2025ツール・ド・ふくしま 40-45 7位 レースレポート

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photo:Kenji Hashimoto

7月下旬にクラッシュ後、本格的に練習をしはじめてから約半月と少し、2023年以来久しぶりのロードレースに出場した。この間何があったかは↓の記事の通り。

頭部外傷から、ロード復帰までの道のり。
7月の下旬、MTB全日本選手権の試走中に頭から落下し、救護室に運ばれた。走り込んだコースがゆえ、油断と気が抜けていたのだろう。なんて事のないセクションで2~3m下に落ちた。フワッと頭から前転するような形で受け身が間に合わず手を出す間もなく頭から激突し、ヘルメットは割れ、サングラスは破損、右目上を切るなど一瞬何が起こったのかわからなかった。数分動けなくなり、近くにいたマーシャルにかつぎ上げてもらった...

周りに迷惑かけないぐらいには走れる感じには仕上げているが、なんといってもパワーも走り込みも足りない。

それでも、ゴミレベルのフィジカルの私とロード練をしてくださった松木さんを初め、井上さん、ユーゴには大変感謝しなければならない。次生まれ変わったら、このメンツと走れるなんてことは無いんだろう。それぐらい今の自分は、ロード、MTB、CXを走るうえでとても人に恵まれている。

さて、今回の私のレースレポートは誰の参考にもならないと思うが、どちらかといえば来年の自分へ向けた記録の意味合いが強い。コースはもとより、補給や、調整など反省を生かして来年に向けて結果を出すための礎の役目がある。

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ツール・ド・ふくしまについて

私が参加したのは140kmの40-45カテゴリ。本大会は2026年に「UCIグランフォンドワールドシリーズ大会」として開催される。プレ大会の位置づけとして今年度は実施されるため、来年にも同じコースが引き継がれる(はずだ)。

翌年の世界選の会場はニセコだ。ニセコは厳しいレイアウトであるものの最も相性が良く、2019年3位、2022年優勝、2023年4位とまずまずの成績を残せている。ただ、ふくしまで25%に入らないとそもそもニセコに出場できない。ラインレースは国内に数少なく貴重な機会であるため参加することにした。

コース:138km, 1800mUP

コースの距離は公式情報だと140km、1800mUPなのだが、獲得標高がRIDEGPSだと2300m、RIDEGPSのデータをGARMINにロードするとなぜか2800mになる。実際にレースを走った生データーは138km、1680mUPだった。

コース前半は60km程平坦路が続く。農道の細い道を通るため、突然道が細くなったり、コーナーに用水路があり危険な箇所が多い。実際に目の前で用水路に落ちた選手や、落車に巻き込まれたりした。ダムまでダラダラ登りがあるがかなりのハイペースで進む。

80km付近からアップダウンが続くが、急な登りは無く単発で5~6分の登りが登場する。試走の段階で長くても10分の登りは登場しないと把握していたので、気持ち的には楽だった。

1つ目のKOMまでは確かに上っていくのだが、終わりだと思ったピークからさらに登る為心が折れないようにしたい。レイアウトを把握していると「終わったと思ったら、まだピークは先だった」ということが何度もあるため、気持ち的につらい。

1つ目、2つ目のスプリントポイントは正直なところ必要なのか?という気はするが、ロードレースという事を考えたらKOMだけで良いのではないかというのが率直な感想だった。

コースレイアウト的に、クライマーが有利になる要素は少ない。パンチャー系が短時間にペースアップしてスピードの暴力で破壊するような事が起こると、集団が崩壊しそうなレイアウトだと感じた。

下りもテクニカルな部分は無いが、2個目のKOMを過ぎたあたりから90°一気に曲がるセクションもあるものの舗装路の状況もよくスピードが出やすい。集団であれば70~90km/hは出る。

残り20kmは平坦路があり、小刻みなアップダウンが続くが、どれも長くても1~2分で終わる。最後の登りは500mほどありやや急こう配、そのあとは平坦でスプリントという形。ラストは、短距離で大きなパワーを出せるパンチャー系の選手に有利なコースという印象だった。

残れたらの話だけど。

コースは難しい箇所は無いが、参加者の経験やデーターが増えていくと展開が生まれやすいコースレイアウトだなと感じた。ただ、今回は初開催のコースであり、大きな集団のままゴールになだれ込んでいたため、いくらか様子見のライダーが多かったのかもしれない。

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補給と機材

気温がどうなるのかわからなかったため、950mlのボトルを2本用意した。来年は6月開催とのことなのでボトルは750mlを2本で良いかもしれない。

補給

半分残った

  • ボトル:950ml x2(Maulten 320を2袋x2)
  • ジェル:糖質200g(100mgカフェイン)

Maulten 320の糖質80g x 4袋で320g分ある。3時間強のレース時間なので補給はボトルだけで事足りるのだが、念のためジェルを200g用意した。ただ、1/2は飲まなかったのでもう少し減らしてもよいだろう。

