フロントSL-R×リアRSはあり?ピレリ最強タイヤの最適セッティング

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フロントにPIRELLI SL-R、リアにRSは合理的?

PIRELLI Race RSとSL-Rの性能を、転がり抵抗や空力、重量などの観点から比較検証した。ラテックスチューブの活用やミックスセットアップの有効性を検討し、レースにおける最速の組み合わせや、パンクリスクと速度の関係性について合理的な根拠に基づいた結論とは。

メリット
  • ➕️ラテックスチューブによる転がり抵抗の低減
  • ➕️SL-Rによる空力アドバンテージの獲得
  • ➕️ミックスセットアップによるパフォーマンスの最適化
  • ➕️実測データに基づく合理的なセットアップの選定
デメリット
  • ➖️パンクリスクと速度のトレードオフ

Pirelli P Zero Race RSとP Zero Race TLR SL-Rは、いずれもBicycle Rolling Resistanceで5.0/5の最高評価を獲得したハイエンドレースタイヤだ。しかしその性格は大きく異なる。

Race RSはクリンチャー専用の軽量レースタイヤ、SL-Rは空力性能を武器にしたチューブレス専用の新世代エアロタイヤだ。

Race RSにラテックスチューブを組み合わせた場合の転がり抵抗改善効果を推定し、SL-Rとの総合比較、さらにフロントSL-R+リアRace RSのミックスセットアップの妥当性を検証した。

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基本スペック比較

項目 P Zero Race RS 28 (2025) P Zero Race TLR SL-R 28 (2026)
タイヤタイプ クリンチャー(チューブタイプ) チューブレスレディ
コンパウンド SmartEvo2 SmartEVO2
TPI 120 120(LiteCOREケーシング)
カタログ重量 230g 275g
実測重量 228g 282g
システム重量(走行状態) 328g(タイヤ+インナーチューブ) 302g(タイヤ+バルブ+リムシール)
実測幅 28mm 28mm
トレッド厚 2.6mm 1.9mm
耐パンクスコア(トレッド) 53ポイント 41ポイント
ウェットグリップ 80ポイント 80ポイント
空力技術 なし PAAS(Pirelli Advanced Aerodynamic System)
評価 5.0 5.0
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転がり抵抗の実測データ

Bicycle Rolling Resistanceの公開データに基づき、各空気圧での転がり抵抗を整理した。Race RSはConti Race28 Wide(125gブチルチューブ)、SL-Rは20mlシーラントでのチューブレス運用での計測値だ。

空気圧 Race RS(ブチル) Race RS CRR SL-R(TL) SL-R CRR 差(片側)
7.4 bar 11.7W 0.00351 7.4W 0.00222 4.3W
6.2 bar 13.0W 0.00390 7.7W 0.00231 5.3W
5.0 bar 14.8W 0.00444 8.4W 0.00252 6.4W
3.7 bar 18.3W 0.00549 9.8W 0.00294 8.5W

ブチルチューブでのRace RSとSL-Rの差は、片輪あたり4.3〜8.5Wと極めて大きい。

しかしこの差にはチューブの種類の違い(ブチル vs チューブレス)が含まれている点に注意が必要だ。Race RSの実力を正しく評価するには、ラテックスチューブ使用時の値を推定する必要がある。

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ラテックスチューブの転がり抵抗

ラテックスチューブのエビデンス

実際はラテックスチューブじゃなくてSMRTUBE RS入れてます。抵抗値は一緒。

ラテックスチューブへの変更による転がり抵抗低減効果については、複数の信頼性の高い情報源からデータが得られている。

Bicycle Rolling Resistanceが実施した「Top 3 Fastest Tubeless vs Latex」テストでは、GP5000 S TR・Corsa Speed G+ 2.0・Pro One TTの3銘柄を対象に、チューブレス(20mlシーラント)・ラテックスチューブ・ブチルチューブの3条件で比較している。

その平均結果は以下の通りだ。

条件 3.7 bar 5.0 bar 6.2 bar 7.4 bar
チューブレス(20ml シーラント) 10.6W 9.1W 8.3W 7.7W
ラテックスチューブ 11.0W 9.4W 8.5W 7.9W
ブチルチューブ(100g) 14.2W 11.6W 10.3W 9.5W

