EXS AEROVER 一体型ハンドル インプレッション 純正級の一体感。エアロより効いたのは”握りやすさ”だった

4.0
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EXS AEROVERハンドルは、ポジション再現性、握りやすさ、一体感が評価できる一方、塗装品質に課題が見られる。コストパフォーマンスに優れ、軽量かつエアロ形状でありながら、メンテナンス性の低さやボルト規格の不統一がデメリットとして挙げられる。

メリット
  • ➕️ポジション再現性の高さ
  • ➕️下ハン・上ハンの握りやすさ
  • ➕️SuperSix EVO Gen5との一体感
  • ➕️コストパフォーマンスの高さ
  • ➕️軽量性と価格のバランス
デメリット
  • ➖️ロゴ部分の塗装浮き・剥がれ
  • ➖️フル内装によるメンテナンス性の低さ
  • ➖️ボルト規格の不統一
  • ➖️エアロ効果の体感不可
  • ➖️ステムボルトにT-20を使用

パーツ選びには二種類ある。

未知への好奇心で手を伸ばすものと、一度手にした確信を再び選び直すものだ。EXS AEROVERは後者にあたる。Cannondale SuperSix EVO Gen4ですでに使用していたこのハンドルを、Gen5でもまったく同じモデルとして選択した。

その判断は消極的な繰り返しではない。リーチ、ドロップ、ステム長、ハンドル幅、そして専用スペーサーの存在、それらすべてを天秤に載せたうえで、EXS AEROVER以外に魅力的な選択肢が見当たらなかったからだ。

SuperSixEVO Gen.5でもEXSのハンドルバーを使用した。

もともと装着していたのはRoval RAPIDEハンドル。Specializedがウインドトンネルで鍛え上げた、リーチ75mm・ドロップ125mmのエアロバーである。そこからの移行である以上、「一体型にしたい」「見た目を変えたい」という表面的な動機だけでは不十分だ。

今まで積み上げてきたポジションを崩さず、よりすっきりしたコックピットと操作性を手に入れられるかどうかその問いに答えられるハンドルだけが候補になる。

EXS AEROVERの最大の価値はエアロ効果でも軽量化でもなかった。下ハンと上ハンの握りやすさ、そしてRoval RAPIDEで構築したポジションをほぼそのまま再現できたこと。身体が「ここだ」と認識する場所にハンドルがある。

その感覚こそが、このハンドルの本質だった。

ただし、塗装品質には看過できない点があった。ロゴ部分に塗装の浮きがあり、走行に入る前から剥がれが生じていた。

この記事では、EXS AEROVERをSuperSix EVO Gen5に装着して感じたことを、実走行の感覚をベースに、製品スペックや市場での位置づけも交えながらレビューしていく。

EXS CyclingとAEROVER

EXS Cyclingは2019年に中国・厦門で設立されたコンポーネントブランドである。UCIメカニック、バイクフィッター、エンジニアによって創業され、カーボン製ハンドルやフォーク、チタン製小物を中心に展開している。

大手メーカーのような巨大なマーケティング予算を持たない代わりに、CFD(数値流体力学)とFEA(有限要素解析)を用いた設計開発を前面に打ち出す、エンジニアリング志向のブランドだ。

AEROVERはその主力製品であり、一体型カーボンハンドルとして32ものサイズバリエーション(ハンドル幅360~420mm × ステム長90~140mm)を展開する。

公称重量は最軽量構成で290g。リーチ70mm、ドロップ120mm(EXS公称値)、ステム角-10°という仕様で、レース志向のポジションを前提とした設計となっている。

EXSが主張するエアロ性能は、従来型のエアロステム+ハンドル組み合わせに対して40km/h走行時に4ワットの削減。これは40kmのタイムトライアルで約15秒に相当するとされる。

カムテール形状のトップセクション、クリーンなフロンタルプロファイル、そしてフル内装ケーブルルーティングによってこの数値を実現したとしている。製造には独自のMONOCOQUE+テクノロジーとSMOOTH E+プロセスを採用し、高弾性カーボンの積層で剛性と軽量化の両立を図っている。

価格は\79,800。ENVE SESやRoval Rapide Cockpitといった上位ブランドの一体型ハンドルが1,000ドルを超える市場において、この価格帯はかなり競争力がある。

ENVE、Vision、Black Incなど既存の選択肢より軽量であり、コストパフォーマンスの面で注目を集めている製品である。

EXS AEROVERを選択した理由

ハンドルを選ぶという行為は、自分の身体と対話するプロセスに他ならない。カタログスペックは出発点にすぎず、最終的にはブラケットを握った瞬間の「合う・合わない」が問われる。その意味で、EXS AEROVERの選択理由は四つに整理できる。