まぁ、ちょっと多めだが全部飲む必要は無いのと、久しぶりのロードレースで補給取るのを忘れちゃいそうだったので多めに用意した。いつもならば、レース中に3時間として300g吸収できる体質だから来年も300gぐらいあればよいなという感じ。

6月であれば750mlのダブルボトルで事足りそうだ。実際のレース中は後半になると水が欲しくなって、フィードで水を受け取っている。

レース前

レース前に200gの糖質、カフェイン200mg、MaultenのBicarb 19(約40gの糖質)を食べたがかなりおなかがいっぱいになってしまった。Bicarbの効果のほどはわからないが胃もたれもしないし、使っても問題なさそう。下痢にもならなかった。

糖質は100gでも良いかなという印象。

前日は福島のお魚と米を食べたが、コースレイアウト的に前日でも食事を楽しんでも問題なさそうだ。大阪だと3000円しそうな定食が1200円程だったのはうれしい。

機材

タイヤだけGP5000 TTTRに変更している。特に良かったのが、SUNVOLTの新型エアロワンピース、OGKのヘルメットFLEX-AIRとFA-2サングラス。特に調光のOGK FA-2サングラスは朝暗い時間から、日差しの強い時間帯、トンネルが続く福島のコースに最適だった。

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普段の練習は朝薄暗い時間から走るし、ロードレースはトンネルがある。XCは明暗が激しいので今はこの調光以外使うことは考えられない。

  • バイク:S-WORKS TARMAC SL8
  • ホイール:Nepest NOVA 45
  • ギア:54×40 – 11-34T
  • タイヤ:GP5000 TTTR
  • タイヤコーティング:クレストヨンド ROAD
  • 空気圧:F4.0 Bar、R4.2 Bar
  • ヘルメット:OGK FLEX-AIR
  • サングラス:OGK FA-2
  • ジャージ:SUNVOLT エアロワンピース
  • ソックス:RULE28 AERO SOCKS
  • シーラント30ml

特に目立ったアッセンブルではないが、45mmハイトだと物足りず50mmが必要だと感じた。実際にレースを走ると速度域が高く、138kmながら獲得標高1800m近いコースながら平均速度が41km/hだった(私でも)。平坦での巡行も、下りでのアドバンテージを考えると45mmよりも50mmのほうが向いている。

来年走るなら、ROVAL RAPIDE CLX 3が良いだろう。実は、RAPIDE CLX 3を注文していたのだが間に合わなかったのだ。高速域が1時間以上続くから、50mm以上であればもう少し平坦で楽できそうだ。45だと明らかに巡行が足りなかった。3時間以上のレースで40km/hの平均スピードの場合は45はちょっと厳しいと理解できた。

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ツール・ド・ふくしま 140km 40-45 7位

スタートは6:00、整列はするものの年齢別だからどこでもいいやという感じ。適当に前に並んでいたけど、雑賀さんが後ろに並んでいたので後ろに下がって横から一緒にスタート。安心できる人の近くの方が気分も楽だ。

前に200人以上いるわけだけどスタートしてから5分ほどで先頭付近まで出られた。この辺りの走り方は、CXやMTBやっていて良かったなと思うところ。久しぶりのロードだったが、「スタート=全開スプリント」というXCやCXと比べると1億倍楽だ。

ただ、一斉にスタートにするなら年代別の整列ではなく、ツール・ド・オキナワのような混在の方が良いと思う。もしくは、年代別で一塊になってタイム差をつけてスタートするほうがいい。グランフォンドのフォーマットに合わせるのならば今年のニセコのように、総合は無くして年代別時差スタートの方が良いかもしれない。

序盤の集団は落ち着きなく進むが、危険な走りはそれほど多くないものの、コーナーの立ち上がりでなぜか皆ダッシュが多い。これはもう諦めるしかないが、あえて外側に振って速度を維持して速度差を最小限にするように省エネで走る。

7月のクラッシュ後から、半月ちょっとしか走り込む時間が無く、客観的にみても自分のフィジカルをほとんど無い事を自覚している。できるだけ省エネで着いていけるところまで行く。というか、今はそれ以上のことはできないし。

ところどころ道が細くなっているため、一列棒状になったり、広がったりする。前方で逃げが出来てはいる。見てるだけになってしまうが、「あぁ、やっぱりロードは展開があって頭使うし楽しいなぁ」とかのんきなことを考えていた。

全体的に速度域が高く、コーナーもハイスピードで抜けていく。50km過ぎたあたりから急に走りやすくなったと思っていたら、前方で落車があり巻き込まれてしまった。一人用水路に落ちてしまったが大丈夫だったんだろうか。

同年代で優勝した小林さんも巻き込まれてストップしていたので、声をかけたが大丈夫そうだった。追いつくのに多少力を使いつつも平坦路では千切れる事は無いが、登りに入ったらパワー出ないだろうなぁという感じだった。

一つ目のKOMは難なく通過し「あれ、まったく登りキツくないぞ」と全体のペースもそれほど早くはない。と、ナメていたらアップダウンを走って、2つ目のKOM手前で淡々と踏むもパワーが出なくなり230Wぐらいしか出せなくなる。

