先日紹介したKsyriumSLRはアルミ最上位モデルであり定価は20万であった。最高の技術と、最高の組み方、そして高剛性を兼ね備えたホイールは乗って単純に良いとわかる。それに対し購入したシマノWH-RS21は実売1.5万程だ。
同じホイールというジャンルなのに10本買っても5万円お釣りが来る。
ここからはなぜWH-RS21をなぜ購入したのか記したい。理由は2つある。1つめオフシーズン外とローラーを兼用するから。そして2つ目は11速ホイールで一番安いからである。だが、その性能はKsyriumSLRの1/10ではない。むしろ1.5万の売価でここまでのホイールは無い仕上がりだ。
今回11速の廉価ホイールでaksiumとWH-RS21で悩んだ。しかしAksiumは使ったことがある。そして、KsyriumSLRとaksiumの比較はWeb上にいくらでもある。だからKsyriumSLRとWH-RS21の比較、そしてインプレッションがてら購入したのだ。対極に位置するそれぞれのホイールをみていく。
WH-RS20Aの後継モデル
シマノが作るホイールは堅実である。適当な廉価ホイールや、完成車に着いてくる無名のホイールからのアップグレード、通勤用途で買う場合WH-RS21を選ぶと、まず結論づけよう。その1.5万円のホイールからは考えられない作りだ。
WH-RS21はRS-20Aの後継モデルである。数字が上がっていることからもわかる。また、新型Dura-Ace9000系とUltegra 6800系の11スピードに対応している。用途はエントリー向け完組ホイールだ。
WH-RS21の実測重量
WH-RS21の実重量(リムテープ込)を見ていく。
- フロントの実重量は785g
- リアの実重量は1072g
- 合計重量1857g
次はメーカー公表値だ。
- メーカー公表フロント重量は820g
- メーカー公表リア重量1030g
- 合計重量1850g
おおよそ工業製品として妥当な数値だ。しかしフロントがやけに軽い。今回シルバー、ブラック、ホワイトがあるがそれぞれの塗装によっても重量は異なる。
WH-RS21のハブはカップアンドコーン
フロントハブとリアハブともに素材はスチール製だ。回転体として中央部分のハブが重いことは走行性能に良い影響を与える(書籍:サイクルサイエンスより)。その代わりホイール重量は重くなる欠点がある。廉価ホイールなのでそこは目をつぶろう。
1万円台のホイールとして良い点を上げる。それはベアリングがカップアンドコーン式だ。通常のシールドベアリングと異なり。一つ一つカップの中にベアリング球が入れられている。Dura-Aceのホイールも同様、Campagnoloのホイールもカップアンドコーンだ。
なおマビックやイーストンはシールドベアリングである。カップアンドコーンの利点をシマノは以下のように説明している。コーナリングが多いクリテリウムなどで本当に100分の一秒を争うならカップアンドコーンがいい。
カップ&コーンタイプ・ベアリングシステムは負荷に対してダイレクトに応力が働くのに対し、工業型ベアリングでは、その接触ポイントから、負荷の方向に応力が働きにくくなっています。
またカップ&コーンタイプの方が、耐久性が高くメンテナンス性が良いなどメリットが多いです。これがシマノの全てのハブにカップ&コーンタイプを採用している理由です。
WH-RS21も同様に前後のハブにカップアンドコーンを使用している。
WH-RS21のスポークとスポーク本数
スポーク本数は非常に少ない。事実少ないほうが空力抵抗が少ないデーターが得られる。しかしWH-RS21の販売ターゲットのユーザーを考えてみる。安くても性能(エアロ効果、少ないスポーク本数)が欲しいユーザー。はたまた私のように安くて11速が欲しいのでスポーク本数はF28のR32でもよい人。
メーカーとして大事にしなくてはならないユーザは、間違いなく前者だ。正直リアのスポーク本数は24本でも良いのではと思う。しかし、1500W出す練習仲間がスポーク本数が同じWH-6700を使い『硬い』という位だからそのへんは気にしていない。