第一に、SuperSix EVO Gen5専用ヘッドカバーの存在だ。

EXS AEROVERはTarmac SL7、Trek emonda/Madone、Colnago V4Rs、Scott Addictなど主要フレームに対応した専用スペーサーを用意しているが、SuperSix EVO Gen5用のヘッドカバーは後付け感を排した一体感を実現する。

フレーム側のヘッド周り造形と呼応するように設計されたカバーにより、まるで純正コックピットのような仕上がりが期待できた。

第二に、リーチの短さと握りやすさへの期待。EXS AEROVERのリーチ70mmは、Roval RAPIDEの75mmより5mm短い。この5mmは数値上わずかだが、手の小さいライダーにとっては大きな意味を持つ。

ブラケットまでの距離が短くなることで、STIレバーの操作性が向上し、上体の余計な伸張を防げる。

第三に、重量と価格のバランス。

公称290gから最大332g(420-130mm構成)までの重量帯は、一体型カーボンハンドルとして十分に軽い。\79,800という価格を考えれば、高級ブランドの一体型ハンドルの半額以下でほぼ同等の軽さを得られる計算になる。

第四に、Gen4で得た確信だ。同じハンドルをGen4で使い続けた経験があるからこそ、握り心地や下ハンのカーブ形状が自分の手に合うことを身体で知っていた。新たな冒険ではなく、確認された信頼をGen5に持ち込むという選択だった。

使用環境:SuperSix EVO Gen5 + 380mm / 90mm

取り付けたバイクはCannondale SuperSix EVO Gen5。選んだサイズはハンドル幅380mm、ステム長90mm。Ti-Parts Titaniumの重量データによれば、380-90mmの実測重量は307gとされている。

サイズ選びの基準は明確だった。以前使用していたRoval RAPIDEで構築したポジションを、ミリ単位で可能な限り再現すること。ハンドル交換は見た目のリフレッシュであると同時に、フィッティングの再構築を伴う作業でもある。

特に一体型ハンドルの場合、ステム長の変更が事実上不可能(ハンドル本体の買い替えが必要)であるため、初回のサイズ選定が極めて重要になる。

実際に取り付けてみると、ブラケット位置はほぼ同じ感覚で出せた。新しいハンドルに替えたときにありがちな「少し遠い」「少し近い」「角度がしっくりこない」といった違和感は最小限で、最初からかなり自然に乗ることができた。

リーチの差分5mm(AEROVER 70mm vs Roval RAPIDE 75mm)は、ステム長90mmの選択とSuperSix EVOとTarmac SL8のジオメトリ差分で吸収できている。

第一印象:控えめな高級感

箱から取り出した瞬間の印象は、「想像よりも品がある」というものだった。ロゴは控えめで主張しすぎない。派手なグラフィックで押してくるタイプの製品ではなく、カーボンの素地感を活かした落ち着いたデザインだ。

過剰な造形を排したクリーンなデザインで、テーパードステムへの滑らかな流れが好印象だ。\79,800という価格帯を考えたとき、外観上の満足度は高い。

また、上ハン部分を手に取った瞬間から、その握りやすさが伝わってくる。近年のエアロハンドルには上ハンが横方向に広く平坦なものが少なくないが、AEROVERは「エアロ形状でありながら、指がきちんと回って握れる」太さに留めている。

トップス部分に小さなテクスチャードドットが施されており、汗をかいた状態や雨天でもグリップが確保される。

SuperSix EVO Gen5との一体感

EXS AEROVERを選んだ最大の理由のひとつが、フレーム専用ヘッドカバーによる一体感だった。そしてこの期待は、取り付けた瞬間に確信へと変わった。

後付け感がほぼない。

ヘッド周りからハンドルまでの造形が連続的に流れ、フル内装によってケーブル類は一切露出しない。SuperSix EVO Gen5はもともとヘッドチューブ周辺の造形が洗練されたバイクだが、AEROVERとの組み合わせはその美的完成度をさらに押し上げる。

純正ハンドルを装着しているかのような仕上がりは、この価格帯のサードパーティ製ハンドルとしては異例の水準だ。EXSがフレームごとに専用スペーサーを用意するという戦略は、まさにこの一体感のためにあるのだろう。

EVO5専用ベースマウント対応のスペーサーによって、ヘッドセット周辺の隙間が最小限に抑えられている。

重量:軽いが体感はできない

ゴム部品とテープを剥がすと291gになる。

手元での実測重量は297g。Ti-Parts Titaniumが公開している380-90mmの数値307gに対してやや重い結果となったが、公差の範囲内であり、製品としての誤差は許容レベルだ。一体型ハンドルとしては十分に軽い部類に入る。

