こんな質問を頂戴しました。
質問者さんは、富士ヒルでブロンズを目指して練習されていらっしゃるそうです。リアルの練習会で上級者(恐らく自称)さんに「ブロンズはレベルが低いのでもっと上を目指さないと」と有難いアドバイス?を頂いたそうです。
この手の話題は、枚挙にいとまがないのですが、今回の例に限らず「レベル」の高低というものは相対的な話です。
序列は存在しますが、ブロンズのレベルが低いか高いかに関しては、プラチナの選手から見ると相対的にレベルは低いかもしれません。しかし、ブルーの方から見ればレベルが高いです。結局は、どの視点から物事を見ているかだけの話です。
極論、飛躍しすぎているかもしれませんが、ポガチャルからみればプラチナなんて・・・、という話にもなりかねません。この手の話には、際限が無いのです。視点が変わればレベルが変わるのです。したがって、気にする必要すらありません。
また、上級者(恐らく自称)さんの発言には、別の意図があるのかもしれません。「ブロンズはレベルが低いのでもっと上を目指す」というのは、「俺はブロンズ以上の能力があるんだ」という事を言いたい、表現したい、誇示したいという、遠回しの承認欲求があるのかもしれません。
質問者さんへのアドバイスというよりも、「俺はそれ以上の能力がある(可能性がある)」といったような承認欲求を満たす、満たしたい、ちょっと上から指摘する自分かっこいい、みたいな厄介な理由があるのかもしれません。
こういう人は基本的にスルー、面倒なので距離を置いて良いと思います。
とはいえ、ヒエラルキー(組織や社会における階層構造や階級・レベル)は世の中に確実に存在し、意味を持っています。受験、学校、会社もそうです。日本でも生まれた時に身分が決まっていた時代がありました。
それらをふまえた上で、今の質問者さんが忘れてはいけない大事なことは、富士ヒルのブロンズを達成したい「目標」として設定したこと、そこに向かっていま自己研鑽を重ね続けているという事実です。
達成したことがない目標に対して、達成するためにキツイ負荷をかけてトレーニングしている。レース当日にゴールを切り、走り終わるその時まで結果がわからない不確実な課題に対して、不安になりながら挑戦しているわけです。
普通に生きているだけであれば、峠のタイム短縮など必要のない取り組みです。しかし、今の自分では達成できないことを、達成できるように、自分を変える行動をしているわけです。しかも、その道のりはつらい。この時点で、質問者さんにとって今の自分よりも、さらに上のレベルを目指しているわけです。
「ブロンズはレベルが低いのでもっと上を目指さないと!」
という、あなたに投げかけられた言葉は、一見すると成立しているように見えて、破綻している言葉です。質問者さんにとってのブロンズは、上のレベルを目指すための価値のある目標です。
この質問を頂いて、私もふと思い出しました。JBCFのE1を走っているとき「E1はレベルが低いからJPT走らないと」と言われたことがありますが、E1で目標があったのでE1で走りました。
最近では、「マスターよりもエリートで走ったほうが・・・」なんて言われたことがありますが、目標としている方向性が違うので、XCOはマスターで走っています。
「富士ヒルのブロンズはレベルが低いのでしょうか?上級者の方に指摘されました。」
この質問に対する、私の考えとしては「レベル感は人それぞれ、ブロンズの目標を達成するために、後悔しないように当日まで自己研鑽する」です。
今年もしブロンズを達成したら、来年はシルバーを目指すことでしょう。ただ、シルバーを目指すそのときに、質問者さんは「ブロンズはレベルが低いから・・・」とこれから目指す人に言うのでしょうか。
きっと、ブロンズを目指す大変さや、目標設定して日々努力を積み重ねる知っているでしょうから、そうは言わないと思います。
富士ヒルのレース当日まで、残り少なくなってきました。ゴールを切るその時に、目標達成できる事を信じて、日々限界まで追い込んでください。