- スポーク本数フロント:16本
- スポーク本数フロント:リア20本
- スポーク形状エアロタイプ:2.0-1.8-2.0
フロントは、16本、リアは20本。手組ではこの本数は不可能だ。なぜなら完組は様々な体重の人を想定する。40kgの女性が乗るのか90kgのスプリンターが乗るのかわからない。手組の場合は乗車制限が入る非常に少ないスポーク本数だ。
スポークはエアロ形状である。平たくなっている部分は0.2mm薄く伸ばされている。ある程度の空力を確保し見た目的にも良い
オフセットリムはテンション是正する
11速化によりフリーボディの延長をした。その影響でフリー側と反フリー側のスポークテンションの差が大きくなる。これを是正するためにオフセットリムを用いる。WH-RS21リムの形状を確認する。
WH-RS21のリムはシンメトリー(左右対称)ではなく、アシンメトリー(左右非対称)の構造だ。シマノの完組ホイールのリアはオフセットリム形状が多い。スポークの中心線が反フリー側に寄った構造なのでオフセットしたリム=オフセットリムだ。
写真からもその極端なオフセットリム構造が見て取れる
WH-RS21のリムハイトは前後で違う
シマノやカンパ、イーストンのホイールは前後でリムハイトが異なる。自転車は後輪駆動だから、リアのほうがリムハイトを高くしスポーク長を短くしてテンションを上げたいのは完組みホイールも同じだ。
- リム幅20.8mm
- リム高:フロント21mm
- リム高:リア24mm
ちなみに、3mm程度で空力に大幅な違いは無い。別の機会に紹介する空力の話題がある。CORIMA WINIUM 24mmとある50mmのカーボンホイールの空力特性を比較すると24mmのWINIUMのほうが良いデーターが得られている。
問題なのはリムハイトではなく、幅であったり、スポーク本数なのだ。
- F:20/R:24
- F:920g/R:1,060g
キシリウムSLRと較べて
双方のホイールを実装した瞬間の第一印象を列挙する。
- 踏み出しはKSYRIUM SLRが軽い
- 上りはKSYRIUM SLRが軽い
- 高速域では目をつぶると分からない
- コーナリングでKSYRIUM SLRは戻ってくる感覚がある
- ブレーキはWH-RS21のほうが効く
どうだろう、15倍以上するホイールを買う気になっただろうか。残念ながら速い選手がWH-RS21を使ったらKSYRIUM SLRに勝つのだろう。しかし所有欲は間違いなくKSYRIUM SLRに軍配が上がる。
初期ロット移行は改良されている
初期ロットはショップに問い合わせた所非常にフレが多く、テンションが低いホイールであったそうだ。私のホイールもそれにもれず、非常にテンションが低いホイールだった。そのため、フレが度々発生していた。
そんな場合は、購入時にスポークテンションをショップにてカンカンに高めてもらおう。そうすると非常に良いホイールになる。ローラー用としてももちろん使えるが通勤やトレーニングには重宝されるはずだ。
このホイールの良し悪しは購入後のスポークテンションを高める事にあると言って過言ではない。
WH-RS21は買いか
ルックスを気にするならアクシウムをおすすめする。しかし性能を考えると、カップアンドコーンで、スポーク本数が少ないWH-RS21をおすすめしたい。アクシウムは実測重量1770gと80g程WH-RS21より軽量だ。ただ実売価格に大きな差がある。
従って見た目重視&MAVIC信者はAksiumを、性能コスパ重視ならWH-RS21を選ぶのが良いと言える。20万のKSYRIUM SLRや1.5万のWH-RS21というホイールがある。それぞれ何に価値を見出すのか、ひとによって違う
私の場合は、ローラーと実走も一役でこなせるWH-RS21が魅力的に見えた。事実、KSYRIUM SLRでは”とてもできない”WH-RS21の利点なのだ。