Aethosはシンプルだ。シンプルすぎるバイクは、本質を捉えることが逆に難しい。それゆえ、スペシャライズドがこのバイクで何を成し遂げたかったのか、そしてAethosというバイクが一体何であるのかを理解することに苦しんだ。今回のインプレッションは、シンプルすぎるバイク、Aethosについて話そうと思う。
Aethosの発売から結構な時間が経過したが、1度乗ってみたかったバイクだった。というのも、エアロ化の波に逆行するスタイルと、細身のラグで組まれた伝統的なロードバイクとよく似た造形が印象的だった。スチールフレームのようでいて、実際は複雑なカーボンの形状が組み合わさった凝った作りになっている。
そして、Aethosの生みの親が、かの有名なピーター・デンク氏であることは大きな意味を持っている。あのピーター氏の最新の「作品」であれば、super six evoやアディクトと同じように乗らずして自転車人生は終えられない。
そして、Aethosに乗っている人が有名なヒルクライマーや雑誌編集者など「玄人」であるのも興味をそそられた。バイシクルオブ・ザ・イヤーを獲得した話題性もある。また、S-WORKS TARMAC SL7の発売直後のリリースということで実際に乗っているサイクリストが少なかったのもさらに魅力的だった。
スペシャライズドには失礼な話だが、バイクに注ぎ込まれた新しい設計思想と最新技術のわりにはライダーからの注目度は低いバイクだと思う。しかし、それがAethosの価値を逆に高めていると感じた。
「わかるひとだけに、わかればいい」
Aethosはそういう、バイクなのかもしれない。
今回の記事は、ディスクロードバイクとしてでなく、ロードバイクとしても非常に軽量なS-WORKS Aethosについて記していく。軽量化はどのようにしてもたらされたのか、業界のトレンドであるエアロ化とは真逆の方向性はブルーオーシャンなのか。
Aethosはいかにして生み出され、どのような走りをライダーに与えてくれるのか。一緒に、Aethosのレビューを見ていこう。
545gのフレームはいかにして生み出されたのか
Aethosの開発段階において、最初のフレーム重量はわずか545gだったという。
この驚異的な重量は当然ながら試作品での話だ。しかし、実際の乗車を考慮し剛性を高めたバイクに必要なカーボンの量はわずか10グラムだっという。なぜ、Aethosはここまでの軽量化ができたのだろうか。
Aethosの開発において、単純にカーボン積層を減らして重量を削減していくというこれまでの考え方をしなかった。フレームの形状が乗り心地を決定する最も重要な変数であり、これまで考えられていた以上に影響力があるという、新たな理論を元に開発が行われた。
この理論を提唱したのは、「カーボンの魔術師」の異名を取るピーター・デンク氏だ。ピータ氏といえば、SCOTTのADDICTやCannondaleのSUPER SIX EVOなど、数々の軽量フレームを生み出してきたことで知られている。
Aethosの開発主任としてピーター氏は、理論を現実にするために同社史上最も大規模なシミュレーションプロジェクトを実施した。このプロジェクトでは、BB剛性、フロントエンド剛性、全体的な剛性をテストするために、100,000以上のバーチャルフレームを作成したという。
シミュレーションでは、従来のフレーム形状についての考え方が間違っていることが明らかになった。特に、BBとシートには小径のチューブが最適であること、また、大径のヘッドチューブにあわせて大径のトップチューブと、ダウンチューブが必要であることが判明した。
また、ペダリングで生じた負荷を「チューブ形状自体」がフレーム全体に分散しながら運ぶことによって、これまで必要だった剛性を高める積層が不要になった。その結果、全ての剛性層を取り除くことが可能になった。その結果、軽量化を実現したという。
Aethosの開発では初めから軽量化を狙ったわけではなく、逆側からのアプローチを行ったのだ。
したがって、Aethosの設計はただ単に軽量化を追求した結果ではなく、カーボンバイクの製造方法を再発明することで生まれた。何度も言うが、決して、カーボンの積層を薄くすることで軽量化を目指したわけではない。
チューブの形状が荷重を支え、すべての剛性層の除去を可能にしたために軽量化を達成できた。Aethosは単に丸パイプがつなぎ合わされたありきたりな形状ではなく、どこか違和感にも似た特徴的なフレーム造形が印象に残る理由もここにある。
BSA規格の意味
TARMAC SL7のBB規格がOSBBからBSAに変更された際、喜んだサイクリストは多かったはずだ。OSBBは圧入式でお世辞にもメンテナンス性は高くなく異音も多かった。古くから存在するBSAはこなれた規格で、メンテナンス性や、異音が生じないというユーザー観点でみたメリットも多かった。
