TREK Checkmate SLR グラベルレースバイク インプレッション 本当に速いバイクだった・・・。

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グラベルレースバイク”Checkmate”最新のコンポーネントで構成されている。

Checkmateは純粋なグラベルレースバイクだ。特徴が際立っていて、わかりやすい。

「高速」「安定」「快適」「軽量」「堅牢」

この5つの言葉にCheckmateは集約されている。インプレッションでは、Checkmateの性能を最大限引き出して確かめるために、あらゆるコンディションで走行した。得意とするグラベルの直線だけでなく、芝、砂、砂利、ドロ、乾いた斜面、キャンバーなど様々な路面コンディションで性能を試した。

新型SRAM RED XPLR トランスミッション T-TYPE コンポーネントを搭載。

結論として、TREKは素晴らしいグラベルレースバイクを作り上げたと思う。Checkmateは他社のバイクよりも、グラベルレースに狙いを定めて確実な進化を遂げていた。乗ってすぐにわかったことは、グラベルバイクとは思えないほど速く軽いことだ。

インプレッションはこれで終わりにしたい。そう、思うほどに。

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ダートをロードのように

グラベルの走破性は随一。

Checkmateをインプレッションした場所は、シクロクロスの練習で使っているグラベルだ。SSTのパワーをかけ続けても25~30分間ほどノンストップで走れる。途中に土、ドロ、砂、岩、根っこ、キャンバーがあり様々な地形が現れて飽きない。

ノンストップで高速域で走れるため、Checkmateの特徴が最大限生かせるコースだ。舗装路から始まって、海まで出ると砂浜を走る。海へ向かうときは下り基調で、戻りは登っていくレイアウトだ。途中、松林区間は砂が浮いておりちょっとしたシングルトラックになっている。

まず、Checkmateにロードバイクと同じポジションを落とし込んだ。乗ってみるとロードバイクと何ら変わらない走りをする。実寸40mm前後の太いタイヤは転がり抵抗が増えるため普段だったが、平坦であれば比較的速いペースで何十キロも走れた。

ロードバイクに乗るときと比べて、平均速度はそれほど遅くはない。

グラベルまでの舗装路のアプローチは、ロードバイクに劣らないばかりか快適性があって乗り心地も良い。それゆえ、Checkmateはグラベル区間でも高速だった。高速でテクニカルではないグラベルでは、Checkmateが最適なバイクであることは間違いなさそうだ。

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特徴的なステアリング

直線的な曲がり方をする。

普段からCXやMTBバイクに乗り込んでいるため、Checkmateのステアリングの特徴がすぐにわかった。明らかに直線的に曲がるように味付けされている。逆に言うと小回りは苦手だ。はっきりと、直線を爆走するグラベルレースに合わせたチューニングが行われている。

極端な話、所有しているXCO用のMTBバイクのほうが旋回性が高いと感じたほどだ。Checkmateはバイクを積極的に傾けても曲がってくれない。連続するコーナーなどは、一呼吸おいてから曲がる必要がある。

直線的に曲がる傾向は、シクロクロスバイクのTREK BOONEも同様だった。BOONEは海外の直線的に配置されたコーナーを高速域のまま走り抜ける設計が行われている。Checkmateは真っすぐ進むことしか考えていないような動きをする。初めは戸惑うと思う。

小回りは不要、猪突猛進のバイクだ。

しかし、グラベルレースでは低速域での小回りはほとんど要求されない。100km走ったとしても、シクロクロスのコースのような減速を強いられる急カーブは1%ないだろう。それを考慮すると、Checkmateのハンドリングは目的に適している。

Checkmateのコーナーリングが不満に思うことがあれば、Checkmateを使用するシチュエーションが間違えているのだろう。

長所は短所にもなる。Checkmateはシングルトラック、スイッチバック、ヘアピン、シクロクロスのような狭い区間を高速で走り抜けるのには向いていない。ただし、何度も言うようにCheckmateは純粋なグラベルレースに照準が定められており、確実に目的通りの性能を反映している。

おなじみのISO SPEEDがCheckmateにも搭載された。

テクニカルな砂区間に向かって、高速で突っ込んでいったとき、このバイクのプラス面もマイナス面も感じた。包み隠さず書き残しておく。テクニック面うんぬんの話もあるのだが、それは一旦目をつぶってほしい。