ここから導出される、ブチルからラテックスへの変更による改善量は以下の通り。

空気圧 ブチル→ラテックス改善量(片輪) 改善率
3.5 bar 3.2W 22.5%
5.0 bar 2.2W 19.0%
6.2 bar 1.8W 17.5%
7.4 bar 1.6W 16.8%

AeroCoachのテストでは、Vittoria Competitionラテックスチューブとブチルの差は45km/hでペアあたり約7W(片輪3.5W)と報告されている。

CyclingWeeklyのテストでは片輪あたり5〜5.5Wの改善を示すデータもある。空気圧が低いほどチューブの変形によるヒステリシスロスが増大するため、ラテックスの優位性が拡大する傾向が一貫して見られる。

Race RSのラテックスチューブ推定値

BRRのブチル→ラテックス改善率(17〜22%)をRace RSのブチル実測値に適用すると、以下の推定値が得られる。なお、Race RSはクリンチャー専用設計であり、チューブレスタイヤとはケーシング構造が異なるため、改善率は若干の変動がある可能性がある。

空気圧

Race RS
ブチル
(実測)

Race RS
ラテックス
(推定)

SL-R
チューブレス
(実測)


(RS latex vs SL-R TL)
片輪

7.4 bar 11.7W 約9.7W 7.4W 約2.3W
6.2 bar 13.0W 約10.5W 7.7W 約2.8W
5.0 bar 14.8W 約11.8W 8.4W 約3.4W
3.7 bar 18.3W 約14.3W 9.8W 約4.5W

ラテックスチューブへの変更によりRace RSは大幅に改善されるが、それでもSL-Rとの差は片輪あたり2.3〜4.5W残る。

前後2輪合計では4.6〜9.0Wの差となり、これは極めて大きい。Race RSのSmartEvo2コンパウンドやケーシング構造自体の転がり抵抗がSL-RのLiteCOREケーシングに対して劣っていることを意味する。

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SL-Rの空力アドバンテージ

SL-Rの最大の差別化ポイントは、PAASによる空力性能である。Pirelliの公式発表および各メディアのレポートを総合すると、以下の空力性能が報告されている。

PAAS(Pirelli Advanced Aerodynamic System)は、タイヤ装着・空気充填後のプロファイルを最適化し、サイドウォール周辺の気流剥離を遅延させる特許技術だ。Pirelliによれば、横風条件下で平均約5Wの空気抵抗低減、特定条件下では最大15Wのドラッグ低減が可能とされている。

テストは60mmディープのフック付きリム(内幅23mm)を使用し、45km/hで計測されている。加えて、トレッド表面のマイクロテクスチャー加工によって気流の最適化とグリップの両立が図られている。

45km/h・ヨー角0〜20度の範囲(実走行で最も頻度が高い条件)で一貫した効果が確認されており、30km/h以上のスピード域でレーシングライダーにとって有意な差となる。

ただし、メーカー公表値であることを踏まえ、実走条件では保守的に見積もって平均2〜3W程度(片輪)の空力改善と捉えるのが妥当だろう。

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重量比較

走行状態での重量比較は単純ではない。

タイヤ単体ではRace RS(228g)がSL-R(282g)より54g軽いが、システム重量ではRace RS+ブチルチューブ(328g)に対してSL-R+バルブ+リムシール(302g)となり、SL-Rが26g軽くなる。

ラテックスチューブ(約70〜80g)を使用した場合、Race RSのシステム重量は約298〜308gとなり、SL-Rとほぼ同等かわずかに軽くなる。

ただし回転体の重量であるため、加減速時の慣性モーメントへの影響は静止重量以上に大きい。リム外周部に近いタイヤ・チューブの重量差は、フレームやボトルの同重量差と比べて体感上約2倍の影響を持つ。

Race RSのタイヤ単体の軽さ(228g)は、加速レスポンスにおいてアドバンテージとなる。

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パフォーマンス比較

レース走行を想定し、空気圧5.0bar前後、速度40km/h以上の条件で、前後2輪合計の性能差を推定した。BRRデータは29km/hでの計測だが、転がり抵抗は速度にほぼ比例して増加するため、高速域での差はさらに拡大する。

セットアップ 転がり抵抗(2輪合計・5.0 bar推定) 空力効果(推定) 総合パワーロス推定
Race RS+ブチル 29.6W 基準 29.6W
Race RS+ラテックス 約23.6W 基準 約23.6W
SL-R チューブレス 16.8W -4〜6W(40km/h以上) 約11〜13W

