わずか20g! OGK Kabuto FA2 インプレッション レンズに調光剤を織り込む革新サングラス

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これが追い求めていたものだ。

このサングラスは、調光剤がレンズ素材自体に練り込まれている。従来のコーティングタイプのレンズ(PRIZM等)と比較すると、特殊なレンズ製造方法により調光性能の経年劣化が少なく、より長期間にわたって安定した性能を維持できる。見た目と性能が長続きするのだ。

それだけではない。フレームとレンズは特殊な接着が施されており、無駄な金属部品や段差が一切ない。重量はわずか20gと軽量である。

フレームとレンズが特殊な接着で固定されており極限まで軽量化と視界が確保されている。

日本のヘルメット・アイウェアメーカーであるOGK Kabutoが、2025年5月に市場投入したサングラス「FA2」は、単なる新製品の枠を超え、高性能アイウェア市場に対する戦略的な一手である。

公称重量が20gという驚異的な軽さを実現しながら、従来モデルで指摘された安定性の課題を克服し、さらに高性能なNXT調光ミラーレンズを標準装備するという野心的な製品に仕上がっている。

FA2は、なぜ開発され、いかにしてその相反する要求を両立したのか。本インプレッションでは、FA2の技術的背景、素材科学、実用性評価、そして競合ひしめくサングラス市場でのポジショニングを多角的に分析し、その真価を確かめた。

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光学、素材、設計の三位一体

FA2の核心的価値は、その設計思想、素材選定、そして光学性能の三位一体にある。ここでは、公表されているスペックと技術情報を基に、その技術的特性を分解し、客観的な事実に基づいた分析を行っていく。

設計思想:軽さと剛性の戦略的両立

Photo: OGK Kabuto

FA2の設計は、前モデルであるリムレスの「FA1」に対する市場からのフィードバックを起点としている。FA1は軽量性を極める一方で、特にスプリントのような高負荷時におけるホールド力や剛性に対する改善点がいくつかあった。

これに応える形で、FA2はレンズ上部にフレームを配したハーフリム構造を採用した。通常、フレームの追加は重量増につながるが、OGK Kabutoはこれを回避し、むしろFA1を超える軽量化を達成するという高度なエンジニアリング課題を解決している。

Photo: OGK Kabuto

この課題解決の鍵となったのが、特殊な接着技術である。薄型のNXTレンズに直接フレームを接着するこの独自製法は、従来のネジや固定具を排除し、構造を極限まで簡素化することを可能にした。

この接着には弾性を持つ特殊材料が用いられており、軽量性を維持しつつ、スポーツ用途に求められる適度なしなやかさと確かな装着感を実現している。

さらに、無駄を徹底的に削ぎ落としたシャープなテンプルデザインが、リム追加による重量増を相殺し、最終的に20gという数値を達成する上で決定的な役割を果たしている。

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素材と重量:先進材料の採用

Photo: OGK Kabuto

FA2の性能を物理的に支えているのが、先進的な素材の採用である。フレームには、植物由来原料を45%含むバイオマスプラスチック「Rilsan Clear G850 Rnew(ポリアミド)」が使用されている。

これは、Rudy Projectなどの競合他社も採用を進める持続可能性への配慮であり、現代の製品開発における重要なトレンドを反映している。この素材は軽量性と柔軟性、耐久性を高いレベルで両立している。

レンズに採用されているNXT素材は、元々米軍の超軽量防弾プロテクター開発プロジェクトから生まれたポリマーであり、一般的なポリカーボネートを凌駕する耐衝撃性、耐久性、そして軽量性を誇る。

この素材の採用により、高い安全基準をクリアしながらレンズの厚みを大幅に削減することが可能となり、FA2の軽量化に大きく貢献している。公称重量は20gで、実測重量でも同様の数値を確認している。

重量の誤差は0.1gだった。

この20gという重量が市場でいかに突出しているかを以下の比較表に示す。

表1: 主要サイクリングサングラス 重量比較
モデル ブランド 公称重量 (g) フレームタイプ
FA2 OGK Kabuto 20 ハーフリム
EVZero Blades Oakley 21.6 リムレス
Hypercraft 100% 23 リムレス
RoadR 900 Van Rysel 23 ハーフリム
Spinshield Air Rudy Project 25 ハーフリム
Sutro Lite Oakley 32 ハーフリム

出典:

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光学性能:NXT調光ミラーレンズの真価

Photo: OGK Kabuto

FA2のもう一つの核となるのが、標準装備されたNXT調光ミラーレンズだ。このレンズは、紫外線量に応じて可視光線透過率(VLT)が80%から10%の範囲で自動的に変化する。