BSAを選択する理由はいくつかある。その中で代表的な例を2つ+アルファを紹介したい。
- 耐久性とメンテナンス性: BSAボトムブラケットは、スレッド式(ねじ切り)の設計により、長期的に優れた耐久性とメンテナンス性を提供する。スレッド式BBは取り付けが容易で、適切に取り付けられていれば音鳴りを防ぐことができる。
- 広範な互換性: BSA BBは多くのクランクセットと互換性があり、市場には多種多様なアフターマーケットのBSA BBが存在する。これにより、消費者は自分のニーズに最適なクランクセットとBBを選択できる。
- 設計思想: Aethosはシンプルさとクラシックなロードバイクの美学を重視した設計思想を持っている。BSA BBはその信頼性と簡単なメンテナンス性から、この思想に適している。また、剛性の観点から見ても、スレッド式BBはフレームに適切に取り付けられ、固定されるため、適切な剛性を提供できる。
3番目は、BSAのメリットというよりもAethosの設計思想に合致していたのがBSAだったという捉え方だ。
BSAを採用した場合、フレーム剛性が確保できているのかと気になってしまうライダーがいるかもしれない。しかし、剛性に関していえば、BBの規格だけでなく、先程のAethosのフレーム設計思想でも紹介した通り、全体のバランスが大きく関わってくる。
BBの剛性はペダリングによる力の伝達効率と直接関連している。つまり、BB周りの剛性が高いほど、ライダーがペダルにかけた力がロードに直接伝わりやすくなる(とされている)。
しかし、先程も紹介した通り、ピーター氏はフレームの形状が剛性において最も重要な要素であると考え、BBの大きさや形状だけでなく「フレーム全体の形状」に注目した。
したがって、BSA BBの採用は、耐久性、メンテナンス性、広範な互換性を提供するとともに、Aethosの全体的な設計思想とフレームの剛性に対する理解に基づいている。
外装式ホースは野暮か
現代のロードバイクのワイヤールーティングのどれもが、空気抵抗を減らすためにハンドルバーにワイヤー導入口を設け、ヘッドチューブを抜け、フレーム内部を通って各所に張り巡らす方式を採用している。
反面、Aethosは外装式ケーブルルーティングを採用している。ヘッドチューブ側面に用意されている導入口を使って、フレーム内部を通るケーブルルーティングを採用した。
Aethosの設計目標の一つは、最高の乗り心地とパフォーマンスを提供することだった。その一方で、「シンプルさ」と「利便性」も重視していた。そのため、ケーブルルーティングもシンプルで直感的なものとし、メンテナンスを容易にするために外装式ケーブルルーティングが採用されている。
外装式は空力的なディスアドバンテージと引き換えに、メリットもいくつかある。
外装ケーブルルーティングは、内装式ケーブルルーティングと比較して、ケーブルの交換が容易で、調整が簡単であるという利点がある。特に、自分で自転車のメンテナンスを行うライダーや、ブレーキホースを交換を必要とする用途では、この利点は大きな魅力になる。
Aethosの設計目標は、空力性能を全く考慮せず、優れた乗り心地や利便性を提供することだった。したがって、Aethosの外装ケーブルルーティングは、その設計思想であるシンプルさ、利便性、およびパフォーマンスの追求をあえて反映したものといえる。
ヒルクライム専用なのか
Aethosに乗る前はヒルクライム専用だと思っていた。設計思想うんぬんあるが、実際にAethosの武器は軽さだ。Aethosよりもバイクを探すことは難しく、1gでも軽さを追求したいライダーにとってみれば、Aethosの剛性や作り込みは魅力的だ。
しかし、ライダーは毎日ヒルクライムをするわけではないし、平坦や下りだって走る。むしろ、実際のライドでは町中やワインディングロードを走る時間の方が多いはずだ。だからこそ、「ヒルクライムレース専用」のオーラが出ているAethosに対して、接し方が難しいと感じた。
ヒルクライムを走る際に「軽さ」の優先度が高ければ、Aethosは適任と言える。Aethosが他のバイクよりも優れているのはバイクの振り回しの軽さと、乗り心地の良さだ。平坦をできるだけスピードに乗せて走りたい場合は別の答えがあると思う。
Aethosのデザイン目標は空力性能を気にせずに優れた乗り心地を提供することだった。その目標は十分に達成できている。ヒルクライムには向いているが、それだけに絞ったバイクではなく、長時間のライドや、走り自体の軽さを追求したい人向けのバイクだと思う。
重量、さらに軽量化?