ただし、以前使用していたRoval RAPIDEとほぼ同じ重量帯であったため、交換による軽量化の体感はなかった。走り出して「ハンドル周りが軽くなった」と感じるような変化はない。

ハンドル単体の重量差が数十グラム程度では、走行中にその差を識別することは極めて難しい。タイヤの転がり抵抗やホイールの慣性モーメントと比べれば、ハンドルの重量差が走行フィールに与える影響は限定的だ。

ゴムとテープを外すと291gだった。

とはいえ、\79,800の価格でステム一体型297gという数値は、コストパフォーマンスの観点で優れている。軽量化を体感するためのハンドルではなく、「手ごろな価格で軽量な一体型コックピットを実現する」ための製品として評価すべきだろう。

ポジション:感覚をそのままに

ポジションの再現性は、今回の交換で最も重視した項目だった。身体とバイクの接点であるハンドルが変われば、サドル位置もペダリングも微妙に影響を受ける。特にレースで使う機材においては、「良くなった」より「変わらない」ことのほうが、時に価値がある。

結果として、ブラケット位置はほぼ同じ感覚で出すことができた。肩や腕、首への負担もこれまでと変わらず、長時間のライドでも疲労の蓄積パターンに変化はない。

新しいハンドルに替えたことでポジションが良くも悪くも大きく変わるというよりは、ベストな状態を維持したまま、一体型ハンドルの見た目と握りやすさを上乗せできた。

一体型ハンドルの導入において最も恐れるべきは、ポジションの破綻だ。ステム長やハンドル幅を後から調整できないという制約は、選択を間違えた場合のコストが非常に高い。その意味で、EXS AEROVERの32サイズ展開は、ライダー側に十分な選択肢を提供しているといえる。

剛性と振動吸収性

ハンドルレビューにおいて、剛性や振動吸収性は定番の評価項目だ。だが、正直に述べれば、EXS AEROVERに替えたことで剛性が劇的に向上したとか、振動吸収が明確に改善したとは感じていない。

これは製品の問題ではなく、評価方法の限界だと考えている。振動吸収性はバーテープの素材や巻き方、タイヤの空気圧、ホイールの特性など複合的な要素に左右される。

ハンドル単体で微細な振動差を語ることは、フェアな評価とは言い難い。同様に、剛性についても、スプリント時のたわみが体感できるほど変化したかと問われれば、答えはノーだ。

ただし、長時間乗っても不快な硬さはなく、嫌な振動の蓄積もない。EXSはMONOCOQUE+テクノロジーによる高い剛性重量比を謳い、業界のリーディングハンドルと比較してほぼすべての方向で高い剛性を示しながら50g軽いと主張している。

その数値的な優位性が実走で体感できるかは別の問題だが、少なくとも「頼りない」と感じる場面は一度もなかった。

このようにレビューにおいて「わからない」と書くことは、無能の告白ではなく、誠実さの表明だと考えている。体感できない差異を言葉で飾ることは、読者への不誠実にほかならない。

下ハンの握りやすさ

EXS AEROVERで最も印象に残ったのは、下ハンの握りやすさだった。特にドロップの最もカーブしている部分、ブラケットから下ハンへ手を滑らせたとき、指が自然に収まるポイントの質が高い。

巡航中に下ハンを持つとき、手の置き場所を探す必要がない。「あ、ここだ」というしっくり感が即座に得られる。これは数値化が難しい感覚だが、ライダーにとっては決定的に重要なポイントだ。

レースの終盤、疲労で集中力が削がれていく局面で、手を移す先が「考えなくてもわかる」ことの意味は大きい。ドロップ120mmという控えめな深さは、Roval RAPIDEの125mmよりわずかに浅い。

この差が下ハンポジションの快適性に寄与している可能性がある。

深すぎるドロップは肩や首への負担を増し、長時間の下ハン巡航を億劫にさせるが、AEROVERのドロップ深度は実用的な範囲に収まっている。

また、下ハンを握った状態でのスプリンタースイッチ操作もしやすい。形状の良さが単なる美観ではなく、実際の走行中の操作性に直結している。下ハンを実戦的に使うライダーにとって、この握りやすさは明確な購入動機になりうる。

上ハンは”エアロすぎない”

上ハンの形状設計にも、AEROVERの思想が表れている。

昨今のエアロハンドルには、トップセクションが大きく平坦で翼断面を強調したものが少なくない。それらはCFDシミュレーション上では優れた空力特性を示すかもしれないが、実際に握ったときに「板を持っている」ような感覚になることがある。

