足首の角度と効率の関係
足首の角度は効率に影響する。私がペダリングモニターで、いくつか発見した内の事実である。ペダリングモニターは刻々とベクトルが変わる。サドルを後ろに下げればベクトルが変わり、サドル高さを変化させれば同時に変わるのだ。
ポジションの最適化もできる装置である。そして、ペダリングの癖を表示する装置とも言える。私はその中で、着目している点がある(修正したい点と言い換えることもできる)。それは上死点における足首の角度だ。
3時のベクトルの向きが真下に向いておらず、進行方向斜め下に向いている。これを改善したいが、「どのようにしたら真下へ踏めるか」がわからなかった。原因は3時に有るわけではなく、”その前準備段階”にあった。
解法1:足首の角度は変えない
足首の角度は、変えない事で良い傾向が得られた。なぜなのか。「データーが表すから」と片付けるのは、もったいない。なぜかを考えることにより、次の効率改善の手助けになろう。足首の角度を変えないと言うが、完全固定は無理だ。ダウンストローク時はある程度カカトが落ちる傾向にある。
そのなかで特に足首の角度を変えないほうが良い位置(1~12時における)がある。アップストローク時は、「引き足」(もうこの呼び方は古い、と言いたいが)の時に大腿部で引きすぎると角度が鈍角(青色)になる。つま先立ちしたような状態になると言えば、わかりやすいだろうか。
当然、クリートに固定されているシューズと大腿部の引き上げで一番弱い部分は足首だ。文章にするのに難儀するが、こんな例えはどうだろう。
釣り竿と、糸に例えると、釣り竿が大腿部で、釣り糸がひざ下といえる。私はそのイメージで竿先で釣り糸を操るようにペダリングする。
というと、イメージできるだろうか。その場合、竿は人が操作できるが、糸自体は竿の操作で操つる必要がある。そのようなイメージの中でも、効率のデーターは足首の角度を変えない方が良い。何故か。
上死点での踏み出し遅延
足首の角度が鈍角のまま、上死点を迎えた場合を考える。上死点で足首の角度が赤の状態では、ダウンストローク中に”一番力が入るポイント”と同じ状態があらかじめ準備されている。しかしアップストローク時に足首が鈍角(青)の場合は、一番力が入る足首の角度に移行する際に準備ができていない。すなわち、”無駄な移行フェーズ”が発生する。
3時の位置における足首の角度を、事前に作れているか、否かと言い換えられる。
その分だけ踏み出しが遅くなり、一時的にトルクがかからない状態になる傾向にある。楕円の下死点での”抜け”と同じように思えるが、楕円の抜けは踏んだものを開放する下死点の抜けだ。一番力が入る角度から、抜くので終わりの動作である。
足首の角度はアップストローク時も影響する
足首の角度はアップストローク時も影響する。アップストローク時は足を引く動作はしないほうが良い、という事が現時点で達している私の答えだ。言い換えるならばダウンストロークを邪魔しない円運動をアップストロークで描く、いわば無負荷が望ましいといえる。
無駄に引き足が発生する場合は、マイナスの青ベクトルが発生する傾向にある。いわば「回転に寄与していない」ペダリングと言い換えられる。すなわち「やりすぎな引き足」は回転に寄与していない、無駄なベクトルの発生を促すデーターが得られている。
足首の角度からわかること
いままでベクトルと体の使い方が”リンクしなかった”。しかし、最近ではいろいろ思考錯誤しているうちに、「足首の角度を変えないと効率やベクトルの向きが変わる」など、体の使い方とリンクしてきている。
人間は、ものごとを取り組むことにより上達する生き物である。上達するアプローチは人それぞれ違う。しかし、ペダリングを良い方向へ改善する為に”小さな気付き”を積み重ねる事が重要と理解している。
日々、試行錯誤し発見したことをフィードバックし、改善の作業を繰り返す事が効率のよいペダリングへの近道といえる。もし、ベクトルの向きを改善したいポイントが有るならば、その時刻ではなくもっと前の時刻の動作を考察してみることをおすすめしたい。