フレームの重量は、サイズ56で585g、サイズ52では565gとされている。フレームの剛性と重量の比率は、Canyon’s Ultimate CF EvoとTarmac SL6を上回っているという。そのため、フレームが”もろい”という心配はしなくてもよい。ライダーの最大重量は125kgとなっている。
Aethosの実測重量は以下の通りだ。Aethosは同社の製品で使用されている他の小物類を一切流用していない。すべてがAethos専用で作られ、TARMAC SL7の標準パーツよりもさらに軽く仕上げられている。
- フレーム:570g
- フォーク:265g
- スルーアクスル前:23g (参考 SL7: 32g)
- スルーアクスル後:29g (参考 SL7: 35g)
- プレッシャーアンカー:17g (参考 SL7: 28g)
バイク全体の重量は、軽いアッセンブルにするとサイズ52で5.95kgだという。しかし、Aethosにはまだ軽量化の余地が残っている。たとえば、フルカーボンのサドル、軽量なチューブやタイヤ、一体型ハンドルなどがあげられる。
できるだけバイクを軽くしたい軽量化マニアには、Aethosをベースにして軽量化を進めたほうが効率的かもしれない。現代のディスクロードバイクにおいて、軽量化バイクを作る際はAethos以外のフレームは考えられないだろう。
相性の良いホイール
バイクのホイール選択は、個々のライダーの好み、乗り方、予算などによる部分が大きいが、特にAethosのような軽量なロードバイクには、次のような特性を持つホイールが適していると感じた。
- 36~45mmのリムハイト
- CX-RAYやDT AERO LIGHTなどの鉄スポーク
逆に合わないと感じたホイールは以下だ。
- 30mm前後のローハイトホイール
- 50mm前後のハイプロファイルホイール
- カーボンスポークホイール
これらの要素を考慮すると、以下のようなホイールがAethosと相性が良いと考えられる。
- ENVE SES 3.4
- SHIMANO C36
- ROVAL ALPINIST CLX
- FFWD RYOT 44
- MAVIC Cosmic ULTIMATE 45
バイクの性質的に、PRINCETON CARBON WARKSの WAKE6560などとあわせて使ってみたが、どこかバイクのバランスが崩れてしまって扱いづらくなってしまった。それよりは、ALPINIST CLXとの相性が良かったが、もう少しリムハイトが高いホイールのほうが全体がまとまり、バイクの総合性能は高まると感じた。
インプレッション
Aethosは開発ストーリーを知っているのと、知っていないのとではバイクへの印象が大きく変わる。特に、空力性能を全く考慮していない割り切った設計、BBまわりだけに頼らずフレーム全体で力を受け止める設計だ。
その結果として、昨今のハイエンドバイクのどれもがエアロと重量のバランスを追い求めているなか、Aethosは見向きもせず設計思想と理論をもとに、愚直なまでにのシンプルさを追い求めた。「軽さ」はそのうちの一つの要素にしか過ぎない。
冒頭で紹介した設計思想にもあるとおり、「軽さ」はカーボンの積層を減らす従来のありきたりな方法ではなく、フレームという構造を総合的に考慮し、細部のチューブ形状を細かく調整することで剛性をも確保している。
この軽さと剛性のバランスは、乗り心地にどのような評価を及ぼすのか。
問題は、意図的に空力的なメリットがほとんどなく、ケーブルルーティングは内装ではないことなど、Aethosは現代の最新ロードバイクに備わっているはずの機能がない。この最小限のコンセプトは、功を奏すのか、それともAethosにはそもそも勝ち目自体がないのか。
登りや下り、ワインディングロードを走りながらAethosをたしかめた。
