TREK Domane Gen 5 SLR インプレッション IsoSpeedを捨てても失わなかったもの

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Domane Gen.5 Photo:TREK

石畳のクラシックレースを制するために、TREKが開発したレーシングバイクがDomaneだった。

2012年当時、ファビアン・カンチェラーラのパリ〜ルーベ制覇を支えた振動吸収機構IsoSpeedは、シートチューブとトップチューブの結合部を分離し、シートチューブをしなやかに撓ませるTREK独自機構として、当時のロードバイク設計における画期的な発明だった。

筆者自身もTREK BOONEやMADONEでISOSPEEDが搭載されたバイクを何台も乗ってきたが、特にシートポストの振動吸収性ははっきりと分かる快適性があった。一方でフロントに搭載されたISOSPEEDはステアリング周りの快適性を高めた。

Gen.5ではISOSPEEDを廃止した。

Domaneは「エンデュランスロード」というカテゴリーそのものを牽引する技術を生み出した代名詞だと言っていい。

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Domane Gen5の技術

開発目標

開発目標は、圧倒的な軽量性の達成と、Domaneらしい快適性の維持の2点だ。

エンデュランスロードは「快適だが重い」、という長年の常識に対し、軽さと快適性の両立を正面から掲げた点がGen.5の核心になっている。IsoSpeed廃止はこの目標の帰結であり、代替として新型フレーム、新型RSLシートポスト、新型ワイドタイヤの三本柱で快適性を再構築した。

振動吸収に特化したフレーム

ISOSPEEDやストレージを省きタイヤで振動吸収性を高めた。

新型フレームは、カーボン積層をゼロから見直し、縦方向のコンプライアンス(荷重に対するしなやかさ)を徹底的に追求した設計になっている。

タイヤクリアランスは最大40mmまで拡大され、ドロップドシートステーなどの新形状も採用された。SLRグレードにはMadone Gen 8と同じOCLV 900カーボン(TREK最高グレードの高弾性カーボン素材)が投入され、従来のOCLV 800から世代が進んだ。

素材の弾性率が上がれば同じ剛性をより少ない材料で実現でき、余剰分を軽量化と振動吸収設計に振り向けられる。機構ではなく積層設計で快適性を作るというアプローチは、Specialized RoubaixのFuture Shockのような機械式サスペンションとは対照的な思想である。

新型RSLシートポスト

新型RSLシートポストは、振動吸収性に特化した丸形27.2mm径のカーボンポストだ。

従来Domaneが採用してきた専用形状シートマストではなく、汎用性の高い丸形細径に回帰した点が実務上大きい。27.2mmという細径は撓み量を確保しやすく、振動吸収に特化した設計とカーボンレイアップにより、IsoSpeedが担っていた縦方向の動きを部分的に肩代わりする。

オフセットは5mmと25mmの2種、長さは1種類、他社フレームへの流用可能性も含め、アフターマーケットでの注目度は高いだろう(筆者の推測)。

ラボでの振動吸収性テスト

TREKのPerformance Research Labは、IsoSpeedあり・32mmタイヤ・旧型シートポストのGen 4と、IsoSpeedなし・35mmタイヤ・新型シートポストのGen 5を、樹脂製の段差を敷き詰めた振動路面上で実走比較した。

結果は以下の通り。

  • BB部の上下動の平均差はわずか0.08mm、骨盤〜サドル間距離の変動差は0.11mmであり、乗り心地の差は判別不能なレベル。
  • 振動パワー解析では、25mmタイヤ+IsoSpeedのバイクと比較して35mmタイヤのGen 5は振動が19%少ない。
  • 32mmタイヤ+IsoSpeedとの比較では、Gen 5の振動増加はわずか5%にとどまる。

つまりIsoSpeedを外しても、35mmタイヤと新型シートポストの組み合わせで従来同等の快適性を確保できている。

Domaneの世代史

Domaneの世代史は、タイヤの拡幅とIsoSpeedの搭載・簡略化の歴史として整理できる。

各世代の変遷は以下の通りだ。

  Gen 1 Gen 2 Gen 3 Gen 4 Gen 5
発売年 2012 2016 2019 2022 2026
標準タイヤ幅 25c 28c 32c 32c 35c
ブレーキ RIM RIM/DISC RIM/DISC DISC DISC
フロントIsoSpeed
リアIsoSpeed 調整式
(シートチューブ)
調整式
(トップチューブ)
ダウンチューブストレージ なし

