TREK BOONE エモンダとドマーネが融合したシクロクロスバイク より軽く、よりエアロに

4.5
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通常の記事であれば新型バイクの特徴や新機構、新素材の話をつらつらと書き進めるのだが、BOONEに限ってはそうはいかない。筆者自身が、2014年に発表された初代BOONEからすべての(黒歴史を含めた)歴代のBOONEを乗り継いできたからだ。

BOONEの黒歴史といえば、ディスクブレーキの過渡期に乱立していた困ったアスクル規格だった。初代BOONEのディスクブレーキモデル(当時はリムブレーキも併売)は、ディスクブレーキモデルであったもののスルーアクスルを採用していなかった。

2014年に発売された初代BOONEは、リムブレーキから規格を流用して作られたディスクブレーキバイクだった。リムブレーキ用ホイールでおなじみのシャフト径9mmクリックリリースを採用し、フロントは100mm、後輪は135mmだった。

その後メーカーによって改良(いや、魔改造)したBOONEは、なんとフロントだけスルーアクスルを採用し(!)リアは9mmクイックリリースという、今では考えられないような規格の組み合わせで登場した。それでも当時はそれが最新、最先端だった。しかし、そもそもそんな組み合わせのホイールセットは売っていないためホイールを用意するのに難儀した。

それでもBOONEから離れられなかった理由は、ISOSPEEDの存在があった。独特のトラクションと振動吸収性は他社のバイクとは一線を画していた。ぬかるんだコースを走る際、特にトラクションがかけやすいバイクだった。発売以来、スペアバイクや妻のバイクも含めて6台購入している。

ただし2度バイクを浮気したことがある。すい星のごとく現れピッドコックが操っていたスペシャライズドのCRUX、そして竹之内悠選手が乗っているTOYO HYBRIDだ。CRUXは単純に操作感が合わず、剛性が高すぎた。TOYO HYBRIDは今でもほしい良いバイクだが2台用意するには予算が厳しかった。

スペシャライズド CRUX、TOYO HYBRID、キャニオン INFLIGHT、GIANT TCXと様々なバイクを試して紆余曲折があり、今ではBOONEに戻ってきた。現時点でシクロクロスのレースバイクを1台選べと言われたらTREK BOONEと回答する。

新型BOONEのテクニカルデーターの話も楽しいのだが、もう少しだけBOONEについて一方的に書かせてほしい。

現代のプロシクロクロッサーといえば、皆が口をそろえてマチューかワウトの名前を挙げるだろう。私はまだシクロクロスをはじめて7シーズン目の新参者だが、シクロクロスを始めたときのスター選手といえばネイス神の愛称で知られるSven Nys(スヴェン・ネイス)だった。

2014年にリリースされたBOONEは、ネイス神が開発協力し生み出された。数多くのフィードバックからISOSPEEDを搭載した。最新のBOONEもネイス神がマネージャを務めるBaloise TREK Lionsのライダーからのフィードバックを元に開発が行われている。

冬になると、海外のシクロクロスレースが配信されるのだが、そこで勝利するバイクのほとんどがキャニオンINFLIGHT、リドレーX-LIGHT、TREK BOONEこの3ブランドに集中している。プロが使うからよい機材ではないのだが、海外のプロレースのスタートグリッドを見ると、最前列、2列目に並ぶバイクはBOONEが特に多い。

かなりBOONEひいきな長文出だしになってしまったが、新型BOONEを見ていこう((;’∀’))

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TREKの設計思想を読む

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おそらく、TREKはこう考えているはずだ。グラベルロードとシクロクロスバイクを一緒くたにすることなど、バイクメーカーとしてのプライドを捨てている。何もかも、一緒にできないものまで、ひとまとめにしてカテゴリを集約してしまうことなど愚の骨頂だと。

TREKは、世界的に人気が高まっているオフロードバイクに力を注いでいる。そして路面状況に応じて考えられるカテゴリのバイクを明確にユーザーに示している。

  • グラベルバイク:Check Point
  • 石畳や悪舗装路:Domane
  • シクロクロス:Boone

TREKはBOONEのリリース発表の際、グラベルバイクはCheck Pointを、石畳や悪舗装路をロードバイクの延長ならDomaneを、そしてシクロクロスのレースならばBooneをと明確にカテゴライズした。決して、シクロクロスバイクをグラベルバイクと一緒にしなかった。

