こんな質問を受けました。
質問者さんは、ロードバイクに乗り始めたばかりの方でスピードセンサーで速度を測定する以外にも、自分のパワーを測定できるパワーメーターの存在を知り、この機材に興味が湧いたそうです。
で、自称上級者()の方に質問したところ、
「トレーニングしていないのならば使ってはいけない」
と、諭されたとのことです。まぁ、言い方も、言葉の選び方もあるとは思いますが、言葉尻だけ見ると「使ってはいけない」と、上級者の方からありがたいアドバイスを頂いたようです。
残念ながら、私は上級者ではなく、その御方よりも程度は低いライダーですが、これまでの自分の経験を元にお答えするとトレーニングをしてようが、してなかろうが、パワーメーターはトレーニング以外にも走りの幅、活用の場が広がるため、導入しても良いと考えています。
質問者さんは、ロードバイクに乗り始めたばかりということですが、パワーメーターはトレーニング以外にも、次のような活用方法があります。
- 長く走るため
- ペース配分のため
- 体力温存のため
他にも様々な活用方法があると思いますが、始めたばかりの頃は色んなところに走りに行くのが楽しいと感じる事が多いのではないでしょうか。私もそうでした。私自身の体験談ですが初めの頃は、行きはよいよい、帰りはバテバテになることが多かったように記憶しています。
理由は単純で、序盤オーバーペースだったからです。初めは疲れていないので、フルパワーが出せますし、余裕があります。そのため、序盤から有り余る体力を振り絞って自分が考えている以上に、体力を使ってスピードを上げ続けてしまう事があります。
レースでも序盤だけ元気で、最後には見かけなる人がいますが、レース終盤から逆算して、いま自分の能力とパワーから何をすべきか、どのような行動をすべきかを理解できていないのでしょう。
パワーメーターがあれば、「出しすぎ」に気づく事ができます。たとえば、行きで200W出して、帰りに100Wしか出せずにバテてしまったときは、次回は「前半は150W以上挙げないようにしよう」と考えたり、「後半は120W出せるようにしよう」とペース配分が管理しやすくなります。
正直なところをお話すると、私が自転車を始めたばかりの頃は「なぜ、後半になると踏めなくなるんだ」という事が理解できませんでした。単純に持久力が無いか、前半飛ばしすぎか、いまではわかりますが、当時はなぜだかわからなかったのです。
これから走行距離を50km、100km、150kmと伸ばしていく際にもペースと体力の配分が大事です。加速と減速を繰り返す自動車の燃費が悪くなるように、人間もパワーの波がある緩急が多い走行は体力を多く消耗するようです。
走行距離を伸ばすためにも、パワーメーターがあれば50kmを200Wで走れたから、次は100kmを150Wで走ってみようと作戦を練ることができるわけです。
ここまでは平地だけの話でしたが、これから登り坂も走るようになると思います。いわゆるヒルクライムという日本のサイクリストにとても人気のあるカテゴリですが、正直なところペース配分が重要です。はじめだけ飛ばしてもいけませんし、ラクをしようと思っていてはいつまでも峠は終わりません。
自分の「これくらいならパワーを維持できる」という主観的なものを、パワーメーターが数値化してくれるので、登りのペースの目安にしやすいです。パワーメーターがあれば「今回は200Wで登れたから次回は210Wで登ろう」と定量化できるようになります。
思い出せば、初めてロードバイクにスピードセンサーを取り付けたときの感動は今でも忘れません。自動車やバイクでしか知り得なかった速度という値を、自分が漕いで進む自転車がどれくらいの速度なのか、感覚や物体の移動変化を数値として知る、ということに対して単純に面白く感じました。
パワーも同様です。単純に見ていて面白いと思います。
10年以上前は高くて万人におすすめできるものではなかったのですが、最近は安くなりました。いろんなモデルがありますが初めは、楽天やアマゾンで買えるパワーメーターで良いと思います。モデルは、Magineが良いと思います。
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「トレーニングしていないのならば使ってはいけない」と、質問者さんにありがたいアドバイスをしてくださった自称上級者()の方の意見も確かに間違えてはいないのですが、測定器から得られた数値データーをどのように扱うかはサイクリスト次第です。
トレーニング用途、ロングライド用途、ジムのエアロバイク代わり、などなど使い方の工夫は無数にあります。
こういう話をすると、今度は「何万円もするパワーメーター買うくらいなら別の機材を」という主張をする方が(この業界問わず世の中には)一定数いて、質問者さんの前に現れるかもしれませんが、気にしなくても良いと思います。
「トレーニングをしてなければ、パワーメーターを使ってはいけないのか」という論点とはまた別の論点であり「原資が決まっている場合にどの機材を優先して購入するか」という、また別の話をしています。論点のすり替えですね。
質問者さんがもしもパワーメーターを「使ってみたい!」と興味が湧いたら、他人や、上級者()の意見も聞き入れつつも、まずは使ってみてください。先ほど紹介した通り、トレーニング以外にも活用の幅はとても広いです。
もしかしたら、その上級者()さんは、パワーメーターを使っているということを一つのステイタスに感じているのかもしれません。承認要求を満たすために「うあー、スゴイデスネー!」と言って、自転車に乗りに行ったほうが幸せになれるかもしれません。
最後に、パワーメーターは単なる測定器です。パワーメーターの奴隷にはなってはいけませんが、質問者さんが末永くロードバイクを楽しむための、一つの道具として活用できるようになることを楽しみしております。
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