この表が示す軌跡は興味深い。

Gen 2〜3で調整式IsoSpeedとフロントIsoSpeedまで搭載する機構の最大化に向かい、Gen 4で簡略化に転じ、Gen 5でついにIsoSpeedそのものを廃止した。何も無くなってしまったのだ。

機構による快適性から、素材とタイヤによる快適性への回帰である。太いタイヤが振動吸収の主役を担えるようになった今、重く複雑な機構を維持する理由が薄れたという判断だ。

6.63kg

SLRフレームセットは先代比305gの軽量化を達成し、フレーム単体1,202gだ。最軽量完成車はSRAM RED XPLR 1×13、一体型Aero RSLバーステム、28mmタイヤ、Aeolus RSL 37ホイールという構成で6.63kgで、特殊な軽量パーツを使っていない重量である。

完成車比較では先代から最大950gの軽量化した。

空力と剛性

ドロップドシートステーなどの新型フレーム形状により空気抵抗を1.26W削減し、ペダリング剛性試験ではGen 4比で6%の剛性向上を達成している。

剛性の序列はMadone Gen 8>Domane Gen 5>Domane Gen 4の順だ。

1.26Wという数字は単体では小さいが、IsoSpeed廃止による剛性向上・軽量化と同時に達成された点に意味がある。

エンデュランスジオメトリー

ジオメトリーの設計思想は従来のエンデュランスフィットを踏襲しつつ、サイズ展開をS/M/L系のシンプルなサイジングに変更した。Madone Gen 8との比較(Mサイズ同士)では性格の違いが明確になっている。

  Madone Gen 8 Domane Gen 5 差異
ヘッドチューブ 13.6cm 15.9cm +2.3cm
リーチ 38.4cm 37.4cm -1.0cm
ホイールベース 98.1cm 101.1cm +3.0cm
BBドロップ 7.0cm 8.0cm +1.0cm

高いヘッドチューブ、短いリーチ、長いホイールベース、深いBBドロップ。アップライトで直進安定性が高く、重心の低い設計は、まさに教科書的なエンデュランスジオメトリーになっている。

またサイズ別にクランク長を最適化したショートクランク(XS/S=160mm、M/ML=165mm、L/XL=170mm)を標準搭載する点も、近年のフィッティング理論の潮流を反映している。

ライザーバー

Gen 5と同時に投入される新型ライザーバーは、ブラケット位置を20mm高めてよりアップライトなポジションを実現するドロップハンドルだ。

トップ部のバックスイープ(手前への湾曲)で手首の負担を軽減し、40mmのフレア形状(下ハンドルの外開き)でコントロール性を高める。カーボンバーには振動吸収パッドのIsoZoneを内蔵する。

ステム一体型エアロハンドルが主流の今、あえて高さを稼ぐライザーバーを純正投入するのは、ポジションに悩む長距離ライダーの実態を直視した判断といえる。

ダウンチューブストレージの廃止

Gen 3から続いたダウンチューブ内蔵ストレージは、Gen 5で廃止された。

軽量化のためである。

開口部の補強に要する重量とフレーム設計の制約を考えれば、305gの軽量化と引き換えの合理的な取捨選択だが、ツール類を内蔵する運用に慣れたGen 3/4ユーザーにとっては明確なデメリットになるかもしれない。

代替として、トップチューブバッグマウント、トライアングルフレームバッグマウント、フェンダーマウントが用意され、積載はフレーム外部に移す設計思想となった。UDH、T47 BB、着脱可能なFDマウントの採用と合わせて、互換性・拡張性は世代随一である。

ラインアップと価格

資料に記載された主なモデル構成は以下の通り。

モデル 主要コンポーネント 完成車重量 価格
Domane SL 4 シマノTiagra 2×11 9.10kg 339,000円
Domane SL 5 シマノ105 2×12 8.84kg 379,000円
Domane SL 6 AXS SRAM Rival 2×12 8.64kg 630,000円
Domane SL 7 AXS 1×13 SRAM Force XPLR 1×13 8.14kg 880,000円
Domane SLR 7 シマノUltegra Di2 2×12 7.66kg 1,100,000円
Domane SLR 9 AXS XPLR SRAM RED XPLR 1×13 6.63kg 1,780,000円

SLグレードはOCLV 500(フレームセット1,492g)、SLRグレードはOCLV 900(同1,202g)を採用し、SLRは電動変速専用設計となる。

Project Oneによるカラー・スペックのカスタムにも対応する。全車が標準35mmのBontrager Kwaremontスリックタイヤを履く。

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インプレッション

まだDomaneと呼べるのか?