BOONEのバイクデザインは明らかにシクロクロス専用設計だ。ボトルケージマウントは2つだけで、タイヤの最大クリアランスは33mm(シクロクロスレースのUCI規定制限)だ。33mm制限はグラベルロードカテゴリのバイクではないと明言しているようなものである。

しかし、シクロクロスのレースを考えれば33Cのタイヤを使って60分できるだけ早く遠くにミスなく突き進めばいい。それだけに特化した潔さがあるのがBOONEだ。最大タイヤサイズは以下の通り。

  • Check Point:45C
  • Domane:38C
  • Boone:33C

競技に特化することは大切だ。ジオメトリを変化させてグラベルとシクロクロスを併用できるバイクも確かに存在する。しかし、そのようなバイクはどっちつかずの中途半端なバイクだ。きっとTREKはそう言いたいのだろう(勝手に判断していますが)。

多くのシクロクロッサーもその方針にうなずくはずだ。ほしいのはグラベルバイクじゃない。シクロクロスバイクだ。TREKはその期待を一切裏切らずにBOONEを作り上げた。でなければ、純粋なシクロクロスレースバイクのためにタイヤのクリアランスは最大33mmという思い切った設計はできない

次章ではTREKが明確化した設計思想を元に、新型BOONEの真価を確認していく。

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Emondaと同じチューブを採用

ロードレースの高速化と同じように、シクロクロスレースも高速化の一途をたどっている。BOONEはシクロクロスに特化したジオメトリを一切変えずに、Emondaと同様のチューブを採用した。

BOONEのダウンチューブはもともと太い楕円状で担ぎはしやすかったが、面積が大きく泥が付着しやすかった。さらに空気抵抗は見るだけで悪いことが良く分かった。エアロアドバンテージーエアロの進歩は、軽量のEmondaフレームと同じチューブ形状を採用することで達成した。

実際に筆者が所有しているTREKのEmondaのダウンチューブを使って担ぎをしてみたところ、腕の通りも良かった。意外なことに空気の流れがスムーズなダウンチューブは、担ぐときの手の通りもスムーズだということが分かった。

TREK EMONDA SLR vs S-WORKS TARMAC SL7 相対比較インプレッション
「本当に米国ブランドのバイクなのか」 TREK EMONDA SLRを初めて見たときにそう感じた。フレームを形成する曲線や造形は、まるでフランスやイタリアのバイクのようだった。塗装はコルナゴのパマペイントを彷彿とする美しさをまとっていた。EMONDAは心を惑わすばかりの、なまめいて美しい姿で存在していた。 手にした試乗車を見たとき息を呑んだ。このバイクは一体いくらなのだと。 Emondaを購入する...
新型TREK EMONDA SLR セミエアロロード化した「トレック最速のヒルクライムバイク」
TREKがついに新型Emondaを発表した。前作からのアップデートは大幅に行われ全く新しいバイクに進化した。Emondaは「削ぎ落とす」という意味のとおり軽量性を売りにしていた。先代モデルの軽さを踏襲しながら、新型Emondaはエアロ性能を高めた。そして、「トレック最速のヒルクライムバイク」という称号を携えて私たちの目の前に登場した。 しかし、新型Emondaの設計思想を見ていくと「ただ軽くて速い...
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IsoSpeed

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前世代のBooneはフロントとリアのIsoSpeedを備えていた。しかし、2022モデルはリアのIsoSpeedのみを備えている。リアIsoSpeedの効果としては、振動減衰、疲労軽減、トラクション向上の3つだ。

新型BooneのリアIsoSpeedは調整不可能であることは継続のようだ。前作と同様、いや初代から継続的に採用が続いている息の長いシステムだ。リアIsoSpeedの構造は、シートチューブとシートマストに生じる衝撃をエラストマーが吸収する。

シートチューブとシートマストが連動してスプリングのような働きをする。テクノロジーの中でも最もシンプルかつ部品数が少なくて済む軽量な仕組みだ。

海外のトップレースを走るシクロクロスバイクにおいて、Booneと同じような構造を備えたシクロクロスバイクは他に存在していない。

TREK MADONE DISC 剛性と振動吸収を調整できる 究極のオールラウンドバイク
ざっくり言うと↓ 剛性を自在に変更可能。 振動吸収性も変更可能。 リムブレーキ式が大穴。 最速のバイクを生み出すためのアプローチは、「エアロ」と「軽量化」の2つだけではない。 新型Madoneを知っていく過程で、それだけでは不十分なのだと次第に思い知らされた。これら2つの要素に加えて、新しい切り口である「振動吸収」の話しをせずに現代の最速のバイクは語れない。エアロ、軽量化、振動吸収と、異なる3つの...
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フレーム重量