まず、走りながらバイクに目を向けると特に繊細に見えるのがボトムブラケットまわりだった。正直なところ、剛性がある、剛性が無い、なんていうのはAethosに乗っていてもまったくわからない。Aethosは大容量のパワーを受け止めてくれるだとか、そういう気の利いたことは一切なく、踏めば進むし、低速で回しても、踏んでも「普通」に進んでくれる。
ただ、この「普通」というのが重要だ。588gのフレームは、これまで乗ってきたバイクと変わらない剛性感がある。カーボンの積層もかなり薄く仕上げられている事を考えてみると、ここまで「普通の剛性」を確保できたのは、ピーター氏の設計どおりといったところだろうか。
Aethosの特徴は2つある。ゼロスタートの軽さ、登り坂での走りの軽さだ。どんなシチュエーションでもクランクを回すたびにバイクから返ってくるレスポンスが軽快だ。
ペダルを踏み込むとすぐにスピードに乗る。ゼロ発進からの進みの良さは、物理的な軽さがモノを言う。空力が良いバイクであっても、ゼロ発進は重く感じられる場合が多い。踏み出しの軽さは物理的な質量が重要なのだと再認識した。Aethosは軽さと相まって剛性もあるためなおさら走りが軽く感じる。
平地はどうだろう。同社には空力性能が高いTARMAC SL7やVENGEがある。それらのバイクと比べてみると、Aethosは「速く走る楽しみ」を損なってしまっているのではと気になっていた。当たり前の話であるが、巡航速度が20km/h程であればSL7やVengeとは違いは感じない。ただ、初動の軽快感はAethosの圧倒的勝利だ。
しかし、それ以上のスピードになると速度維持がしにくく、減衰していくスピードが早く感じられた。アッセンブルしているホイールがローハイトだったため、フレームの性能というよりも、ホイールの慣性や、エアロダイナミクスといった総合的な要因で速度維持がしにくいと感じたのだろう。
平坦は(当然のことながら)エアロ系ロードバイクの方が速く感じられる。Aethosに仮にエアロホイールを取り付けたとしても(当然のことながら)、エアロロード系バイクの空力性能には勝てるわけがない。それでも、登りの軽さはエアロロードでは体感できない軽やかさがあるし、登りでかけたときの反応はエアロロードでは体感できない軽やかさがある。
登りから下りに差し掛かる際は、軽量バイクであるがゆえに不安もあった。軽量バイクは一般的に下りが苦手とされている。しかし、Aethosは常に安全かつ安定したハンドリングを行うことができ、狙ったラインを外すことはほとんどなかった。
「軽量バイク≒不安定」は、Aethosに限っては成り立たない。
また、煮詰められた独特なフレーム形状が快適性の面で良い仕事をしている。大きな衝撃を心地よく和らげ、ビリビリするような高周波の振動を強く減衰させていると感じた。
TREK Emondaのシートマストが乗り心地を優先して丸パイプだったように、丸パイプは全方向に対して柔軟に変形する。昨今のエアロロードのどれもがエアロフォイル形状で、垂直方向に剛性が高く、乗り心地が悪い傾向にある。
Aethosは全体的に丸パイプで構成されているため、フレーム全体で力を逃してくれる印象をうけた。
とはいえ、実際にはタイヤが乗り心地や剛性に対して支配的であり、さらにTIMEのActiveフォークのようにダンパーが本当に振動吸収しているわけではないため、Aethosのフレーム”だけが”振動や乗り心地の良さを決定しているとは言い切れない。
したがって、全体に対する1つの要素として、Aethosのフレーム形状や設計が乗り心地の良さに寄与している可能性があると感じた。
Aethosの不遇な舞台裏: 市場タイミングとデザインの課題
