イヤホンにもAIの波が・・・。
SoundPEATS Capsule3 Pro+レビュー:AIノイズキャンセリング搭載のイヤホン
イヤホンにもAIの波が・・・。
AIの力は、ノイズキャンセリングを最適化するために活用される時代になった。SoundPEATS Capsule3 Pro+は「AI Adaptive ANC」機能を搭載し、耳の形状やイヤホンの装着状態、周囲の環境条件に応じてリアルタイムでノイズキャンセルを変化させる。
最大1.8kHzの超広帯域ノイズ周波数に対応し、可聴域で最大45dBのノイズ低減効果がある。イヤホンがリアルタイムでノイズリダクションの効きを調整し、耳圧のバランスをとりながら快適さとノイズ低減を両立するのだ。
という説明を聞くと、なんだか凄そうに思うが正直よくわからない。しかし、話は簡単で電車内の音、室内、野外など環境条件に応じてノイズキャンセリングの方向性を変えてくれるだけだ。この機能が私の使い方にマッチしていた。
今回は、AI ANCを搭載したSoundPEATSCapsule3 Pro+を試した。これまで使っていたCapsule3 Proと似ているのだが、Pro+はさらに性能がアップデートしている。すでに優れていたイヤホンがさらにアップデートした形だ。
しかし、どれほど進化し、どれほどAI ANCは有効なのだろうか。実際にゲームモードやYouTubeの視聴、電車通勤中にANCや音質を試した。
デザインと快適性
SoundPEATSCapsule3 Pro+は、ゴールドとブラックを基調にしており、洗練されたデザインが目を引く。Apple社の白を基調したデザインとは180°異なる。イヤホンはもともと小さなデバイスであり、デザインも限られている。見た目でできることはあまりないのが現状だ。
耳に着けてみると快適であることがすぐにわかる。重量も軽量だが、そこそこ重さがあるので付けていることを忘れることもなく、耳が痛くなることもなかった。
耳の中に入れるラバーチップは透明で、かなり薄っぺらい感じだ。しかし、その薄っぺらさにもかかわらず、ドーム型の形状は変形させてもしっかりと保持されている。好き嫌いは分かれると思うが、これまで使用してきた製品よりもフィット感が高く感じられた。
ラバーチップのサイズもS,M,Lが同梱されている。自分の耳の穴のサイズに合わせれば、耳の内側に沿うようにフィットし密閉性を高めてくれるだろう。
音質とAI ANC
私がイヤホンを主に使用するのは、通勤電車、自宅での動画視聴、ZWIFT、野外など様々な環境だ。変化するこの状況下で、いつも通りイヤホンを使って音を確かめていった。
SoundPEATS Capsule3 Pro+イヤホンには、AI ANC、パススルー、マルチポイント接続、ゲームモードなど様々な機能が搭載されている。他のハイエンドイヤホンと比べても、劣るどころか性能が優れている部分も多い。
素人の耳で聞いても音質は全く不満が無い。特にノイズキャンセリングは強力だ。ZWIFT中の呼吸がほぼ聞こえなくなってしまう。例えばイヤホンを外して、耳の穴を指でふさぐと骨伝導のように呼吸音が聞こえてしまうが、このイヤホンをつけていると死んでいるかのように呼吸が聞こえなくなる。
音質に関しては、12mmダイナミックドライバーとxMEMSスピーカーのハイブリッドドライバーセットアップを搭載している。ワイヤレスイヤホンとしてはヘッドホンのような鳴りの良さがある。
イコライザーも搭載しているが、調整する必要はなかった。音量を上げても音割れせず、クリアな音質、高音域と低音域のバランスが取れた音を提供してくれる。低音は重さが効いて深みがあり、中音域は繊細で細かい印象だ。
しかし、比較してわかったのは高音域だ。「シャリシャリ」とした音が鳴る。これは好き嫌いが確実に分かれると思う。
ZWIFTでアイテムをゲットしたときに「シャキーン」となるのだが、高音域が尖った感じがしてやや不快だった。いつも聞きなれている音なので、顕著に違いがわかった。Capsule3 Pro+のほうが、普段聞いている音楽の解像度が上がったかのように感じる。
イコライザーをデフォルトで使っているが、デフォルトのサウンドプロファイルが気に入らない場合は、19バンドのグラフィックEQ、Adaptive EQ、またはアプリで利用可能な9つのプリセットのいずれかを使って調整できる。
AI ANC
確かに効果を感じたのはANCの改善だ。電車内、野外とプライベート空間のようにノイズキャンセリングが行われる。電車を待っているときに、電車が通り過ぎた時の風の音がほとんど聞こえなかったのは驚いた。同時に、怖さも感じた。
歩道や線路近くを歩いているときなど、環境に注意しなければならない状況下では、強力すぎるANCはデメリットにもなりうる。そのあたりは注意が必要だろう。
仕事の行き帰りにUdemyで学習、自宅に帰ってからはZWIFTでローラーを行うが、いまのところ何をやってもうまく動作している。ANCにAIは必要なのだろうか?、という質問に対しての答えは、私の使い方の場合は合っていた。
バッテリー持続時間に関しては、イヤホン本体は1回の充電で最大6時間の再生が可能だ。充電ケースと合わせると、合計43時間のバッテリー駆動が可能になっている。通勤程度ではバッテリー切れを心配する必要はないだろう。
ゲームモード
ゲームモードは遅延を低減してくれる。ゲームの画面や、ライブ映像で映像と音声にラグが発生しない。ゲームモードにすると遅延を70msに低減する。この低遅延によって、音声と映像が確実に同期してくれる。ANCと組み合わせることで、外部のノイズを遮断しつつ、ゲームや映像に集中することができる。
1msは1000分の1秒だ。低遅延を謳うハイエンドイヤホンのほとんどが90ms前後であることを考慮すると70msは超高速といえる。これ以上の改善は必要ないだろう。話は変わるが、FOXサスペンションの新型ドロッパーポストやLIVE VALVE NEOの伝送遅延はさらに速く、わずか1msだ。
まとめ:
イヤホンの世界は進化が速い。わずか1年前に使っていたイヤホンと聞き比べてみると、明らかにノイズキャンセリング機能や音質に違いがある。
世の中がAI、AI、と盛り上がるなか、ノイズキャンセリングにAIなど不要だと思っていた。ところが、技術は進むもので自分の通勤中、野外、室内という使い方であれば本当に違いがある。AIはこういう状況にこそ使われるべきだと思う。
バッテリーの持続時間は、イヤホンが提供する品質を考慮すると十分だ。充電をしない人であれば、6時間は通勤の3往復しかもたないので、短く感じるかもしれない。しかし、バッテリーを搭載したケースは素早く充電してくれるので不便に思うことはなかった。一度しまえば、充電してくれるからだ。
これまでSONYやSHUREのイヤホンを使用してきたが、特にこだわりが無ければSoundPEATSの製品は優れたコストパフォーマンスを提供してくれる。必要十分以上、音質や機能をは十分すぎる。このイヤホンを使ってからというもの、旧型のイヤホンを使わなくなった。
また時間が経てば、本製品よりも優れたイヤホンが間違いなく登場するだろう。その時までメインのイヤホンとして活躍することは間違いなさそうだ。