だからこそ、丸パイプの細身のクロモリやチタンフレーム、あるいはクラシカルなカーボンフレームにローハイトリムを履かせる美学を持つライダーには、この上なくマッチする選択肢になる。
軽さが正義とは限らない
このホイールは軽さがウリである。
軽さが正義とは言われるが、正義を追求しすぎると失うものもある。エアロ効果はほとんど期待できないから、軽快さと、低速域で走る場合に用途が限定されそうだ。
平坦路で40km/hを超えたあたりから、27mmというリムハイトの限界が如実に現れる。空気の壁に対して何の仕事もしてくれないリムプロファイルは、速度を上げれば上げるほど不利に働く。
同じParticleのGCX45 Hyperlightや、他社の40mm以上のホイールとの差は、平坦巡航では体感で明らかに違う。863gという数字に魅了されて万能ホイールとして期待すると裏切られる。
この軽さが活きる領域を理解して使いこなすライダーの手に渡ってこそ、初めて意味を持つ重量である。厳しい言い方になってしまうが、だから、それ以外には意味が無いホイールだと思う。
思ったよりもカッチリしているのはなぜか
カンパニョーロハイペロンウルトラやEDGE25のようにスカスカ感のあるホイールをイメージしていたが、全く違った。
当時はチューブラータイヤを使用していたのだが、現在はタイヤ性能やエアボリュームも上がっているし、何よりカーボンスポークが良い仕事をしてくれる。思ったよりも空回りするような雰囲気は無く、踏んだら脚ごたえのある反発を返してくれる。
この感触の正体は、おそらく第4世代カーボンスポークの特性にある。スチールスポークの弾性的なしなりとも、従来のカーボンスポークのガチガチした硬さとも違う、独特の粘りのあるレスポンスが足裏を通じて伝わってくる。
「あの時代」の機材とは状況が変わってしまった。
シッティングで一定の出力をかけ続けるような場面では、スポークがほんのわずかに撓んでエネルギーを蓄え、それを復元力として返してくれるような感覚がある。
Particleが第4世代スポークについて13%コンプライアンスが高いと謳っている数値は、走っていると確かに体感と一致する。
ただし、スプリントのような瞬間的な高トルク入力に対しては、リムハイト27mmという物理的制約もあって、50mm級ディープリムのような剛直な反応ではない。あくまでクライマーのケイデンスとパワー帯域において最適化された剛性バランスであると理解すべきである。
28cのチューブレスタイヤを5.5barで運用した際の乗り心地は、ローハイトカーボンとしては想像以上に好印象だった。
荒れた路面での突き上げが丸められていて、かつてのハイペロンウルトラで感じた骨にくるような鋭い振動とは明確に異なる。タイヤの性能が向上したのもあるだろう。
カーボンスポークの振動減衰特性とワイドリム(内幅24mm)によるエアボリュームの恩恵が相乗的に効いているのだろう。六甲山のような長時間のヒルクライムでも手のひらが痺れるような疲労が蓄積しにくいのは、実戦における大きなアドバンテージである。
エアロは捨てるべき
エアロ効果は全く期待できない。本当に空力が悪いと思う。ローハイトリムの宿命であるが、軽量化とのトレードオフである。
27mmのリムハイトでは、どのような断面形状を与えたところで空力的な整流効果はほぼゼロに等しい。風洞データが公開されていない以上、推測の域を出ないが、体感的にも35km/hを超えると同じ出力でも速度の伸びが頭打ちになる印象がある。
横風に対する敏感さがない点は裏を返せばメリットとも言えるが、それは40mm級以下のリムであれば大差ない話である。このホイールを選ぶ時点で、エアロはきれいさっぱり諦める覚悟が必要だ。
その覚悟ができないなら、「エアロに軽さを」的なホイールを選んだ方が幸せになれる。覚悟が必要だ。
用途はどこまで限定されるのか
クライミング用、または速度域が速くない領域で軽快さを求める場合に適している。とはいうものの、高速なレースが展開される富士ヒルや乗鞍には”適していない”と思う。ある程度の空力性能があったほうが確実に速い。
そうなってくると、10%超が連続するアザミラインや峠道でのトレーニングライドが最も活きる場面である。単独走でマイペースに山を楽しむポタリング的な使い方であれば、軽さがもたらす加速感と軽快なハンドリングを純粋に堪能できるだろう。
重量から見えないモノ
重量以外に何か特徴があるかと言われれば、軽い割にしっかりとした硬さと、思ったよりも慣性がある感じがする。863gという数字から想像するフワフワした軽薄さは実際にはなく、むしろ一度速度に乗せたあとの伸びが意外なほど良い。
リム重量が極端に軽いため回転慣性は当然小さいはずだが、カーボンスポークの高い剛性が駆動力のロスを最小限に抑えているためか、体感としては数字以上に前に進む印象を受ける。
登坂でペースを一段上げたとき、ホイールが遅れずについてくるこの反応の速さは、軽さと剛性のバランスが適切に取れている証拠である。
この手のホイールが好きな人もいるかもしれないが、やはり何度も言うようにレースならあざみラインぐらいしか使用する用途が見つからない。あの平均勾配10%を超える壁のような斜面では、あらゆるエアロ効果よりも1gの軽さが速度に直結する。
逆に言えば、一般的なロードレースやエンデューロ、クリテリウムのような緩急が生じるハイスピード周回コースであっても、あえてこのホイールを持ち出さなければならない合理的な理由が見当たらない。
レースでなければ、伝統的な丸パイプの細身のフレームに合わせやすいだろう。デダチャイやコロンバスのスチールチューブ、あるいはパナソニックやアンカーのクラシカルなフレームに、このローハイトカーボンを合わせたときの佇まいは端正そのものである。
見た目の美しさという、数値化できない価値を持つホイールでもある。機材としての合理性だけでなく、自転車という趣味の奥深さに触れさせてくれる。そういう意味では、スペックシートの数字だけでは測れない魅力を、このホイールは静かに纏っている。
まとめ:誰にとっての最良か
Particle RCX27 Hyperlightは、超軽量ディスクブレーキホイールセット市場においてきわめて競争力のある製品である。863g/1,999ドルという数値は、唯一無二のポジションを占めている。
すなわち、すべての主要ブランド製品より150g以上軽く、その大半より900~4,500ドル安価でありながら、一部のより軽い競合製品が犠牲にするクリンチャーおよびチューブレス互換性を両立させている。
1本2.1gの第4世代カーボンスポークは、市販品で絶対的に最軽量ではないものの、交換可能かつ商業的にサポートされるスポークとしては最軽量級の技術的な正統進化である。
SR1ハブはH-WorksのOEMであるものの、精密加工公差とクローズドフランジの安全設計は、単なる軽量化追求ではなく、思慮深いエンジニアリングの所産である。
主要なトレードオフは明確だ。
90kgのシステム最大重量制限は対象ライダーを軽量級に限定し、27mmのリムハイトは30mm以上のすべての競合製品に対してエアロダイナミクス面で確実に不利である。
そして、ブランドの若さ(2025年設立)は長期耐久性データがまだ存在しないことを意味する。調達の透明性は評価に値するが、同時にハブ(H-Works)やスポーク(Stren)といった基盤コンポーネントが他のブランドでも、利用可能であることは明らかだ。
Particleの差別化はリムレイアップ、組み立て品質、そしてバリュープライシングに主として依拠している。
体重80kg以下で、SchmolkeやONE-Kの価格を支払うことなく最軽量のクリンチャー互換ディスクブレーキホイールセットを求めるライダーにとって、RCX27 Hyperlightは現時点で競争力のある製品のひとつになりそうだ。

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