砂の直線区間はCXバイクだと頻繁にハンドルが取られてしまい、真っすぐにするのも難儀した。常にバイクを立てて、体でバランスを取りながら走行する必要があった。Checkmateの場合は、それほどハンドルを取られることもなく、あっけなく真っすぐ進んでいった。

テストタイヤは38C、実寸は40mm超に。

厳密にはバイクやステアリングの性能というよりも、タイヤ幅と空気圧の影響が大きいと考えている。CX用の33mmとグラベル用の実寸約40mmタイヤとでは、バイクの走行性能を一変させてしまうほど違いが生じる。

これらを理解し、特徴をふまえたとしても、Checkmateの直線区間での安定性は路面状況を選ばないと思う。安定性に関しては、ホイールベースやチェンステー長が比較的長いことも影響していると思う。そして、フレーム側のBBハイトが低い事も安定性に寄与している。

BBハイトは80mmと直進安定性に振っている。

しかし、問題はコーナーだ。Checkmateは直線のグラベルで速度を上げやすいが、そのままコーナーリングすると、オバーランや横滑りが発生しやすい。バイクに乗り慣れておらず、バイクの挙動をつかみきれていない原因も十分考えられるが、滑ったときは焦った。

CXやMTBではタイヤが滑るのがあたり前なのでまだ楽しめる。しかし、ロードバイクの速度感覚でグラベルのコーナーを曲がろうとすると間違いなく滑る。グラベルバイクと言えど、レースバイクであるためコーナーの走りはそれほど楽しくはなかった。

Checkmateは直線を爆走するためだけにある。

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優れた振動吸収性

シートポストが縦方向のに動くことで振動をいなす。

ISO SPEEDが仕込まれているおかげで、リアタイヤで地面をつかみやすい。BOONEに乗っていた頃から感じていたことだ。ペダリングと路面をつかむシーソーゲームが格段に楽になる。トラクションの解像度が高くなり、タイヤが地面を追従性していく様が明瞭になった。

そればかりか、縦方向のしなりが生じるため、荒れた路面でも座ったままスムーズにパワーを加え続けることができる。

TREK独自のISO SPEEDが搭載された。

フロント側はISO SPEEDを搭載していない。バイクの前側と後側では、顕著な柔軟性の差が生じる。フロントはタイヤのコンプライアンスだけで振動や衝撃を受け止めている。リアはタイヤに加えて、ISO SPEEDとシートポストのしなりで振動と衝撃をいなす。

この差がアンバランスに感じてしまう。それでも、軽量かつ剛性の高いグラベルレースバイクとして考えてみると、比較的スムーズで乗り心地がよいバイクであることがわかる。タイヤサイズを太くすると、さらにスムーズで快適なバイクに変わるだろう。

Checkmateの全体的な剛性とコンプライアンスのバランスは、よく調整されているように思う。ISO SPEEDの構造をふまえてもだ。TREKのバイクが特徴的なのは、レースバイクであっても比較的乗りやすい点にある。

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Madoneハンドルの相性

Madone Gen8のハンドルを流用している。

Checkmateに付属の一体型ハンドルは、Madone Gen8用に設計されたものだ。「グラベルに合うのか?」という疑問への回答としては、グラベルにも十分使えるし最適だった。多くの一体型エアロコックピットとは異なり、バートップは滑らかな丸みを帯びている。そして、極端に幅が広いわけではない。

バートップが丸みを帯びているため握りやすく、休む際の持ち位置として活用できる。バートップはライダーに向かって後方にスイープしている。人間工学に基づいた設計であるため、手首を痛める心配もなく快適そのものだ。

ドロップバーは適度にフレアしている。下り区間でも下ハンドルを幅広く握れるため安定性が高い。結局、速く走る事に専念すると、ブラケットを握る機会は少なかった。空力的に優れたロードのポジションのように走るのならば、ドロップを持つことが多くなると思う。

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最新設計AEOLUS RSL V3

日本未発売のAEOLUS RSL 37Vを搭載している。

付属のコンポーネントの中でホイールが特に良い。AEOLUS RSL V3はリム設計、堅牢性、重量に至るまでグラベルホイールとして最高レベルだ。発表当時シクロクロス用に購入を試みたが、日本での単体購入は不可能だった。日本で使うためにはCheckmate SLR9の完成車を買うしかない。

リム内幅は25mmだ。ひと昔前のMTBホイールのようなリムプロファイルに仕上がっている。現代のタイヤ性能を最大限に引き出す設計だ。リム内幅が増えることで、タイヤ内部の空間が広がり空気の体積が増す。低圧でも十分な性能を引き出せる。

