頭部外傷から、ロード復帰までの道のり。

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7月の下旬、MTB全日本選手権の試走中に頭から落下し、救護室に運ばれた。

走り込んだコースがゆえ、油断と気が抜けていたのだろう。なんて事のないセクションで2~3m下に落ちた。フワッと頭から前転するような形で受け身が間に合わず手を出す間もなく頭から激突し、ヘルメットは割れ、サングラスは破損、右目上を切るなど一瞬何が起こったのかわからなかった。

数分動けなくなり、近くにいたマーシャルにかつぎ上げてもらったが、すぐに動けなくて10分以上横になっていたと思う。救護室に運ばれた時に、視界が二重に見えるのと、両手のしびれなどがあることを伝えた。

医師から何かしらの頭部外傷、眼窩底骨折の疑いあるとのことですぐにMRIを撮るようにと言われた。脳の場合は、後から症状が出てくる事があるため、身近な親族に何か急変したら救急車を呼ぶようにと伝えてくださいと言われた。徐々に、事の重大さを徐々に理解し始めた。

テンプルとフレームが破損。衝撃で頭→顔面着地

結局レースを走らずに帰路についた。この日の為に練習を積んできたのに、こんな幕切れになるとは思ってもおらず、かなり落胆した。帰り道、高速道路の白線が左右に2本ずつ、合計4本見えたことは今でも覚えている。遠くの白線が2本増えていた。

すぐに病院へ向かいMRIに初めて入ったが、確かに閉所恐怖症の人は無理だろう。自分は大丈夫だと思っていたが、あの圧迫感はなにか不安にさせるものがある。脳外科、眼科、神経内科と検査を受け、首の骨と喉の間で出血していることがわかった。

幸い大事には至ってはいなかったが、状況から頭というよりも首の骨が折れていてもおかしくない状況であり、不幸中の幸いであると医師から告げられた。通常の生活はできるが、何かあったらすぐ病院へ、という指示は変わらなかった。

心配していたのはトレーニングで、「ちょっとした運動ならしてもよいですかね」と聞いたが「運動は避けて、1カ月は安静にしてください」と告げられた。この時、ツール・ド・ふくしまにエントリーしていたのだが、福島は無理だなと、この時は一旦諦めた。

「ロードに復帰しますので練習お願いします」と伝えていた松木さんやマネージャには、申し訳ないと、症状と状況をかねて連絡し、当時は何事もなかったかのように日々の生活を送ることにした。

この手の話はすぐにネタにしやすいのだが、怪我やトラブル系の話は「自分の傷口を人に見てほしい」という、子供にもよくある人間の心理が働きやすい。だから、その欲求を抑え込んでおくほうがいい。あとからこうやって、俯瞰しながら他人事のように振り返る程度で良いと思っている。

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トレーニング再開とロード復帰まで

しばらく自転車そのもの休んで、ほとぼり冷めたころに恐る恐る乗り始めた。

首がむち打ちのような状況になり、下を向いているだけならよいがローラーやロードバイクに乗ると角度が着いて痛くて走れない。時間をかけて自然治癒するほかなく、やれることと言えばシップを張るくらいだった。

8月に入り、外を走れる機会があっても人についていくことは難しいと判断、単独で走ることが多かった。ただ、レースに出られるだけの走力は無いものの、走る気力だけはかなりあって、雨でも外を走ることが多かった。ただ、人と走りたいなぁと渇望していた頃でもある。

こういう時に「引き寄せの法則」ではないが、警報が出るほどの豪雨で誰も走っていないだろうと思っていたら、突然ユーゴ(富士ヒル、ニセコ、福島覇者)が走ってきて、雨の中2人で登りの練習(ついていけないけど)してもらったり、ポジティブなパワーをもらった。

顔、◯んでる

強い選手は、このように厳しい状況でも走っているとわかったのだが、それとは別にユーゴのバイクコントロールはロード選手としては頭2つぐらい抜けていて、雨の下りにもかかわらず、リアをずっと上げながらフロントタイヤだけで止まる曲芸で遊んでいた。

こやつは滑るのが怖くないのか。いや、頭ネジが緩んでいるだけか・・・。

シマノたけはるパイセンも加わる。

色々と元気をもらって、夏休み中は10日間ほど単独で走り込んでベースを急ピッチで仕上げた。その間に松木さんらと練習したり、少しづつ上がってはいったがFTPは50Wぐらい落ちているし、着いていくのがやっと。XC的な短時間のバーストは耐えれるが、ロングで徐々に削られていく耐性はなかなか戻らない。

それでも、松木さんの「上げないけど、最後に確実に抹〇される」練習はロードの走り方を思い出すには十分でパワーをもらった。

ふくしまには間に合わないけど、ロード走るのは楽しいなと思い始めた頃、井上さんと久しぶりに走ってもらった。色々と刺激をもらったり練習後のアイス食べながら話をしていると、不思議とやる気が出てくる。にしても、後ろにいるだけでしんどい。

井上先生のアイス。

このころから、フィジカルが徐々に上がっていくことが感じられたものの、やはり半月程度ではなかなかパワーが戻らないことがわかってきた。

クラッシュした日から、戻そうと前向きに試行錯誤していくと色々な事が起こる。スピリチュアルなことは一切信じないのだが「引き寄せの法則」みたいのは本当にあるかもしれない、と思った1ヶ月だった。

しかし、現実的な話をすると1カ月でフィジカルが戻ることはない。フィジカルは正直だ。それでもなんとかロードの走り方を思い出したし、レースは完走くらいできるだろうと(低レベルだが)思って、2年ぶりのロードレースに参加するために福島へとむかった。

2025ツール・ド・ふくしま 40-45 7位 レースレポート
7月下旬にクラッシュ後、本格的に練習をしはじめてから約半月と少し、2023年以来久しぶりのロードレースに出場した。この間何があったかは↓の記事の通り。周りに迷惑かけないぐらいには走れる感じには仕上げているが、なんといってもパワーも走り込みも足りない。それでも、ゴミレベルのフィジカルの私とロード練をしてくださった松木さんを初め、井上さん、ユーゴには大変感謝しなければならない。次生まれ変わったら、この...
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