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フレームの重量は850gだ。この重量は、ロードバイクのEmondaに次ぐ2番目に軽いフレームだ。新型BooneはフロントIsoSpeedを捨てたため、以前よりも軽量化が達成されている。

フロントIso Speedを継続採用しなかった理由は公開されていない。しかし、フロントIsoSpeedは部品点数が多いわりには、簡易な防水防塵カバーしか付属してなかった。そのため、シクロクロスでは振動吸収性にはメリットがあったものの構造的には振動や摩耗に弱い印象があった。

フロントIsoSpeedは、ヘッドチューブ内に配置された円柱のカップをサイドからボルトで締めつけて固定する。この固定のボルトが振動で緩んでくるため、ロックタイトで固定する必要があった。また、異音が発生することが度々あり、高圧洗浄機で洗車を毎回行う必要があるバイクにとってはメンテナンス性に乏しい機構だった。

実際に使用しているユーザー観点から見ても、これらの理由が思い浮かぶ。新型Booneではその代わりにIsoSpeedフォークを採用しており、縦方向に柔軟性を高める形状を採用した。そしてホイールベース長を最適化し安定性も高められている。

ただし、シクロクロスでは60分間ずっと振動を受け続ける競技だ。そして、マウンテンバイクのようにフロントサスペンションがない代わりに、フロントタイヤがサスペンションの役割も担う。そのうえで、振動をいなしてくれるIsoSpeedは継続して欲しかったのが本音だ。

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OCLV600を採用

なぜ、OCLV800を使わないのか。

そう考えるライダーは多いかもしれないが、シクロクロッサーたちはある程度堅牢であるフレームのほうが安心するはずだ。私もそう考える一人で、OCLV800を使って薄く軽くしたBOONEは正直怖い。そして価格も上がるはずだろうから、TREKがBooneに採用したOCLV600は適切だと思う。

BooneのフレームはOCLV600を使用して製造されてはいるものの、そのフレーム重量は850gだ。そして実際のフレームセットの小物を含めたシステム重量は、旧モデルの1.77kgから1.50kg(-270g)に減少した。

フレーム重量は減少したものの、新しいバイクの形状は全く同じだ。2020年のCX世界選手権でBooneに乗って勝利を収めたオランダのサイクリスト、ルシンダブランドは軽量化とエアロ化を望んだという。このように、新型Booneは常にトップシーンの意見を取り入れて進化し続けるシクロクロスバイクなのだ。

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ケーブル内装

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ロードバイクのケーブル内装は早くから行われてきたが、シクロクロスバイクはあまり売れないためか開発や改良があまり行われない印象だ。そのため、新型Booneでやっとケーブルの内装化が実現した。先ほどEmondaからの流用と書いたのだが、TREKはEmondaのケーブル内装を流用せず、シクロクロスバイク用にブラッシュアップした。

新しいケーブルマネジメントシステム(Control Freak Cable Management)は、シフターやブレーキケーブルを組み合わせてフレームに内装できるだけではなく、ケーブルの導入口に工夫が施されており、ゴムのラバーのようなものを介してヘッドチューブから入り込む仕組みだ。

悪路を走るシクロクロスは振動との戦いだが、その際ケーブルがバタついて暴れてしまう。内装化に伴ってヘッドチューブから入るホースと接触する部分で余計ながたつきをなくす配慮が行われている。

そして旧型のBooneを所有しているユーザーにとってこの構造は朗報だ。旧型Booneに存在していたダウンチューブのケーブル導入エントリーポイント(2か所の穴)やボトルケージ下が開く構造を廃止した配線すべがヘッドセットカップを介してヘッドチューブに入るEmondaと同じ構造を採用している。

旧型はフロントブレーキホースがフレームの外から取り廻す必要があった。リアブレーキホースとギアケーブルがダウンチューブの上部からフレームに入っておりスマートではなかった。新型では、すべてがヘッドチューブの上部にある一体型カバーを経由することになる。