この極めて広い調光範囲により、早朝や夕暮れの薄暗い状況から日中の強い日差しまで、一つのレンズで対応することが可能となる。これは、刻々と変化する光環境下でライドを行うサイクリストにとって、大きなアドバンテージである。

調光剤がレンズ素材自体に練り込まれている

技術的に特筆すべきは、調光剤がレンズ素材自体に練り込まれていることだ。従来のOAKLEYのPRIZMのようなコーティングタイプのレンズと比較して、このレンズの素材自体に織り込む製法は調光性能の経年劣化が少なく、より長期間にわたって安定した性能を維持できる。

時間とともにコーティングが剥がれ落ちて、見た目や性能的にも意味をなさなくなるレンズとは一線を画しているのだ。

さらに、レンズ表面には眩しさを低減するミラーコーティングが、内面には後方からの光の映り込みを防ぐ乱反射防止(AR)コートが施されており、あらゆる角度からの光に対してクリアな視界を確保し、目の疲労を軽減する設計となっている。

Photo: OGK Kabuto

高性能な調光レンズは、通常、高価格帯のオプションとして提供されることが多い。しかしOGK Kabutoは、この高性能NXT調光レンズをFA2に標準搭載し、税込価格27,500円という競争力のある価格設定を実現した。

これは、Oakleyなどのトップブランドが確立した価格体系に挑戦する戦略的な動きであり、高性能とコストパフォーマンスを両立させるという同社のブランド哲学を体現している。

表2: 高性能レンズ技術 比較分析
技術名 ブランド 主要特徴 調光機能 ユーザー評価の傾向
NXT Photochromic OGK Kabuto 優れた耐久性、広い調光範囲、軽量性 標準またはオプション 汎用性が高く、一つのレンズで完結する利便性
Prizm Oakley 特定環境下でのコントラスト強調 一部モデルで調光と併用 視界の鮮明さ、路面状況の把握しやすさで高評価
HiPER 100% コントラスト向上、色彩の鮮明化 一部モデルで調光と併用 Prizmに近い性能、レンズの耐久性も評価
ChromaPop Smith 自然な色彩でコントラストを向上 調光モデルあり 色の鮮やかさと、木漏れ日などでの見やすさ

出典:

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インプレッション

技術仕様がいかに優れていても、その真価は実際の使用環境で発揮されて初めて意味を持つ。ここでは、実際にロードでの早朝や夕暮れ時、暗さや明るさが激しく変化するトレイルでFA2の実用性を評価した。

フィット感と安定性:グローバル市場への最適化

FA2は「アジアンフィットシリンドリカルワイドレンズ」を採用している。これは単にアジア人の顔形状に合わせるだけでなく、広い水平視野を確保するための合理的な設計である。OGK Kabutoは日本のブランドとして、設計の初期段階からアジア人の骨格データを基盤としている。

ヘルメットでも「OGK頭」と呼ばれるほど、日本人の骨格に適した設計に定評がある。

この「アジアフィット」は、欧米中心の設計思想を持つブランドの製品がフィットしにくいと感じるユーザー層にとって、大きな魅力となる。同社が欧州や米州へのグローバル展開を加速させる中で、この設計思想は多様な人種に対応可能な普遍的価値を持つ競争優位性となり得る。

Photo: OGK Kabuto

フィット感を個々のユーザーに最適化する上で重要な役割を果たすのが、3段階の高さ調整が可能なノーズパッドだ。これにより、サングラスの装着高を微調整し、特に前傾姿勢の深いアグレッシブなライディングポジションでも、フレーム上部が視界を妨げない最適な位置に設定できる。

この種の調整機能は、Rudy Projectなどのハイエンドモデルにも見られる特徴であり、パーソナライズされたフィット感の追求が現代の高性能アイウェアの標準となりつつあることを示している。

極細のテンプルとソフトなパッドの組み合わせは、長時間の使用でも圧迫感なく、汗をかいてもズレにくい安定した装着感を提供する。

神は細部に宿る、ノーズパッド

OGKの製品は、細部に構造美が見て取れる。

ヘルメットのFLEX-AIRの位置調整方法の仕組み、固定方法など、構造や仕組みで解決する優れた技術が盛り込まれている。完成品を見てしまえば、後知恵バイアスで「そうなるよね」と容易に想像できるが、ゼロベースから構造を生み出した開発者の苦悩は相当なものだろう。

FA2のノーズパッドもOGKの構造美が確認できる部分だ。

初めて見た時は何の変哲もないノーズパッドだが、手間に引っ張ると3段階で高さ調整することができる。オークリーや他社のサングラスはノーズパッドを交換することで高さを変更するものがほとんどだが、OGKの開発者はここでも「構造美」で解決した。