SPECIALIZED社のS-WORKSシリーズは、同社の製品で特別な意味を持ち、その名を大いに轟かせてきた。しかし、その一部門であるS-WORKS Aethosは、同じく同社の製品であるS-WORKS TARMAC SL7との比較で、期待されていたセールスを達成できなかったようにみえる。
では、なぜそのような事態が生じたのか。
まず、最初に指摘すべきは、Aethosの発売タイミングだ。Aethosが市場に投入された時期は、S-WORKS TARMAC SL7の発売直後であり、これがAethosの販売に影響を与えたと言えるだろう。
消費者は一度に高価な商品を複数購入することは稀であり、特に、S-WORKS TARMAC SL7の購入を決断した消費者にとっては、短期間で再び高価なAethosを購入するという選択肢は、おそらく資金的にも無理があった。
また、二つの製品が非常に近い時期に発売されたため、消費者が二つの製品の方向性の違いを深く理解するのは困難だった可能性がある(わならなければいいとこ取りのエアロと軽量化になびく)。そして、特に、S-WORKS TARMAC SL7の名前がすでに市場で知られていた時点で、新製品かつ新車名のAethosがその影を振り切ることは難しかったのかもしれない。
次に、デザイン面での問題点を見てみよう。Aethosは高級ブランドとしてのイメージが希薄であり、そのデザインに豪華さや高級感が足りないと感じられた。ハイエンドバイクの購入者は、高価な価格に見合った品質やデザインを求めており、ここでAethosが期待を満たせなかったと言える。
そして、最後に現在の市場のトレンドを無視することはできない。発売時点でエアロ系ロードバイク(速く&軽く)の人気が高まっていた中で、Aethosの単に軽量ロードバイクという位置づけは、市場のニーズと乖離していた。人々の関心がエアロロードバイクに向いていたことが、軽量ロードバイクであるAethosの需要を抑制したと考えられる。
以上の要因が、S-WORKS Aethosが思うようセールスの成果を上げられなかった主な理由と考えられる。
しかし、これらは単に市場環境とタイミングの問題であり、Aethos自体の品質や機能性に対する否定ではない。適切な戦略とタイミングで、Aethosが再評価される日がくることを願うばかりだ。
まとめ:Aethosは軽さだけではなく
Aethosがデビューしたとき、その軽さだけが強調され、その他の特性が見落とされていたのは否めない。設計者であるピーター氏の視点からすれば、「軽さ」はAethosの特徴の一部に過ぎず、全体的な価値を理解するためには他の要素にも目を向ける必要があるのだろう。
Aethosの開発は、従来のフレーム形状についての考え方を改めるきっかけをつくった。BBとシートには小径のチューブが最適であると示し、大径のヘッドチューブに合わせて大径のトップチューブとダウンチューブが必要であることを解明した。
また、ペダリングで生じた負荷がフレーム全体に分散され、「チューブの形状自体」がその負荷を運ぶことを明らかにした。それにより、全ての剛性層を取り除くことが可能となり、Aethosは軽量化を達成した。
Aethosの真の魅力はその「メリット」と「デメリット」によって表現できる。メリットとして、バランスのとれた直感的なハンドリング、軽快な加速、軽量性、そして高い快適性が挙げられる。一方、デメリットとして、空力性能が低いこと、ロゴがなくシンプルすぎるデザインであること、そして相性の良いホイールが限定的であることも認識すべきだ。
Aethosは、その軽さだけではない多面的な特性によって評価する必要がある。全体的なパフォーマンスとバランスに重点を置いた設計哲学がAethosの本質であり、それがAethosを他のバイクとは違う、孤高の存在にしている理由なのだろう。