新型のDTSWISSハブを搭載している。

リム重量も比較的軽く作られているため、走りが軽く感じられるホイールだ。スポークの組み方もDTSWISSの最高峰ARC 1100と同じハブを使用している。フランジ幅を最大限に広げ剛性を高めつつ、ストレートスポークを使ってタンジェントで組まれている。

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フルマウントSRAM RED XPLR

新型RED XPLR トランスミッションを搭載。

コンポーネントは最新型のSRAM RED XPLRトランスミッションだ。フルマウント方式でリアディレイラーが接続されており、ディレイラーハンガーが存在していない。トランスミッションやT-TYPEの詳細は別記事で紹介している。

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SRAM RED XPLRのレビューは後日公開予定だ。

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豊富なマウントボルト

ダウンチューブには4つのマウントボルトが備わっている。

Checkmateには複数のマウントボルトが用意されている。ボトルケージやバッグ、フェンダーなど、様々な装備を組み合わせることができる。

フロントトライアングル内に、ボトルケージやバッグを取り付けられるマウントボルトがたくさんある。トップチューブ上部にもマウントボルトが付属している。走りながら補給を取る場合にも活用できる。可能性は無限だ。

Checkmateには、グラベルバイクに多く見られる内部ストレージが搭載されていない。この事実に嘆くライダーがいるかもしれないが、マウントボルトの多さを見れば問題がないことに気づくだろう。

レースバイクに内部ストレージが無いのは当然とも言える。Checkmateの使命は、とにかく速く走ることだ。不要な重量や複雑な機能をすべて排除する必要がある。何を優先するか、利便性と快適性は速さとのトレードオフになる。

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グラベル、ロード、CXも?

初代TREK BOONEから歴代を乗り継いでいる。

さて、こうなってくると「Checkmateでロードもグラベルもシクロクロスもこれ一台で全部!」などという、売りたいだけのショップやメディアのレビューが上がってくる可能性がある。先に言っておく。無理だ。

ロードにも使えないことはないが・・・。

当然、舗装路はロードバイクが向いている。日本のシクロクロスのコースにはTCXのような小回りの利くバイクが向いている。海外はまた別なのだが。Checkmateはロード寄りのグラベルバイクかもしれないが、間違いなくグラベルレースバイクだ。

しかし、スピードと機敏さは十分でロード用のホイールに替えると、ドマーネ相当かそれ以上のバイクになる。シクロクロスバイクとしては使えないが、シンプルにロードもグラベルも1台のバイクで走るとしたら、Checkmateで良いかもしれない。

これまで乗ったグラベルバイクの中で最速の1つと言っていい。それほど速いのだ。

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まとめ:割り切ったグラベルレースバイク

Checkmateは良くも悪くも完全にレースバイクだ。「グラベル」というカテゴリが黎明期の頃、グラベルバイクは冒険のために実用的で快適な乗り物だった。スピードが目的ではなく、幅広いサイクリストにとって親しみやすく、扱いやすいバイクだった。

しかし、海外でグラベルレースの人気が高まり、競技として速さと軽さが求められる状況に変化していった。レーススピードも大幅に速くなるにつれて、より速く、より競技に特化したグラベルレースバイクの需要が高まった。

TREKがグラベルレースのカテゴリに参入し、エアロ化の新しい道を進み始めたのは当然のことだろう。これからさらに、「エアログラベル競争」は激化し歯止めが利かなくなるだろう。ロードの世界がいまだそうであるように。

従来のグラベルバイクでは、実用性と扱いやすさは逆にレースで不利な状況になった。もし、速くて軽いグラベルレースバイクが必要で、快適性や利便性など、ある程度の妥協を受け入れる覚悟があるのならば、TREK Checkmate素晴らしい選択肢だと思う。

グラベルへのアプローチまで、オンロードで十分な速さを感じながら、オフロードで同じように速度を上げることができる。グラベルホイールを外して、ロード用のホイールに替えれば十分にロードバイクとして機能してくれる。両刀使いができるバイクだ。

TREK Checkmateは高速でスムーズ、本来の目的であるグラベルレースのために完璧にチューニングされていた。それゆえ、Checkmateは万人に適したグラベルバイクではない。最後に付け加えておく。

尖った性能を得るためには何かを失う必要がある。舗装路と同じくらい速くグラベルを走りたい場合は、Checkmateがクラス最高レベルのパフォーマンスを提供してくれるだろう。

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