AEROVERの上ハンはエアロ形状でありながら、指がしっかり回り込んで握れる太さに収まっている。手が小さい私にとって、上ハンが大きすぎると手のひらを「置く」ことしかできず、「握る」ことができない。

登りで上ハンに手を移すとき、手を大きく広げる必要がなく、リラックスした状態でグリップを維持できるのは非常に快適だ。

トップが広く安定したプラットフォームを提供しつつ、握りやすさが両立されている。エアロ性能と握りやすさは本来トレードオフの関係にあるが、AEROVERはそのバランスポイントを巧みに見出している。

リーチ70mmの意味

リーチ70mmは、現代のエアロ一体型ハンドルとしては標準的な数値だ。しかし、Roval RAPIDEの75mmから5mm短くなったことで、ブラケットまでの距離がわずかに縮まり、握りやすさに寄与している。

特に手が小さいライダーや、STIレバーまでの距離を詰めたい人にとって、リーチの短さは操作性に直結する。ブレーキング時の握り込みが楽になり、変速操作のストレスも軽減される。

ハンドル交換でポジションが破綻するリスクを最小限に抑えつつ、むしろ私にとってはジャストな位置関係が実現した。

一体型ハンドル市場においてリーチ70mmは珍しくないが、ドロップ120mmとの組み合わせにより、全体としてコンパクトかつ実用的なジオメトリに仕上がっている。

エアロ効果

エアロ効果について、率直に述べればまったく体感できなかった。交換によって明確に速度が伸びたとか、高速巡航が楽になったとまでは言えない。

もっとも、これはAEROVERに限った話ではない。ハンドル単体のエアロ効果を実走で体感することは、そもそも極めて困難である。

ENVEがSES Aeroハンドルで40km/h走行時に丸ハンドル比で8~10ワットの削減を示したデータがあるが、これはウインドトンネルでの計測結果であり、実走では風向き、ライダーのポジション、ウェアの影響など変数が多すぎて単一要因を切り分けられない。

EXSが主張する40km/h時4ワットの削減も、あくまでCFD解析と実験室レベルでの数値である。

AeroCoachのXavier Disley博士が示すように、ハンドル幅10mm狭めるごとに約2ワットの削減が見込まれるとされている中で、エアロプロファイルによる4ワットという数値は妥当な範囲に見える。しかし、それを身体で感じ取れるかどうかは別次元の問題だ。

ただし、下ハンが握りやすくなったことで低い姿勢を自然に取りやすくなった点は、間接的なエアロメリットといえる。空力性能そのものを体感するというよりも、「空気抵抗の少ないポジションを快適に維持できるハンドル」という理解のほうが、実感に近い。

エアロ効果とは、パーツの形状だけでなく、そのパーツがライダーにどんな姿勢を自然にとらせるかという文脈で考えるべきものなのかもしれない。

付属マウント:Garmin・GoProに対応

付属のサイコンマウントはGarmin対応で、取り付け時の収まりも良好だ。一体型ハンドルでは、マウント周辺の見た目や剛性が意外と気になるポイントだが、AEROVERの付属マウントはハンドル全体のクリーンなラインを崩さない。

GoProマウントにも対応しており、ライトやカメラを下側に取り付けることもできる。フル内装の美しさと合わせて、コックピット全体のまとまりはかなり高い水準にある。

気になる点:ロゴ部分の塗装浮きと剥がれ

どれほど走行性能やフィーリングが優れていても、新品状態で塗装が浮いていれば、その製品への信頼感は揺らぐ。今回の個体では、ロゴ部分に塗装の浮きがあり、走行に入る前の段階ですでに剥がれが始まっていた。

走行性能や安全性に直結する問題ではない。だが、SuperSix EVO Gen5との一体感や控えめな高級感が良いだけに、この仕上げの粗さは余計に目立つ。

EXSの保証規約を確認すると、塗装ダメージは保証対象外と明記されている。つまり、これは製造段階の品質管理に起因する問題でありながら、保証ではカバーされない(大変残念だ)。

個体差の可能性もあるが、購入時にはロゴ周辺の塗装状態を注意深く確認したほうがよい。ハンドル自体の品質は高いが、インストール時のマニュアル不足やボルト規格の不統一(ステムボルトにT-20を使用している点)は難点だ。

ボルトだけ、六角に変更しよう思っている。

フル内装ゆえのメンテナンス性

これはEXS AEROVER固有の欠点というよりも、フル内装一体型ハンドル全般に共通する宿命だ。ケーブル交換やポジション変更のハードルは高く、自宅で気軽に行える作業ではない。