IsoSpeedなきDomaneは、まだDomaneと呼べるのか。

乗ってみれば、そう呼べる。

それどころか、より軽く、よりシンプルに、そして相変わらず快適なDomaneがそこにあった。Domane Gen 5は、2012年の初代から14年間にわたって受け継がれてきた振動吸収機構IsoSpeedを全廃している。

Domaneといえば IsoSpeed、IsoSpeedといえばDomane。

その等式を自ら破壊する判断に対して、筆者は正直に言えば目の前のバイクを見た段階では半信半疑だった。そこで今回、Domane SLR 7にシマノUltegra R8150 Di2を搭載した完成車でライドを敢行し、IsoSpeedの不在が何をもたらし、何を失わなかったのかを自分の身体で確かめた。

猪名川河川敷、六甲山のワインディング、ひび割れた旧道。この3つの要素を含むライドが今回のテストの舞台である。あえて走りやすい舗装路ではなく、様々な地形をミックスして走り、相対的にバイクの性能を確かめたかったからだ。

舗装の質は区間ごとに大きく異なっており、滑らかなアスファルトから、アスファルトが剥がれかけた旧道、河川敷の段差、さらに砂利や芝生まで多彩な路面を踏んだ。天候は晴れ。コンディションとしては振動吸収性能の差が出やすい、インプレッションには理想的な一日だった。

IsoSpeedの不在に気づけない

35mmタイヤはIsoSpeedの代わりを務められるのか。

タイヤがワイド化し、タイヤ自体が振動吸収する時代になった。むしろ、IsoSpeed有り無しで差がわからないというのが率直な感想だった。

Gen 5が標準で履くBontrager Kwaremont RSL 35mmタイヤとカーボン積層をゼロから見直した新型フレームの組み合わせは、IsoSpeedが担っていた仕事を静かに引き継いでいる。

TREKのPerformance Research Labでの計測でもBB上下動の差はわずか0.08mm、骨盤〜サドル間の変動差は0.11mmと、乗り心地の差は判別不能なレベルと結論付けられているが、今回の実走はその数値を身体感覚として裏付ける結果となった。

違いが最も鮮明に感じられたのは、猪名川河川敷の区間だ。

舗装のつなぎ目や段差を越えるたびに、ガタガタとした振動を35mmのエアボリュームが面で受け止め、角の丸い振動としてフレームに伝える感覚がある。この「いなし方」が自然で、機構的な動きではなく、タイヤとフレームが協調して路面を処理している印象だ。

仕事をさせるには、やはりタイヤだ。それはCXでもMTBでも変わらない。サスペンションが無ければタイヤが一番動いてくれるのがいい。

あまりにも自然なので、途中から意図的に道を逸れ、砂利道や芝生の上を走ってみた。そこでもバイクの安定性は崩れず、前後輪がしっかりと路面を捉えたまま進んでいった。IsoSpeedという物語に頼らずとも、物理が仕事をしてくれている。

走りきった身体

長距離を終えた身体に目立った負担は残らなかった。

お尻、手首、肩のいずれも200km近い距離の割に軽い疲労感で済んでいる。はっきりと断言できるのは、純粋なレーシングバイク、たとえばMadoneのようなフレームで同じ距離を走った場合と比較して、Domane Gen 5の体への蓄積負担は明らかに小さいということである。

レースに出場しないライダーであれば、Domaneのほうが快適に速く走れる。この事実は、後述するポジションやハンドリングの性格ともつながっている。

対極の美点

ワインディングでのハンドリングは鈍いのかを気にしていた。

鈍い、という言い方が適切かどうかはライダーの嗜好によると思う。六甲山のワインディングでの印象を正直に記せば、コーナリングはやや「もっさり」としている。

35mmタイヤのエアボリュームとライザーバーのアップライトなポジションが複合的に影響し、フロントの切り込みが穏やかで、レーシングバイクのような鋭い初期旋回は薄い。しかし、この鈍さが悪いかと問われると、そうではない。

多くのレーシングバイクがF1のような機敏な操作性を志向する中で、Domane Gen 5はある種の大衆車のような遊びを持っている。ステアリングに適度な不感帯があり、微細な入力で挙動が変わりすぎない。

その結果、下りのコーナーで安定してライントレースでき、荒れた路面のカーブでも神経を使わない。ロングを快適に速く走るバイクにF1の操作性は要らない。長時間にわたるライドで精神的な疲労を減らすのは、機敏さではなく安定感なのだと、ワインディングを何本も繰り返すうちに実感した。