これまでのレースの経験上、ほんの数分我慢すれば着いていける比較的いけるペースだとは思っていたが、後半にパワーダウンしてしまう。今のフィジカルの弱さでは粘れなくピーク手前でドロップした。結局50人くらいの大きな先頭集団を見送ってレースは終わった。

途中でドロップした3人ぐらいでパックになって回して残りを消化した。単独で行くよりも速くゴールできるだろうと思って10分ぐらい走っていると、下りで多分RXのまこっちさんやFinsの遠藤さんらが後ろから結構合流してきて集団は15名ぐらいに。

そのままの集団でゴール。結局年代別は7位。ただぶら下がるだけの全然ダメなレースだったけど、クラッシュ後から突貫工事で自転車の上で動ける人間にもどって、2年ぶりのロードレースにしてはダメなりに走れた方(と思いたい)。

ふと思ったのだが、これまでのロードレースはどれも悔しかったのを覚えているのだが、今回はまったく悔しさがないことに気づいた。理由は単純で、悔しいと思えるほどの準備や練習をしてこなかったからだろう。今回のレースでの目標も設けず「無事に帰れたらいいや」ぐらいに考えていた。

とにかく最低限走れるように戻すことが先決で、順位は二の次という線を引いていたことも理由かもしれない。

今回の大きな収穫と言えば、何年も「ロングの乗り込み」をやってきた意味を再認識できたこと。XCのレース時間は60分程度しかないから、60分で何度もVo2MAXをだす能力は伸びたと思う。ただ、ロードレースのように何時間もパワーをかけ続けたうえで、1発繰り出す能力が無くなった。

200km近く走って、最後の峠で5倍以上で走れていた一番得意としていた能力ではあったが、いまではなくなってしまった。またこういう練習がロードのレースフォーマットでは必要だ。峠を登って下るだけでは残念ながら身につかない。

それを身をもって理解できただけでも収穫だったと思う。

また、一からやろう。

レース後

チームから2人の優勝者。

総合優勝したユーゴと年代別優勝した松木さんの表彰を撮影してチームLINEに送る。これぐらいしか役に立てることはない。レース後にユーゴから風呂行こうと誘われたが、「タオルが無いのでいいよ」と断ったんだけど、わざわざ自分のタオルを取りに戻って貸してくれる気の利くイイやつ。

風呂で「ユーゴは凄いのわかるんだけど、実感わかないんよなぁ」と話してたら「勝てると思って無かったっす!」と。「マークとかきつくないん?」と聞いたら「マーク・・・、うーん、わかんないっす!」と。

周りの選手にとってみればマークしていると思っている(つもり)だけで、本人にとってみれば「んー、マーク?」みたいな感じなのだろう。強さが突き抜けるとこうなるのか・・・。マークすら、プレッシャーすら、感じていないのも強さの秘訣なのだろうか。

松木さんやユーゴの普段の練習内容や、パワーデーター、食生活などを詳細に聞きはするものの正直なところ彼らがなぜ強いのかはわからない。ただ、愚直に継続して続けているということは共通している。ちなみに、この日のユーゴのCTLはわずか60だった・・・。

レース後は、松木さんとユーゴと3人で豚丼食べて、東京電力の廃炉資料館で社会勉強をして帰路へ。帰りの空港まで松木さんと自転車の話から子育てまで、色々と話せて有意義だった。社会的、選手的にもこのレベルの人と関われる機会はそうない。

来年はまた同じコースで予選会がある。さらに多くのライダーが出てくるだろうし、展開も変わるだろう。

冒頭でも書いたが、次はさらに人数は多くなるだろうし各カテゴリが混走にならないように、時差発走にしたほうが良いと思う。今年のニセコと同じレースフォーマットが理想。

ツール・ド・ふくしまは初戦だったが、沿道から地元の方々の応援が多数聞こえてきて素晴らしい大会だと感じた。138kmのラインレースかつ、この規模の交通規制は非常に大掛かりなもので、地元の協力やボランティアの方々の力が無ければ実現できない大会だったと思う。

来年へ向けて建設的な改善要望も書き残しておきたい。

  • 「総合順位」を競うのが主なら、スタート順は年代別でわけず混在が良いのでは(おきなわ方式)。
  • 「年代別」を競うのが主なら、スタート時間をカテゴリでわけるのが良いのではないか(今年のニセコ方式)
  • 補給ボトルをもう一回り太めの設計の方がボトルにはめやすい。

良かったこと

  • 補給の水が使いやすいキャップだった。
  • レース終了後に風呂に入れた。
  • 表彰式会場に大きな日陰と椅子があった。
  • モトの誘導、声掛けが的確だった
  • 表彰式が盛大で地元有力者が多数参加

国内での公道ロードレースは減少傾向にあるが、新たに生まれたツール・ド・ふくしまがこれからも続いていく事を応援していきたい。

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