ノーズパッドの高さと幅が絶妙な角度で変わる動きは、ランボルギーニのシザーズドアを彷彿とさせる。そして、高さ調節はサングラスとひたい部分の距離感を絶妙な位置関係にしてくれる。

私の場合、以下の調整具合になった。

  • 0:ひたいとフレームがやや接触する、フレームが視界に入ってこない。
  • 1:ひたいとフレームが接触しない、フレームがわずかに視界に入ってくる。
  • 2:ひたいとフレームが離れ気味、フレームが視界に入る。

3パターン試して、私の顔に合うのは1段階立てた状態だった。デフォルトの高さはひたいにフレームが当たってしまった。2段階(最大)にすると、離れすぎてサングラスが浮いている感じがあった。1段階(真ん中)にすると、ひたいとフレームが絶妙な距離だった。

フレームは存在するがクリアであるため視界を邪魔しない。

ノーズパッドの高さでフレームが視界に入る、入らないの調整もできる。私は登りや、下ハンドルのポジションで上目づかいをする際に、サングラスのフレームが見えるのが嫌でリムレスサングラスを使ってきた。

FA2の場合はクリアなフレームとノーズパッドの調整でほぼフレームが見えなくなる。ノーズパッドの構造美は、ライダーの視認性、接触感、距離感などを解決してくれる優れたソリューションと言える。

「神は細部に宿る」

FA2のような優れた作品を生み出すためには、全体を構成する細部にまで徹底的にこだわる必要があることを、改めて認識させてくれるのだ。

あらゆる光環境に対応するNXT調光レンズの汎用性

FA2のNXT調光レンズが実際のライディングでどのように機能するかを検証した。

高品質な調光レンズは特に、夜明け前に出発し日中に帰着するロングライドや、森の中のトレイル、トンネルが連続するルートなど、光量が頻繁に変化する環境でその真価を発揮する。レンズ交換の手間なく、常に最適な明るさの視界が確保される利便性は、他のレンズにはない大きなメリットである。

Photo: OGK Kabuto

調光レンズの特性で気になるのは濃度変化のスピードである。FA2の調光は安心していい、気づかないほど速いのだ。

ライダーは変化していることにすら気づかないだろう。プレミアムなNXTレンズは速い反応速度を持ち、明るい場所から暗いトンネルに突入した際でもサングラスを外さなくても視界が十分に確保できる。

紫外線量に応じて可視光線透過率(VLT)が80%から10%という極めて広い範囲で自動的に変化するため、早朝の薄暗い時間帯から日中の強い日差し、そして夕暮れまで、レンズ交換の手間なく一つのアイウェアで対応可能である。

これは、特定の光量に最適化された固定透過率のレンズでは実現不可能な利便性であり、天候や環境、時間帯、など、サングラスを外す必要がなくなる点は大きな実用上のメリットと言える。

実走テストにおいても、NXT素材特有の歪みのない光学性能と、レンズ内面に施された乱反射防止(AR)コートが相まって、裸眼で見る以上に路面状況を鮮明に捉える。アスファルトの微細な凹凸や白線との境界も高いコントラストで認識でき、安全なライディングに直結する質の高い視界を提供する。

また、その汎用性と引き換えに、最も暗い状態でも専用のダークレンズほどには暗くならず、最も明るい状態でも完全なクリアレンズほどの透明度にはならない、というトレードオフが存在する。

明暗差の激しいトレイルで発揮される真価と安定性

Photo: OGK Kabuto

FA2のNXT調光レンズは、ロードだけでなく、明暗の変化が激しいトレイル環境においてもその価値を証明する。

調光レンズの課題とされる濃度変化の応答速度においても、FA2のレンズは紫外線に素早く反応し、木々が生い茂る薄暗いセクションから日差しの強い開けた場所へ移動するような、明暗が頻繁に入れ替わる環境でも、視界をシームレスに最適化する。

これにより、ライダーは光環境の変化に煩わされることなく、常に路面状況の把握に集中できる。

さらに、トレイルライディング特有の激しい振動や衝撃に対する安定性もFA2の特筆すべき点である。前モデルFA1の課題であったホールド力を改善するために採用されたハーフリム構造と、極細のテンプルに配されたソフトパッドが確実なグリップ力を発揮する。

ロックセクションやジャンプといった大きな振動が生じても、サングラスがズレにくく、ライディング中の集中力を維持させる上で大きなアドバンテージとなる。MTBで2.5mほど飛んでフルボトムするような着地をしても、まったくズレなかった。ロードでの振動程度では全く動じないだろう。