期待しない登坂性能

正直に言えば、登坂性能は高くない。

六甲山の勾配区間では、Madone Gen 8やÉmondaに感じるような踏み込んだ瞬間のダイレクトな推進力は薄く、剛性感もそれほど強く感じない。

ペダリング剛性はタイヤが支配的な要素であり、35mmのエアボリュームが力の伝達を幾分かマイルドにしている。しかし、これを欠点と断じるのはDomaneの使い方を間違えている。

一本の登りでタイムを削るバイクではなく、体力を温存しながら何本もの登りをこなすバイクである。ライド中に含まれる複数の登坂区間を淡々と処理できたのは、この適度な剛性バランスのおかげだとも言える。

ライザーバーとセットアップの自由度

ライザーバーは交換すべきか、それとも活かすべきか。見た目も相まって悩まされた。

ブラケット位置を20mm高め、トップ部にバックスイープを設け、40mmのフレア形状を持つ新型ライザーバーは、アップライトなポジションで長距離を快適にこなすことに特化した設計である。

ロングライドにおけるその恩恵は大きかったが、より攻撃的なポジションを求めるならばハンドルバーの交換は一つの選択肢になる。

ただし、その場合エンデュランス性能はやや落ちる可能性がある。つまり、ハンドルバーのセッティング次第で快適性重視とスポーティ重視のどちらにも振れるということであり、これはDomane Gen 5のキャラクターの幅広さを示している。

バイクを買ってからライダー側で性格を決められるのは、むしろ美点だろう。

「妥協」ではない

「速さと快適性は本当に両立するのか?」

走りながら考えていた。

かつてエンデュランスロードは、レーシングバイクに乗れない人のための妥協的選択肢という空気があった。快適だけど遅い、楽だけど格好がつかない。そうした偏見からか、「エンデュランスロードは売りにくい」というショップの声もよく聞く。

これが、エンデュランスロードか?

しかし、Gen 5のSLRフレームセットは先代比305g減の軽量化を達成し、最軽量構成では6.63kgという数字を叩き出した。空気抵抗は1.26W削減され、ペダリング剛性も6%向上している。これはもう快適だけど遅いバイクではない。

レースに出ないライダーであれば、ロングライドでもショートライドでもDomaneのようなバイクのほうが実質的に速く走れる。見栄を張って扱いにくいレーシングバイクを選ぶぐらいなら、エンデュランスロードで良い。

ただし強調しておきたいのは「エンデュランスロード=快適でもっさり」、という図式はもう成り立たないということだ。速く、そして快適に走る。Domane Gen 5はそういう時代のバイクだ。

走った距離の先に

IsoSpeedを捨てて、Domaneは何を手に入れたのか。自問自答しながらDomaneに乗り込んだ。軽さ、シンプルさ、そしてIsoSpeedに頼らなくても成立する快適性。走り終えた結論はこうなる。

IsoSpeedの廃止は喪失ではなく、解放だった。

機構が担っていた仕事を35mmタイヤと新型フレームと新型RSLシートポストが引き継ぎ、その分だけフレームは305g軽くなり、完成車は最大950g軽くなった。振動吸収の差は、あらゆる実走でも、TREKのラボデータでも、体感として判別できないレベルにある。

長らくレースにはレーシングバイクで出場し、練習やロングライドには別のバイクを充てるという運用をすることもあった。

Domane Gen 5の存在は、その使い分けの境界を曖昧にする。レースバイクの軽さとロングライドの快適性を一台に求めるなら、このバイクは検討に値する。

河川敷の段差を静かにいなし、六甲山のワインディングを安定して駆け下り、ひび割れた旧道を淡々と消化し、砂利道に逸れても動じない。そんな様々な距離を過ごし帰宅したとき、身体にも精神にも余裕が残っている。

それがDomane Gen 5の答えだ。

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Domane Gen.5の設計判断

英断か、放棄か。

IsoSpeedの廃止は、英断だと評価できる。

理由は、IsoSpeedが解決していた問題を、より軽くシンプルな手段が解決できる時代になったからだ。時代と技術がIsoSpeedを不要にした。

IsoSpeedはタイヤが25cだった時代の発明であり、35mmタイヤが常識的な空気圧で転がり抵抗の不利なく走れる現在、可動部を持つ機構の重量・メンテナンス・故障リスクは負債に近い。

実際、エンデュランスロードは売りにくい、IsoSpeedが無いとDomaneは説明しにくいという現場の声があったという。しかし、TREK自身がブランド資産の喪失リスクを認識した上で、ラボデータで正面から反証するアプローチをGen.5で選んだことがわかる。

機構という物語を捨て、データという物語に乗り換えた、と言い換えてもよいだろう。一方で、調整式IsoSpeedの体感的な変化を愛したユーザーには物足りなさが残るだろうという見方も理解できる。

誰にとって買いで、誰に向かない?