これは、ハンドルバーテープの端とこのカバーの間のみケーブルが露出することを意味する。TREKによれば、この構造がシクロクロスバイクで最もクリーンかつ最も洗練されたルーティングであると言う。このデザインは、見た目がすっきりしていて空気の流れがないだけでなく、レースでケーブルが引っ掛かることがないことを意味している。

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T47ボトムブラケット

この規格だけでもシクロクロスバイクとしてBooneを選択する理由の一つになる。TREKの悪しきBB90(パワーメーターが使えない、泥が挟まり傷がつく)から、ゆっくりと距離を置いた。そして BooneはT47ボトムブラケットにアップデートした。

シクロクロッサーであれば、T47の大口径スレッドボトムブラケットのアップデートを高く評価するはずだ。T47はBB90よりも安全で保守が簡単だからだ。そして、さまざまなブランドのBBが利用できる。

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GRX800完成車

日本では完成車のみの販売だ。コンポーネントはGRXのフロントシングルだ。もしも自分が使うならば、GRXのDi2のフロントディレイラーを取り付けてチェーンリングは46/36Tと11-30もしくは11-32の運用をする。

とはいえ、とりあえずシクロクロスバイクの導入用として考えるのならば、シマノGRXこのビルドは堅実な選択だとおもう。

  • フレーム: 600シリーズOCLVカーボン、IsoSpeed、テーパーヘッドチューブ、内部ケーブルルーティング、ライドチューンドシートマスト、3Sチェーンキーパー、T47 BB、フラットマウントディスク、142×12 mmスルーアクスル
  • フォーク:TREKクロス、フルカーボン、テーパーカーボンステアラー、フラットマウントディスク
  • ホイール: Bontrager Paradigm Comp 25、チューブレス対応、リム幅25 mm
  • タイヤ: Bontrager CX3 Team Issue、アラミドビーズ、120 TPI、700x32c
  • ブレーキローター: Shimano MT800、CenterLock、160 mm
  • シフター: Shimano GRX RX810、11スピード
  • リアディレイラー: Shimano GRX RX810、ロングケージ、34T max cog
  • ボトムブラケット: Praxis、T47ネジ付き、内部ベアリング
  • カセット: Shimano Ultegra HG800-11、11-34、11スピード
  • チェーン: Shimano Ultegra HG701、11スピード
  • クランク: Shimano GRX RX810、40Tリング、
  • サドル: Bontrager P3 Verse Comp、スチールレール、
  • ハンドルバー: Bontrager Elite IsoZone VR-CF、合金、
  • ハンドルバーテープ:ボントレガースーパータックパフォーマンステープ
  • ステム: Bontrager Pro、31.8 mm、Blender互換、7度、
  • サイズ:49 *、52、54、56、 (* 49cmは、以前のBooneモデルの50cmを置き換え)

価格:475,200円(税込)

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まとめ:より軽く、よりエアロな、ピュアシクロクロスバイク

最後にまとめだ。発表と同時に速攻で注文したw

一つ残念なのは、女性用のサイズが廃止されたことだ。私の妻はシクロクロッサーなのだがBooneの46サイズを愛用している。新型も46サイズがラインナップすると予想していたが、最も小さいので49サイズ(旧50サイズ)だ。

そのため、旧型を引き続き使うことになる。とはいえ、筆者自身は軽量化、エアロ化したBooneに乗り換える。良い部分はそのままで、ネガティブな部分はすべて改善されたBooneを買わない理由が見つからない。

  • フレームの重量を削減
  • エアロチューブプロファイル
  • ケーブル内装
  • T47ボトムブラケット採用
  • OCLV600カーボン採用
  • フロントIsoSpeed廃止
  • ダウンチューブ側ホース導入口の廃止
  • バッテリー台座位置の変更
  • ジオメトリ変更なし

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ざっと考えただけでもコレだけのアップデートがある。なにより今のメインバイクであるEmondaのエアロダイナミクスと軽さを備えさらにケーブル内装ときた。このアップデートは、シクロクロスバイクを購入しようとしている方に特におすすめしたい。

価格も据え置きで完成車が税込み47万だ。とにもかくにも、あまり売れないであろうシクロクロスバイクにここまで最新の技術を投入しアップデートを果たしたバイクは珍しい。エアロ、軽量化、振動吸収と、シクロクロスバイクとして最高レベルに仕上げられた一台だ。

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