登坂時に効果を発揮する、遮りのない広い視野

クライミング時やエアロポジションでの前傾姿勢では、視線が自然と上を向く。FA2は、このような状況下でフレーム上部が視界を妨げることを最小限に抑える設計が施されている。

採用されている「シリンドリカル5カーブ」のワイドレンズは広大な視野を確保し、ハーフリムのフレームは極限まで薄くデザインされているため、その存在をほとんど意識させない。

Photo: OGK Kabuto

さらに、3段階の高さ調整が可能なノーズパッドによってアイウェアの装着位置を最適化できるため、ライダーは実質的にフレームレスに近い、遮られることのない前方視界を得ることが可能だ。

この開放的な視界は、前方の路面情報をより多く取り入れることにつながる。この広い視野と、わずか20gという驚異的な軽量性の組み合わせは、特に1gでも機材を軽くしたいと考えるヒルクライマーにとって、パフォーマンスを最大限に引き出すための理想的な選択肢となるだろう。

FA2を使ってから、他のサングラスに変えると途端に重く感じてしまうから不思議な話である。

耐久性と長期使用

製品を長期的に使用する上で、耐久性は重要な評価項目である。FA2の取扱説明書には、レンズとフレームを接着する製法のため「無理な力が加わると剥離する恐れがある」との注意書きがある。

これは、ミニマルなデザインと軽量性を実現するための構造的なトレードオフであり、ユーザーは丁寧な取り扱いを心がける必要がある。この点は、レンズ交換が可能なモジュール構造を持つRudy Project Cutlineなどとは異なる設計思想である。

Photo: OGK Kabuto

また、調光技術そのものにも寿命が存在する。紫外線への暴露が繰り返されることで、調光性能は徐々に低下していくのが一般的である。これはFA2に限らず全ての調光レンズに共通する特性であり、購入者はこの経年変化を考慮に入れる必要がある。

一方で、レンズ素材であるNXT自体の耐久性は極めて高い。耐衝撃性や耐傷性はポリカーボネートを上回り、Oakley Prizmレンズのコーティング剥がれのような問題が起きにくいという利点がある。

Oakley Prizumレンズは1年も経たないうちにコーティングが剥がれる。FA2のレンズは調光剤がレンズ素材自体に練り込まれている。革命的と言えるだろう。

テスト中に砂利道に落としてしまったのだが、レンズはほとんど傷ついていなかった。かなりの強度である。

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市場におけるポジショニングと比較分析

FA2は、激しい競争が繰り広げられる高性能アイウェア市場において、どのような位置付けにあるのか。主要な競合製品との比較を通じて、その独自性と価値を明らかにしていく。

主要競合製品とのベンチマーク

FA2は、超軽量パフォーマンスモデルというカテゴリーで、世界のトップブランドと直接競合する。そのポジショニングは、特定の機能に特化するのではなく、重量、光学性能、価格のバランスを極めて高い次元で追求した点に特徴がある。

対Oakleyでは、EVZero Bladesのようなリムレス軽量モデルが比較対象となる。OakleyのPrizmレンズは、特定のスポーツ環境下でコントラストを最大化する点で市場のベンチマークであるが、FA2はNXT調光レンズの汎用性で対抗する。

一つのレンズで幅広い光環境に対応できる利便性は、レンズ交換を好まないユーザーにとって魅力的である。また、レンズ素材自体の耐久性においても優位性を持つ可能性がある。

対100%では、同じく軽量性とレンズの堅牢性で評価の高いHypercraftが競合となる。FA2は、公称値でHypercraftよりもさらに軽量であり、かつ高性能な調光機能を標準で提供する点で、明確な付加価値を打ち出している。

対Rudy Projectでは、同じNXTレンズを採用し、取り外し可能なバンパーなどで高いモジュール性を誇るCutlineなどが存在する。Rudy Projectがカスタマイズ性を重視するのに対し、FA2は徹底したミニマリズムと軽量化に焦点を当てている。

ユーザーは、カスタマイズの自由度を取るか、究極の軽さとシンプルさを取るかという選択を迫られることになる。Cutlineの重量が36gであるのに対し、FA2の20gという数値は、この設計思想の違いを明確に示している。