SL-Rのチューブレスセットアップは、Race RS+ラテックスと比較して前後合計で約7W(転がり抵抗差)+約4〜6W(空力差)=約11〜13Wの総合的優位性を持つ。これはレースにおいて決定的な差であり、40km/hで約0.5〜0.7km/hの速度差に相当する。

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ミックスセットアップ

西日本ロードクラシックではミックス構成で使用した。

筆者自身が西日本ロードクラシックでセットアップしたのは、フロントにSL-R、リアにRace RSというミックスセットアップだ。理論的には合理的な選択肢であり、その根拠と注意点を整理した。

合理的な根拠

Tarmac SL8の開発資料でも触れられていたが、フロントエンド部分は空気抵抗への関与が大きい。フロントホイールとタイヤは特に空気抵抗への寄与が大きく、SL-RのPAAS空力効果が最大限に発揮される位置である。

フロントタイヤの転がり抵抗改善効果も、荷重配分(前輪約40〜45%)に応じて享受できる。一方リアは、荷重が大きく(約55〜60%)パンクリスクも高い位置であり、Race RSのトレッド厚2.6mm(SL-Rは1.9mm)と耐パンクスコア53点(SL-Rは41点)は実戦的な安心感を与える。

Race RS+ラテックスの組み合わせは修理の確実性も高く、レース中のパンク対応でチューブ交換が可能という点もチューブレスにはない利点だ。

ミックスのパフォーマンス

セットアップ フロント リア 転がり抵抗合計(72psi推定) 空力効果
SL-R前後 SL-R TL 8.4W SL-R TL 8.4W 16.8W 最大(前後とも)
ミックス(推奨) SL-R TL 8.4W RS ラテックス 約11.8W 約20.2W 前輪のみ
Race RS前後(ラテックス) RS ラテックス 約11.8W RS ラテックス 約11.8W 約23.6W なし

ミックスセットアップは、SL-R前後と比べて転がり抵抗で約3.4Wの損失、リアの空力効果の損失(推定1〜2W)が生じるが、Race RS前後と比べれば約3.4W(転がり抵抗)+前輪空力(2〜3W)=約5〜6Wの改善が見込める。

パンク耐性とメンテナンス性のバランスを取りたい場合は、十分に合理的な選択だ。

注意点

ちょっと挙動が違う。

前後で異なるタイヤを使用する場合、グリップ特性の差異(特にウェット時)に注意が必要である。ただし両モデルともウェットグリップスコアは80ポイントで同一であり、同じSmartEvo2コンパウンドを採用しているため、グリップの前後差は最小限に抑えられる。

むしろ注意すべきはケーシング剛性の違いに起因するハンドリングフィールの差だろう。SL-RのLiteCOREは柔軟性が高く快適性に優れる一方、Race RSは若干硬めの乗り味だ。

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セットアップの結論

レースで最速

SL-R前後のチューブレスセットアップが最善だ。

転がり抵抗と空力の両面で圧倒的な優位性があり、29km/hの計測条件でも前後合計で約12W以上、レース速度(40km/h以上)ではさらに大きな差となる。トレッド厚は薄いが、チューブレスシーラントによるセルフシール機能が実質的なパンク耐性を補完する。

パンクリスクと速度

フロントSL-R(チューブレス)+リアRace RS(ラテックスチューブ)のミックスが合理的だ。

空力効果の大きいフロントにSL-Rを配置し、パンクリスクの高いリアにトレッド厚のあるRace RSを配置することで、性能と安全性の最適バランスが実現できる。SL-R前後と比べた損失は約4〜6W程度に収まる。

Race RS+ラテックスチューブの価値

Race RSにラテックスチューブを組み合わせる運用は、ブチルチューブ対比で片輪あたり約2〜3Wの改善が見込める有効なアップグレードである。

しかしSL-Rとの転がり抵抗差(片輪3.4W:72psi)を埋めるには至らず、空力性能の差を含めると総合的にSL-Rに大きく及ばない。コスト面でのメリットがなければ(SL-Rは価格帯Very Highに分類される)、Race RS+ラテックスを積極的に選ぶ理由は見出しにくい。

ということで、ツールド福島で走るタイヤはSL-R前後の予定。

¥15,700のPIRELLI(ピレリ) P ZERO RACE SL-R TLR TEAM E↓

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