今回はショップに作業を依頼した。AEROVERのケーブルアクセスポートは大きめに設計されており内部の角も滑らかで、ケーブルルーティングは比較的スムーズだった。それでもフル内装の整備は一般ユーザーにとって容易ではない。

見た目の美しさと整備性はトレードオフの関係にある。この点を理解したうえで導入すべきだろう。一体型コックピットは調整の柔軟性を失う代わりにエアロと美観を得るという構造的な特性がある。

競合製品との位置づけ

 

製品名 重量(参考値) リーチ / ドロップ
EXS AEROVER

290~332g

70mm / 120mm
Roval Rapide Cockpit 255g(110mm/420mm) 75mm / 127mm
ENVE SES Aero 非公開(フラップ含む) 可変(幅による)
Farsports F1s 約310g 70mm / 125mm
Avian Canary 約240g 70mm / 120mm

EXS AEROVERの市場での立ち位置は、「高級ブランドの半額以下で、重量・エアロ・対応フレーム数のバランスに優れた一体型ハンドル」と整理できる。32サイズという展開数と専用ヘッドカバーの対応範囲の広さは、この価格帯では突出している。

どんな人におすすめできるか

EXS AEROVERは、以下のようなライダーにとって有力な選択肢になる。

  1. リーチが短めのハンドルを探している人:ブラケットが遠く感じにくく、手が小さいライダーにも合いやすい。リーチ70mm・ドロップ120mmというコンパクトなジオメトリは、身体的な制約を持つライダーにフレンドリーだ。
  2. 専用ヘッドカバーでバイクとの統一感を求める人:SuperSix EVO Gen5との組み合わせでは純正品と見紛う一体感がある。Tarmac SL7やTrek emondaなど他の対応フレームでも同様の効果が期待できる。
  3. 一体型ハンドルを手ごろな価格で導入したい人:ENVE SESやRoval Rapide Cockpitの半額以下で、軽量かつ見た目の良い一体型コックピットが手に入る。
  4. 下ハンをよく使うライダー:ドロップのカーブ部分の握りやすさとスプリンタースイッチへのアクセスの良さは、レース志向のライダーに響くはずだ。

おすすめしにくい人

一方で、すべてのライダーに最適というわけではない。

  1. 塗装や仕上げ品質に厳しい基準を持つ人:今回の個体でロゴ部分の塗装浮きが発生した以上、外観品質を最重視する人には不安が残る。
  2. メンテナンス性を重視する人:フル内装の構造上、ケーブル交換やポジション微調整のハードルは高い。頻繁にセッティングを変えたい人や、自宅で整備を完結させたい人には不向きだ。
  3. エアロ効果を明確に体感したい人:少なくとも私の使用環境では、エアロ性能の向上を身体で感じ取ることはできなかった。数値上の改善を求めるならば、CdA計測環境を持っているか、ウインドトンネルでの検証が前提になるだろう。

まとめ:EXS AEROVERは”握りやすさと一体感”で選ぶハンドル

機材の選択には、数値で語れる領域と、身体でしか語れない領域がある。EXS AEROVERの価値は、後者にこそ宿っている。

エアロ効果は体感できない。軽量化も感じ取れない。

だが、下ハンを握った瞬間の「ここだ」という感覚、上ハンの細さが手に馴染む安心感、ブラケットまでの距離がジャストに収まる心地よさ、これらはカタログスペックに現れない、しかしライダーにとって決定的に重要な価値だ。

Roval RAPIDEからの交換でポジションを崩さず、SuperSix EVO Gen5と純正品のような一体感を実現し、実測297gという重量を\79,800で手に入れられる。この総合的なバランスは、一体型ハンドル市場において十分に競争力がある。

ロゴ部分の塗装浮きは明確なマイナスポイントであり、品質管理への不安は残る。だが、それを差し引いても、EXS AEROVERはかなり満足度の高いハンドルだった。

道具の真価は、使っているあいだ道具であることを忘れさせてくれるかどうかにある。EXS AEROVERは、握っている手が道具の存在を忘れ、ただ走ることに没入させてくれる──そういうハンドルだった。

EXS AEROVERは「エアロ効果を劇的に体感するハンドル」ではなく、リーチの短さ、握りやすさ、専用ヘッドカバーによる一体感に価値を見出す人のためのハンドルだ。

SuperSix EVO Gen5との組み合わせでは、見た目も使い勝手も非常に高い満足度を得られた。塗装品質の不安がなければ、より広く推奨できるハンドルである。

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