表3: OGK Kabuto FA2 vs. 主要競合モデル 詳細比較
項目 OGK Kabuto FA2 Oakley EVZero Blades 100% Hypercraft Rudy Project Cutline
価格(税込) ?27,500 約 ?25,000~ 約 ?28,000~ 約 ?30,000~
重量 (g) 20 21.6 23 36
レンズ技術 NXT調光ミラー Prizm HiPER ImpactX (NXT) 調光
レンズ交換 不可 不可 可能 可能
フレーム設計 ハーフリム(接着式) リムレス リムレス ハーフリム(モジュール式)
調整機能 ノーズパッド(3段階) なし ノーズパッド ノーズパッド、テンプル
主な訴求点 究極の軽量性、標準装備の高性能調光 コントラスト強調、ブランド力 軽量性、レンズ耐久性、広い視野 高いカスタマイズ性、堅牢な作り
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メリットとデメリット

ここまでの分析を基に、OGK Kabuto FA2の長所と短所を明確に整理する。

  • メリット
    • クラス最軽量レベルの重量:公称20gという数値は、市場の競合製品に対して明確な優位性を持つ。長時間の使用でも疲労感が少なく、装着していることを忘れさせるほどの軽さを実現している。
    • 高性能NXT調光ミラーレンズを標準装備:広い調光範囲と優れた耐久性を持つNXTレンズが追加費用なしで手に入る。一つのアイウェアで様々な天候や時間帯に対応できる汎用性は非常に高い。
    • コストパフォーマンスの高さ:同等クラスの光学性能や軽量性を持つ競合製品と比較して、戦略的な価格設定がなされており、優れた価値を提供する。
    • 優れたフィット感と調整機能:特にアジア人の顔形状に最適化された設計と、調整可能なノーズパッドにより、多くのユーザーに高いフィット感を提供する。
    • 広い視野の確保:シリンドリカル5カーブのワイドレンズは、ライディング中の周辺視野を広く保ち、安全性と快適性に貢献する。
    • 環境配慮型のフレーム素材:植物由来原料を含むバイオマスプラスチックの採用は、サステナビリティを重視する現代の消費者にとって魅力的な要素である。
  • デメリット
    • 接着構造による潜在的な耐久性の懸念:軽量化とデザイン性を優先したレンズ接着構造は、メーカーも注意を促す通り、強い衝撃やねじれに対して脆弱である可能性がある。
    • レンズ交換が不可能な設計:破損時や、特定の用途に特化したレンズ(例:偏光レンズ)を使用したい場合に、レンズのみを交換することができない。
    • 調光レンズ固有の性能経年劣化:全ての調光レンズに共通する課題であるが、長期間の使用により紫外線への反応性能が徐々に低下する可能性がある。
    • 競合製品に見られるモジュール性の欠如:Rudy Project製品のように、バンパーやテンプルを交換して外観やフィット感をカスタマイズするような楽しみ方には対応していない。
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まとめ:サングラスエンジニアリングの最高到達点

弱点という弱点が無い、困ったサングラスだ。つけた瞬間、「あ、これ良い」と思う良好な視界とフィット感、素材自体に織り込まれた調光性能など、OAKLEYのPRIZMのように、使っていくうちにコーティングがはがれ落ちる心配も皆無だ。

総論として、OGK Kabuto FA2は特定の目標に対して極めて高度なレベルで最適化された、専門性の高い製品である。

その目標とは、「前モデルの弱点であった安定性を改善しつつ、クラス最軽量のアイウェアを、高性能な調光レンズを標準装備した上で、競争力のある価格で提供する」ことであり、この点においてFA2は見事に成功を収めている。

これは単なる改良ではなく、市場の要求を的確に捉え、技術的な課題を克服した、計算されたインテリジェントな進化と言える。

FA2は、ミドルからハイエンドのパフォーマンスアイウェア市場において、特に「重量」と「価値」という二つの軸で既存の勢力図に揺さぶりをかける存在になるだろう。

その主なターゲットは、カスタマイズ性や特定のコントラスト調整機能よりも、絶対的な軽さと調光レンズ一つで完結する利便性を最優先する、パフォーマンス志向のシリアスなサイクリストだ。

この製品は、OGK Kabutoが単なる「コストパフォーマンスに優れたブランド」ではなく、世界クラスの技術革新を成し遂げる能力を持つメーカーであることを改めて証明した。

将来的に、FA2の成功は、他のメーカーに対しても高性能な調光レンズをより手頃な価格帯の標準モデルに組み込むよう圧力をかける可能性がある。

また、素材選定と独自の接着構造によって実現された徹底的な軽量化という設計思想は、今後のパフォーマンスアイウェア開発全体のトレンドに影響を与えるかもしれない。

OGK Kabutoにとっての今後の課題は、FA2のような技術的成功を、欧米市場を含むさらなるグローバルなマーケットシェアの拡大にどのようにつなげていくかである。FA2は、その挑戦における強力な武器となる可能性を秘めている。

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