本機の恩恵が最も大きいのは、レースバイクの軽さとロングライドの快適性を一台で済ませたい層だ。ただし、ロングライドやエンデュランスロードに速さが加わっているのがGen.5の鍵になっている。

筆者自身、レース機材を練習・ロングライド用途と分けて考えてきたが、6.63kg・35mmタイヤ・フェンダーマウント付きという構成は、その区分け自体を無効化しかねない。

逆に向かないのは、クリテリウムやヒルクライムレースで純粋な反応性を求める層(剛性序列でMadoneに劣る)、そしてダウンチューブストレージ込みの運用を確立しているGen 3/4ユーザーである。

40mmクリアランスはグラベル入門にも十分だが、本格的なグラベルレースならChekpoint系が適任だろう。

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数値の先にある乗り味

35mmスリックを45psi前後で運用するバイクは、路面の細かなざらつきを面で受け流す独特の静けさを持つ。28cを高圧で張ったレースバイクの、路面情報が細かく手に伝わる感触とは対照的に、タイヤが路面を舐めるように進む感覚に近い。

BB上下動0.08mm差というデータが正しければ、Gen 4ユーザーが乗り換えても快適性の低下には気づかず、むしろ950g近い軽量化による登坂や加速の軽さだけを体感することになる。

ドロップドシートステーの細身のリア三角と丸形細径ポストの組み合わせは、見た目にもクラシカルな軽やかさがあり、エアロ一辺倒の造形に疲れた目には新鮮に映るだろう。

「エンデュランスロード」とは結局何なのか

Madone Gen.5はクラシックのためのレーシングバイクから、全てのローディーのためのオールロードへ、という言葉を持って表現できる。

これは単なるマーケティング的な売り文句ではなく、ロードバイク市場の構造変化の反映でもある。TREKが実施したサイクリスト実態調査によれば、レースイベント参加層は16%に過ぎず、サイクリング層と非レースイベント層の合計42%だ。

この42%がDomaneのターゲットで、その潜在市場はMadoneの2.6倍と試算されている。プロのための機材を頂点にトリクルダウンさせる従来のロードバイク観から、多数派である非レース層の実用を起点に設計する製品観への転換。

IsoSpeedという発明を自ら葬る決断は、技術の価値は機構の有無ではなく、ライダーが得る結果で測られるべきだという、ある種の技術哲学でもある。機材を評価するメディアの側も、「何が付いているか」ではなく、「何が起きるか」で語る成熟が問われているのだろう。

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まとめ:エンデュランスロード観の転換

Domane Gen 5は、軽さと快適性のトレードオフというエンデュランスロードの前提を覆すTREKの意欲作だ。

SLRフレームセット305g減、完成車最大950g減、最軽量構成6.63kg。空気抵抗1.26W削減、ペダリング剛性6%向上。そしてIsoSpeedなしでもGen 4と判別不能というTREK自社ラボの快適性データ。

これらの数字が示しているのは、快適性のために重さを受け入れるという時代の終わりである。

IsoSpeedは偉大な発明だった。しかし発明の価値は、それが存在し続けることではなく、それが解決した問題がより良い方法で解決されたときに完成する。35mmタイヤ、振動吸収に特化したカーボン積層、新型RSLシートポスト。

Gen 5はIsoSpeedという物語を閉じることで、フレームから305gを削ぎ落とし、ダウンチューブストレージの開口補強からも解放され、T47 BBやUDHといった規格を素直に取り込む設計自由度を手に入れた。

捨てたものの重さより、得たものの軽さのほうが大きい。

Domaneで走り終えた身体は、エンデュランスロードに対する認識の書き換えを要求している。快適だが遅い、楽だが格好がつかない、レーシングバイクの下位互換。そうした偏見は、6.63kgという数字と、砂利道でも崩れない安定性と、山を何本もこなせる体力温存性能の前に説得力を失う。

エンデュランスロードはもはや妥協ではない。速さと快適性を同時に手に入れるための、もう一つの正解である。Domane Gen 5は、あなたのエンデュランスロードに対する定義を変えるかもしれない。

Domaneエンデュランス・オールロードバイク|Trek Bicycle - Trek Bikes (JP)
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